【2025年最新】自営業・個人事業主向けおすすめ住宅ローン|審査が通りやすくなるコツや必要書類を解説

自営業や個人事業主として働く方がマイホームの購入を考えるとき、大きなハードルの一つとなるのが「住宅ローン審査」です。「収入が不安定と見なされて審査に通らないのでは?」「会社員と比べて不利だと聞いたことがある」といった不安から、夢のマイホームへの一歩をためらっている方も少なくないでしょう。

しかし、個人事業主であっても、審査のポイントを正しく理解し、計画的に準備を進めることで、住宅ローンを組むことは十分に可能です。むしろ、どのような点が評価され、何を備えれば良いのかを知ることが、審査通過への一番の近道となります。

この記事では、2025年の最新情報に基づき、自営業・個人事業主の方が住宅ローン審査を有利に進めるための具体的なコツから、おすすめの住宅ローン、申し込みに必要な書類まで、網羅的に解説します。審査への漠然とした不安を解消し、理想のマイホーム実現に向けた確実な一歩を踏み出しましょう。

この記事のポイント
  • なぜ審査が厳しい?金融機関が個人事業主の返済能力を判断する際の重要ポイントを解説
  • 審査通過の可能性を上げる!「所得」の考え方や他の借入整理など、今からできる6つの対策
  • どこで借りるのが最適?個人事業主におすすめの住宅ローンと通りやすい銀行の選び方
  • 慌てないための完全ガイド!確定申告書など、申し込みに必要な書類と手続きの流れのすべて
目次

自営業・個人事業主向けおすすめ住宅ローンランキング5選

自営業や個人事業主の方が住宅ローンを検討する際、どの金融機関を選べば良いのか迷うことは少なくありません。金融機関ごとに審査の基準や個人事業主に対する条件が異なるため、自分に合った住宅ローンを見つけることが重要です。ここでは、2025年の最新情報に基づき、自営業・個人事業主の方におすすめの住宅ローンをランキング形式で5つ紹介します。各金融機関の特徴や個人事業主向けの条件を比較し、最適な選択をサポートします。

  • 【SBI新生銀行】業歴2年から申込可能!WEB完結で忙しい方にもおすすめ
  • 【ARUHI】フラット35で審査の不安を解消!開業後まもない個人事業主の強い味方
  • 【りそな銀行】WEB審査と窓口相談のハイブリッド!メガバンクならではの安心感
  • 【住信SBIネット銀行】業界トップクラスの低金利!フラット35の選択肢も豊富
  • 【ソニー銀行】所得400万円以上なら有力候補!条件を満たせば低金利が魅力

【SBI新生銀行】業歴2年から申込可能!WEB完結で忙しい方にもおすすめ

SBI新生銀行の住宅ローンは、WEBで手続きが完結するため、日中忙しい個人事業主の方にとって利用しやすい点が大きな魅力です。メガバンクなどに比べて、個人事業主に対する申し込み条件が明確に示されており、計画を立てやすいと言えるでしょう。

この金融機関の大きな特徴は、個人事業主の申し込み条件として「業歴2年以上、かつ2年平均300万円以上の所得」を明記している点です。多くの金融機関が3年以上の業歴を求める中で、2年から申し込めるのは大きなメリットになります。金利水準も業界内で低く、魅力的な選択肢の一つです。ただし、事務手数料が借入額に対して2.2%かかる点や、所得基準が明確であるため、この条件をクリアしていることが前提となります。

項目内容
変動金利(新規)年0.680%
個人事業主の申込条件業歴2年以上、かつ2年平均300万円以上の所得(経費控除後)があること
事務手数料(税込)借入金額 × 2.2%
特徴インターネットで申込から契約まで完結、団体信用生命保険が充実

【ARUHI】フラット35で審査の不安を解消!開業後まもない個人事業主の強い味方

ARUHIは、住宅ローン専門の金融機関であり、特に全期間固定金利の「フラット35」で高い実績を誇ります。個人事業主にとって、フラット35は民間金融機関のローンに比べて審査基準が柔軟なため、非常に心強い選択肢となります。

