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金利団信総支払額など重要ポイントを徹底比較

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(2025年12月最新金利)借入金額ごとの総支払額比較ランキング【新規借入】 借り換えはこちら

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このページでは、各金融機関での借入予定金額に対する、金利(金利タイプごと)・手数料・無料団信などを含む条件で、完済までの総支払金額がいくらになるのかを、返済額が少ない順にランキングを表示しています。
一部、おすすめ人気商品に選定されている商品が、団信の保障を選択して個別で総支払額試算が出来るようになっています。
総支払金額は、実質の金利とも言われており、非常に重要な指標となりますので、ベスト住宅ローンの選択に活用して下さい。

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■ 掲載商品の注意事項
※住信SBIネット銀行、SBIマネープラザ(所属銀行:住信SBIネット銀行)の表示金利は物件価格80%以内でお借入れの場合の金利です。審査結果によっては、表示金利に年0.1%~0.3%(SBIマネープラザは年0.1%~0.55%)上乗せとなる場合があります。借入期間を35年超~40年以内でお借入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.07%、借入期間40年超~50年以内でお借入れいただく場合は年0.15%が上乗せとなります。
※auじぶん銀行は変動金利は全期間引下げプラン(新規借入)、固定金利は当初期間引下げプランです。新規借入れは物件価格の80%以下で借入れの場合、物件価格の80%超でお借入れの場合の金利です。審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます。審査の結果、保証会社をご利用いただく場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されますが、別途お支払いいただく保証料はございません。※住宅ローン金利優遇割を最大適用した金利です。J:COM NET優遇割、J:COM TV優遇割、コミュファ光優遇割は適用条件充足後、3ヶ月後から適用開始となります。
※りそな銀行/埼玉りそな銀行の表示金利は金利最大引下時の場合です。
※三菱UFJ銀行の適用金利や引下幅は、お申込内容や審査結果等により決定いたします。

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住宅ローン金利ランキング (12月最新)

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目次
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金利一覧(2025年12月最新)

このセクションでは、最新の住宅ローン金利を一覧表で比較できます。タブを切り替えることで、変動金利、固定10年、固定20年、固定35年、フラット35の各金利タイプをご確認いただけます。各銀行の金融機関名、商品名、適用金利を掲載しており、住宅ローン選びの参考にしていただけます。
※こちらの一覧では各金利タイプ上位10位までを表示しています。11位以降の詳しい金利情報や、より詳細な比較をご覧になりたい方は、各金利タイプ別の金利ランキングページ(変動金利固定10年固定20年固定35年フラット35)をご覧ください。

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ネット銀行 vs メガバンク vs 地方銀行|それぞれの強みと選び方

住宅ローンを提供する金融機関は、大きく分けて「ネット銀行」「メガバンク」「地方銀行」の3つに分類されます。それぞれに強みと弱みがありますので、ご自身の優先順位に合わせて選ぶことが重要です。

ネット銀行

強み
  • 金利が低い(店舗コストがない分、金利に還元)
  • 手続きがオンラインで完結(来店不要)
  • 繰上返済手数料が無料(回数制限なし)
  • 団信の保障内容が充実(がん50%保障や全疾病保障が無料付帯)
弱み
  • 対面相談ができない(電話やメールのみ)
  • 審査基準が比較的厳しい(特に自営業者)
  • 書類のやり取りがオンラインのため、不慣れな方には難しい
  • 紙の通帳がない(ペーパーレス)
向いている人
  • インターネット操作に慣れている方
  • 低金利を最優先する方
  • 会社員で収入が安定している方
  • 自分で調べて判断できる方

代表的なネット銀行: auじぶん銀行、PayPay銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行、楽天銀行など

メガバンク

強み
  • 対面相談ができる(専門スタッフが丁寧に説明)
  • ブランドの安心感(長年の実績と信頼)
  • 総合的な金融サービスが受けられる(給与振込、投資信託、相続相談など)
  • 店舗数が多い(全国どこでも相談可能)
  • 審査ノウハウが豊富(複雑なケースにも対応)
弱み
  • 金利がネット銀行より高め
  • 保証料が必要な場合が多い
  • 繰上返済手数料がかかる場合がある(窓口利用時)
  • 手続きに時間がかかる(来店が必要)
向いている人
  • 対面で相談したい方
  • 住宅ローンが初めての方
  • 給与振込などで既に取引がある方
  • 自営業や複雑な収入構造の方

代表的なメガバンク: 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行

地方銀行

強み
  • 地域密着型のサポート(地元の不動産事情に詳しい)
  • 給与振込先として利用していると優遇が大きい
  • 柔軟な対応が期待できる(審査基準など)
  • 地元企業との提携商品がある場合も
弱み
  • 金利はネット銀行より高め、メガバンクと同程度
  • 店舗が地域限定(引越しがあると不便)
  • オンライン手続きがメガバンクより劣る場合も
向いている人
  • 地元で長く暮らす予定の方
  • 既に給与振込などで取引がある方
  • 地域の不動産情報に詳しい銀行を選びたい方

全国銀行協会の銀行一覧では、全国の地方銀行の情報を確認できます。

選び方のポイント

  • 金利を最優先するなら → ネット銀行
  • 対面相談を重視するなら → メガバンクまたは地方銀行
  • 既存の取引を活かしたいなら → 現在給与振込をしている銀行
  • 総合的なサービスを求めるなら → メガバンク
  • 地域密着を重視するなら → 地方銀行

実際には、複数のタイプの金融機関で仮審査を受けて、金利や条件を比較することをおすすめします。仮審査は複数受けても問題ありませんので、ネット銀行2行、メガバンク1行、地方銀行1行といった形で、合計4~5行で仮審査を受けて比較するのが賢い選び方です。

22026年の住宅ローン金利はどうなる?専門家の予測と今後の見通し

「これから住宅ローン金利はどう動くのか?」「専門家はどのような見通しを持っているのか?」住宅購入を検討中の方にとって、将来の金利動向は最も気になるポイントではないでしょうか。このセクションでは、2025年12月時点の最新金利動向に加え、エコノミストや研究機関などの専門家による2026年にかけての金利予測を詳しく解説します。

専門家のデータに基づいた予測を知ることで、根拠のある判断ができるようになります。「今は借り時なのか、それとも待つべきなのか」という疑問を解消し、ご自身にとって最適なタイミングを見極めるための判断材料としてお役立てください。

2025年12月時点の金利水準|変動・固定・フラット35の最新相場

2025年12月現在、住宅ローン金利は金利タイプによって大きく異なる状況となっています。まず、最も多くの方が選ばれている変動金利から見ていきましょう。

変動金利は、主要なネット銀行で最も低い水準となっており、日銀の金融政策正常化の影響を受けながらも、依然として低金利水準が続いています。例えば、auじぶん銀行やPayPay銀行、住信SBIネット銀行などのネット銀行では、審査結果や取引条件によって低い金利から適用される商品もございます。メガバンクにおいても、給与振込や口座利用などの優遇条件を満たすことで、より低い金利での借入が可能となっています。変動金利は短期プライムレートに連動しており、日銀の政策金利の動向に大きく影響を受けます。ただし、日銀の政策金利の動向により、今後も緩やかな上昇傾向が続く可能性があります。

次に、当初10年固定金利についてですが、こちらは変動金利よりも高めの水準となっています。ネット銀行とメガバンクでは金利水準に差があり、長期金利(10年国債利回り)の上昇に伴い、全体的に上昇傾向にあります。10年固定金利は、当初10年間の金利を固定することで返済計画の安定性を確保しつつ、全期間固定よりも低い金利で借入できることが特徴です。長期金利(10年国債利回り)の動向に連動して変動するため、市場環境によって金利幅が異なります。金融機関によって金利幅がありますので、複数の銀行で比較検討されることをおすすめいたします。

そして、フラット35の金利情報を見ますと、フラット35の最新金利情報によると、融資率9割以下・借入期間21年以上35年以下の最頻金利が設定されています。フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利住宅ローンです。完済まで金利が変わらないため、将来の金利上昇リスクを回避したい方に適した商品となっています。長期金利の動向に応じて、月次で金利が更新されるため、最新の情報を確認することが重要です。

これらの金利水準を見ますと、変動金利が最も低く、固定期間が長くなるほど金利が高くなる傾向にあることがお分かりいただけるでしょうか。これは、金融機関が長期間の金利変動リスクを負うことへの対価として、金利を高めに設定しているためです。また、日銀の金融政策正常化により、全体的に金利が上昇傾向にあることも押さえておく必要があります。特に固定金利を中心に上昇傾向が見られ、変動金利は据え置かれているものの、今後の金融政策次第では変動する可能性も考えられます。ご自身の返済計画やリスク許容度に応じて、最適な金利タイプをお選びいただくことが大切です。

2026年 専門家の金利予測(変動金利)

公益社団法人日本経済研究センターが毎月公表しているエコノミスト約40名を対象に実施した「ESPフォーキャスト調査/最新版(2025年11月調査、中央値)」によると、変動金利のベースとなる政策金利は現在の0.5%から2026年12月末までに、1.0%~1.1%まで上昇する予測となっておりそれに連動して変動金利の金利上昇が見込まれます。みずほ銀行の現在の変動金利の最優遇金利(ローン取扱手数料型)は年0.775%ですが、政策金利の上昇幅を勘案すると2026年12月には年1.275%~1.550%まで上昇する可能性があります。

【政策金利】
時期 摘要 政策金利 みずほ銀行
2016年1月 マイナス金利導入 ▲0.1%
2024年3月 マイナス金利解除 0%~0.1% 0.375%
2024年7月 利上げ 0.25% 0.375%
2025年1月 利上げ 0.50% 0.525%
2025年10月 据え置き 0.50% 0.775%
2025年12月 据え置きor利上げ 0.50%~0.60% 0.775%~0.925%
2026年6月 利上げ 0.70%~0.80% 0.925%~1.275%
2026年12月 利上げ 1.00%~1.10% 1.275%~1.550%

※青色の行は予測値です

参考までにAI(ChatGPT・Gemini)へ2026年6月と12月時点の政策金利の予想を聞いた所、2026年6月は同じような数字になりましたが、2026年12月はまだ1年以上先ということと様々な意見を取り入れているためか1.0%~1.5%と幅の広い予想でした。

時期 ChatGPT Gemini
2026年6月 0.75~1.00%程度 0.75~1.00%程度
2026年12月 1.00~1.50%程度 1.00~1.25%程度

※青色の行は予測値です

2026年 専門家の金利予測(固定金利)

