「LINE証券がなくなったと聞いた記憶がある。だとするとLINE FXも終わったのか、それとも今から口座を開いても使えるのか、どちらなのか判断がつかない」
こういった疑問に答えます。
移管されたのは証券サービスのほうで、LINE FXは今もLINE証券株式会社が提供しています。同社のよくある質問には、現在提供しているサービスがFXのLINE FXとCFDのLINE CFDである旨が記載されており、株式や投資信託などの証券サービスは2024年8月13日に野村證券へ移管されました。取引条件は35通貨ペア、最低1,000通貨単位、取引手数料は無料。ロスカットは証拠金維持率100%割れで、その手前の140%と120%でアラートが届く設計です。「会社ごと消えた」という理解は、事実としては正確ではありません。
移管の話を抜きにして、そもそも各社の条件を横に並べてから決めたい方は、主要FX会社の比較ページでスプレッドや取引単位の一覧を先に見ておくと迷いが減ります。
| 項目 | LINE FX(LINE証券)の公表内容 |
|---|---|
| 現在の提供状況 | 提供中。FXのLINE FXとCFDのLINE CFDを提供 |
| 移管されたもの | 証券サービス(株式・投資信託等)を2024年8月13日に野村證券へ移管 |
| 取扱通貨ペア | 35通貨ペア(対円19、非対円16) |
| 最小取引単位 | 1,000通貨(ハンガリーフォリント/円のみ10,000通貨) |
| 取引手数料 | 無料 |
| スプレッド | 原則固定。流動性低下時や指標発表時は拡大する場合あり |
| ロスカット水準 | 証拠金維持率100%を下回った場合 |
| ロスカットアラート | 維持率140%と120%の到達時に通知 |
| 追証 | 公式ページで確認できず(現金不足時は速やかな入金が必要と記載) |
| 取引時間 | 月曜7:00から翌6:50、火曜から金曜は7:10から翌6:50(米国標準時) |
| 信託保全先 | 公式ページで確認できず |
| 登録番号 | 関東財務局長(金商)第3144号 |
※上表のうち提供状況と移管の日付、通貨ペア数、ロスカット水準は、2026年7月時点でLINE証券の公式ページおよび野村ホールディングスの発表で確認した内容です。事業再編は継続中の可能性があるため、申し込み前に公式サイトの最新のお知らせを確認してください。
移管されたのは証券サービスで、LINE FXは提供が続いている
まず、この記事の前提を先に固めておきます。
LINE証券のよくある質問では、同社が提供しているサービスとして、スマートフォンを利用したFX取引サービス「LINE FX」とCFD取引サービス「LINE CFD」の2つが挙げられています。登録は金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第3144号(LINE証券 よくあるご質問「LINE証券について教えてください」)。
一方、証券サービスの扱いは別です。同社の口座解約に関するよくある質問には、事業再編に伴い証券サービスを2024年8月13日に野村證券へ移管したと記載されています(LINE証券 よくあるご質問「口座の解約・閉鎖方法を教えてください」)。
つまり「LINE証券が撤退した」というニュースの記憶と、「LINE FXが使える」という現在の状態は、矛盾していません。畳まれたのは株式や投資信託の側だった、ということ。
ここを取り違えたまま口座を探すと、使える口座を候補から外すか、逆に終わったサービスを探し続けるかのどちらかになります。まずは対象を分けて考えてください。
経緯は2023年6月の発表から2024年8月の移管完了までを1本でたどれる
「では、なぜFXだけ残ったのか」と思うかもしれません。答えは、最初の発表時点でそう決まっていたからです。
野村ホールディングスが2023年6月12日に公表した事業再編のお知らせでは、証券サービスについて、順次買付等を停止し、LINE証券での売却が可能な期間を過ぎてなお預かりがある場合は2024年中に野村證券へ資産を移管する予定であると説明されています。同じ資料でFX事業については、LINE FXはこれまで通りLINE証券としてサービス提供を継続するとされました(野村ホールディングス「LINE証券の事業再編に関するお知らせ」)。
発表が2023年6月、証券サービスの移管完了が2024年8月13日。この2つの日付をつなげば、経緯は追えます。
読者側の実務としては、これで確認は終わりです。過去の記事や書き込みが「終了」と書いていても、それが証券サービスを指しているのか、FXを指しているのかを見分ければいい。判断に必要なのは、その一手間だけ。
取引条件は35通貨ペアと1,000通貨単位で、手数料はかからない