その理由は、フラット35の審査では、直近1期分の確定申告書で所得を判断されるケースが多く、事業を始めてから日が浅い方でも申し込みやすいからです。ARUHIはフラット35の取り扱いシェアが高く、ノウハウが豊富なので、個人事業主特有の状況にもスムーズに対応してくれることが期待できます。また、「ARUHIスーパーフラット」のように、頭金を多く用意することでさらに金利が低くなる独自商品も提供しています。ビデオチャットでの相談も可能なため、店舗に行かなくても専門家のアドバイスを受けられる点もメリットです。

項目内容
金利(ARUHIスーパーフラット)年1.870%~(自己資金1割以上2割未満)
個人事業主の申込条件申込年度の前年分の所得で審査(確定申告の実績が必要)
事務手数料(税込)借入金額 × 2.2%
特徴フラット35の取り扱い実績が豊富、審査基準が柔軟、ビデオチャット相談が可能

【りそな銀行】WEB審査と窓口相談のハイブリッド!メガバンクならではの安心感

りそな銀行は、都市銀行の一角として全国に店舗網を持ち、対面での手厚いサポートを受けられるのが特徴です。WEBから事前審査の申し込みができる手軽さと、店舗で直接相談できる安心感を両立させています。

個人事業主の場合、確定申告書の内容が複雑であったり、事業内容を直接説明した方が有利に進むケースもあります。そのようなときに、りそな銀行のように窓口で相談できる金融機関は非常に頼りになります。もちろん都市銀行であるため審査は決して甘くはありませんが、日頃から事業用の口座として取引がある場合などは、取引状況が考慮されて審査にプラスに働く可能性も考えられます。金利も他の都市銀行と比較して魅力的な水準であり、信頼性と利便性を重視する方におすすめです。

項目内容
変動金利(新規)年0.640%
個人事業主の申込条件安定した収入があること(通常、3年以上の事業実績が望ましい)
事務手数料(税込)借入金額 × 2.2%
特徴WEBでの事前審査と店舗での対面相談が可能、取引状況が審査に考慮される可能性

【住信SBIネット銀行】業界トップクラスの低金利!フラット35の選択肢も豊富

住信SBIネット銀行は、ネット銀行ならではの業界トップクラスの低金利が最大の魅力です。住宅ローンの諸費用を含めても、総返済額を抑えられる可能性が高いでしょう。

個人事業主が申し込む際には、原則として直近3年分の所得証明関係書類が必要となるため、安定した事業実績が求められます。しかし、その基準をクリアできる方にとっては、非常に有利な条件で借り入れが可能です。また、通常の住宅ローンだけでなく「フラット35」の取り扱いもあるため、自身の状況に合わせて商品を選べる点も強みです。団体信用生命保険の保障内容が充実していることでも知られており、万が一の備えを重視する方にも適しています。

項目内容
変動金利(新規)年0.698%~(通期引下げプラン、頭金20%以上)
個人事業主の申込条件安定継続した収入があること(通常、直近3期分の確定申告書が必要)
事務手数料(税込)借入金額 × 2.2%
特徴業界最低水準の金利、団信の保障が手厚い、フラット35も取り扱い

【ソニー銀行】所得400万円以上なら有力候補!条件を満たせば低金利が魅力

ソニー銀行の住宅ローンは、申し込みの条件として「前年度の申告所得もしくは直近3期分の平均申告所得のいずれか低い所得が400万円以上」という明確な基準を設けているのが特徴です。

この基準はやや高く感じるかもしれませんが、これをクリアできる安定した収益のある個人事業主にとっては、非常に有利な住宅ローンとなり得ます。なぜなら、金融機関側がリスクの低い優良な顧客と判断し、その分、低金利を提供しているからです。申し込み条件が明確であるため、自分が対象になるかどうかを事前に判断しやすいのもメリットと言えます。事業が軌道に乗り、高い所得を安定して確保できている方であれば、ぜひ検討したい金融機関の一つです。

項目内容
変動金利(新規)年0.897%~(変動セレクト住宅ローン)
個人事業主の申込条件前年度の申告所得等が400万円以上あること
事務手数料(税込)借入金額 × 2.2%(変動セレクト住宅ローン)
特徴所得基準は高いが、条件を満たせば低金利、審査が早いと評判