ニッセイ基礎研究所が2025年11月18日に発表した「2025年~2027年経済見通し」によると固定金利のベースとなる10年国債利回りは、現在の1.6%から2026年10月~12月までに1.8%、2027年10月~12月までに1.9%まで上昇する見込みとなっており、それに応じて固定金利の上昇が見込まれます。フラット35の現在の金利は約2%ですが、2026年10月~12月には2.157%、2027年10月~12月には2.277%まで上がる可能性があります。

【10年国債利回り】
時期 長期金利 フラット35
2022年4月 0.226% 1.700%
2023年4月 0.422% 1.900%
2024年4月 0.765% 1.930%
2025年4月 1.511% 2.050%
2025年10月 1.669% 2.000%
2025年10月~12月 1.700% 2.037%
2026年4月~6月 1.800% 2.157%
2026年10月~12月 1.800% 2.157%
2027年4月~6月 1.900% 2.277%
2027年10月~12月 1.900% 2.277%
2028年1月~3月 2.000% 2.397%

※青色の行は予測値です

AI(ChatGPT・Gemini)の2026年6月と12月時点の10年国債利回りの予想です。政策金利と同様に2026年6月はニッセイ基礎研究所の予想の範囲内で2026年12月は2.0%~2.5%の予想でした。

時期 ChatGPT Gemini
2026年6月 1.5%~2.0% 1.3%~1.8%
2026年12月 2.0%~2.5% 1.5%~2.0%

※青色の行は予測値です

今は借り時?待つべき?|金利上昇局面での判断基準

「金利が上がりそうなら、今すぐ借りた方がいいのか?」「もう少し待てば金利が下がるかもしれない」このような悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。結論から申し上げますと、金利だけで判断するのではなく、複数の要素を総合的に考える必要があります。

まず考えるべきは、金利上昇リスクと物件価格上昇リスクのバランスです。国土交通省の不動産価格指数を見ますと、都市部を中心に住宅価格は上昇傾向が続いています。金利が0.1%上昇するのを待っている間に、物件価格が1%上昇してしまったら、結果的に総支払額は増えてしまうことになります。

具体的な数字で見てみましょう。3,500万円の物件を35年ローン・金利0.5%で借りた場合、月返済額は約90,483円、総支払額は約3,800万円となります。一方、半年待って物件価格が3,600万円(約3%上昇)になり、金利が0.6%になった場合、月返済額は約93,554円、総支払額は約3,929万円となります。つまり、物件価格の上昇によって、総支払額が129万円も増えてしまう計算になるのです。

次に考えるべきは、ご自身のライフプランとの整合性です。お子様の入学時期、転勤の可能性、親の介護といった家族の事情は、金利動向よりも優先されるべき要因です。「今が買い時」というのは、金利や物件価格だけでなく、ご家族のライフステージによって決まるものだと言えるでしょう。

また、借入後の返済能力も重要な判断材料です。変動金利で借りる場合、今後金利が1%上昇したとしても、返済を続けられる余力があるかどうかを必ず確認しておきましょう。住宅ローンは、年収に対する返済額の割合(返済負担率)を25%以内に抑えることが推奨されています。

判断基準をまとめますと、以下のようなチェックリストで考えてみてください。

  • ①金利が0.5%上昇しても返済を続けられる余力があるか
  • ②現在の物件価格が適正かどうか(バブル的な過熱がないか)
  • ③ご家族のライフプランと合致しているか
  • ④頭金や諸費用を含めた十分な資金準備ができているか

これらの条件が整っているのであれば、金利動向に関わらず、「今が借り時」だと判断してよいでしょう。逆に、これらの条件が整っていない場合は、もう少し準備期間を設けることも賢明な選択です。住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つですから、焦らず慎重に判断されることをおすすめいたします。

3住宅ローン金利推移【新規借入】

過去5年間の主要金融機関の金利推移を確認できます。金融機関を選択して、金利の動向を比較してみましょう。

住宅ローン金利は常に変動しており、過去の推移を知ることで、現在の金利が「高いのか低いのか」「上昇傾向なのか下降傾向なのか」を判断することができます。このセクションでは、過去5年間の主要金融機関の金利推移をグラフで確認できます。

【金利推移チャートを見る際の3つのポイント】

①金利の変動幅を確認する
各銀行の金利がどの程度変動しているかを確認しましょう。変動幅が大きい銀行は市場金利の影響を受けやすく、小さい銀行は比較的安定した金利を提供している傾向があります。特に変動金利を検討している方は、過去の変動幅から今後のリスクを予測することができます。

②現在のトレンドを把握する
直近1~2年の金利の動きに注目してください。上昇傾向にあるのか、横ばいなのか、下降傾向なのかを確認することで、今後の金利動向を予測する材料になります。2024年以降、日銀の金融政策正常化に伴い、多くの銀行で金利が緩やかに上昇している傾向が見られます。

③銀行間の金利差を比較する
同じ時期でも、銀行によって金利に差があることがわかります。ネット銀行とメガバンクでは0.1~0.3%程度の差があることが一般的です。この差は、35年間で数十万円から100万円以上の総返済額の違いにつながります。複数の銀行を比較して、最も有利な条件の銀行を見つけましょう。

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4住宅ローン金利の仕組み|変動金利と固定金利はなぜ違うのか?

住宅ローンを選ぶ際、「なぜ変動金利と固定金利で金利が違うの?」「金利はどうやって決まっているの?」という疑問を持たれる方は多いのではないでしょうか。金利の決まり方を理解することで、ご自身に合った金利タイプを選びやすくなります。

このセクションでは、変動金利、固定金利、フラット35それぞれの金利がどのように決定されているのか、また店頭金利と優遇金利の違いについて、分かりやすくご説明していきます。金利の仕組みを理解することで、金融機関の提示する金利条件を正しく評価できるようになります。

変動金利の決まり方|短期プライムレートとの関係

変動金利は、「短期プライムレート」という基準金利に連動して決まる仕組みとなっています。短期プライムレートとは、銀行が優良企業に対して短期(1年以内)で貸し出す際の最優遇金利のことです。では、この短期プライムレートは何によって決まるのでしょうか。

短期プライムレートは、日本銀行の政策金利の影響を強く受けます。日銀が政策金利を引き上げると、銀行の資金調達コストが上昇するため、短期プライムレートも上昇する傾向にあります。そして、短期プライムレートが上昇すれば、それに連動して変動金利の住宅ローン金利も上昇していくという流れになっているのです。

変動金利の特徴として、金利の見直しが半年ごとに行われることが一般的です。多くの金融機関では、4月1日と10月1日に短期プライムレートの水準を確認し、住宅ローンの適用金利を見直します。ただし、金利が変わったからといって、すぐに返済額が変わるわけではありません。ここで重要になるのが「5年ルール」と「125%ルール」です。

5年ルール

金利が上昇しても、返済額は5年間据え置かれるというルールです。つまり、金利が上がった場合でも、当面の返済額は変わらず、元金と利息の内訳が調整されることになります。

125%ルール

5年後に返済額を見直す際も、それまでの返済額の125%までしか増額できないというルールです。例えば、月10万円の返済だった場合、次の見直し時には最大でも12万5千円までしか増えないということになります。

ただし、注意していただきたいのは、5年ルールや125%ルールを採用していない金融機関もあるということです。特にネット銀行の一部では、金利変動に応じて返済額が見直される商品もありますので、借入前に必ず確認しておくことが大切です。

変動金利のメリットは、何と言っても金利の低さにあります。リスクを取る分、低い金利で借りられるという仕組みになっているのです。今後の金利動向を注視しながら、必要に応じて繰上返済を活用していくことで、変動金利のメリットを最大限に活かすことができるでしょう。

固定金利の決まり方|10年国債利回りとの関係

変動金利が短期の金利指標に連動するのに対し、固定金利は長期の金利指標に影響を受けます。具体的には、10年国債利回りが重要な指標となっているのです。では、なぜ国債の利回りが住宅ローンの固定金利に影響するのでしょうか。

銀行は住宅ローンとして長期に資金を貸し出す際、その資金を調達するコストを考慮する必要があります。銀行にとって、10年国債は安全性の高い運用先であり、その利回りが長期資金の調達コストの目安となります。つまり、10年国債利回りが上昇すれば、銀行の資金調達コストも上がるため、固定金利の住宅ローン金利も上昇する傾向にあるのです。

10年国債利回りには、市場参加者の将来の金利見通しやインフレ期待が織り込まれています。例えば、今後日銀が追加の利上げを行うと市場が予想すれば、10年国債利回りは上昇します。また、物価上昇率が高まる見通しがあれば、実質的な資産価値の目減りを補うために、より高い利回りが求められるため、国債利回りも上昇するのです。

固定期間選択型(当初10年固定など)の住宅ローンも、基本的には同じ仕組みで金利が決まります。ただし、固定期間が終了した後の金利については、その時点での金利水準で再度選択することになります。当初10年固定で借りた場合、10年後には再び変動金利か固定金利かを選ぶことができますが、その際の金利は10年後の金利水準が適用されるため、現在よりも高くなる可能性があることに注意が必要です。

固定期間選択型を選ばれる際のポイントとしては、固定期間終了後の優遇幅がどうなるかを必ず確認しておくことです。金融機関によっては、固定期間終了後の優遇幅が小さくなる商品もありますので、長期的な返済計画を立てる上で重要な確認事項となります。

固定金利は、金利上昇リスクを金融機関が負担する分、変動金利よりも高めに設定されています。しかし、その分、返済計画が立てやすく、家計管理がしやすいというメリットがあります。ご自身のリスク許容度や返済計画に応じて、適切な固定期間を選んでいただくことが大切です。

フラット35の金利設定|民間ローンとの違い

フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利住宅ローンです。フラット35の金利は、民間銀行の固定金利とは少し異なる仕組みで決定されています。

フラット35の金利は、住宅金融支援機構が発行する「機構債」の利回りに、金融機関の事務経費や利益を上乗せして決定されます。機構債とは、住宅金融支援機構が投資家から資金を調達するために発行する債券のことです。この機構債の利回りは、10年国債利回りなどの長期金利の影響を受けますが、住宅ローン債権を裏付けとした証券化商品であるため、一般的な長期金利とは若干異なる動きをすることもあります。

フラット35の大きな特徴は、取扱金融機関によって金利が異なるという点です。フラット35は住宅金融支援機構が提供する商品ですが、実際の窓口となるのは各民間金融機関です。各金融機関は、自社の経費や利益を考慮して金利を設定するため、同じフラット35でも金融機関によって金利に差が生じるのです。

また、フラット35には「フラット35S」という金利優遇制度があります。これは、省エネルギー性や耐震性などに優れた住宅を取得する場合に、当初5年間または10年間、フラット35の金利から0.25%引き下げられる制度です。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの高性能住宅を購入される場合は、この優遇制度を活用することで、さらにお得に借入することができます。

フラット35と民間銀行の固定金利との大きな違いは、審査基準にもあります。民間銀行の住宅ローンでは、勤続年数や年収、他の借入状況などが厳しく審査されますが、フラット35は比較的審査基準が緩やかとされています。特に、自営業やフリーランスの方、勤続年数が短い方にとっては、フラット35の方が審査に通りやすい傾向があります。

ただし、フラット35にも注意点があります。融資率(物件価格に対する借入額の割合)が9割を超えると、金利が0.26%程度高くなる場合がありますので、可能であれば頭金を1割以上準備することをおすすめいたします。また、団体信用生命保険(団信)への加入が任意である点も民間ローンとは異なります。団信に加入しない場合は金利が約0.2%低くなりますが、万が一の際の保障がなくなるため、慎重に判断する必要があります。

フラット35は、完済まで金利が変わらないという安心感と、比較的審査が通りやすいという特徴から、多くの方に選ばれている商品です。長期的に安定した返済計画を立てたい方には、非常に適した選択肢だと言えるでしょう。

店頭金利と優遇金利|実際の適用金利はどう決まる?

