住宅ローン借り換えと家計見直し

今回のテーマは住宅ローン借り換えと家計見直しです。
みなさんが知りたい住宅ローンの「審査」の疑問をファイナンシャル・プランナー相談事例をもとに回答していきます。

住宅ローン借り換えの基礎知識

丸尾 健

丸尾 健 株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング 代表執行役

大学卒業後、建築関連の仕事を経て大手商社系の中高級住宅を扱うハウスメーカーに入社。在籍期間9年のうち5年は店長職を兼務。MVP賞3回。その後、大手金融機関のファイナンシャル・プランニング部門に転職。FP先進国の米国のファイナンシャルプランニングメソッドトレーニングを受講。2009年9月に独立して、株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティングを設立。FP経験現在9年目。新規年間相談件数120件前後、面談累計件数1,000件以上。主に個別面談を中心に活動している、実務家FP。ライフプラン全体を通してのマネープランの作成、資産形成アドバイスに提案に定評がある。
【得意分野】ライフプラン・不動産購入・住宅ローン・資産形成・保険・相続相談

【質問】

貯金ができません。まず何から見直せばいいの?

現在、なかなか貯蓄ができない状況です。今後のこどもの教育費の上昇も考えて家計費の見直しを考えています。住宅ローンと生命保険の見直しを考えて、ある程度自分で進めて見ましたがそれがベストなのかよく分から合いのでご相談させてください。

  • 夫:Dさん/40歳/会社員/年収650万円
  • 妻:E子さん/38歳/主婦
  • 子ども:F君(9歳)・Gちゃん(6歳)・Hちゃん(2歳)の3人兄妹
  • 7年前、藤沢市にマイホームを購入
  • 20年固定金利2.9%で大手B銀行から住宅ローンを借り入れ。

今回は、まず住宅ローンを見直すことから、家計の負担の軽減を考えて見ましょう。

Dさんのローンは35年返済で借りて、最初の20年間を固定するプランなので、固定期間はあと13年分あることになります。(14年目からは、また固定にするか変動にするか選び直すプランです。)Dさんが住宅ローンを借りた7年前と現在を比べると、金利は大幅に下がっています。そのため、住宅ローンの借り換えによって、大幅な家計負担の軽減が可能と考えられます。

住宅ローンの借り換えで月々の負担減を実現

Dさんは7年前に大手B銀行で住宅ローンを借り入れました。

★Dさんが借り入れている住宅ローン

金融機関 大手B銀行
金利 2.9%(20年固定金利)
残債 3,340万円
残期間 28年
月々返済額 101,782円
(※ボーナス月:363,782円)
総返済額 4,814万円

※総返済額は固定期間が開けた後、変動になり2.5%になったことを想定しています。

Dさんは、現在の固定期間があと13年あるので、これよりも金利上昇リスクをとるような冒険(変動で借りるなど)をあましたくなとのことでした。

そこで提案したのは、【15年固定金利】住宅ローンへの借り換え。

この借り換えにより、固定金利期間は2年長くなり、最初に提案した金融機関の金利も1.7%なので▲1.2%金利が下がることになります。住宅ローンは、金融機関によって得意としている固定金利期間が異なります。

今回は15年固定金利を他より大幅に低い金利で提示しているC銀行への借り換えした場合の効果を、まず見て頂きました。

★ご提案した住宅ローン

金融機関 C銀行
金利 1.7%(15年固定金利)
借り入れ金額 3,370万円
(※借り換え諸費用30万円上乗せ)
返済期間 28年
月々返済額 88,699円
(※ボーナス月:313,873円)
総返済額 4,342万円

この住宅ローンに借り換えることで、返済総額の差があらわれそうです。

借り換えに向けて金融機関は主に3つの審査をします。

  • ご収入面(勤務先等)は継続して安定した収入がありそうか?
  • 現在の収入からの月々返済は適切な返済金額に収まっているか?
  • 担保となる物件は、融資するにあたり担保価値はあるか?

「現在の収入からの月々返済は適切な返済金額に収まっているか?」は事前に目安を計算することが可能です。

それは、Dさんの月々返済可能額と、月々返済上限額とを比較する方法です。・Dさんの月々返済上限額650万円(年収) × 40%(審査の上での年間返済比率の上限)=260万円(年間返済額の上限)÷12(ヶ月)=216,666円(月々返済上限額)・・・A・Dさんの月々返済額3,370万円(借入金額) 、4%(審査金利)、28年=167,381円(月々返済額)・・・B216,666円(月々返済上限額) > 167,381円(月々返済額)

A>Bとなり、他にローンの借入や過去のローン返済等での事故がなければ、Dさんは、おそらくこの条件の住宅ローン審査には通ると思われます。
ご自宅の担保評価も、住宅を親の土地に建てているためローンは建築費のみとなり大丈夫そうです。
借り換えのポイント今回のポイントは、15年の固定金利期間が適切かどうかの確認です。15年後には3人のお子様のうち、2人がすでに教育費のピークといわれる大学を卒業している、もしくは卒業するタイミングに来ているという点です。

一番下のHちゃんはこれから教育費のピークを迎えますが、すでに2人分の教育費の支出が終わり、残りはHちゃん1人分のみという状況です。そのため、教育費のピークは終わり、家計費に占める教育費の負担は若干和らいだ後になる想定です。シミュレーション表を見ても固定期間が開けて変動金利が2.5%まで上昇していても現在借りているローン月々負担額より軽い状況になっています。
そのため、15年後に変動金利がすでに上昇し、月々返済額が固定金利の時より高くなっていたとしても、比較的に家計にゆとりが出てきた後なので、余裕を持って返済を続けることができると考えられます。
※実際の面談ではより詳しくこのポイントを確認しています。
もしD様の家族構成がもっとお子様が大きかった場合は10年固定なども視野に入った可能性があります。

逆にもっとお子様の年齢が若かった場合は、もっと長い固定期間を選択したほうが良いという結果になる可能性もあります。家族の将来を見据えること・ライフステージの確認を行うことにより、金利上昇リスクを、余裕を持って受け入れられるようになるのが何年後かということも、ある程度予測できるようになります。上記のような視点から住宅ローンを借り換えることによって、Dさんは毎月1万円以上、年間では約23万円もの家計の出費を縮小させることに成功したのです。

月々節約額 13,083円
総節約額 472万円
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