自営業・個人事業主の住宅ローン審査はなぜ通りにくい?金融機関が重視する5つのポイント

自営業や個人事業主が住宅ローンを申し込むと、「会社員よりも審査が厳しい」と耳にすることがあります。これは、金融機関が返済能力を判断する際の評価基準が、給与所得者とは異なるためです。将来にわたって安定的に返済を続けられるかという視点から、収入の安定性や事業の継続性などがより慎重に評価されます。この章では、なぜ審査が厳しくなるのか、その理由と金融機関が特に重視する5つのポイントを具体的に解説していきます。

  • 収入の安定性が鍵!会社員との評価の違いとは
  • 審査では「年収」ではなく「所得」がみられる理由
  • 最低3年分は必須?事業の継続性と黒字経営の実績
  • 自己資金(頭金)の準備と返済負担率の関係性
  • 意外な落とし穴!個人信用情報と税金の支払い状況

収入の安定性が鍵!会社員との評価の違いとは

住宅ローン審査で最も重要視されるのは、将来にわたる返済能力の安定性です。会社員の場合、企業に雇用されており、毎月決まった給与が支払われるため、収入の安定性が高いと評価されます。勤務先の規模や勤続年数によって、その安定性はさらに客観的に証明されることになります。

一方で個人事業主は、事業の業績や景気、自身の健康状態などが収入に直接影響します。たとえある年の収入が高くても、翌年も同じ収入が保証されているわけではありません。このように言うと、収入の変動リスクが大きいと見なされるため、金融機関は審査をより慎重に行うのです。このため、一時的な収入の高さよりも、長期間にわたって安定した収入を得られているかが厳しく問われます

審査では「年収」ではなく「所得」がみられる理由

個人事業主の審査で注意すべき点は、売上である「年収(収入金額)」ではなく、経費を差し引いた後の「所得金額」が審査の基準になることです。例えば、年間の売上が1,000万円あっても、仕入れや事務所の家賃などの経費が700万円かかっていれば、所得は300万円として評価されます。

これは、実際に返済に充てることができる金額は、事業を維持するための経費を支払った後の利益(所得)であると金融機関が考えるためです。普段、事業の規模を示すために「年商」や「売上」を意識している方も多いと思いますが、住宅ローンの審査においては、確定申告書に記載された所得金額が自身の返済能力を示す数値となることを理解しておく必要があります。

最低3年分は必須?事業の継続性と黒字経営の実績

前述の通り、個人事業主は収入が不安定と見なされがちです。そのため、金融機関はその不安定さを補うための客観的な証拠として、過去の事業実績を重視します。具体的には、直近3期分(3年分)の確定申告書の提出を求められるのが一般的です。

ここで重要なのは、単に3年間事業を続けているだけでなく、その3年間、所得が連続して黒字であることです。もし1期でも赤字があれば、事業の安定性に疑問符が付き、審査通過は極めて難しくなります。また、3期連続で黒字であっても、所得額に大きな波がある場合は評価が下がることもあります。金融機関は、継続的に安定した利益を生み出す事業運営能力があるかどうかを見ているのです。

自己資金(頭金)の準備と返済負担率の関係性

自己資金、いわゆる頭金をどのくらい準備できるかも、審査における重要な評価ポイントです。頭金を多く用意できるということは、計画的に貯蓄ができる堅実性を示す証明になります。

さらに重要なのは、頭金を入れることで住宅ローンの借入額が減り、「返済負担率」を下げられる点です。

返済負担率とは
所得に占める年間のローン返済額の割合のことで、この数値が低いほど無理のない返済計画と判断されます。

一般的に、この返済負担率は20%~25%以下が理想とされています。個人事業主は所得が変動する可能性があるため、この返済負担率をできるだけ低く抑えることが、審査を有利に進める上で非常に効果的です。

意外な落とし穴!個人信用情報と税金の支払い状況

住宅ローンの審査では、申込者の信用情報が必ず照会されます。信用情報には、クレジットカードの支払いや他のローンの返済状況などが記録されており、過去に延滞などの履歴があると「約束を守れない人」と判断され、審査に大きなマイナスの影響が出ます。

また、個人事業主特有の注意点として、所得税や住民税、国民健康保険料などの税金・社会保険料の納付状況もチェックされます。会社員は給与から天引きされるため未納は起こりにくいですが、個人事業主は自身で納付するため、うっかり払い忘れることも考えられます。たとえ少額であっても未納があると、住宅ローンの返済も滞る可能性があると見なされかねません。申し込み前には、必ずすべての支払いが完了しているか確認しましょう。