住宅ローンの金利を調べていると、「店頭金利」と「優遇金利」という言葉を目にされることがあるかと思います。実際にお客様に適用される金利は、この2つの関係を理解することで明確になります。住宅本舗でも、この住宅ローン店頭金利と優遇金利幅の違いについて説明詳しく説明していますので、詳しく見ていきましょう。

店頭金利(基準金利とも呼ばれます)とは、各金融機関が公表している割引前の標準的な金利のことです。例えば、「変動金利の店頭金利は年2.475%」といった形で公表されています。しかし、実際にこの金利で借りる方はほとんどいらっしゃいません。なぜなら、多くの金融機関では、一定の条件を満たすことで金利を引き下げる「優遇」を提供しているからです。

優遇金利(引下げ金利)は、店頭金利から一定の幅を引き下げた後の金利のことを指します。例えば、店頭金利が2.475%で、優遇幅が2.0%の場合、実際の適用金利は0.475%となります。この優遇幅は、お客様の属性や取引内容、審査結果によって変わってきます。

優遇幅を大きくするための条件として、一般的には以下のようなものがあります。給与振込口座として利用すること、クレジットカードを作成すること、公共料金の引き落とし口座として利用すること、定期預金や投資信託などの金融商品を購入すること、などです。金融機関にとっては、住宅ローンだけでなく、様々な取引を通じて総合的な収益を確保したいという狙いがあるため、このような条件が設定されているのです。

また、優遇には「全期間優遇型」と「当初期間優遇型」の2つのタイプがあります。全期間優遇型は、借入期間中ずっと同じ優遇幅が適用されるタイプです。例えば、店頭金利から2.0%引下げという優遇が完済まで続きます。一方、当初期間優遇型は、借入当初の一定期間(3年、5年、10年など)だけ大きな優遇幅が適用され、その期間が終了すると優遇幅が小さくなるタイプです。

どちらの優遇タイプが有利かは、金利タイプや借入期間によって異なります。変動金利や短めの固定期間選択型であれば、全期間優遇型の方がトータルでの優遇額が大きくなる傾向があります。一方、長めの固定期間選択型であれば、当初期間優遇型の方が当初の返済額を抑えられるというメリットがあります。

重要なのは、広告やウェブサイトに掲載されている「最優遇金利」は、最も優遇幅が大きい場合の金利であり、全ての方に適用されるわけではないということです。実際にご自身に適用される金利は、仮審査や本審査を経て初めて確定します。したがって、複数の金融機関で仮審査を受けて、実際の適用金利を比較することが、最もお得な住宅ローンを見つける近道となります。

金利だけでなく、手数料や保証料、団信の内容なども含めた総合的なコストで比較することが大切です。一見金利が低く見えても、手数料が高ければトータルコストは高くなる場合もありますので、慎重に検討されることをおすすめいたします。

住宅本舗では、優遇金利と通常金利の両方を考慮したおすすめランキングを掲載しています。総合おすすめ順、通常金利おすすめ順、優遇金利おすすめ順の3つの視点から、ご自身に最適な住宅ローンを見つけることができます。

5【徹底比較】金利タイプ別のメリット・デメリット|返済額シミュレーション付き

住宅ローンを選ぶ際、最も重要な選択の一つが「金利タイプ」です。変動金利、固定金利、フラット35、そしてミックスローンと、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。「結局、どれを選べばいいの?」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

このセクションでは、各金利タイプの特徴を詳しく解説するとともに、具体的な返済シミュレーションをお示しします。ご自身のライフプランやリスク許容度に照らし合わせながら、最適な金利タイプを見つけていただければと思います。

変動金利のメリット・デメリット

変動金利は、住宅金融支援機構の『住宅ローン利用者調査』(2025年4月調査)によると、2024年10月から2025年3月までに住宅ローンを借り入れた新規借入者の約79.0%が選択されている最も人気のある金利タイプです。前回調査から1.6ポイント増加しており、変動金利型の選択率は上昇傾向にあります。では、なぜこれほど多くの方に選ばれているのでしょうか。

【変動金利のメリット】
最大のメリットは、何と言っても金利の低さです。主要なネット銀行では、他の金利タイプと比べて圧倒的に低い金利で借入することができます。この低金利がどれだけお得なのか、具体的な数字で見てみましょう。

例えば、3,500万円を35年で借入する場合、変動金利0.5%では月返済額が約90,483円、総利息額は約296万円となります。一方、全期間固定金利2.0%で借りた場合、月返済額は約115,941円、総利息額は約1,369万円です。つまり、変動金利の方が月々約25,000円、総額で約1,073万円もお得になる計算です。

また、変動金利は繰上返済がしやすいという利点もあります。多くのネット銀行では、一部繰上返済の手数料が無料となっており、余裕資金ができたときに柔軟に返済を進めることができます。金利が低い分、元金の減りも早いため、計画的に繰上返済を行うことで、さらに総返済額を抑えることが可能です。

さらに、万が一今後金利が下落した場合には、自動的にその恩恵を受けられるという点もメリットと言えるでしょう。固定金利で借りていた場合、金利が下がっても恩恵を受けるには借り換えが必要ですが、変動金利であれば追加の手続きなしで低い金利が適用されます。

【変動金利のデメリット】
一方で、変動金利には金利上昇リスクという大きなデメリットがあります。日銀の金融政策が変更され、政策金利が上昇すれば、それに連動して変動金利も上昇していきます。現在は低金利ですが、将来的に金利が大きく上昇する可能性もゼロではありません。

変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」という保護措置がありますが、これらは必ずしも借主に有利とは限りません。5年ルールによって返済額が据え置かれる間も金利は上昇し続けるため、利息の割合が増えて元金がなかなか減らなくなります。最悪の場合、「未払利息」が発生し、返済しているのに借入残高が減らないという事態にもなりかねません。

また、125%ルールがあっても、長期的には返済額は大きく増加する可能性があります。例えば、月10万円の返済が、5年後に12万5千円、さらに5年後に15万6千円(12万5千円の125%)と増えていく可能性があるのです。

さらに、変動金利は将来の返済額が確定しないため、長期的な返済計画が立てにくいというデメリットもあります。住宅購入後の教育費や老後資金の計画を立てる際に、返済額が変動する可能性があることを考慮しなければなりません。

金利上昇による心理的な不安も無視できません。ニュースで「日銀が利上げ」といった報道を見るたびに不安を感じるという方もいらっしゃいます。この心理的負担は、数字では測れないデメリットと言えるでしょう。

【変動金利が向いている人】
変動金利は、以下のような方に適しています。まず、借入期間が比較的短い方(10年から15年程度で完済を目指している方)です。短期間で完済できれば、金利上昇リスクに晒される期間も短くなります。また、繰上返済をする余力がある方も変動金利に向いています。収入に余裕があり、ボーナスなどを繰上返済に充てられる方は、低金利のメリットを最大限に享受できます。さらに、金利が上昇しても返済を続けられる収入の安定性と余裕がある方、そしてリスクを理解した上で低金利のメリットを享受したい方にも適しています。

【変動金利が向いていない人】
一方、金利変動による返済額の変化に不安を感じる方、長期にわたって安定した返済計画を立てたい方、今後収入が減少する可能性がある方(退職が近い、育児休業の予定があるなど)には、変動金利はおすすめできません。

【選択ポイント】
変動金利を選ぶ際は、必ず金利が1%から2%上昇した場合の返済額をシミュレーションしておきましょう。その返済額でも無理なく返済できるかどうかを確認することが重要です。

また、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)を25%以内、できれば20%以内に抑えることをおすすめします。余裕を持った借入計画が、金利上昇リスクへの最大の備えとなります。

固定金利(当初10年固定等)のメリット・デメリット

固定期間選択型の住宅ローン、特に当初10年固定は、住宅金融支援機構の『住宅ローン利用者の実態調査』(2025年4月調査)によると、約12.2%の方が選択されている金利タイプです。変動金利と全期間固定金利の中間的な性格を持つこの金利タイプには、どのような特徴があるのでしょうか。

【固定金利のメリット】
最大のメリットは、当初一定期間(3年、5年、10年など)の金利と返済額が確定することによる安心感です。特に子どもの教育費がかかる時期など、支出が増える期間に返済額を固定しておきたいというニーズに応えることができます。

金利水準は、当初10年固定で変動金利と全期間固定金利の中間に位置しています。変動金利ほど低くはありませんが、全期間固定よりは低い金利で、一定期間の安定を得ることができるのです。

また、固定期間が終了した後には、その時点の金利水準で変動金利か固定金利かを改めて選択することができます。10年後の金利環境や自身の状況を見て、柔軟に対応できるという点もメリットです。例えば、10年後に大幅な繰上返済ができる見込みがあれば変動金利に、まだ安定を求めるなら再度固定金利を選ぶといった選択が可能です。

固定期間中は金利が確定しているため、その間に積極的に繰上返済を行うという戦略も取りやすくなります。返済額が固定されているため、家計管理がしやすく、計画的に貯蓄と繰上返済を進めることができます。

さらに、金融機関によっては、当初固定期間に大きな優遇を適用することがあります。例えば、「当初10年間は店頭金利から2.5%引下げ」といった優遇により、実質的な適用金利が変動金利並みになることもあります。こうした優遇キャンペーンを活用できれば、低金利と安定性の両方を得ることも可能です。

