おさえたい住宅ローンの借り換え時の注意点

昨年の大きなニュースでもあったマイナス金利導入の影響で住宅ローンの借り換えの需要が拡大しました。特に固定金利の低下幅が大きいため長期の固定金利への借り換えが注目されています。マイナス金利導入直後と比較すると少し一服した感がありますが、まだまだ借り換えへの関心は高いといえます。
そこで、借り換えをする時の注意点についてお伝えします。

住宅ローン見直しの基礎知識

江﨑真奈美 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

江﨑真奈美 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、会計事務所に勤務し、巡回監査業務に従事。その後、社会福祉法人をはじめ、地元の上場企業などで長年経理業務を担当。勤務していた事務所の閉鎖に不安を感じ、これをきっかけとして2016年に最短1年で1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得する。FPとして独立し、執筆、講師業を中心に精力的に活動中。
【企画・編集/SAKU株式会社】

住宅ローンの借り換えも審査が必要

住宅ローンの借り換えをする時は新規で借り入れする時と同様に審査があります。新規の借り入れと異なる点は、借り換え先の審査に通った場合、現在借り入れしている金融機関等に連絡して借入金の全額返済の手続きをしなければならないことです。

●住宅ローンの借り換え審査の流れ
借り換えの審査には、まず仮審査が行われます。具体的な審査の流れは次のようになります。

住宅ローンの借り換え審査の流れ

●住宅ローンの借り換え審査で注意すること
借り換え審査を申し込む際には次の点に気をつけましょう。

・財形住宅融資などの公的住宅ローンへ借り換えはできない
・借り換え申請時に健康状態が悪化していると、借り入れ条件である団体信用生命保険に加入ができないため、借り換えができない場合がある
・車のローンや教育ローンなど他のローンの借り入れにより返済負担率(※)が増えている場合も借り換えの審査が通りにくいケースがある

※返済負担率とは年収に占める住宅ローン返済額の割合です。各金融機関では融資の条件として返済負担率の上限を定めています。フラット35では、返済負担率が年収400万円未満の場合30%以下、400万円以上で35%以下という基準があります。

返済負担率が上限以下でも今後の生活に支障が出そうな場合は注意が必要です。

住宅ローンの借り換え時にも諸費用がかかる

借り換えでは審査だけでなく新規の借り入れ同様に諸費用がかかります。総返済額を減らすために借り換えを行う場合、諸費用の金額によっては思ったほど総返済額が軽減されず、逆に増えてしまうケースがあります。金融機関等に提示されている金利だけでなく諸費用も含んだ実質金利で借り入れ後の総返済額の軽減効果をシミュレーションする必要があります。
諸費用の中で負担が大きいのが保証料、事務手数料、団体信用生命保険料です。
保証料については、ネット銀行では無料とするところが多く、事務手数料については、3大メガバンクでは32,400円としていて、ネット銀行は借入金額に対しての率2.16%を採用しているところが多いようです。

【民間金融機関の保証料・手数料】

銀行名 保証料 融資事務手数料
外枠方式 内枠方式
借入金額1,000万円、借入期間35年、元利均等返済の場合
みずほ銀行 206,110円~721,470円 金利に年率0.2%上乗せ 32,400円
三菱東京UFJ銀行 206,100円 金利に年率0.2%上乗せ 32,400円
三井住友銀行 206,200円~824,370円 金利に年率
0.2~年0.8%上乗せ
32,400円
住信SBIネット銀行 ナシ 借入金額の2.16%
イオン銀行 ナシ ・定額型108,000円
・定率型借入金額の2.16%

※各金融機関のHPで公開されている資料より作成
※融資事務手数料は別途、印紙代、登記費用等の実費がかかります。

団体信用生命保険料については、民間の金融機関では無料にしているところが多く、フラット35では加入は任意です。団体信用生命保険料の目安としては、借入金1,000万円あたり初年度35,800円となっています。(返済期間40年未満、元利均等返済の場合)

諸費用にかかる金額によっては、借り換え前より総返済額が増えてしまうケースもあるので、注意が必要です。

住宅ローンの借り換えの目的をはっきりさせる

住宅金融支援機構の『2015年度民間住宅ローン借換の実態調査』によると、住宅ローンの借り換え理由のうち「金利が低くなるから」と「返済額が少なくなるから」が50%以上を超えています。
この結果から住宅ローンの借り換えの目的を返済額の減少としている人が多いことが分かります。

一方、同調査の『借換による適用金利の変化』の結果においては「借換によって金利が低下した」は全体の92.1%でしたが、注目すべき点は、「高くなった」(3.6%)、「全く変わらなかった」(4.3%)という人たちがいることです。

この結果を受けて考えられるのは、住宅ローンの借り換えにより返済額が減らなくても、固定金利で金利上昇リスクのない返済をしたいと思っている人がマイナス金利導入前にも関わらず一定数いたということです。変動金利から固定金利への変更により多少返済額が増えても今後の金利上昇を気にせず、安心した生活設計ができるようになります。

住宅ローンの借り換えを行う時には総返済額を減らしたいのか、金利上昇リスクをおさえたいのかなど、目的に沿って今後の生活に影響のないように返済計画を立てることが重要です。

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