「スワップポイントで毎日お金が入ると聞いた。でも1万通貨でいくらなのか、どうやって計算するのかが分からない」
こういった疑問に答えます。
スワップポイントとは、2つの通貨の金利差を日々受け払いする仕組みのこと。ヒロセ通商が2026年7月22日に公表した値を1万通貨あたりに直すと、米ドル/円の買いは1日160円、売りは1日190円の支払いになります。受け取る額より払う額のほうが大きく、その差は1日で30円。この非対称が、スワップを考えるときの出発点です。
そもそもFXの損益がどう決まるのかから確かめたい方は、FXの仕組みを初心者向けに解説した記事を先に読むと数字が入りやすくなります。スワップの水準も公表の仕方も会社ごとに違うため、口座の条件を並べて見ておきたい方は主要FX会社の比較ページもあわせてご覧ください。
| 通貨ペア | 買いの受取(1万通貨・1日) | 売りの支払い(1万通貨・1日) | 往復で残る差 |
|---|---|---|---|
| 米ドル/円 | 160円 | 190円 | 30円 |
| 豪ドル/円 | 102円 | 117円 | 15円 |
| ユーロ/円 | 75円 | 95円 | 20円 |
| NZドル/円 | 50円 | 75円 | 25円 |
| ポーランドズロチ/円 | 33円 | 40円 | 7円 |
| トルコリラ/円 | 24円 | 29円 | 5円 |
| 南アフリカランド/円 | 14円 | 19円 | 5円 |
| メキシコペソ/円 | 14円 | 19円 | 5円 |
| 中国人民元/円 | 2円 | 10円 | 8円 |
数字はヒロセ通商が2026年7月22日に公表した3日分の値を3で割って1日あたりに直し、1Lotの通貨数に応じて1万通貨あたりに換算したものです。スワップは日々変動し、受け取りが支払いに転じることもあるため、この水準が続く保証はありません。※2026年7月時点の公表値です。最新の条件は公式サイトで確認してください。
スワップポイントは通貨の貸し賃と借り賃の差額で、方向で符号が反転する
まず定義から。GMOクリック証券は「2つの通貨間の金利差のことを『スワップポイント』といいます」と説明し、高金利通貨を売って低金利通貨を買う場合には支払いが生じること、金額は日々変動して常に一定の受渡があるわけではないことを明記しています(GMOクリック証券「日々金利差分を受け取れるスワップポイントとは?」)。
金利の高い通貨を買って持てば受け取り、売って持てば支払い。同じ通貨ペアでも、建てる方向で符号がそのままひっくり返ります。
ここで多くの人がつまずくのが、日数の数え方です。スワップは「何日保有したか」ではなく、ロールオーバーを何回またいだかで決まります。
セントラル短資FXは、スワップが原則として毎営業日のクローズ時点で発生すること、土日や祝日、対象国の休場日によって3日分以上がまとめて付与される日やスワップが付与されない日もあることを公表しています(セントラル短資FX「FXのスワップポイントとは?」)。
土日は市場が閉まっていますが、その2日分が消えるわけではありません。平日のどこかにまとめて付きます。だから「金曜に買って月曜に売ったから3日分」といった素朴な数え方は、しばしば実額とずれます。
1万通貨あたりの受取額は、公表値を3で割ってから1Lotの倍率を掛けるだけで出せる
ヒロセ通商は数少ない、スワップの実額を静的なページに載せている会社です。2026年7月22日更新の一覧では、付与日数がいずれも3日分、付与単位は1Lot=1,000通貨(メキシコペソ/円と中国人民元/円などは10,000通貨)と明記されています(ヒロセ通商「LION FXスワップポイント」)。
つまり公表値をそのまま「1日にもらえる金額」と読むと、3倍に見積もることになります。換算の手順は次の3つだけ。
- 公表値を3で割って1日あたりにする
- 1Lotの通貨数を確認する(1,000通貨か10,000通貨か)
- 1万通貨は1Lotの何倍かを掛ける
米ドル/円なら、買いの公表値48円を3で割って16円。1Lotが1,000通貨なので1万通貨は10倍で160円、という順番です。この手順で全通貨ペアを1万通貨あたりに直し、30日と365日を掛けたものが次の表になります。
| 通貨ペア | 買い1日 | 買い30日 | 買い365日 | 売り1日 | 売り30日 | 売り365日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 米ドル/円 | 160円 | 4,800円 | 58,400円 | -190円 | -5,700円 | -69,350円 |
| 豪ドル/円 | 102円 | 3,060円 | 37,230円 | -117円 | -3,510円 | -42,705円 |