変動金利ほどではありませんが、固定金利でも繰上返済は可能です(金融機関によっては手数料がかかる場合もあります)。固定期間中に元金を減らしておくことで、固定期間終了後の残高を抑え、金利タイプを選び直す際の選択肢を広げることができます。

また、心理的な安心感も大きなメリットです。「少なくとも当初10年間は返済額が変わらない」という安心感は、住宅購入後の生活の安定につながります。変動金利のように金利動向を常に気にする必要がないため、精神的な負担が軽減されます。

【固定金利のデメリット】
最大のデメリットは、固定期間が終了した後の金利が読めないという点です。10年後の金利環境は誰にも予測できません。現在より大幅に金利が上昇している可能性もあり、その場合は返済額が大きく増加するリスクがあります。

また、固定期間終了後の優遇幅が変わる商品も多く存在します。例えば、当初10年間は店頭金利から2.0%引下げだったのが、11年目以降は1.0%引下げになるといったケースです。この優遇幅の変更により、金利環境が変わらなくても適用金利が上昇してしまうことがあります。

固定期間中に市場金利が下落した場合、その恩恵を受けられないというデメリットもあります。変動金利であれば自動的に金利が下がりますが、固定金利では固定期間中は金利が変わりません。恩恵を受けるには借り換えが必要ですが、借り換えには諸費用がかかるため、金利差が小さい場合はメリットが出ないこともあります。

借り換え時の諸費用負担も考慮すべき点です。固定期間中に他行の低金利商品に借り換えようとしても、登記費用、事務手数料、保証料などで数十万円から100万円程度の費用がかかります。また、固定期間中の繰上返済や借り換えには、金融機関によって違約金が発生する場合もありますので、契約前に必ず確認が必要です。

さらに、変動金利に比べると金利が高いため、当初の返済額も変動金利よりは大きくなります。低金利のメリットを最大限に享受したい方にとっては、この点がデメリットとなるでしょう。

【固定金利が向いている人】
当初固定金利は、教育費がかかる期間など、一定期間だけ返済額を安定させたい方に最適です。また、将来的には繰上返済で早期完済を目指している方、変動金利のリスクは避けたいが全期間固定ほど高い金利は負担したくない方、10年後には収入増加やライフステージの変化が見込まれる方(昇進、子どもの独立など)にも向いています。

【選択ポイント】
固定期間の長さは、お子様の成長段階やご自身のキャリアプランに合わせて判断しましょう。例えば、子どもが小学生なら10年固定、高校生なら5年固定といった選択が考えられます。

また、固定期間終了後の優遇幅を必ず確認してください。優遇幅が大きく変わる商品の場合、見かけの当初金利が低くても、トータルでの返済額が多くなる可能性があります。さらに、固定期間終了時に金利タイプを変更する際の手数料や条件も事前に確認しておくことが重要です。

全期間固定金利(フラット35)のメリット・デメリット

全期間固定金利、特にフラット35公式サイトで提供されている商品は、借入から完済まで金利が変わらないという最大の特徴を持つ金利タイプです。「金利が変動するのが心配」「将来の返済計画を確実に立てたい」という方に選ばれています。

【全期間固定金利のメリット】
最大のメリットは、完済まで金利と返済額が確定しているという絶対的な安心感です。借入時に35年後までの総返済額が確定するため、老後資金の計画まで含めた長期的なライフプランを立てることができます。

特に金利上昇局面では大きなメリットとなります。例えば、現在1.9%で借入した後、市場金利が3%、4%と上昇していっても、ご自身の返済額は一切変わりません。1990年代後半のように短期間で金利が大きく上昇した時期もありましたが、全期間固定金利であればこうしたリスクから完全に守られます。

また、フラット35の審査基準は民間銀行と比べて比較的緩やかとされています。自営業やフリーランスの方、転職して間もない方、勤続年数が短い方でも、安定した収入があれば審査に通る可能性が高くなります。民間銀行の審査で苦労されている方にとっては、大きなメリットです。

フラット35は保証料が不要という点もメリットです。民間銀行の住宅ローンでは、保証会社への保証料として数十万円から100万円程度かかることがありますが、フラット35ではこの費用が不要です(ただし、融資手数料は必要です)。

団体信用生命保険(団信)への加入が任意であることも、場合によってはメリットとなります。健康上の理由で団信に加入できない方でも、フラット35なら借入が可能です(団信に加入しない場合、金利が約0.2%低くなります)。ただし、万が一の際の保障がなくなるため、別途生命保険での備えが必要です。

さらに、フラット35には「フラット35S」という金利優遇制度があります。省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかで優れた住宅を取得する場合、当初5年間または10年間、フラット35の金利から0.25%引き下げられます。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの高性能住宅を購入される場合は、この制度を活用することで、より有利な条件で借入できます。

長期的な視点では、インフレ局面で有利になる可能性もあります。物価が上昇してお金の価値が目減りする中でも、返済額は変わらないため、実質的な負担が軽くなっていくという効果があります。

【全期間固定金利のデメリット】
最大のデメリットは、金利が高めに設定されていることです。フラット35の金利は、変動金利と比べると、かなり高い水準です。この金利差は、総返済額に大きく影響します。

また、市場金利が下落した場合でも、借入時の金利が適用され続けるため、その恩恵を受けられません。金利が大幅に下落した場合には借り換えを検討することになりますが、借り換えには諸費用がかかります。一般的に、金利差が1%以上ないと借り換えのメリットが出にくいとされています。

借り換え時の諸費用負担も、全期間固定金利のデメリットの一つです。登記費用、事務手数料、その他諸費用を合わせると、数十万円から100万円程度の費用がかかるため、金利差が小さい場合は借り換えのメリットが薄くなってしまいます。

【全期間固定金利が向いている人】
全期間固定金利は、完済まで安定した返済計画を立てたい方、金利変動のリスクを一切避けたい方、自営業やフリーランスで民間ローンの審査が厳しい方、今後金利が上昇すると予想している方、長期にわたって収入が安定している方に最適です。特に、「金利が上がったらどうしよう」という不安を抱えながら生活したくない方には、精神的な安心を得られる選択肢と言えるでしょう。

【選択ポイント】
フラット35を選ぶ際は、複数の金融機関で金利を比較することが重要です。同じフラット35でも、金融機関によって金利に0.3%程度の差があることもあります。また、頭金を物件価格の1割以上準備すると、融資率9割以下の低い金利が適用されるため、可能な限り頭金を準備することをおすすめします。

ミックスローン(変動+固定)という選択肢

ここまで変動金利、固定金利、全期間固定金利の3つのタイプをご紹介してきましたが、実は「ミックスローン」という選択肢もあることをご存知でしょうか。ミックスローンとは、例えば借入額の50%を変動金利、残りの50%を固定金利で借りるなど、複数の金利タイプを組み合わせる方法です。

ミックスローンには独特のメリットとデメリットがあります。

【ミックスローンのメリット】
最大のメリットは、リスク分散ができることです。変動金利の低金利メリットを享受しながら、固定金利でリスクヘッジもできるという、「いいとこ取り」の戦略が可能になります。

具体的な例を見てみましょう。3,500万円の借入のうち、1,750万円を変動金利0.5%、残りの1,750万円を当初10年固定1.5%で借りた場合、平均すると金利1.0%となります。全額を変動金利で借りるよりは金利が高くなりますが、全額を固定金利で借りるよりは低くなり、かつリスクも分散できるのです。

また、異なる返済戦略を使い分けることも可能です。例えば、変動金利部分は積極的に繰上返済を行って早期に完済を目指し、固定金利部分は計画通りに返済していくといった戦略が取れます。金利上昇局面では変動金利部分を優先的に返済し、金利下落局面では固定金利部分を優先的に返済するという柔軟な対応も可能です。

心理的な安心感も得られます。「全額変動金利だと不安だけど、全額固定金利だと金利が高い」と悩んでいる方にとって、ミックスローンは両者のバランスを取った選択肢となります。万が一金利が上昇しても、半分は固定金利で保護されているという安心感は、精神的な負担を軽減してくれます。

【ミックスローンのデメリット】
最大のデメリットは、手続きが複雑になることです。実質的には2本のローンを組むことになるため、契約書も2通、抵当権設定登記も2件分必要となり、手続きの手間が増えます。

諸費用も増加します。登記費用が2件分かかるほか、金融機関によっては各ローンに対して事務手数料や保証料がかかる場合があります。例えば、事務手数料が「借入額の2.2%」という設定の場合、1本のローンなら77万円ですが、2本だと各ローンに対して計算されるため、結果的に同じ77万円になるか、場合によってはそれ以上になることもあります。

管理が煩雑になる点もデメリットです。2つのローンでそれぞれ返済額や残高が異なるため、家計管理が複雑になります。また、繰上返済を行う際も、どちらのローンに充当するかを判断する必要があります。

金融機関によっては、ミックスローンの取り扱いがない、または一定の条件(借入額3,000万円以上など)を満たさないと利用できない場合があります。また、審査も各ローンごとに行われるため、審査基準を満たす必要があります。

さらに、各ローンに手数料や保証料がかかる場合、トータルコストが1本のローンよりも高くなる可能性があります。ミックスローンを検討する際は、諸費用を含めた総返済額をしっかりとシミュレーションすることが重要です。

【ミックスローンが向いている人】
ミックスローンは、変動金利の低金利メリットを享受しつつ、リスクヘッジもしたい方、どの金利タイプを選ぶか決めきれない方、長期的な視点で複数の返済戦略を組み合わせたい方に適しています。また、ある程度の借入額があり(一般的に3,000万円以上)、複雑な管理を苦にしない方にも向いているでしょう。

【選択ポイント】
ミックスローンを選ぶ際の最大のポイントは、変動金利と固定金利の比率をどうするかです。一般的には50%ずつ、または変動金利60%・固定金利40%といった比率が多く選ばれています。

リスク回避を重視するなら固定金利の比率を高めに、低金利のメリットを重視するなら変動金利の比率を高めに設定するとよいでしょう。ご自身のリスク許容度やライフプランに応じて、最適な比率を見つけてください。

6【3,500万円借入】金利差による総返済額シミュレーション|具体的な数字で比較

ここまで金利タイプの特徴をご説明してきましたが、「実際にどれくらいの差が出るの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。このセクションでは、借入額3,500万円、返済期間35年という条件で、具体的な返済額をシミュレーションしていきます。数字で見ることで、金利タイプの違いがより明確にご理解いただけると思います。

金利の差は、一見わずかに見えても、長期間で見ると驚くほど大きな差になることがあります。また、金利が上昇した場合の影響も、具体的な数字で確認しておくことが重要です。それでは、詳しく見ていきましょう。

