住宅ローンの繰り上げ返済するベストなタイミングは?

住宅ローンの返済が始まったときは、早く完済したいと誰しも考えたでしょう。早く完済するためには繰り上げ返済をする必要があります。また、繰り上げ返済をするためには、そのための資金を貯めなくてはなりません。せっかく貯めた資金を有効的に繰り上げ返済に充てたいものです。
繰り上げ返済の最大の魅力は利息の節減です。しかし、低空飛行を見せる金利推移の中で繰り上げ返済するベストなタイミングはいつなのか、考えていきます。

住宅ローン見直しの基礎知識

江﨑真奈美,1級ファイナンシャル・プランニング技能士

江﨑真奈美 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、会計事務所に勤務し、巡回監査業務に従事。その後、社会福祉法人をはじめ、地元の上場企業などで長年経理業務を担当。勤務していた事務所の閉鎖に不安を感じ、これをきっかけとして2016年に最短1年で1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得する。FPとして独立し、執筆、講師業を中心に精力的に活動中。
【企画・編集/SAKU株式会社】

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住宅ローンの返済開始から10年以内がベスト

繰り上げ返済は、早く実行した方が有利といえます。しかも、返済が開始してから10年以内がベストです。
繰り上げ返済をすると返済した資金は借り入れした「元金部分」に充当されます。したがって、本来支払う予定だった元金に対してかかる利息を減らすことができます。つまり、繰り上げ返済の資金は、その金額が大きいほど、さらに実行する時期が早いほど総返済額を軽減する効果は高くなります。

住宅ローンの返済から10年後と30年後で比較

繰り上げ返済を実行する時期の違いで、返済額にどのくらいの違いが出てくるものでしょうか?
同じ条件で10年後に繰り上げ返済する場合と、30年後に繰り上げ返済する場合の総返済額と軽減できる利息を比較してみます。比較にあたっては、繰り上げ返済額を100万円、返済の方法は期間短縮型という設定で試算します。

●繰り上げ返済時期の比較
条件:当初借入額3,000万円
金利2.0%(固定金利)
返済方法(元利均等)
返済期間35年
繰り上げ返済前の総支払額41,738,760円

繰り上げ返済する時期 利息軽減効果 総返済額
返済開始から10年 613,071円 41,125,689円
返済開始から30年 95,654円 41,643,106円

※三井住友銀行サイト「一部繰上返済シミュレーション」より試算

同じ100万円の繰り上げ返済でも10年後に行うのと30年後に行うのとでは、軽減できる利息効果は、50万円以上もの差が出るうえに、返済期間も1年4か月も短縮されます。
このように、繰り上げ返済は借り入れしてから早い時期に行う方が有利です。もし、手持ち資金に余裕があるならローン期間の前半、とくに10年以内が繰り上げ返済するベストなタイミングといえるでしょう。今回は固定金利で比較していますが、仮に変動金利で返済中の場合でも繰り上げ返済は早い時期に行う方が有利といえます。

ただし、繰り上げ返済をする場合には、以下の様な注意点があります。

住宅ローンの繰り上げ返済の方法は2つ

繰り上げ返済は、メリットばかりではありません。
それは、住宅ローン控除を受けている場合には必ずしも繰り上げ返済することがお得とはいえないケースがあるからです。
住宅ローン控除は、控除期間である10年間は、ローン残高に対して1%が毎年の所得税から税額控除(その年に納める所得税額が上限)を受けられるという制度です。したがって、ローン残高が大きければ住宅ローン控除による恩恵も大きくなります。そこで、繰り上げ返済によって、借入れ総額が減れば当然控除される金額も減ってしまいます。

また、特に注意したい点が、繰り上げ返済をしてローン返済期間が10年未満になってしまうケースです。
繰り上げ返済には2通りの方法があります。

●総支払利息を減らしたい、または、完済時期を早めたい…「期間短縮型」
●毎月の返済負担を軽減したい…「返済額軽減型」

仮に、「期間短縮型」で繰り上げ返済し、返済期間が当初の借り入れから通算して返済期間が10年未満となってしまう場合は、それまで受けていた住宅ローン控除が受けられなくなります。住宅ローン控除の恩恵をがっちり10年間受けたいならば、繰り上げ返済は11年目以降にするというのも1つの考え方です。

住宅ローンの繰り上げ返済で後悔しないために

繰り上げ返済にかかる手数料は、フラット35では無料ですが、そのほかの金融機関では手数料がかかる場合があります。
手数料が無料でない場合は、何度も繰り上げ返済を実行すると、その都度手数料が発生してしまいます。
長い返済期間のうえで、まとまったお金が必要になるときもあるでしょう。これから教育資金が必要な世代では、むやみに繰り上げ返済して手元の資金を減らすより、本当に必要なときに備え、手元に資金を置いておくことも大切です。低金利では慌てて返済せず、万一の場合には団体信用生命保険の保障があると考えることもできます。

繰り上げ返済は、メリット・デメリットをよく理解した上で、それぞれの置かれた状況や今後の生活設計に合ったタイミングを考えることが大切です。

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