審査通過率アップ!「自営業でも住宅ローンに通った」人が実践する6つのコツ

自営業や個人事業主であっても、ポイントを押さえて対策をすれば、住宅ローンの審査に通る可能性は十分にあります。審査が厳しいと言われる背景を理解した上で、金融機関に「この人なら安心して融資できる」と判断してもらうための具体的な準備が重要です。この章では、実際に審査を通過した人が実践している、審査通過率をアップさせるための6つの具体的なコツを紹介します。これから申し込みを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

  • 住宅ローン申込を見据えた所得額の調整と節税対策
  • 申込前に他のローンを完済し返済負担率を改善する
  • 借入希望額を抑えるための頭金の重要性
  • 夫婦で協力!ペアローンや収入合算を活用する方法
  • 物件の担保価値も重要!購入物件の選び方
  • 団体信用生命保険(団信)加入に向けた健康管理

住宅ローン申込を見据えた所得額の調整と節税対策

住宅ローンの審査を通過するためには、返済能力、つまり所得額を高く見せることが非常に重要です。個人事業主にとって節税は大切な経営戦略ですが、住宅ローンの申し込みを控えている時期は、少し戦略を変える必要があります。

節税よりも所得額を優先する

個人事業主は経費を計上することで所得を圧縮し、所得税や住民税を抑えることが可能です。しかし、これは住宅ローンの審査においては不利に働きます。なぜなら、審査では経費を差し引いた後の「所得金額」が評価基準となるからです。

もし住宅購入を具体的に考えているのであれば、少なくとも審査前の1年から3年は、過度な経費計上を控えることをおすすめします。例えば、交際費や消耗品費など、調整可能な経費を一時的に減らすことで、確定申告上の所得額を増やすのです。もちろん、その分納税額は増えますが、これは希望の住宅ローンを組むための「必要経費」と捉える見方もできます。

過去の申告内容を見直す「修正申告」という方法

「すでに行なった確定申告の所得が低すぎて、このままでは審査に通らないかもしれない」と不安に思う方もいるでしょう。その場合、「修正申告」という手続きを利用して、過去の申告内容を修正し、所得額を増やす方法があります

修正申告とは
過去の確定申告で計上した経費の一部を取り消すなどして、所得金額を高く修正する手続きです。法定申告期限から5年以内であれば可能です。

注意点もあります。所得が増えるため、追加で税金を納める必要があり、さらに延滞税もかかります。コストはかかりますが、どうしても所得額が足りない場合の最終手段として、このような方法があることも知っておくとよいでしょう。

申込前に他のローンを完済し返済負担率を改善する

住宅ローンの審査では、申込者のすべての借入状況が考慮されます。マイカーローンやカードローン、事業用の借入などが残っている場合、それらの年間返済額も合算して返済負担率が計算されます

この返済負担率が高ければ高いほど、審査は不利になります。そのため、住宅ローンの申し込みをする前に、できる限り他の借入は完済しておくことが理想的です。もし完済が難しい場合でも、繰り上げ返済を利用して残高を減らしておくだけで、返済負担率が下がり、審査に良い影響を与えます。借入の件数自体も少ない方が心証が良いため、複数の借入がある場合は、少額のものから整理していくとよいでしょう。

借入希望額を抑えるための頭金の重要性

前述の通り、頭金を多く用意することは、審査通過の可能性を高める上で非常に効果的です。借入希望額が少なくなれば、金融機関にとって貸し倒れのリスクが減少し、審査に通りやすくなります。

また、十分な頭金を用意できるということは、計画的に資金を管理できる能力があることの証明にもなります。これは、収入が変動しやすい個人事業主にとって、安定性や信頼性をアピールする強力な材料となるのです。理想としては物件価格の2割程度の頭金を用意できると、審査が有利に進むだけでなく、その後の返済も楽になります。少しでも多くの自己資金を準備しておくことが、夢のマイホームへの近道です。

夫婦で協力!ペアローンや収入合算を活用する方法

もし配偶者に安定した収入がある場合、一人でローンを組むのではなく、夫婦で協力する方法を検討するのも一つの手です。主な方法として「ペアローン」と「収入合算」があります。