金利比較シミュレーター

借入条件と金利を選択して、総返済額の違いを確認できます

比較したい金利を選択してください(複数選択可):

金利 月返済額 年間返済額 総返済額 総利息額 差額

変動金利0.5% vs 固定金利1.5%|35年返済の場合

まず、変動金利0.5%と固定金利1.5%を比較してみましょう。借入額3,500万円、返済期間35年、元利均等返済という条件でシミュレーションいたします。

項目 変動金利0.5% 固定金利1.5% 差分
月返済額 約90,483円 約107,165円 +約16,682円
年間返済額 約1,085,796円 約1,285,980円 +約200,184円
総返済額 約38,002,860円 約45,009,300円 +約7,006,440円
総利息額 約3,002,860円 約10,009,300円 +約7,006,440円

この比較から分かることは、月返済額で約16,682円、年間で約200,184円の差が生じるということです。35年間の総利息額では、なんと約700万円もの差になります。この数字を見ると、変動金利の低金利がいかに大きなメリットをもたらすかがお分かりいただけるでしょう。

しかし、ここで重要なのは、これは「変動金利が0.5%のまま35年間変わらなかった場合」のシミュレーションだということです。実際には、変動金利は市場金利の動向によって変動します。では、変動金利が上昇した場合、どうなるのでしょうか。

変動金利が1.0%まで上昇した場合を見てみましょう。

【変動金利が0.5%→1.0%に上昇した場合】(借入5年後に上昇すると仮定)

項目 変動金利0.5%→1.0% 固定金利1.5% 差分
当初5年間の月返済額 約90,483円 約107,165円 +約16,682円
6年目以降の月返済額 約97,824円
(5年ルール適用の場合は段階的に変更)
約107,165円 +約9,341円
総返済額 約41,500,000円程度
(金利上昇のタイミングによって変動)
約45,009,300円 +約3,509,300円程度
総利息額 約6,500,000円程度 約10,009,300円 +約3,509,300円程度

この場合、固定金利1.5%の総利息約1,000万円と比べると、まだ変動金利の方が有利ですが、その差は縮まります。さらに、変動金利が1.5%まで上昇した場合、固定金利1.5%と同等かそれ以上の総返済額になる可能性があります。

つまり、変動金利と固定金利のどちらが有利かは、「将来の金利がどう動くか」によって決まるということです。もし今後35年間、変動金利が1.0%以下で推移すると予想するなら、変動金利が圧倒的に有利です。一方、2%や3%まで上昇すると予想するなら、固定金利1.5%で確定させておく方が安全だと言えるでしょう。

それでは、返済額推移をグラフ的に表現してみます。

経過年数 変動0.5%維持 変動0.5%→1.0%上昇 固定1.5%
1年目 90,483円 90,483円 107,165円
5年目 90,483円 90,483円 107,165円
10年目 90,483円 97,824円 107,165円
20年目 90,483円 97,824円 107,165円
35年目 90,483円 97,824円 107,165円

この表から、変動金利が上昇した場合でも、固定金利よりは低い返済額で済む可能性が高いことが分かります。ただし、これは金利が1.0%までの上昇にとどまった場合の話です。

変動金利を選ぶ際の判断基準として、「変動金利が何%まで上昇したら固定金利と同じになるか」を計算しておくことが重要です。この「損益分岐点」を把握しておくことで、より冷静な判断ができるようになります。

金利が1%上がると月額・総額はいくら増える?

金利上昇のインパクトを具体的に理解するために、借入額3,500万円、返済期間35年で、金利が1%上昇した場合の影響を確認します。

項目 金利0.5% 金利1.5% 金利2.5%
月返済額 約90,483円 約107,165円 約125,143円
総返済額 約38,002,860円 約45,009,300円 約52,560,060円
月額増加(0.5%比) - +約16,682円
(約18.4%増)
+約34,660円
(約38.3%増)
総額増加(0.5%比) - +約7,006,440円 +約14,557,200円

この数字から分かるように、金利が1%上がるごとに、月返済額は約1.4万円から1.8万円程度増加し、35年間の総利息額は約700万円も増加します。3,500万円の借入で金利が1%上がると、もう一台車が買えるほどの金額が追加で必要になるということです。

さらに、金利を0.1%刻みで見た場合の影響も確認しておきましょう。

金利 月返済額 月額差(0.5%比) 総利息額 総利息差(0.5%比)
0.5% 90,483円 - 約300万円 -
0.6% 92,410円 +1,927円 約382万円 +82万円
0.7% 94,363円 +3,880円 約466万円 +166万円
0.8% 96,342円 +5,859円 約551万円 +251万円
0.9% 98,346円 +7,863円 約637万円 +337万円
1.0% 100,374円 +9,891円 約725万円 +425万円
1.5% 107,165円 +16,682円 約1,001万円 +701万円
2.0% 115,942円 +25,459円 約1,370万円 +1,070万円

この表を見ていただくと、金利0.1%の差が、長期的には非常に大きな差を生むことがお分かりいただけると思います。金利交渉をして0.1%でも金利を下げることができれば、それだけで数十万円から百万円近い節約につながるのです。

また、金利上昇のタイミングによっても総支払額は大きく変わります。借入当初5年間は0.5%、その後1.0%に上昇した場合と、借入当初から1.0%だった場合では、総利息額に大きな差が生じます。

【借入当初から1.0%の場合】
総利息額:約725万円

【当初5年間0.5%、その後1.0%の場合】
総利息額:約680万円程度
差額:約45万円

つまり、低金利の期間が長ければ長いほど、総支払額を抑えることができるということです。変動金利で借りる場合は、低金利のうちにできるだけ元金を減らしておくことが、金利上昇リスクへの最大の対策となります。

このシミュレーション結果を踏まえて、ご自身の返済能力と照らし合わせて考えてみてください。「金利が1%上がっても返済を続けられるか」「金利が2%上がった場合はどうか」といったシミュレーションを行うことで、リスク許容度を把握できます。一般的には、年収の手取り額の25%以内を返済額の上限とすることが推奨されていますが、金利上昇を考慮すると、20%以内に抑えておくとより安全だと言えるでしょう。

繰上返済を活用した場合の効果|変動金利のリスクヘッジ

変動金利の金利上昇リスクに対する最も効果的な対策の一つが、繰上返済です。繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。それぞれの効果を見てみましょう。

まず、基本となるケースを設定します。借入額3,500万円、金利0.5%、返済期間35年で、毎年100万円の繰上返済を行うとします。

項目 繰上返済なし 期間短縮型
(毎年100万円)
返済額軽減型
(毎年100万円)
月返済額 約90,483円 約90,483円
(変わらず)
徐々に減少
(10年後には約75,000円程度に)
返済期間 35年(420ヶ月) 約23年
(約12年短縮)
35年(変わらず)
総返済額 約38,002,860円 約36,300,000円 約36,800,000円
総利息額 約3,002,860円 約1,300,000円 約1,800,000円
利息削減効果 - 約170万円 約120万円

この比較から、期間短縮型の方が利息削減効果が大きいことが分かります。これは、期間を短縮することで、後半の高い残高に対する利息支払いを丸ごとカットできるためです。一方、返済額軽減型は、月々の返済負担を減らすことで、家計に余裕を持たせることができるというメリットがあります。

変動金利のリスクヘッジとして繰上返済を活用する場合、おすすめの戦略は以下のとおりです。

戦略1

低金利のうちに積極的に期間短縮型の繰上返済を行う

金利が低いうちに元金を大幅に減らしておけば、仮に将来金利が上昇したとしても、その影響を最小限に抑えることができます。例えば、借入当初の10年間で元金を半分に減らすことができれば、その後金利が1%上昇しても、返済額の増加は半分で済みます。

戦略2

ボーナスなどの臨時収入は全額繰上返済に回す

多くのネット銀行では、繰上返済手数料が無料となっています。この利点を活かして、ボーナスや臨時収入があったときには、すぐに繰上返済を行うことをおすすめします。少額でも積み重ねることで、大きな効果が生まれます。

戦略3

金利上昇の兆候が見えたら、一気に繰上返済を実行

日銀の金融政策決定会合や経済指標を注視し、金利上昇の兆候が見えたら、手元の資金を使って大規模な繰上返済を行うことも有効です。金利が上昇する前に元金を減らしておけば、その後の利息負担を大幅に軽減できます。

繰上返済の効果を最大化するためには、できるだけ早い時期に、できるだけ大きな金額を繰上返済することが重要です。借入当初に100万円繰上返済するのと、20年後に100万円繰上返済するのとでは、利息削減効果が大きく異なります。

ただし、繰上返済を行う際には、手元資金とのバランスも考慮する必要があります。生活防衛資金として、最低でも生活費の6ヶ月分、できれば1年分は手元に残しておくべきです。繰上返済を優先するあまり、急な病気や失業などの際に対応できなくなってしまっては本末転倒です。

また、住宅ローン控除との兼ね合いも考慮しましょう。住宅ローン控除は、年末の借入残高に応じて所得税の控除が受けられる制度ですので、借入当初10~13年間は、繰上返済よりも控除のメリットを優先した方が得になる場合もあります。金利が非常に低い場合(0.5%以下など)は、繰上返済せずに控除を最大限活用し、控除期間終了後に一気に繰上返済するという戦略も有効です。

繰上返済は、変動金利の金利上昇リスクに対する強力な武器です。低金利のメリットを享受しながら、リスクをコントロールできる繰上返済を計画的に活用することで、変動金利を安心して選択できるようになります。

7【ペルソナ別診断】あなたに最適な金利タイプの選び方

ここまで様々な金利タイプの特徴や返済シミュレーションをご紹介してきましたが、「結局、自分にはどれが合っているの?」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。実は、最適な金利タイプは、年収、家族構成、職業、ライフプランによって大きく異なります。

このセクションでは、代表的な5つのペルソナごとに、おすすめの金利タイプと選び方のポイントをご紹介していきます。ご自身に近いケースを参考にしていただき、最適な住宅ローン選びにお役立てください。