| ユーロ/円 | 75円 | 2,250円 | 27,375円 | -95円 | -2,850円 | -34,675円 |
| NZドル/円 | 50円 | 1,500円 | 18,250円 | -75円 | -2,250円 | -27,375円 |
| ポーランドズロチ/円 | 33円 | 990円 | 12,045円 | -40円 | -1,200円 | -14,600円 |
| トルコリラ/円 | 24円 | 720円 | 8,760円 | -29円 | -870円 | -10,585円 |
| 南アフリカランド/円 | 14円 | 420円 | 5,110円 | -19円 | -570円 | -6,935円 |
| メキシコペソ/円 | 14円 | 420円 | 5,110円 | -19円 | -570円 | -6,935円 |
| 中国人民元/円 | 2円 | 60円 | 730円 | -10円 | -300円 | -3,650円 |
前提は3つ。2026年7月22日の水準が1年間そのまま続くと仮定したこと、1か月を30日・1年を365日として単純に掛けたこと、祝日によるロールオーバーの有無を考慮していないことです。実際にはどれも動きます。
「3日分の日があるなら、年間の合計は365日を超えるのでは」と思うかもしれません。超えません。3日分の日は、その週の土日を先に前倒しで受け取っているだけであって、日数が増えているわけではないからです。
逆に減る方向の要因はあります。GMOクリック証券は、国内外の祝祭日の影響でニューヨーククローズ時点に建玉を保有していてもロールオーバーが行われず、スワップが発生しない営業日があると明記しています(GMOクリック証券「スワップポイント(FXネオ)」)。外為どっとコムも、付与日数は取引日の2営業日後の受渡日が何日繰り延べられるかで決まり、各国の祝日で受渡日が動くため通貨ごとに日数が異なると説明しています(外為どっとコム「スワップポイント付与ルール」)。
買いの受取より売りの支払いが大きいので、両建てでは必ず目減りする
先ほどの全体表の右端を、もう一度見てください。すべての通貨ペアで、売りの支払額が買いの受取額を上回っています。
これは偶然ではありません。会社は買い手にも売り手にも同じ金額を渡すわけにいかず、その差が実質的な取り分になるからです。
同じ通貨ペアを1万通貨ずつ買いと売りで同時に持ったと仮定すると、差額はそのまま毎日の目減りになります。
| 通貨ペア | 1日の目減り | 30日 | 365日 |
|---|---|---|---|
| 米ドル/円 | 30円 | 900円 | 1万950円 |
| NZドル/円 | 25円 | 750円 | 9,125円 |
| ユーロ/円 | 20円 | 600円 | 7,300円 |
| 中国人民元/円 | 8円 | 240円 | 2,920円 |
| トルコリラ/円 | 5円 | 150円 | 1,825円 |
為替がどちらに動いても損益は相殺されますが、スワップだけは一方的に減り続ける。同一口座内で買いと売りを同時に持つ設計が、コスト面で不利になる理由はここにあります。
なお、この差の大きさは通貨ペアによってまるで違います。中国人民元/円のように受取2円に対して支払い10円と5倍の開きがある例もあれば、豪ドル/円のように102円対117円と1.15倍にとどまる例もある。売りで持つ予定があるなら、建てる前に確かめる価値のある項目です。
稼ぎ方を数式にすると、動かせる変数は通貨量と日数の2つしかない
受取額の計算式は、突き詰めると次の1本です。
受取額 = 1万通貨あたり1日の額 × (保有通貨量 ÷ 1万) × 日数
自分で動かせるのは通貨量と日数だけ。1日あたりの額は会社と相場が決める値で、こちらから選べません。ここを直視すると、「稼ぎ方」の実像がかなりはっきりします。
米ドル/円を1万通貨、買いで1年持った場合で確かめます。日本銀行の外国為替市況によると2026年7月21日17時時点の米ドル/円は162.59円台でした(日本銀行「外国為替市況(日次)」)。1万通貨の取引金額は約162万5,900円、証拠金率4%なら必要証拠金は約6万5,036円です。
年間の受取想定58,400円を、この2つと比べます。取引金額に対しては約3.59%、必要証拠金に対しては約89.8%。後者だけを見れば、たしかに大きな数字に見えます。
ただし1万通貨は、為替が1円動けば1万円動く玉です。58,400円は5.84円ぶんの値動きで消えます。米ドル/円が1年で5円以上動く場面は珍しくありません。