ペアローンとは
夫婦それぞれが住宅ローンを契約する方法です。二人分の借入額を合計できるため、一人で申し込むよりも高額の融資を受けられる可能性があります。

収入合算とは
主債務者である申込者の収入に、配偶者の収入を加えて審査を受ける方法です。これにより、世帯としての返済能力が高いと評価され、審査に通りやすくなります。

どちらの方法も、配偶者が会社員や公務員であれば、収入の安定性の面で大きなプラス評価が期待できます。

物件の担保価値も重要!購入物件の選び方

住宅ローンでは、購入する物件そのものも審査の対象となります。金融機関は、万が一返済が滞った場合に備えて、物件を担保にとります。そのため、担保としての価値が高い物件であるほど、審査に通りやすくなる傾向があります

例えば、立地が良く、資産価値が落ちにくいとされる物件や、築年数が浅く建物の状態が良い物件は、担保価値が高いと評価されます。逆に、あまりに古い物件や、特殊な形状の土地、再建築が難しい物件などは、担保価値が低いと判断され、融資額が減額されたり、審査に通らなかったりする場合があります。物件選びの際には、自身の希望だけでなく、金融機関から見た「担保価値」という視点も持っておくとよいでしょう。

団体信用生命保険(団信)加入に向けた健康管理

ほとんどの民間金融機関の住宅ローンでは、「団体信用生命保険(団信)」への加入が契約の必須条件となっています。団信は生命保険の一種であり、加入するためには健康状態の告知が必要です。

もし持病や既往症がある場合、団信に加入できず、結果として住宅ローンを組めないという事態に陥る可能性があります。個人事業主は会社員と違い、福利厚生としての傷病手当金などがないため、自身の健康が事業と生活に直結します。住宅ローンの申し込みを検討する際は、自身の健康状態が良いタイミングを選ぶことも大切です。日頃から健康管理に気を配ることが、住宅ローン審査の思わぬ関門を突破する鍵となります。

【2025年最新】自営業・個人事業主におすすめな住宅ローンの種類と金融機関の選び方

個人事業主が住宅ローンを組む際には、どの金融機関のどの商品を選ぶかが非常に重要です。金融機関によって審査の基準や個人事業主への対応は大きく異なります。「自営業だから」と一括りにせず、自分に合ったローンを見つけることで、審査通過の可能性は格段に上がります。この章では、個人事業主にとって有力な選択肢となる「フラット35」の特徴から、審査に通りやすいと言われる銀行の選び方、そして審査でみられる年収の考え方まで、具体的な選び方のポイントを解説します。

  • 個人事業主ならまず検討したいフラット35
  • ネット銀行も有力候補!自営業でも住宅ローンの審査に通りやすい銀行の特徴
  • 取引実績で有利に?地方銀行や信用金庫への相談
  • 審査に通る具体的な年収の目安は?
  • 複数の金融機関へ事前審査を申し込むメリットとは

個人事業主ならまず検討したいフラット35

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。個人事業主の方に特におすすめされる理由がいくつかあります。

最大の理由は、民間金融機関の住宅ローンに比べて審査の基準が柔軟である点です。例えば、審査に必要な事業実績が直近1期分の確定申告で済む場合があり、開業して間もない方でも申し込める可能性があります。また、審査では所得の金額に対する返済負担率の基準が明確に公表されており、自分で借入可能額の目安を立てやすいのも特徴です。さらに、団信への加入が任意であるため、健康上の理由で民間ローンを組めなかった方でも利用できる可能性があります。ただし、金利が変動金利に比べて高めであることや、物件が一定の技術基準を満たす必要がある点には注意が必要です。

ネット銀行も有力候補!自営業でも住宅ローンの審査に通りやすい銀行の特徴

近年、低金利で人気を集めているのがネット銀行の住宅ローンです。ネット銀行は店舗を持たない分、コストを抑え、その分を低い金利で提供しています。個人事業主に対しても、申し込み条件を明確にウェブサイトで公開している場合が多く、SBI新生銀行のように「業歴2年以上、平均所得300万円以上」といった具体的な基準を示しているところもあります。

このような金融機関は、基準さえ満たしていれば、会社員と個人事業主を公平に審査してくれる傾向があります。また、すべての手続きがオンラインで完結するため、忙しい個人事業主にとっては大きなメリットです。ただし、対面での相談ができないため、書類の準備などをすべて自分で行う必要があります。