年収400万円台・共働き夫婦(30代)のケース

項目 内容
年収 400万円台(各自)
世帯年収 800万円前後
年齢 30代
家族構成 共働き夫婦
借入可能額の目安 世帯年収の5~6倍(4,000万円~4,800万円程度)
推奨される金利タイプ 変動金利 または 当初10年固定
理由 30代の共働き夫婦であれば、今後も収入増加が見込めるため、繰上返済の余力が比較的あります。変動金利の低金利メリットを活かして積極的に繰上返済を行うことで、総利息を大幅に削減できる可能性が高いです。
注意点 お子様の教育費がピークとなる時期(中学・高校・大学)には、返済額が家計を圧迫する可能性があります。この点を考慮すると、当初10年固定で、お子様が小学校を卒業するまでの期間は返済額を固定しておくという選択も賢明です。10年後には、お子様の成長に合わせて家計状況を見直し、その時点で最適な金利タイプを再選択することができます。
共働き夫婦特有のリスク 産休・育休取得時の収入減少リスクも考慮する必要があります。収入合算やペアローンの場合、どちらか一方の収入がゼロになっても返済を続けられる範囲で借入額を設定することが重要です。具体的には、主たる収入者の年収の5倍以内に借入額を抑えることをおすすめします。
借入額 3,500万円
変動金利 0.5%
月返済額 約90,483円
世帯年収 800万円
手取り月収 約50万円程度
返済負担率 約18%(適正範囲内)
ミックスローンの活用 リスク分散を図りたい方には、ミックスローンも検討の価値があります。例えば、3,500万円のうち2,000万円を変動金利、1,500万円を10年固定にすることで、変動金利の低金利メリットを享受しながらリスクヘッジも可能です。変動金利部分を優先的に繰上返済していくことで、金利上昇リスクを徐々に減らすことができます。

厚生労働省の『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、30代のきまって支給する現金給与額は、30~34歳で男性約316.3万円・女性約271.6万円、35~39歳で男性約352.3万円・女性約284.3万円となっており、共働きであれば世帯年収800万円前後は標準的な水準と言えます。

この条件であれば、ボーナス時に50万円~100万円の繰上返済を行うことで、10~15年での完済も視野に入ります。

年収600万円台・単身(40代)のケース

項目 内容
年収 600万円台
年齢 40代
家族構成 単身
借入可能額の目安 年収の6~7倍(3,600万円~4,200万円程度)
推奨借入期間 25年程度(定年までに完済を目指す)
推奨される金利タイプ 変動金利
理由 年収600万円台で単身であれば、生活費を抑えて繰上返済の余力を十分に確保できます。変動金利の低金利メリットを最大限に活かし、積極的に繰上返済を行うことで、50代のうちに完済を目指すことが可能です。
返済期間の設定に関する注意 40歳で35年ローンを組むと、完済時は75歳となり、定年後も15年間返済が継続します。借入期間を25年程度に設定するか、繰上返済によって定年までに完済を目指すことが重要です。また、単身者の場合、将来のライフプランの変化(結婚、親の介護など)も考慮し、余裕を持った借入額に設定することをおすすめします。
借入額 3,500万円
変動金利 0.5%
返済期間 25年
月返済額 約131,461円
年収 600万円
手取り月収 約38万円程度
返済負担率 約35%(やや高め)
老後資金とのバランス 繰上返済を優先するあまり、老後資金の積立が疎かになるリスクもあります。理想的には、繰上返済と並行して、iDeCoやつみたてNISAなどを活用した老後資金の積立も実施することをおすすめします。
健康面でのリスク 40代の場合、健康面でのリスクも考慮が必要です。団体信用生命保険への加入が必須となりますが、健康状態によっては、がん特約などの特約に加入できない場合もあります。早めに住宅ローンの検討を始めることが重要です。

定年後も住宅ローン返済が続くリスクは避けるべきです。

単身者であれば生活費を切り詰めることも可能です。ボーナスでの繰上返済を計画的に実施し、年間100万円~150万円の繰上返済を行うことで、10~15年での完済も視野に入ります。定年までに完済できれば、老後の生活資金を住宅ローン返済に奪われることなく、ゆとりのある老後を過ごせます。

年収800万円以上・高収入層のケース

項目 内容
年収 800万円以上
借入可能額の目安 年収の7~8倍(5,600万円~6,400万円程度)
特徴 頭金を多めに用意できることが多い
推奨される金利タイプ 変動金利
理由 高収入層であれば、金利上昇リスクを許容できる余力があります。変動金利の低金利メリットを最大限に活かし、繰上返済の余力も十分にあるため、低金利のうちに積極的に元金を減らし、短期間での完済を目指すことができます。
住宅ローン控除との戦略的バランス 住宅ローン控除は、年末の借入残高の0.7%が所得税から控除される制度です。一般住宅の場合、年間最大21万円(借入残高3,000万円の場合)の控除が受けられます。金利が0.7%以下の場合、控除の恩恵が金利負担を上回るため、控除期間中(10~13年)はあえて繰上返済をせず、控除を最大限活用するという戦略も有効です。繰上返済に回す予定だった資金を、NISAやiDeCoなどの資産運用に回すことで、より高い運用益を得られる可能性もあります。
借入額 5,000万円
変動金利 0.5%
返済期間 35年
月返済額 約129,262円
年収 800万円
手取り月収 約50万円程度
返済負担率 約26%(適正範囲内)
住宅ローン控除 年間21万円(月約17,500円)の節税効果
繰上返済 vs 資産運用 高収入層の場合、繰上返済と資産運用のどちらを優先すべきかという判断が重要になります。年間200万円~300万円の繰上返済を行い、控除期間終了後に一気に完済を目指すという戦略もあれば、繰上返済せずに手元資金を運用に回し、資産を増やすという選択肢もあります。ご自身のリスク許容度や資産運用の経験によって判断してください。
金利交渉のポイント 高収入層であれば、複数の金融機関で条件を比較し、金利交渉を実施することができます。メガバンクや地方銀行では、給与振込・定期預金・投資信託の購入などの取引を組み合わせることで、金利優遇幅を拡大できる可能性があります。ネット銀行の最優遇金利と比較しながら、総合的に最も有利な条件を引き出しましょう。

国税庁の住宅ローン控除の適用条件により、住宅ローン控除の恩恵を最大限受けられる層でもあります。

自営業・フリーランスのケース

項目 内容
職業 自営業・フリーランス
審査特性 会社員とは異なる審査基準
必要書類 直近3期分の確定申告書(税務署の受付印があるもの)
借入可能額の目安 申告所得の5~6倍程度
返済負担率 住宅金融支援機構が定めるフラット35の利用条件によると、自営業者の返済負担率は、年収400万円未満の場合は30%以内、年収400万円以上の場合は35%以内とされています。
推奨される金利タイプ フラット35(全期間固定金利)
理由 フラット35は、民間銀行のローンに比べて審査基準が緩やかです。勤続年数の制約がなく、事業を始めて間もない方でも、安定した収入が見込めれば審査に通る可能性があります。また、完済まで金利が変わらないという安心感は、収入が変動しやすい自営業者にとって、将来の返済計画を確実に立てられる大きなメリットです。
フラット35の金利水準 フラット35の金利は変動金利に比べると高い傾向にありますが、完済まで金利が変わらない安心感がメリットです。具体的な金利水準は、各金融機関の公式サイトで最新情報をご確認ください。
借入可能額の計算例 申告所得が年600万円の場合、年間返済額の上限は210万円(月約175,000円)以内となります。金利1.9%、返済期間35年で計算すると、借入可能額は約4,700万円程度となりますが、実際にはもう少し余裕を持った借入額に設定することをおすすめします。
確定申告をしっかりと行う 直近3期分の確定申告書(税務署の受付印があるもの)が必要です。電子申告の場合は、受信通知を保管しておきましょう。
事業用の借入と住宅ローンを区別する 事業用融資の返済額も含めて返済負担率が計算されます。事業用借入の返済額が大きいと、住宅ローンの借入可能額が制限される可能性があります。
収入の変動に備える 年度によって収入が大きく変動することを考慮し、収入が少ない年でも無理なく返済できる金額に設定してください。過去3年間の最低所得をベースに返済計画を立てることをおすすめします。
団体信用生命保険への加入を検討 フラット35では団信への加入は任意ですが、万が一の際の保障を考えると、加入しておいた方が安心です。加入する場合、金利が約0.2%上乗せされます。
フラット35Sの金利優遇 省エネルギー性や耐震性に優れた住宅を購入する場合、当初5年間または10年間、金利が0.25%引き下げられるフラット35Sを活用できます。新築住宅や築浅の中古住宅を購入される場合は、この優遇制度を活用してさらにお得に借入が可能です。

借り換えを検討中の方(残債2,000万円以上・残期間10年以上)

項目 内容
状況 すでに住宅ローンを借りている
動機 今の金利が高いので借り換えたい
借り換えメリットが出やすい条件 金利差1%以上、残債1,000万円以上、残期間10年以上(あくまで目安)
金利動向 日本銀行の『貸出約定平均金利』によると、2020年以降、住宅ローン金利は低位で推移しています。
借り換えの諸費用 事務手数料:借入額の2.2%程度または定額3万円~5万円、保証料:借入額の2%程度または金利上乗せ、印紙税:2万円、抵当権設定登記費用:10万円~20万円程度、抵当権抹消登記費用:1万円~2万円程度。合計(借入額2,000万円の場合):50万円~80万円程度
具体的な借り換えシミュレーション(現在の状況) 残債:2,000万円、残期間:20年、金利:1.5%、月返済額:約96,509円、総返済額:約23,162,160円
具体的な借り換えシミュレーション(借り換え後・金利0.5%) 月返済額:約87,565円、総返済額:約21,015,600円、総額削減効果:約215万円、諸費用:60万円、差し引きメリット:155万円、月々の返済額軽減:約9,000円
借り換えトレンド 今後の金利上昇を懸念して、変動金利から固定金利への借り換えを検討される方が増加しています。金利が低いうちに固定金利に切り替えておくという選択は合理的です。
変動から固定への借り換えの注意点 変動金利から固定金利への借り換えでは、金利が上がるため月々の返済額は増加します。例えば、現在変動金利0.5%で返済している方が、固定金利1.5%に借り換えると、月々の返済額は約1万円増加します。この増加分を許容できるかどうか、また今後の金利上昇リスクとのバランスで判断が必要です。
借り換え検討時のチェックポイント 1. 現在の金利と借り換え後の金利の差を確認する、2. 借り換えの諸費用を正確に見積もる、3. 総返済額の削減効果を計算する(諸費用を差し引いた実質的なメリット)、4. 月々の返済額の変化を確認する(家計への影響)、5. 団体信用生命保険の内容を比較する(特約の違いなど)、6. 今後の金利動向を予測する(変動 vs 固定の選択)
総合的な判断 これらを総合的に判断して、借り換えのメリットが十分に出ると判断できれば実行に移しましょう。借り換えには審査があり、現在の収入状況や健康状態によっては借り換えができない場合もあります。複数の金融機関に仮審査を申し込んで、最も条件の良いところを選ぶことが重要です。

