住宅ローン返済中なのに転職したい

住宅ローンの返済は20年、30年と長期になりますが、人によってはその間に転職することもあるでしょう。そこで、心配になるのが、住宅ローンの申込み時の申告内容に変更が生じたら、このまま返済を続けていていいのだろうか?ということだと思います。ローン返済中に転職することになった場合にどうすべきなのかをご紹介します。

住宅ローンの返済が苦しい

江﨑真奈美 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

江﨑真奈美 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、会計事務所に勤務し、巡回監査業務に従事。その後、社会福祉法人をはじめ、地元の上場企業などで長年経理業務を担当。勤務していた事務所の閉鎖に不安を感じ、これをきっかけとして2016年に最短1年で1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得する。FPとして独立し、執筆、講師業を中心に精力的に活動中。
【企画・編集/SAKU株式会社】

住宅ローン返済中に転職した場合にすべきこと

住宅ローン返済中の転職は返済が滞るわけではないので、借り入れ後、申告していた内容に変更あった場合の連絡は不要と思われている人もいるでしょう。
契約時に説明があったかと思いますが、転職は勤務先が変更になるので借り入れしている金融機関等への報告が必要となります。なぜなら、住宅ローン契約の際には名前や住所をはじめ勤務先も届出事項となっています。契約約款にも届出事項に変更があった場合は、所定の手続きや届出をするよう明記されています。
住宅ローンの審査では、勤務期間は重視されますが、転職だけを理由に融資が見直しされるということはありません。
ただし、転職により収入が減少し、今後の返済が困難になりそうな場合には、返済方法の変更などについて借り入れ先の金融機関等に相談した方がよいでしょう。

転職で収入が減少した場合の対処方法

住宅ローン返済中に転職して収入が減った場合の対処法はいくつか考えられます。ここでは対処方法として2つご紹介します。

①繰上げ返済を行う
手元資金がある場合、繰上げ返済を実行することで毎月の返済額を減らすことができます。
例えば、借入金額3,000万円、借入期間30年、金利2.0%、元利均等、ボーナス返済なしで返済しているAさんが、借り入れから5年後に返済額軽減タイプで200万円を繰上げ返済したと仮定します。繰上げでどのくらい負担が減るのか見てみましょう。

【返済額軽減で200万円を繰上げ返済】

毎月返済額 年間返済額 総返済額
繰上げ返済しない場合 110,885円 1,330,620円 39,918,600円
繰上げ返済した場合 102,408円 1,228,896円 39,375,500円
繰上げ返済で減る金額 8,477円 101,724円 543,100円

※三井住友銀行HP「一部繰上返済シミュレーション」よりシミュレーション

繰上げによる毎月の返済額の軽減は84,000円ほどですが、1年では10万円以上も軽減されます。
一部繰上げ返済は手元資金が減るというデメリットはありますが、収入が減少したときの当面の生活費確保という点では一定の効果があります。

②返済期間を延長する
年収が下がって手元資金もない場合は、返済期間の延長をする方法が考えられます。
借り入れ当初から事情が変わった場合、金融機関で返済額の変更に応じてもらえることがあります。ただし、その場合でも借入期間35年でローン契約をしている場合には延長できないことが多いです。また、返済期間を延長した場合には、返済期間が伸びることにより利息の負担額が増加し、その結果、総返済額も増加することに注意が必要です。
返済期間の延長はご本人の状況によっては希望が通らないとこともありますので、まずは借入先の金融機関等に相談されるのがよいでしょう。

住宅ローン返済中に転職する場合の注意点

住宅ローン返済中に転職した場合は、すぐには住宅ローンの借り換えができないケースがあります。借り換えは新規に借り入れをすることになるため、転職直後では借入審査の条件に必要な勤続年数を満たさない場合があるからです。

国土交通省住宅局の「平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると民間金融機関の住宅ローンの審査の際に考慮される項目の上位は以下になります。

・完済時年齢(99.3%)
・健康状態(98.4%)
・担保評価(97.8%)
・借入時年齢(97.5%)
・勤続年数(96.4%)
・年収(95.6%)

住宅ローンの審査項目は多岐にわたり総合的に判断されるので、必ずしも勤続年数だけで融資が決定するわけではありませんが、重要な項目であることがわかります。勤続年数の条件では会社員の方の場合1年とする金融機関が多いようですが、一部のネット銀行では6ケ月としているところもあります。
また、フラット35では勤続年数の条件は求められていませんが、前年度の収入を証明する必要があります。

住宅ローン返済中に転職した場合にその後の収入に変化があったときは、返済方法などの見直しをした方がよいケースがあります。いずれにしても、転職の際には借り入れ先の金融機関への届出等を忘れないようにしましょう。

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