つまりスワップ狙いとは、年3.59%の受取を得るために、為替変動のリスクを1年間引き受け続ける取引だということ。増やす装置ではなく、金利差を受け取り続けるかわりに価格変動を抱える取引だと理解しておくのが正確です。ここは断言しますが、スワップが将来も同じ水準で受け取れる保証はどこにもありません。
高金利通貨ほど受取額が大きい、という前提はデータと合わない
トルコの政策金利は37.00%、日本は1.0%程度で、外為どっとコムも2026年6月時点の政策金利として同じ数値を掲載しています(外為どっとコム「金利差調整額『スワップポイント』」)。金利差は36ポイントもあります。それでもヒロセ通商の公表値では、トルコリラ/円の買いは1万通貨1日24円にとどまり、米ドル/円の160円に遠く及びません。
理由は単純で、1万通貨あたりの円換算元本がまるで違うからです。1万米ドルは約162万円ですが、1万トルコリラはその何分の一かにしかなりません。金利差が大きくても、掛ける元本が小さければ受取額は伸びない。
「高金利通貨=スワップが多い」という理解は、同じ通貨量で比べたときには成立しないということです。比べるなら、通貨量ではなく円換算の元本をそろえる必要があります。
取扱の有無も先に確認したいところ。ヒロセ通商の公表一覧にブラジルレアルとインドルピーの記載はなく、ロシアルーブル/円については外為どっとコムが2022年3月23日より注文受付を停止しています(外為どっとコム「取引通貨ペア・必要保証金」)。狙う通貨が決まっているなら、口座を開く前に取扱一覧を見ておいてください。
会社ごとの公表方法の違いと、同じ単位にそろえる手順は国内主要口座のスワップポイントを比較した記事にまとめました。数値を横並びにする前に、単位と日数をそろえる作業が必要になります。
決済せずにスワップだけ受け取れるかは、会社によって分かれる
長期で持つほど気になるのが、含み損を抱えたままスワップだけ引き出せるかという点でしょう。ここは会社差がはっきり出ます。
みんなのFXは「スワップの途中受取が可能で、ポジションを決済する前にスワップだけ受取ることができます」と明記しています(みんなのFX「スワップについて」)。DMM FXも、取引ツールのポジション照会からスワップ振替を行えばポジションを決済することなくスワップポイントのみ受け取れると回答しています(DMM FX よくあるご質問「ポジションを決済せずにスワップポイントだけを受け取ることができますか?」)。
セントラル短資FXは、スワップを原則として建玉の持越日のメンテナンス時間中に未決済スワップへ反映すると公表しています(セントラル短資FX「スワップポイント(FXダイレクトプラス)」)。一方、ヒロセ通商とGMOクリック証券については、決済せずにスワップだけを受け取れるかどうかを公式ページで確認できませんでした。
受け取れるかどうかは、税金の発生タイミングにも効いてきます。次の章で触れます。
スワップの課税タイミングは、国税庁の資料ではなく各社の説明で分かれている
FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象になり、税率は所得税15%、地方税5%、これに復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加わって合計20.315%です(国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」)。ここまでは為替差益もスワップも同じ扱い。
では、まだ決済していないポジションに溜まっているスワップはいつ課税されるのか。国税庁のタックスアンサーには、この点の記載がありません。
書けるのは、次の2種類の情報までです。ひとつは会社の説明。外為どっとコムは個人口座は決済時に、法人口座は付与時に課税されると案内しています(外為どっとコム「金利差調整額『スワップポイント』」)。セントラル短資FXは個人の場合、実際に口座に入金された時点が課税対象と説明しています。
もうひとつは裁判例の整理です。国税庁の税務大学校が発行した研究論文は、東京地裁平成22年6月24日判決を引き、スワップ金利差調整額は日々発生する金額が累積し、建玉を決済したときまたは毎月末に受払いの対象になるものだと整理しています(国税庁 税務大学校「税大ジャーナル第17号 FX取引に係る損益の確定時期について」)。ただしこれは研究論文であって、国税庁の公式見解ではありません。
年をまたいで持つ設計なら、自分の口座がどちらの扱いかを先に確認しておくこと。最終的な判断は税務署か税理士に確認してください。
スワップポイントの計算と口座選びでよく出る質問
ここまでで計算の骨格はそろいました。細かい部分でつまずきやすい点を、5つに絞って答えます。
スワップポイントは毎日いくらもらえますか?
