住宅ローン固定金利の選択

ご自分のライフステージ・ライフイベントを認識して支出のピークをシミュレーションしてみましょう。

住宅ローンの金利

丸尾 健

丸尾 健 株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング 代表執行役

大学卒業後、建築関連の仕事を経て大手商社系の中高級住宅を扱うハウスメーカーに入社。在籍期間9年のうち5年は店長職を兼務。MVP賞3回。その後、大手金融機関のファイナンシャル・プランニング部門に転職。FP先進国の米国のファイナンシャルプランニングメソッドトレーニングを受講。2009年9月に独立して、株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティングを設立。FP経験現在9年目。新規年間相談件数120件前後、面談累計件数1,000件以上。主に個別面談を中心に活動している、実務家FP。ライフプラン全体を通してのマネープランの作成、資産形成アドバイスに提案に定評がある。
【得意分野】ライフプラン・不動産購入・住宅ローン・資産形成・保険・相続相談

アベノミクス時代では固定がいいのか変動がいいのか

ここ最近の経済ニュースで、いわゆる「アベノミクス」効果に関連して、住宅ローンや金利についての話題を目にすることが多いのではないでしょうか。

いま長期金利は乱高下しています。実際には、乱高下しながら少しずつ上昇しているという状況です。長期金利があがると住宅ローンの固定金利があがるので、ニュースになっています。

現在住宅ローンを変動で借りていて、将来は固定に切り替えようと考えていた人にとっては、切り替える予定の固定金利が上昇しているわけです。このままだと切り替えが出来なくなってしまうのじゃないかという焦りを生みます。このように、現在住宅ローンを借りている人にとって心配になるようなニュースが連日報道されています。

日銀が大胆な金融緩和を進めるにあたり、最初は長期金利を上昇させないように国債を買い上げていくはずでした。好景気になってから金利が上昇していくのが理想で、好景気になる前に金利だけ上昇しても負担が大きくなるからです。景気が上向きとなって、徐々に所得もあがり、長期金利もあがり変動もあがり、となっていくのが健全な成長です。

しかしニュースでもご存知のとおり、市場ではアベノミクスへの期待で円安が進み、国債を売って株を買う動きが進んだことで、国債利回りは上昇。長期金利も乱高下しています。

この局面で固定がいいのか変動がいいのか、というのは一概に言えないところです。冒頭に書いたように「10年固定に切り替えるチャンス」とは言い切れないのです。それは、当事者がどういうライフステージにいるのかに拠るからです。

ライフステージ別で支出のピークを認識する

例えば、4人家族の例で考えてみます。お父さんが40歳、お母さんが35歳、お子さんが10歳と8歳であるとします。この家族では変動で借りていて残り30年であるとします。そうするとローン完済時にお父さんは70歳です。

人生においてお金のかかる時期を考える際、お子さんの年齢は重要な指標となります。この家族の例では、お子さん二人が大学生となる10年後から15年後が教育費のピークとなります。もし高校生を私立に行かせるのであれば、ピークはもっと早くやってきます。

人生の支出のピークは住宅ローンと教育費が重なる時期です。教育費負担が重たい時期に借りている住宅ローンの変動金利が上昇してしまうと、貯金を取り崩して間に合えばいいのですが、足りなくなってしまうとローンが返済できなくなってしまうことも考えられます。

そう考えると、支出のピークが終わるまでの15年間を固定15年に切り替えるという選択肢が合理的ではないでしょうか? また教育費のピークが終わった15年後からは、それまでの教育費ぶんを繰上げ返済にまわせます。70歳で終わるローンを5年くらい早めて完済できるかもしれません。

別のケースで考えると、お父さんが50歳でお子さんが10歳という家族であれば、また違うシミュレーションとなります。老後の資金をためたい時期に教育費のピークもやってきます。
老後資金はどの時期に準備するべきでしょうか?またお子さんが1歳だったらどうでしょう?この場合なら安全に25年固定にしたほうがよいかもしれません。

金利の上昇は、住宅ローンを借りている人にとって負担になるのは間違いありません。借り換えたほうがいいのか、借り換える必要がないのか。借り換えるのであれば、どういう方法がいいのかは、ニュースからでは一概にわかりません。

家族のライフステージにより、何年固定がいいのか、変動がいいのかは変化します。大切なのは、長期金利についてのニュースの表層的な部分に不安になるのではなく、ご自分のライフステージ・ライフイベントを認識してシミュレーションしてみることではないでしょうか。

もちろん、いま借りている住宅ローンを同じ条件で借り換えることでメリットが出るのか出ないのかは、計算すればわかります。また、新規で長期固定ローンを予定している人にとっては、今がラストチャンスである可能性はあります。歴史的にみて長期金利が非常に低い水準であることは確かで、ここから長期金利が上昇していくことが予想されているためです。

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