現況が確認できたので、ここからは条件の話に移ります。
取扱通貨ペアについて、LINE証券は対円19通貨、非対円16通貨の合計35通貨ペアを取引できると案内しています(LINE証券 よくあるご質問「LINE FXで取り扱っている通貨ペアを教えてください」)。
最低取引単位は1,000通貨単位で、ハンガリーフォリント/円のみ10,000通貨単位という例外があります(LINE証券 よくあるご質問「最低取引単位を教えてください」)。取引手数料はかからず無料であること、実質的なコストは売値と買値の差であるスプレッドであることも明記されています(LINE証券 よくあるご質問「取引手数料はかかりますか?」)。
取引時間は、米国標準時で月曜が7:00から翌日6:50、火曜から金曜が7:10から翌日6:50。夏時間はいずれも1時間繰り上がります(LINE証券「LINE FX取引ルール」)。
数字だけ見れば、国内の店頭FXとしては標準的な構成です。1,000通貨単位で始められて手数料が0円という条件は、いま国内で口座を選ぶうえでは珍しいものではありません。
だからこそ、この口座を選ぶ理由は条件表の外にあると考えたほうが正確です。次の章で、その一点を数字にします。
アラートが鳴ってから強制決済までは、米ドル/円で約2.6円しかない
LINE FXが公表条件として明確に持っているのは、ロスカットの2段階アラートです。
同社はロスカット制度について、証拠金維持率が100%を下回った場合に建玉を強制的に清算すると案内しています(LINE証券 よくあるご質問「ロスカットについて教えてください」)。さらに初心者向けの解説ページでは、維持率が140%と120%に到達した時点でロスカットアラートの通知を行うと記載されています(LINE FX「LINE FXのロスカット制度について」)。
この2つの通知水準は、どれくらいの猶予にあたるのでしょうか。米ドル/円の値幅に直します。前提は、レートが日本銀行の外国為替市況にある2026年7月21日17時時点の162.59円台(日本銀行「外国為替市況(日次)」)、取引数量1万通貨、証拠金率4%とします。
必要証拠金は162.59円×10,000通貨×4%で約6万5,036円。維持率が何%のときに有効証拠金がいくらになるかを並べます。
| 証拠金維持率 | そのときの有効証拠金 | ロスカット水準までの余力 | 米ドル/円の残り値幅 |
|---|---|---|---|
| 140%(1回目の通知) | 約9万1,050円 | 約2万6,014円 | 約2.60円 |
| 120%(2回目の通知) | 約7万8,043円 | 約1万3,007円 | 約1.30円 |
| 100%(ロスカット) | 約6万5,036円 | 0円 | 0円 |
1万通貨なら1円の逆行で1万円が動きます。1回目の通知が届いた時点で残っているのは約2.6円分、2回目では約1.3円分ということ。
正直に書くと、これは「通知が来たら考えよう」で間に合う幅ではありません。指標発表の直後に1円動く場面は珍しくないからです。
では通知に意味がないのかというと、そうでもない。この会社の設計は、通知を受け取った瞬間に建玉を減らすか入金するかを機械的に実行する人にだけ効きます。裏を返すと、通知を見てから相場観を組み立て直すタイプの人には、猶予が足りません。
もう一段踏み込むと、余力を増やす手はロットのほうにあります。1万通貨ではなく3,000通貨で建てれば、必要証拠金は約1万9,511円まで下がり、同じ10万円の資金なら140%到達までの距離そのものが遠くなる。通知の設計を活かしたいなら、量を落とすのが先です。
原則固定という表記と、確認できなかった項目は分けて扱う
条件表を作っていて、書けなかった欄が2つありました。ここは正直に残します。
スプレッドについて、LINE証券はよくある質問で、スプレッドは原則固定だが、市場の流動性低下時や重要な経済指標発表時などインターバンクのスプレッドが拡大した際は拡大する場合があると説明しています(LINE証券 よくあるご質問「スプレッドが固定値以上に拡大することはありますか?」)。この注記自体は多くの国内業者に共通するもので、原則固定という表記を額面どおりに読まないための材料になります。
一方、信託保全先の金融機関名と追証制度の有無については、私が確認した範囲の公式ページに具体的な記載を見つけられませんでした。取引ルールには現金不足となった場合に速やかに不足額以上を入金する必要があるという記述はあるものの、追加証拠金という制度としての説明ではありません。ここは推測で埋めず、公式ページで確認できずと書いておきます。