8住宅ローン金利以外の重要チェックポイント|総コストで比較する

住宅ローンを選ぶ際、多くの方が金利に注目されますが、実は金利以外の要素も総コストに大きく影響します。事務手数料、保証料、団信の費用などを含めた総コストで比較することが重要です。

このセクションでは、金利以外のチェックポイントを詳しくご説明していきます。これらをしっかりと理解することで、真の意味で「お得な住宅ローン」を見つけることができます。

事務手数料|定率型(借入額×2.2%)vs 定額型(3~5万円)

事務手数料は、住宅ローンを借りる際に金融機関に支払う手数料です。この手数料には、「定率型」と「定額型」の2種類があります。

定率型は、借入額に対して一定の割合(多くの場合2.2%)を手数料として支払う方式です。例えば、3,500万円を借りる場合、3,500万円×2.2%=77万円の手数料がかかります。借入額が大きいほど手数料も高くなるため、高額な借入の場合は負担が大きくなります。

定額型は、借入額に関わらず一定額(3万円から5万円程度)を手数料として支払う方式です。借入額が大きくても手数料は変わらないため、高額借入の場合は定額型の方が有利になります。

では、どちらが有利なのでしょうか。一般的に、定率型を採用している金融機関は金利が低く、定額型を採用している金融機関は金利がやや高めに設定されていることが多いです。つまり、初期費用を抑えたい場合は定額型、総返済額を抑えたい場合は定率型が有利になる傾向があります。

具体的な損益分岐点を計算してみましょう。借入額3,500万円、返済期間35年の場合:

項目 定率型(手数料77万円、金利0.5%) 定額型(手数料5万円、金利0.6%)
総返済額 約38,002,860円 約38,653,200円
手数料込み総コスト 約38,772,860円 約38,703,200円

この例では、金利が0.1%高くても、定額型の方が総コストは約7万円安くなります。ただし、金利差が0.2%以上になると、定率型の方が有利になってきます。

楽天銀行のように、定率型と定額型を選択できる金融機関もあります。ご自身の借入額や資金計画に応じて、最適な手数料タイプを選ぶことができます。

保証料|あり(金利上乗せ/一括前払い)vs なし

保証料は、万が一返済ができなくなった場合に、保証会社が代わりに銀行に返済を行うための費用です。保証会社は銀行のリスクを軽減する役割を果たしています。

保証料の支払い方式には、主に以下の3つがあります。

①外枠方式(一括前払い)

借入時に保証料を一括で支払う方式です。借入額や返済期間によって金額が変わり、一般的には借入額の2%程度となります。例えば、3,500万円を借りる場合、保証料は約70万円となります。初期費用は高くなりますが、金利は上がりません。

②内枠方式(金利上乗せ)

保証料を金利に上乗せして支払う方式です。一般的には年0.2%程度の金利上乗せとなります。初期費用を抑えられますが、返済期間全体で見ると、外枠方式よりも総額が高くなる傾向があります。

③保証料なし

ネット銀行を中心に、保証会社を利用せず、保証料が不要な商品が増えています。ただし、保証料がない分、金利や事務手数料が高めに設定されている場合もあります。

3,500万円、35年返済で比較してみましょう。

項目 外枠方式(保証料70万円一括、金利0.5%) 内枠方式(保証料なし、金利0.7%)
初期費用 70万円 0円
総返済額 約38,002,860円 約39,334,800円
総コスト 約38,702,860円 約39,334,800円

この例では、外枠方式の方が総コストは約63万円安くなります。ただし、初期費用として70万円を用意する必要があるため、頭金や諸費用の準備状況によって選択が分かれます。

最近では、保証料不要の住宅ローンが増えてきました。特にネット銀行では保証会社を利用しない商品が多く、その分、金利や事務手数料に転嫁されている形となっています。総コストで比較することが重要です。

団体信用生命保険(団信)|がん特約・8大疾病の必要性

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを借りている方が亡くなった場合や高度障害状態になった場合に、保険会社が残りの住宅ローンを完済してくれる保険です。

基本の団信(死亡・高度障害保障)は、ほとんどの金融機関で金利上乗せなしで付帯されています。問題は、特約をつけるかどうかです。

がん団信(がん50%保障)

がんと診断されたら、住宅ローン残高の50%が保険金で支払われます。多くのネット銀行では、金利上乗せなしで付帯されています。

がん団信(がん100%保障)

がんと診断されたら、住宅ローン残高の全額が保険金で支払われます。金利上乗せは年0.1%から0.2%程度です。

8大疾病保障・全疾病保障

がん、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎の8つの疾病で就業不能状態が一定期間続いた場合に、住宅ローン残高が保険金で支払われます。金利上乗せは年0.2%から0.3%程度です。

特約の必要性の判断基準

①家族構成: 配偶者や子どもがいる場合は、特約をつけた方が安心です。
②既存の保険: 生命保険やがん保険に既に加入している場合は、保障が重複する可能性があります。
③年齢・健康状態: 若くて健康な場合はリスクが低いため、特約なしでも良いかもしれません。
④金利上乗せの負担: 0.3%の金利上乗せは、3,500万円35年で約350万円の負担増となります。

特約をつけるべきかどうかは、ご自身の家族状況と既存の保険の内容を総合的に判断する必要があります。すでにがん保険や医療保険に加入している場合は、保障内容を確認した上で、重複部分があれば団信の特約は不要かもしれません。

一方、保険にほとんど加入していない場合や、家族を守りたいという思いが強い場合は、多少金利が上がっても特約をつけることを検討する価値はあるでしょう。

繰上返済手数料・条件変更手数料

繰上返済手数料は、借入後に追加で返済を行う際にかかる手数料です。

ネット銀行の場合

ほとんどのネット銀行では、インターネット経由での繰上返済手数料が無料となっています。1円から、回数制限なく繰上返済が可能な商品も多く、非常に使い勝手が良いです。

メガバンク・地方銀行の場合

インターネットバンキング経由であれば無料、窓口での手続きの場合は5,500円から16,500円程度の手数料がかかることが一般的です。

繰上返済を積極的に行いたい方、特に変動金利で借りてリスクヘッジとして繰上返済を活用したい方は、繰上返済手数料が無料の金融機関を選ぶことをおすすめします。

また、条件変更手数料も確認しておきましょう。変動金利から固定金利への変更、返済額の変更などを行う際に手数料がかかる場合があります。将来的に条件変更を検討する可能性がある方は、この手数料も事前に確認しておくことが大切です。

繰上返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。期間短縮型は返済期間を短縮することで総利息を削減でき、返済額軽減型は月々の返済額を減らすことで家計負担を軽減できます。ご自身の目的に応じて、適切なタイプを選ぶことが重要です。

9よくある質問(FAQ)|住宅ローン金利の疑問を解決

住宅ローンを検討する際には、様々な疑問や不安が生じるものです。このセクションでは、多くの方が抱える疑問に対して、分かりやすくお答えしていきます。これらのFAQを参考にしていただき、安心して住宅ローンを選んでいただければと思います。

Q1. 審査に通りやすい金利タイプはありますか?

A: 金利タイプによって審査の通りやすさが大きく変わることはありません。変動金利でも固定金利でも、審査基準は基本的に同じです。審査で重視されるのは、年収、勤続年数、他の借入状況、健康状態(団信加入のため)、物件の担保価値などです。

ただし、「フラット35」は民間銀行の住宅ローンに比べて審査基準が緩やかとされています。特に、自営業やフリーランスの方、勤続年数が短い方、転職して間もない方にとっては、フラット35の方が審査に通りやすい傾向があります。民間銀行では勤続3年以上が条件となることが多いですが、フラット35では勤続年数の制約がありません。

また、年収に対する返済負担率の基準も、フラット35の方がやや緩やかです。住宅金融支援機構が定めるフラット35の利用条件によると、フラット35では年収400万円未満の場合は30%以内、400万円以上の場合は35%以内となっており、民間銀行の25%から30%という基準よりも高めに設定されています。

Q2. 金利は月初・月末どちらで申し込むべきですか?

A: 住宅ローンの適用金利は、「融資実行月」の金利が適用されます。つまり、申込みのタイミングではなく、実際に融資が実行される月の金利が適用されるということです。したがって、月初に申し込んでも月末に申し込んでも、融資実行が同じ月であれば適用金利は同じです。

ただし、一部の金融機関では、申込月と融資実行月のどちらか低い方の金利を選択できる商品もあります。例えば、11月に申し込んで12月に融資実行となる場合、11月と12月の金利を比較して、低い方を選べるというものです。このような商品であれば、月末に申し込むことで、翌月の金利も選択肢に入れることができるメリットがあります。

金利は毎月変動する可能性があるため、融資実行のタイミングを調整できる場合は、金利動向を見ながら最も有利なタイミングを選ぶこともできます。ただし、物件の引渡し日などの都合もあるため、無理に融資実行月を調整する必要はありません。

Q3. 夫婦でペアローンと収入合算、どちらが有利?

A: ペアローンと収入合算には、それぞれメリットとデメリットがあります。住宅ローン控除の観点からは、ペアローンの方が有利になることが多いです。

ペアローン

夫と妻がそれぞれ住宅ローンを組む形式。住宅ローン控除を2人とも受けられる(控除額が最大2倍)。団信も2人とも加入できる(どちらかが亡くなった場合、その人の分のローンが完済)。諸費用(事務手数料、登記費用など)が2倍かかる。

収入合算

主債務者が住宅ローンを組み、配偶者の収入を合算して審査。住宅ローン控除は主債務者のみ。団信も主債務者のみ(配偶者は保障されない)。諸費用は1人分。

住宅ローン控除の観点では、ペアローンの方が有利です。例えば、夫婦でそれぞれ3,000万円ずつ借りた場合、年間最大42万円(夫21万円+妻21万円)の控除が受けられます。一方、収入合算で6,000万円を借りた場合、控除額は年間最大21万円(借入残高3,000万円分まで)となります。

ただし、ペアローンは諸費用が2倍かかることや、どちらか一方が仕事を辞めた場合でも返済が続くというリスクもあります。将来のライフプランを考慮して選択することが重要です。

Q4. 変動金利の「5年ルール」「125%ルール」とは?