取引実績で有利に?地方銀行や信用金庫への相談

日頃から事業用の口座として利用している地方銀行や信用金庫に相談してみるのも、有効な手段の一つです。国土交通省の調査によれば、多くの金融機関が住宅ローンの審査において「申込人との取引状況」を重視しているというデータがあります。

長年にわたり事業資金の入出金などで取引があれば、金融機関側もあなたの事業の状況をある程度把握しています。確定申告書の数字だけでは見えない事業の安定性や将来性を、取引実績を通じてアピールできる可能性があるのです。担当者と直接話すことで、数字だけでは伝わらない熱意や事業計画を伝える機会も得られるかもしれません。必ずしも審査が甘くなるわけではありませんが、検討してみる価値は十分にあります。

審査に通る具体的な年収の目安は?

多くの金融機関では、住宅ローンを申し込むための年収(所得)の基準を設けています。例えば、「前年度年収200万円以上」や「300万円以上」といった条件です。ここで繰り返しになりますが、個人事業主の場合はこの「年収」が「所得」を指すことを忘れてはいけません。

フラット35のように、年収400万円未満であれば返済負担率30%以内、400万円以上であれば35%以内と明確な基準がある場合もあります。一つの目安として、安定して300万円以上の所得を3年間継続して確保できていると、選択肢が大きく広がると考えてよいでしょう。もちろん、これはあくまで一般的な目安であり、他の借入状況や頭金の額によって必要な所得は変わってきます。

複数の金融機関へ事前審査を申し込むメリットとは

住宅ローンを検討する際には、最初から一つの金融機関に絞らず、複数の金融機関に「事前審査」を申し込むことを強くおすすめします。事前審査とは、本審査の前に行う簡易的な審査で、自分がどのくらいの金額を借りられそうかの目安を知ることができます。

複数の金融機関に申し込むことで、金利や手数料などの条件を比較検討できるだけでなく、審査に通る確率を高めることにも繋がります。なぜならば、金融機関によって審査基準は異なるため、A銀行では通らなくてもB銀行では通る、というケースは珍しくないからです。万が一の事態に備えるリスク管理の観点からも、複数の選択肢を持っておくことは非常に重要です。

申込み前に完璧な準備を!自営業・個人事業主の住宅ローン必要書類ガイド

住宅ローンの申し込みは、多くの書類を準備する必要があり、特に個人事業主の場合は会社員よりも提出を求められる書類が多くなります。審査をスムーズに進めるためには、何が必要なのかを事前に正確に把握し、漏れなく準備しておくことが不可欠です。この章では、申し込みに必要な書類を具体的にリストアップし、それぞれの書類がなぜ必要なのか、そして準備する上での注意点などを詳しく解説します。万全の準備で、自信を持って審査に臨みましょう。

  • これだけは揃えたい!自営業が用意する必要書類のチェックリスト
  • 収入証明の基本!確定申告書(3期分)と納税証明書
  • 本人確認書類・物件関連資料で必要なもの一覧
  • 事業用の借入がある場合に別途求められる書類
  • 申し込みから融資実行までの流れと期間の目安
  • 自宅兼事務所の場合に注意すべき点と住宅ローン控除の条件

これだけは揃えたい!自営業が用意する必要書類のチェックリスト

個人事業主が住宅ローンを申し込む際に必要となる書類は、大きく分けて「本人確認書類」「収入証明書類」「物件関連書類」の3つです。会社員の場合は収入証明として源泉徴収票や住民税決定通知書を提出しますが、個人事業主の場合はこれらが確定申告書一式に変わります。この点が最も大きな違いです。金融機関や申し込むローンによって詳細は異なりますが、一般的に以下の書類が必要になると考えて準備を進めるとスムーズです。

書類の種類具体的な書類名
本人確認書類運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、健康保険証、住民票の写しなど
収入証明書類確定申告書(第一表、第二表)の控え(直近3期分)、所得税納税証明書(その1・その2)(直近3期分)、青色申告決算書または収支内訳書
物件関連書類売買契約書、重要事項説明書、工事請負契約書(建築の場合)、物件のパンフレット、登記事項証明書(登記簿謄本)など

収入証明の基本!確定申告書(3期分)と納税証明書

個人事業主の返済能力を証明する最も重要な書類が、確定申告書と納税証明書です。多くの金融機関では、事業の安定性を確認するために直近3期分(3年分)の提出を求めます。確定申告書の控えには、税務署の受付印が押されているか、e-Taxで申告した場合は受信通知(メール詳細)が必要です。