とはいえ、信託保全の有無そのものを心配する必要はありません。金融先物取引業協会によれば、顧客から預かった証拠金の区分管理は2010年2月1日から信託に一本化され、同じ日から個人顧客と取引するすべての業者にロスカットルールの整備と遵守が義務づけられました(金融先物取引業協会「FX取引の規制について」)。登録業者である以上、制度としての土台は共通です。
空欄が2つ残ったぶん、登録の側だけは自分で押さえておきたいところ。金融庁が2026年1月30日に運用を始めた一括検索機能なら、業種を横断して登録金融事業者を調べられます(金融庁「金融事業者一括検索機能の運用開始について」)。事業再編で社名やサービスが動いた会社ほど、この一手間が効いてきます。
同じ設計の口座を探すなら、通知と単位と手数料の3点だけを見る
「LINE FXが使えるのは分かった。ただ、それでも他社と比べたい」という方に向けて、比較の軸を絞っておきます。
この口座の性格を決めているのは、実質的に3つです。1,000通貨単位から建てられること、取引手数料が0円であること、そしてロスカットの手前で2段階の通知が来ること。
逆に言えば、通貨ペア数やアプリの見た目は決め手になりません。35という数は国内では中位で、これが理由で選ぶ人も外す人もほとんどいないはずです。
ここは商売として損な書き方をしますが、月に数回しか取引しない人にとって、この3点の差は損益にほぼ出ません。年単位で持つつもりなら、スワップポイントの水準を先に見るほうが順序として正しい。
同じ基準で国内の主要各社を並べた結果は、初心者向けに国内FX会社を比較した記事にまとめています。取引単位と手数料、ロスカット水準の3列だけを追えば、候補は数社まで絞れます。
LINE FXの現況について、口座を開く前によく調べられている質問
ここまでで現況と条件は出そろいました。とはいえ、移管の話が絡む分だけ、細かい部分で引っかかりやすいテーマでもあります。よく調べられている4つに答えます。
LINE FXは終了したのですか?
終了していません。LINE証券のよくある質問には、現在提供しているサービスとしてLINE FXとLINE CFDが挙げられています。
終了したのは株式や投資信託などの証券サービスのほうで、こちらは2024年8月13日に野村證券へ移管されました。ニュースの記憶が「証券」と結びついている場合、この2つが混ざっている可能性があります。
岡三オンラインとLINE FXは関係がありますか?
関係はありません。会社が別で、資本関係や事業移管の関係も、私が確認した公式資料の範囲では見当たりませんでした。
検索候補に並ぶのは、どちらもネット系の口座として同時に比較されることが多いためと考えられます。条件を比べるときは、それぞれの公式ページの記載を直接見てください。
LINE FXでスキャルピングをしてもよいのですか?
私が確認した範囲の公式ページには、スキャルピングを明示的に公認する記載も、明示的に禁止する記載も見つけられませんでした。
短期の反復売買を主軸に据えるつもりなら、方針を自社サイトに書き切っている会社を選ぶほうが確実です。取引約款で禁止される行為の範囲は会社ごとに違うため、申し込み前に約款そのものを読んでおくことをおすすめします。
ロスカットアラートが来たら、まず何をすればいいですか?
建玉を減らすか、証拠金を追加するかの二択です。相場の先行きを考え直すのは、そのあとで構いません。
前の章で計算したとおり、1万通貨なら140%の通知時点で残りは約2.6円分です。判断の時間を確保したいなら、通知が来てから動くのではなく、そもそも通知が届かない量で建てるほうが現実的だと思います。
LINE FXは、通知を合図に手を動かせる人に向いた口座
移管の経緯を追ってみると、この口座の評価は「残っているかどうか」ではなく、2段階のロスカットアラートを自分が使いこなせるかどうかに集約されます。
- 移管されたのは証券サービスで、2024年8月13日に野村證券へ移った。LINE FXとLINE CFDは提供が続いている
- 取引条件は35通貨ペア、最低1,000通貨単位、取引手数料は無料
- ロスカットは維持率100%割れ。140%と120%で通知が届くが、1万通貨なら残りは約2.6円と約1.3円しかない
- 信託保全先と追証制度の有無は、公式ページで確認できなかったため空欄のままにしてある
- 掲載した数値は2026年7月時点の公表内容で、申し込み前に公式サイトで最新の記載を確認する必要がある
最初のひと月は、3,000通貨以下に抑えて通知が届くかどうかを試す。届かない量が分かれば、それがあなたにとっての適正ロットです。
同じ「少額から」を掲げつつ、1通貨単位という別の方向に振り切っている口座も国内にあります。比較の対象として、松井証券FXの評判と100円からの自動売買も見ておくと、単位の差が何を生むのかがはっきりします。