A: 変動金利の住宅ローンには、急激な返済額の増加を防ぐための「5年ルール」と「125%ルール」という仕組みが用意されていることが多いです。

5年ルール

金利が変動しても、返済額は5年間一定に保たれるというルールです。例えば、金利が上昇した場合でも、5年間は返済額が変わりません。その代わり、返済額の内訳(元金と利息の割合)が変更されます。金利が上がると利息部分が増え、元金の減りが遅くなります。

125%ルール

5年経過後に返済額を見直す際、新しい返済額は直前の返済額の125%までしか上がらないというルールです。例えば、月返済額が10万円だった場合、次の見直し時には最大でも12万5千円までしか上がりません。

これらのルールによって、急激な返済額の増加は防げますが、いくつか注意点があります。まず、元金の減りが遅くなることで、総返済期間が延びたり、最終回の返済時に未払利息が残る可能性があります。また、全ての金融機関がこれらのルールを採用しているわけではありません。特にネット銀行の一部では、金利変動に応じて返済額が変わる商品もあります。

借入前に、5年ルールと125%ルールが適用されるかどうかを必ず確認しておくことが大切です。

Q5. 金利交渉はできますか?

A: 金利交渉の可能性は、金融機関のタイプによって大きく異なります。

ネット銀行:
基本的に金利交渉はできません。審査結果に基づいて機械的に金利が決定される仕組みになっています。ただし、キャンペーン期間中に申し込んだり、複数の優遇条件を満たすことで、金利を下げることは可能です。

メガバンク・地方銀行:
金利交渉の余地があります。特に、以下のような条件を満たす場合、交渉が成功しやすくなります。

  • 他行の見積もりを提示できる(競合がある場合)
  • 給与振込口座として利用する
  • 定期預金や投資信託などの金融商品を購入する
  • 借入額が大きい(3,000万円以上など)
  • 属性が良い(大手企業勤務、公務員、医師など)

金利交渉を行う際のポイントは、複数の金融機関で仮審査を受けて、実際の見積もりを取得しておくことです。「A銀行では0.5%と言われましたが、御行ではどうでしょうか」といった形で具体的な数字を提示することで、交渉がしやすくなります。

また、金利そのものの交渉が難しい場合でも、事務手数料の減額や、繰上返済手数料の無料化など、他の条件面での優遇を引き出せる可能性もあります。

Q6. 借り換え時の審査は新規より厳しい?

A: 借り換え時の審査は、新規借入時と基本的に同じ基準で行われます。年収、勤続年数、他の借入状況、健康状態(団信加入のため)、物件の担保価値などが審査されます。

むしろ、返済実績があることがプラスに働く場合もあります。例えば、過去5年間延滞なく返済している実績があれば、「返済能力がある」という証明になり、審査でプラスに評価されることがあります。

ただし、注意すべき点もあります。物件の担保価値が下がっている場合は、審査に影響する可能性があります。例えば、購入時は3,500万円だった物件が、10年後には2,500万円の評価になっている場合、残債が2,800万円あると、担保価値を超えた借入となるため、審査が厳しくなる可能性があります。

また、収入が減少している場合や、他の借入が増えている場合も、審査に影響します。新規借入時と同じか、それ以上の収入状況であれば、問題なく審査に通る可能性が高いでしょう。

Q7. 金利上昇局面では頭金を多く入れるべき?

A: 頭金を多く入れるべきかどうかは、金利上昇局面に限らず、総合的に判断する必要があります。

頭金を多く入れるメリット

  • 借入額が減るため、総利息額が削減できる
  • 一部の金融機関では、自己資金2割以上で金利優遇がある
  • 月々の返済額が減り、家計負担が軽くなる
  • 物件価格に対する借入比率が下がり、審査に通りやすくなる

頭金を入れすぎるリスク

  • 手元の現金が減り、急な出費に対応できなくなる
  • 住宅ローン控除の恩恵が減る(借入額が減るため)
  • 低金利環境では、手元資金を運用に回した方が有利な場合も

一般的には、物件価格の1割から2割程度の頭金を入れることが推奨されています。ただし、生活防衛資金(生活費の6ヶ月から1年分)は必ず手元に残しておくべきです。

金利上昇局面だからといって、無理に頭金を多く入れる必要はありません。むしろ、手元資金を残しておき、金利が上昇した際の繰上返済や、他の支出に備えることの方が重要です。

Q8. リフォーム一体型ローンの金利は高い?

A: 中古住宅を購入してリフォームを行う場合、「リフォーム一体型ローン」を利用することで、物件購入費用とリフォーム費用をまとめて借りることができます。

リフォーム一体型ローンの金利は、通常の住宅ローンよりも年0.1%から0.3%程度高めに設定されることが一般的です。これは、リフォーム工事の内容や金額の審査が必要になるため、金融機関の手間が増えることが理由です。

ただし、物件購入用の住宅ローンとリフォーム用のローンを別々に組むよりは、一体型の方が総コストを抑えられることが多いです。リフォームローン単体だと金利が年2%から4%程度と高く設定されているため、住宅ローンと一体化することで、低い金利でリフォーム費用も借りられるメリットがあります。

中古物件+リフォームを検討されている方は、リフォーム一体型ローンを提供している金融機関を選ぶことをおすすめします。

10まとめ|2025年の住宅ローン金利、賢い選択のための3ステップ

ここまで、住宅ローン金利について詳しくご説明してきました。最後に、賢い住宅ローン選びのための3つのステップをまとめます。この3ステップに沿って進めていただければ、ご自身に最適な住宅ローンを見つけることができるはずです。

STEP1:金利動向を理解する

2025年12月現在、住宅ローン金利は緩やかな上昇局面にあります。日銀の金融政策正常化に伴い、今後も段階的に金利が上昇していく可能性が高いと予測されています。

変動金利

当面は0.3%台から0.6%台で推移すると予想されますが、2026年末には0.5%台から0.8%台程度まで上昇する可能性があります。短期プライムレートの動向を注視し、日銀の政策金利の変更があれば、それに連動して変動する見込みです。

固定金利・フラット35

長期金利(10年国債利回り)の動向次第ですが、2026年には現在の1.2%から1.8%程度から、1.5%から2.0%程度まで上昇する可能性があります。ただし、日銀は急激な金利上昇を避けるために市場介入を行うと考えられるため、極端な上昇は考えにくい状況です。

この金利動向を踏まえると、今は「借り時」と言える状況です。今後さらに金利が上昇する可能性が高いため、低金利のうちに借入を実行することで、長期的なメリットを享受できます。ただし、物件価格とのバランスも考慮し、無理のない借入額に設定することが重要です。

STEP2:自分に合った金利タイプを選ぶ

金利タイプの選択は、ご自身のライフプランとリスク許容度によって決まります。以下の判断基準を参考にしてください。

変動金利が向いている方

繰上返済の余力がある方(年間100万円以上)、借入期間が短い方(10~15年で完済予定)、金利が1%から2%上昇しても返済を続けられる余力がある方、リスクを理解した上で低金利のメリットを享受したい方、年収に余裕があり、返済負担率が20%以内に収まる方

10年固定が向いている方

教育費がかかる期間(お子様が小学校から高校まで)だけ固定したい方、当初10年間は返済額を安定させたい方、10年後には繰上返済で残高を大幅に減らす計画がある方、変動金利のリスクは避けたいが、全期間固定ほど高い金利は負担したくない方

フラット35(全期間固定)が向いている方

完済まで安心した返済計画を立てたい方、金利変動のリスクを避けたい方、自営業やフリーランスで民間ローンの審査が厳しい方、今後金利が大幅に上昇すると予想している方、長期にわたって収入が安定している方

ミックスローンが向いている方

変動金利の低金利メリットを享受しつつ、リスクヘッジもしたい方、どの金利タイプを選ぶか決めきれない方、長期的な視点で複数の返済戦略を組み合わせたい方

迷った場合は、ミックスローン(変動50%+固定50%など)を検討することで、リスク分散を図りながら、両方のメリットを享受することができます。

STEP3:総コストで金融機関を比較する

金利だけでなく、手数料・保証料・団信を含めた総コストで判断することが重要です。以下のステップで進めてください。

①複数の金融機関で仮審査を受ける

ネット銀行2行(auじぶん銀行、PayPay銀行、住信SBIネット銀行など)、メガバンク1行(給与振込先など)、地方銀行1行(地元で長く暮らす予定の方)、フラット35取扱機関1行(自営業の方、固定金利希望の方)。合計4~5行で仮審査を受けて、実際の適用金利と条件を比較します。仮審査は複数受けても信用情報に影響しませんので、遠慮なく比較検討してください。

②総コストを計算する

各金融機関から提示された条件をもとに、以下の項目を含めた総コストを計算します: 総返済額(元金+利息)、事務手数料、保証料、団信の特約費用、繰上返済手数料(将来的に繰上返済を行う予定の方)

3,500万円を35年で借りる場合の総コスト比較例:

項目 A銀行(変動0.4%、事務手数料2.2%、保証料なし) B銀行(変動0.5%、事務手数料定額5万円、保証料70万円)
総返済額 約37,542,000円 約38,002,860円
事務手数料 770,000円 50,000円
保証料 0円 700,000円
総コスト 約38,312,000円 約38,752,860円

この例では、A銀行の方が約44万円お得ということになります。

③最も有利な条件の金融機関を選ぶ

総コストが最も低い金融機関を第一候補とし、団信の内容、繰上返済の利便性、対面相談の可否など、金利以外の要素も含めて最終判断を行います。

④本審査を申し込む

第一候補の金融機関で本審査を申し込みます。万が一本審査で否決された場合に備えて、第二候補も用意しておくと安心です。

【最後に】今が借り時かどうかの判断

「今が借り時かどうか」は、金利動向だけでなく、以下の要素を総合的に判断する必要があります。

①金利上昇リスク vs 物件価格上昇リスク

金利が上昇するのを待っている間に物件価格が上昇してしまうと、結果的に総支払額が増えてしまいます。物件価格が安定しているうちに、低金利で借りることが賢明です。

②ライフプランとの整合性

お子様の入学時期、転勤の可能性、親の介護など、家族の事情は金利動向よりも優先されるべき要因です。「今が買い時」というのは、金利や物件価格だけでなく、ご家族のライフステージによって決まります。

③返済能力の確保

金利が1%から2%上昇した場合でも返済を続けられる余力があるかを必ず確認しましょう。返済負担率を25%以内、できれば20%以内に抑えることで、金利上昇リスクに備えることができます。

④十分な資金準備

頭金、諸費用、さらに生活防衛資金(生活費の6ヶ月から1年分)を含めた十分な資金準備ができているかを確認してください。

これらの条件が整っているのであれば、金利動向に関わらず、「今が借り時」だと判断してよいでしょう。住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つですから、焦らず慎重に、しかし過度に悩みすぎることなく、最適なタイミングで決断されることをおすすめいたします。

迷ったら、住宅金融普及協会の住宅ローンアドバイザーなど、専門家に相談することも有効です。中立的な立場から、ご自身に合った住宅ローンをアドバイスしてもらえます。

あなたに最適な住宅ローンが見つかり、素敵なマイホームライフが始まることを心よりお祈りしています。