通貨ペア、通貨量、会社、その日の水準で変わります。ヒロセ通商の2026年7月22日の公表値をもとにすると、1万通貨の買いで米ドル/円160円、トルコリラ/円24円、中国人民元/円2円。
同じ1万通貨でも80倍の開きがあります。「毎日いくら」という質問には、通貨ペアと数量を決めないと答えが出ません。
スワップポイントだけで生活できますか?
必要な元本から逆算すると規模がわかります。米ドル/円1万通貨で年58,400円という試算を使うと、年120万円を得るには単純計算で約20.5倍、およそ20万5,500通貨が必要になります。
取引金額にすると約3,340万円。レバレッジをかければ預ける証拠金は減りますが、その分ロスカットまでの距離も縮みます。スワップ水準が下がれば必要量はさらに増えるということ。
土日のスワップポイントはどうなりますか?
消えるわけではなく、平日のどこかに3日分としてまとめて付きます。ただし、その曜日は会社によって公表内容が違います。
JFXとGMOクリック証券は水曜日、DMM FXは水曜日から木曜日にロールオーバーした場合に木曜日と説明しており、外為どっとコムとセントラル短資FXは曜日ではなく受渡日の繰り延べ日数で決まると説明しています。自分の口座のカレンダーで確認してください。
スワップポイントがつかない日はありますか?
あります。GMOクリック証券は、国内外の祝祭日の影響でロールオーバーが行われず、スワップが発生しない営業日があると明記しています。
外為どっとコムの説明にあるとおり、受渡日は各国の祝日で繰り延べられるため、日数は通貨ペアごとに異なります。年末年始やクリスマス前後は特にずれやすい時期。カレンダーを事前に見ておくと予定が立てやすくなります。
レバレッジ1倍ならスワップ狙いは安全ですか?
ロスカットまでの距離は伸びますが、安全になるわけではありません。1万通貨をレバレッジ1倍で持つには約162万5,900円が必要で、為替が10円下がれば10万円の含み損になります。
年間の受取想定58,400円に対して、値動きの振れ幅のほうが大きい。倍率を下げることは損失の上限を消す手段ではなく、耐えられる距離を伸ばす手段だと理解しておくのが正確です。
スワップは金利差を受け取る仕組みであって、元本を増やす装置ではない
ここまで見てきたとおり、スワップの計算自体は割り算と掛け算だけで終わります。難しいのは金額の出し方ではなく、受け取る金額と抱えるリスクの釣り合いをどう見るかという判断のほうです。
- スワップは2通貨の金利差の受け払いで、建てる方向で受け取りと支払いが入れ替わる
- ヒロセ通商の公表値は3日分・1Lot単位なので、3で割って1万通貨に換算してから使う
- 米ドル/円1万通貨の買いは1日160円、365日で58,400円。取引金額162万5,900円に対して約3.59%
- 売りの支払額は買いの受取額より必ず大きく、米ドル/円では1日30円、1年で1万950円の差になる
- 高金利通貨でも1万通貨あたりの円換算元本が小さければ受取額は伸びない
数字が固まったら、次に確かめるのは付与のタイミングです。3日分が付く曜日と判定時刻を会社別に整理したスワップポイントがいつ付くかをまとめた記事で、自分の決済タイミングが何日分に当たるかを数えてみてください。

