「トークン」と書かれた商品が、ビットコインのような暗号資産なのか、株式やファンドに近い投資商品なのかは、名称だけでは分かりません。
法律上は、技術ではなく、購入者が得る権利と取引の仕組みを見ます。
現行制度では、暗号資産の現物、事業収益の分配などを受ける電子記録移転権利、暗号資産価格を参照するデリバティブは別の区分です。
金融商品取引法の適用を確認する際は、トークンが何を表しているかを発行資料で確かめます。
現物取引所の条件は、暗号資産取引所17社の比較ページで比較できます。
| 区分 | 購入者が得るもの | 主に確認する制度 |
|---|---|---|
| 現物暗号資産 | 台帳上で移転できる財産的価値 | 資金決済法 |
| 電子記録移転権利 | 収益分配などの権利 | 金融商品取引法 |
| 暗号資産デリバティブ | 価格変動による差金 | 金融商品取引法 |
現物暗号資産と投資型トークンは区分が違う
e-Gov法令検索の資金決済法で定義される暗号資産は、不特定の者に対する代価の弁済や交換に使用でき、電子的に移転できる財産的価値などの要件で判断されます。
ビットコインなどの現物売買を提供する暗号資産交換業は、この枠組みが基本です。
一方、金融庁の監督指針は、電子記録移転権利が資金決済法上の暗号資産には該当しないと説明しています。
同じブロックチェーン技術を使っていても、投資家が事業から収益分配を受ける権利なら金融商品取引法上の有価証券として扱われる場合があります。
暗号資産の名称を付けたことや取引所で売買できることだけで、法的区分は決まりません。
電子記録移転権利は中身の権利で判断する
金融庁の投資運用業等登録手続ガイドブックは、集団投資スキーム持分などの権利がブロックチェーン等で移転可能な財産的価値に表示される場合、電子記録移転権利となり得ることを説明しています。
たとえば、二つのトークンを比較します。
| 事例 | 確認する中身 |
|---|---|
| 店舗で決済に使えるトークン | 償還、発行者、利用範囲、暗号資産該当性 |
| 不動産事業の利益を分配するトークン | 出資契約、分配権、償還、譲渡方法 |
後者は「コイン」と呼ばれていても、事業へ出資し利益分配を受ける構造なら有価証券性を検討します。
e-Gov法令検索の金融商品取引法で定義を確認し、発行者と販売業者の登録も見ます。
国内市場で扱われる例は日本取引所グループのセキュリティトークン案内でも確認できます。
暗号資産デリバティブは現物と別に確認する
暗号資産の価格上昇や下落を対象に差金決済するレバレッジ取引では、現物暗号資産を自分のウォレットへ出庫できない場合があります。
この取引は暗号資産関連デリバティブとして金融商品取引法の規制対象です。
金融庁の暗号資産関連デリバティブに関する監督指針では、業者の登録、勧誘、リスク管理などの監督上の留意点が示されています。
利用者は次の違いを確認します。
- 現物を受け取れるか
- 証拠金を超える損失の可能性があるか
- ロスカットの条件は何か
- 取引相手と資産管理者は誰か
- 登録区分と登録番号は何か
価格表示が同じでも、現物購入と差金決済では負うリスクが異なります。
名称ではなく得られる権利を見る
トークンを買う前に、ホワイトペーパーだけでなく契約上の権利を確認します。
- 発行者と販売者の法人名を特定する。
- 保有者が受け取る分配、償還、議決権を確認する。
- 売買、払戻し、譲渡制限の条件を見る。
- 適用法に応じた業者登録を確認する。
- 破綻時にどのような請求権が残るかを読む。
2026年成立の改正法については、金融庁の国会提出法案一覧と改正法案の概要で成立と内容を確認し、施行前の規定を現行法として扱いません。
暗号資産と金融商品取引法に関するよくある質問
暗号資産はすべて金融商品取引法の対象ですか?
資金決済法の暗号資産定義と金融商品取引法の定義を分けて読むと、現行制度で、すべての現物暗号資産が金融商品取引法上の有価証券になるわけではありません。
現物交換業は資金決済法が基本で、価格を参照するデリバティブや一定の投資型トークンには金融商品取引法が関係します。
セキュリティトークンと暗号資産の違いは何ですか?
金融庁の電子記録移転権利の説明を踏まえると、一般にセキュリティトークンは、社債、株式、ファンド持分などの有価証券上の権利を電子的に表示したものを指します。
暗号資産は決済や交換に使える財産的価値として定義され、収益分配権を当然に含むものではありません。
トークンを買う前に何を確認すべきですか?
名称や値上がり予想より先に、発行者、得られる権利、資金使途、償還条件、譲渡制限、販売業者の登録を確認します。
説明資料に具体的な契約条件がなく、紹介報酬や短期利益だけを強調する商品には送金しないでください。
技術名より契約上の権利を優先する
ブロックチェーン上にあるという共通点だけでは、暗号資産、電子記録移転権利、デリバティブを同じ制度で扱えません。
購入者が何を受け取り、誰に何を請求できるかを基準にします。
- 現物暗号資産は資金決済法の枠組みが基本です。
- 投資型トークンは電子記録移転権利に当たる場合があります。
- 暗号資産デリバティブは金融商品取引法の対象です。
- サービス名ではなく契約上の権利を確認します。
- 成立済み改正法は施行日まで追います。
事業として保有する判断は、法人で暗号資産を保有するメリットと注意点で整理できます。