また、申告内容が正しいことを証明するために、所得税の納税証明書の提出も求められます。納税証明書には種類がありますが、主に所得額を証明する「その2」と、納税額を証明する「その1」が必要です。これらは管轄の税務署で取得できます。これらの書類で、金融機関はあなたの所得の推移と、税金をきちんと納めているかを確認するのです。

本人確認書類・物件関連資料で必要なもの一覧

本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの公的な証明書が必要です。金融機関によっては、健康保険証と住民票の写しの両方を求められることもあります。

物件関連の書類は、購入する物件がどのようなものかを金融機関が把握し、担保価値を評価するために必要です。不動産会社から受け取る売買契約書や重要事項説明書、物件のパンフレットや間取り図などを準備します。新築の場合は工事請負契約書や建築確認済証も必要です。これらの書類は契約が進むにつれて揃っていくものなので、不動産会社の担当者と連携しながら準備を進めましょう。

事業用の借入がある場合に別途求められる書類

もし事業用の設備投資などで別途借入がある場合は、その返済予定表や残高がわかる書類の提出を求められることがあります。これは、住宅ローン以外の返済額も考慮して、総返済負担率を正確に計算するためです。

事業用の借入があることを隠して申し込むことはできません。信用情報を照会すればすぐに分かってしまいますし、虚偽の申告は審査に落ちる最大の原因となります。正直に申告し、事業が順調で返済に問題がないことを説明することが重要です。

申し込みから融資実行までの流れと期間の目安

住宅ローンの手続きは、一般的に「事前審査」→「本審査」→「ローン契約」→「融資実行(決済)」という流れで進みます。個人事業主の場合、審査に時間がかかることもあるため、スケジュールには余裕を持っておきましょう。

事前審査は数日から1週間程度で結果が出ることが多いです。本審査は、提出書類が多く、審査も慎重に行われるため、2週間から1ヶ月程度かかるのが一般的です。本審査に通ったら、金融機関と金銭消費貸借契約を結び、物件の引き渡し日に融資が実行されます。申し込みから融資実行まで、全体で1ヶ月半から2ヶ月程度を見込んでおくと安心です。

自宅兼事務所の場合に注意すべき点と住宅ローン控除の条件

自宅の一部を事務所や店舗として利用する「自宅兼事務所」を住宅ローンで購入する場合、いくつか注意点があります。住宅ローンは、あくまで申込者が居住するための住宅を取得するためのローンです。そのため、事業用スペースの割合が大きいと、ローンの対象外となる場合があります。多くの金融機関では、建物の床面積のうち居住部分が50%以上であることを条件としています。

また、年末のローン残高に応じて所得税などが控除される「住宅ローン控除」も利用できますが、控除の対象となるのは居住用部分のみです。事業用部分は対象外となるため、床面積に応じて按分計算する必要があります。この点も理解した上で、資金計画を立てることが大切です。

自営業・個人事業主向け住宅ローンのまとめ

この記事では、自営業・個人事業主の方が住宅ローンを組む際の審査のポイント、通過しやすくなるためのコツ、おすすめの金融機関、そして必要な書類について詳しく解説しました。

個人事業主の住宅ローン審査は、収入の安定性や事業の継続性といった観点から、会社員に比べて慎重に判断される傾向があります。しかし、「審査に通りにくい」というのは、決して「通らない」という意味ではありません。

金融機関が何を重視しているのかを正しく理解し、所得を意識した確定申告や頭金の準備、他の借入の整理など、計画的に対策を進めることで、審査通過の可能性を大きく高めることができます。フラット35やネット銀行など、個人事業主に適した選択肢も増えています。

最終的に大切なのは、早めに情報収集を始め、自分の状況に合った金融機関を選び、万全の準備で審査に臨むことです。

・本ページは参考情報の提供を目的としています。
・掲載商品、金利情報等は各金融機関ホームページの掲載情報をもとに作成しております。詳細は各金融機関のホームページからご確認をお願いいたします。
・各金融機関の商品改定やキャンペーンの実施、金利更新のタイミング等により、本ページに掲載された金利情報が最新でない場合があります。
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・利用者と各金融機関等との契約の成否、内容、履行または紛争等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。

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