暗号資産の所得計算で難しいのは、売却額ではなく、売った数量に対応する取得価額を求める部分です。
同じ銘柄を複数回買った場合は、総平均法または移動平均法で一単位当たりの取得価額を計算します。
年間の取引を集め、銘柄ごとに数量と円換算額をそろえてから所得を求めます。
年間取引報告書などの取得条件は、暗号資産取引所17社の比較ページで比較できます。
| 計算項目 | 含めるもの |
|---|---|
| 収入金額 | 売却、交換、決済時の円換算価額など |
| 取得価額 | 売却した数量に対応する購入代金と購入費用 |
| 必要経費 | 収入を得るため直接要した費用など |
| 所得 | 収入金額から取得価額と必要経費を差し引く |
利益計算の3要素
売却所得の基本式は、売却価額から売却した暗号資産の取得価額と売却に直接要した費用を差し引く形です。
売却額全体を所得として入力しません。
国税庁の暗号資産を使用した場合の課税関係は、利益が生じた場合の所得区分を示しています。
国税庁の暗号資産FAQでは、取得価額と売却価額を使った具体的な計算を確認できます。
取得時と売却時の手数料をどこへ含めたかが重複しないようにします。
購入手数料を取得価額へ含めたなら、売却時にもう一度必要経費として差し引きません。
総平均法と移動平均法
複数回取得した同一銘柄の単価は、評価方法によって変わります。
| 比較項目 | 総平均法 | 移動平均法 |
|---|---|---|
| 単価を求める時期 | 年間の取得をまとめて計算 | 取得のたびに計算 |
| 年中の単価 | 年末まで確定しにくい | 取得のたびに更新される |
| 個人の原則 | 法令上の原則的な方法 | 期限までの届出で選択 |
| 記録負担 | 年間集計が中心 | 時系列の継続計算が必要 |
国税庁FAQの評価方法に関する説明では、個人の暗号資産評価方法について総平均法と移動平均法が示されています。
国税庁の暗号資産評価方法の届出手続で、届出期限や提出先を確認できます。
過去に選んだ方法が分からない場合は、以前の申告書、届出控え、計算ファイルを確認します。
都合のよい単価になるよう取引ごとに方法を切り替えません。
売却と交換の計算例
一単位を30万円、購入手数料3,000円で取得したと仮定します。
取得価額は30万3,000円、一単位当たりも30万3,000円です。
このうち0.4単位を20万円で売り、売却手数料が2,000円なら、対応する取得価額は12万1,200円です。
所得は20万円から12万1,200円と2,000円を差し引いた7万6,800円になります。
これは計算方法を示す仮定例です。
暗号資産Aを暗号資産Bへ交換した場合も、Aの譲渡として所得を計算する場合があります。
国税庁FAQの暗号資産交換例は、交換時に取得した暗号資産の時価を基に収入金額を求める考え方を示しています。
国税庁の暗号資産計算書も使い、銘柄ごとの年間数量と取得価額を整理します。
交換後のBについては、交換時に用いた円換算価額が新しい取得価額の基礎になります。
Aの譲渡計算だけで終わらず、Bを後日売るための取得記録も残します。
手数料と必要経費
売買手数料、送付手数料、計算サービス料などは、取引との直接的な関係や使用目的を確認します。
私的利用と混在する費用は、全額を自動で必要経費にしません。
確定申告書等作成コーナーの暗号資産入力案内は、計算した収入金額と必要経費を入力する流れを示しています。
e-Taxの雑所得その他の入力案内で入力欄と記載項目を確認できます。
集計表には、費用名、金額、発生日、対象取引、計算上の扱いを残します。
税務上の判断が難しい費用は、領収書と用途を保管して税務署や税理士へ確認します。
暗号資産の税金計算に関するよくある質問
暗号資産の取得価額が分からない場合はどうしますか?
取引所の履歴、銀行の入出金、メール、ウォレット履歴を突き合わせて合理的に復元します。
国税庁FAQには取得価額が分からない場合の取扱いも示されていますが、最初から概算へ頼らず客観資料を探します。
使った根拠と計算過程を保存します。
総平均法と移動平均法は毎年変えられますか?
評価方法の選定や変更には届出と期限があり、申告時に自由に選び直すものではありません。
国税庁の評価方法届出手続で対象者、提出時期、変更手続を確認します。
過去の届出が不明なら所轄税務署へ相談します。
暗号資産の送金手数料は必要経費になりますか?
売却や交換のために直接要した送金手数料などは、所得計算との関係を検討します。
自己のウォレット間移動や私的利用を含む場合は扱いが異なる可能性があります。
対象取引、数量、円換算額を記録し、取得価額との二重計上を避けます。
計算結果を取引履歴から再現できる状態にする
税金計算は最終所得額だけでなく、その数字がどの売買、交換、費用からできたかを説明できることが重要です。
銘柄別の数量照合と評価方法を固定すると再計算しやすくなります。
- 収入金額、取得価額、必要経費を分けます。
- 同一銘柄の評価方法を確認します。
- 交換では渡した資産の所得も計算します。
- 取得時と売却時の手数料を重複させません。
- 計算ファイルと元の取引履歴を一緒に保存します。
計算した所得が少額の場合の申告判定は、暗号資産で20万円以下でも申告が必要になるケースで条件ごとに確認できます。

