進化している、住宅ローンの団体信用生命保険(団信)と特約のなかみ

住宅ローンの返済は長期に渡るもの。住宅ローンの返済中に万が一のことがあったら、住宅ローンが返せなくなってしまうかもしれません。そんな不安に備えることができるのが「団体信用生命保険」で、団信と略すこともあります。今回は、団体信用生命保険の基本とその特約についてお伝えします。

住宅ローンの基礎知識

江原さとみ ファイナンシャル・プランナー

江原さとみ ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー、FPオフィスなでしこ代表(http://www.fp-nadesiko.com/)。SEとして働きながらFP資格を取得。その後の証券会社や生・損保代理店での勤務経験を活かし、セミナーや執筆、個人相談など積極的に活動している。「お金の話を身近に、わかりやすく」がモットー。
【企画・編集/SAKU株式会社】

住宅ローンには欠かせない? 団体信用生命保険とは?

住宅ローン返済中の万が一に備えることができるのが団体信用生命保険。住宅ローン返済中に契約者(団体信用生命保険の被保険者)が亡くなってしまった時や高度障害になった時に、その住宅ローン残債が保障されている生命保険です。そのため、住宅ローン契約者に万が一のことがあった後、残された家族には住宅ローン返済の負担が無くなるという大きな特徴があります。
銀行などの金融機関で借りる住宅ローンは、団体信用生命保険の加入が必須(フラット35は任意)となっていて、その保険料は金利に含まれていることが一般的です。
つまり、団体信用生命保険の加入が必須ということは、団体信用生命保険に加入できないと住宅ローンの借入れができないということ。団体信用生命保険はあくまで「生命保険」です。団体信用生命保険の契約時点で、病気で服用中というような健康状態だと団体信用生命保険に加入できない可能性が高く、加入できなければ金融機関で住宅ローンを借りることができなくなるので注意が必要です。
なお、健康状態に不安があるような方には、通常の団体信用生命保険に代わる「ワイド団信」があります。ワイド団信は通常の団信に比べて引き受けの範囲を広く設定していて、通常の団体信用生命保険では加入できなかったとしても加入できる可能性があります。その分ワイド団信は通常の団体信用生命保険に比べて金利が高くなりますが、住宅ローンの借入れの可能性を広げることにもなりますので、健康状態に不安がある方は銀行などの金融機関に事前に相談してみましょう。

フラット35は団体信用生命保険(団信)の加入が任意

住宅金融支援機構のフラット35は、団体信用生命保険の加入は任意です。つまり、団体信用生命保険に加入しなくても、住宅ローンの借入れが可能です。なお、フラット35の利用者用の団体信用生命保険もあり、別途保険料が必要となります。そのため、フラット35での借入れを検討する場合は、支払う利息分の金額の他に団体信用生命保険の保険料も考慮に入れることが必要です。
また、フラット35での借入れは団体信用生命保険の加入の必要がないので、住宅ローンの残債分を一般の生命保険である定期保険に加入することで代用できます。また、一般の生命保険では「健康体である」「煙草を吸わない」などの条件が合えば保険料を低くできる保険もあります。フラット35での借入れの検討時には住宅金融支援機構の団体信用生命保険に加入するか、生命保険で代用するのかも合わせて考えるのもおすすめです。

住宅ローン返済中の様々なリスクに備える団体信用生命保険の特約

一般的な団体信用生命保険は、死亡時または高度障害になった場合に住宅ローンの残債が保障されるというものですが、近年は特約によって様々なリスクに対応するものも増えています。
例えば、住宅金融支援機構では「がん・急性心筋梗塞・脳卒中」といった3大疾病が原因で一定の要件に該当した場合に、住宅ローンの残債が保障される、3大疾病付機構団信があります。
また、金融機関の住宅ローンにも3大疾病や7大疾病、8大疾病に対応する団信があります。3大疾病は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の3つの疾病が対象となることが一般的ですが、7大疾病や8大疾病については取り扱う金融機関によって対象となる疾病にバリエーションがあります。
3大疾病や7大疾病、8大疾病といった特約はその保障の範囲が広くなります。そのため、通常の団体信用生命保険よりも住宅金融機構の団体信用生命保険では保険料が高くなり、銀行などの金融機関では住宅ローンの金利が高くなります。また、通常の団体信用生命保険にするのか、特約で保障の範囲を広げるのかは予算やどこまでを団体信用生命保険で備えるのかなどを考慮して選択しましょう。

団体信用生命保険に加入したら生命保険の見直しタイミング

団体信用生命保険に加入すると万が一の場合に住宅ローンの返済が無くなります。ということは、生活費の中から住宅ローン返済費用が無くなるということ。今まで加入していた生命保険の必要保障額が少なくなるということにもなります。住宅購入のタイミング、団体信用生命保険の加入のタイミングは生命保険を見直すタイミングの1つです。

団体信用生命保険の概要とその特約についてお伝えしました。金融機関によって、住宅ローン返済中の様々なリスクに対応できる特約が作られています。もし、団体信用生命保険に広い保障を望むならばそういった特約を備えた住宅ローンを取り扱っている金融機関を選ぶということも住宅ローンを選択する基準の1つです。

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