夫婦(子供なし)のライフプラン

ひと昔前にDINKS(ディンクス)という言葉がありましたが、最近はあまり耳にしなくなりました。それだけ、当たり前の状況になったということでしょうか?
今回は現在、子供がいない、ご夫婦のみの家庭の人生設計について考えてみましょう。

夫婦(子供なし)のライフプラン

丸尾 健

丸尾 健 株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング 代表執行役

大学卒業後、建築関連の仕事を経て大手商社系の中高級住宅を扱うハウスメーカーに入社。在籍期間9年のうち5年は店長職を兼務。MVP賞3回。その後、大手金融機関のファイナンシャル・プランニング部門に転職。FP先進国の米国のファイナンシャルプランニングメソッドトレーニングを受講。2009年9月に独立して、株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティングを設立。FP経験現在9年目。新規年間相談件数120件前後、面談累計件数1,000件以上。主に個別面談を中心に活動している、実務家FP。ライフプラン全体を通してのマネープランの作成、資産形成アドバイスに提案に定評がある。
【得意分野】ライフプラン・不動産購入・住宅ローン・資産形成・保険・相続相談

人生の3大資金

人生の3大資金は住宅・教育・老後と言われます。その1つの教育費があるか、ないかでは大きく生涯の収支が変わってきます。

教育費はすべて小学校~高校まで公立で、大学が私立文系だと総額約900万円、中学から私立になるパターンだと約1200万円くらいとも言われております。子供が二人ならその倍になる訳なので、影響が大きいことは想像できますね。

今回は「子供はいらないと考えているご夫婦」「30代後半~40代前半でこれから子供が欲しいと考えているご夫婦」の2つのケースでの違いを見てみたいと思います。

子供はいらないと考えているご夫婦

このケースのご夫婦は人生の3大支出のうちの教育費がないため、仕事をしている間は比較的、余裕のある生活になることが予想されます。共働きというケースも多いでしょう。

夫婦でお財布が別々になっていて、家計は大まかな分担(家賃やローン返済はご主人、食費や日用品の購入は奥様等)になっている方が私のお客様では多いと感じます。極端な例では、お互いの収入や貯蓄金額も知らないという状況で、ご相談の中で初めて明らかになるというようなケースもあります。

浪費もしやすく方が多いのも特徴的です。ご夫婦二人で人生を謳歌しているので当然と言えば当然ですよね。故に収入は共働きで高いのに生活費が高く貯蓄はそんなに大きくない、という状況の方も多い印象です。

お子様がいないご夫婦は老後に向けての貯蓄を確実に行うということがポイントになります。将来的に子供に頼ることはできないので、自分自身の努力が必要です。今の時代、子供も将来大変で経済的な援助が子供から得られるかどうかは別として、年老いたときに日常のサポートは別などなたかに期待しなければならない点で。そのための人脈づくりと資金づくりはしておきたいところです。

人脈という点では、お住まいの地域のコミュニティなどにも参加して、将来的に助け合いをできるようにしておければ、ご自宅に住み続けることも可能になるのではと思います。(早い段階で有料老人ホームに入るなどを検討する場合は、大きなお金がかかります。)

30代後半~40代前半でこれから子供が欲しいと考えているご夫婦

計画的に貯蓄することが大事

昨今は晩婚化から、高齢での出産が増えています。筆者の周りでも35歳以上の初産は当たり前で、奥様40歳で初産という方も少なくありません。

このご夫婦の場合、例えばご主人40歳のときに子供が生まれるとしますとお子様が大学卒業の22年後には、62歳になり、リタイア・セミリタイアの時期に重なってきます。
計画的に貯蓄ができていれば、60歳でセミリタイア後でも教育費の残りを貯蓄から拠出することができると思いますが、それが準備できていない場合、退職金から出すケースなども考えられます。

退職金は自分の老後に使いたかったお金なので、上記のようになってしまうと当然、ご自身の老後資金が厳しくなり、65歳を過ぎても年金のみの収入ではこころもとなく、就労を継続しなければならい状況になる可能性もあります。高齢で働くことが今後必要な世の中になることはあるかもしれませんが、できればお金のために働くのではなく、人生の生きがいのために働くようになれれば、楽しい老後になるのではと思っています。

会社の給与体系のチェックも重要

・55歳で役職定年があり、給与はそれまでの8割になってしまう。
・ある程度の年齢になると、出向が考えられその時点での転職の可能性もある。
・60歳以降は再就労できるが、給与は月額20万円前後になってしまう。
等々も実際の面談で就業規則の給与規定を調べてもらうと、よく聞く話です。

このケースのご夫婦のように40歳前後でお子様はこれからという場合には、やはりできるだけ早い段階から、どのような教育を受けさせるためには、どのくらいの費用が掛かるのか? など押さえておき、確実な資金準備をしたいところです。

また共働き、子供なしだったため生命保険や医療保険も必要最低限しか加入していないケースも多々あります。健康にも気を遣わなければいけない年齢に差し掛かってきているので、自分が働けなくなったときの保障や、子供か生まれたときに必要な保障がどのようなものかなど、ライフプランと照らし合わせて検討しておくことも必要です。

40歳前後でご出産をご希望されている方の中には、不妊治療等をされていて高額な医療費を負担しており、貯蓄もできづらい状況になっていらっしゃる方もいらっしゃいます。このような方ほど、早めに適切なライフプランやキャッシュフロー表を作成できるファイナンシャルプランナーにご相談されることをおすすめいたします。

相続に関しても注意が必要

どちらのご夫婦に共通して言えるところですが、相続に関しても注意しておく必要があります。子供がいないのに相続?と思われかもしれません。
「子供がいないご夫婦で、ご主人が亡くなった場合はご主人の財産は誰のものでしょうか?」
奥様は当然、私のものと思うかもしれませんが法定相続では、ご主人のご両親がご健在の場合、3分の1はご両親のものになります。(3分の2は奥様のものです。)
ご両親が既に他界しておりご主人のご兄弟がいる場合には、兄弟の法定相続分は4分の1になります。(奥様は4分の3。)
つまり、全部奥様のものではないのです。

ご主人が亡くなったあと銀行口座からお金を引き出そうと思っても、ご両親やご兄弟の遺産分割協議の同意がないとお金の引き出しもできませんし、不動産の名義変更もできなくなってしまいます。

息子が亡くなり、その財産を嫁と争うというケースは稀ではあると思いますが、思わぬトラブルに発展する可能性もあるので、奥様の安心を確保するためには子供のいないご夫婦ほど遺言を作成しておくことをおすすめしております。「妻にすべての財産を相続させる」という文言だけでもよいでしょう。お子様が生まれた場合は書き換えることはもちろん可能です。遺言の作成の仕方も法的に定めがありますので、然るべき専門家へのご相談をされることをおすすめいたします。

今回はお子様のいらっしゃらない、ご夫婦の人生設計についてのお話しでしたが、基本的には、ライフプランをじっくりと考え、それにあった資金計画・ファイナシャルプランニングを検討することが、安心できる将来をつくっていくことになります。

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