「auじぶん銀行FXとauカブコムFXは、名前が似ているけれど同じものなのか。auがつく口座がいくつもあって、どれに申し込めばいいのか分からない」
こういった疑問に答えます。
この2つは別会社が提供する別サービスです。auじぶん銀行FX(じぶん銀行FX)はauじぶん銀行が提供する店頭FXで、現在も取り扱いが続いています。一方のauカブコムFXは、提供元のauカブコム証券が2025年2月に三菱UFJ eスマート証券へ社名を変更したのに伴い、サービス名も「三菱UFJ eスマート証券 FX」へ変わりました。どちらも18通貨30ペアでミニ1,000通貨から。決定的に違うのはロスカット水準と追証の有無で、じぶん銀行FXは100%割れで自動ロスカット・追証なし、三菱UFJ eスマート証券FXは個人75%割れでロスカット・追証ありです。
au系に限らず国内の主要口座を条件で並べたい方は、主要FX会社の比較ページに一覧があります。先に全体像を見てから読み進めると、以下の数字の位置づけがつかめます。
| 項目 | じぶん銀行FX(auじぶん銀行) | 三菱UFJ eスマート証券 FX(旧auカブコムFX) |
|---|---|---|
| 提供会社 | auじぶん銀行 | 三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券) |
| 現在の提供状況 | 提供中 | 提供中。2025年2月にサービス名を変更 |
| 取扱通貨ペア | 18通貨30ペア | 18通貨30ペア |
| 取引単位 | ミニ1,000通貨、通常1万通貨、大口110万通貨以上 | ミニ1,000通貨、通常1万通貨、大口10万通貨 |
| 証拠金率 | 維持は建値の4%、新規注文時は5% | 公式ページで確認できず |
| ロスカット水準 | 時価評価額が建玉必要証拠金の100%を下回ると自動ロスカット | 個人は時価評価額が必要証拠金の75%を下回ると発動 |
| 追証 | なし | あり。毎FX営業日の取引終了後に判定、期限は同日15時 |
| 自動売買 | 公式ページで確認できず | システムトレードの提供あり |
| 取引手数料 | 無料 | 無料 |
| 取引時間 | 月曜7:00から翌6:50、火曜から金曜は7:10から翌6:50 | 月曜7:00から翌6:50、火曜から金曜は7:10から翌6:50 |
| 信託保全先 | 三菱UFJ信託銀行および日証金信託銀行 | 公式ページで確認できず |
※左列はauじぶん銀行の取引ルールページ、右列は三菱UFJ eスマート証券の取引ルールページで、いずれも2026年7月時点に確認した内容です。三菱UFJ eスマート証券は社名とサービス名の変更が続いた経緯があるため、申し込み前に現行の名称と条件を公式サイトで照合してください。
auじぶん銀行FXは銀行が提供する店頭FXで、いまも取り扱いが続いている
まず現況の確認から入ります。ここを間違えると、この先の比較がすべて無駄になるからです。
auじぶん銀行の商品ページには、じぶん銀行FXの取引ルールが掲載されており、取扱いは18通貨30ペア、取引コースはミニが1,000通貨単位、通常が1万通貨単位、大口が110万通貨以上と案内されています。取引手数料は無料です(auじぶん銀行「じぶん銀行FX 取引ルール」)。
無料の範囲も明記されています。同行のFX紹介ページでは、口座開設費、口座管理手数料、振替入出金手数料、取引手数料のすべてが無料であると案内されています(auじぶん銀行「じぶん銀行FX」)。
つまり、終了や新規受付停止といった状態ではありません。サービス名に「じぶん銀行」と「auじぶん銀行」の両方の表記が混在しているため終わったように見える場面もありますが、これは行名変更の名残です。
提供主体が銀行であることは、覚えておく価値があります。証券会社の口座と並べて比べる場合、入出金の経路や画面の設計が違ってくるからです。
auカブコムFXは消えたのではなく、社名変更に合わせて名前が変わった
次に、比較対象のほうを確認します。
三菱UFJ eスマート証券の発表によれば、auカブコム証券は2025年1月末に三菱UFJ銀行の100%子会社となり、同年2月に社名を三菱UFJ eスマート証券株式会社へ変更しました。同じ発表のなかで、サービス名も「auカブコム FX」から「三菱UFJ eスマート証券 FX」へ変更されると記載されています(三菱UFJ eスマート証券「サービス名称、及びアプリアイコン等変更のお知らせ」)。
ここでもう一段、過去にさかのぼる必要があります。同社は以前にも店頭FXの取り扱いを終えているからです。2019年12月2日付のお知らせでは、店頭FXサービスの提供を2020年3月20日に終了し、シストレFXへ統合すると案内されていました(三菱UFJ eスマート証券「外国為替証拠金取引『店頭FX』サービスの取扱終了のお知らせ」)。
整理すると、2020年に一度たたんだ店頭FXが、その後auカブコムFXとして提供され、2025年2月に三菱UFJ eスマート証券FXへ改称された、という流れです。「auカブコムFXがなくなった」という情報も「auカブコムの店頭FXは終了した」という情報も、どちらも過去のある時点では正しかった。それが混乱の正体だと思います。
判断に必要なのは、現在の名前で公式ページを見にいくこと。それだけで、古い情報に振り回されずに済みます。
数字を並べると、違いはロスカット水準と追証に集約される
「別サービスなのは分かった。では中身はどれくらい違うのか」と思うはずです。ここは意外な結果になります。
三菱UFJ eスマート証券FXの取引ルールによれば、取扱いは18通貨30ペア、取引単位はミニ1,000通貨・通常1万通貨・大口10万通貨、取引手数料は無料。ロスカットは個人顧客の場合、時価評価額が必要証拠金の75%を下回ると発動します。追証は毎FX営業日の取引時間終了後に判定され、差し入れ期限は同日午後3時(日本の休日の場合は翌営業日)。テクニカル指標のシグナルで売買するシステムトレードも提供されています(三菱UFJ eスマート証券「FX 取引ルール(三菱UFJ eスマート証券 FX)」)。
通貨ペア数も取引単位も取引時間も、じぶん銀行FXとほぼ同じ。差が出るのは2点だけです。
ひとつはロスカット水準。じぶん銀行FXは時価評価額が建玉必要証拠金の100%を下回った時点で自動ロスカットが発動し、三菱UFJ eスマート証券FXは個人で75%です。じぶん銀行FXのほうが手前で切られます。
もうひとつは追証。じぶん銀行FXは追証がなく、自動ロスカットで強制決済されます。三菱UFJ eスマート証券FXには追証があり、判定は毎営業日、期限は同日15時。
どちらが優れているという話ではありません。早く切られるかわりに想定外の請求が起きにくい設計と、粘れるかわりに翌日までに資金を用意する場面がありうる設計。自分がどちらの事故を避けたいかで選ぶ項目です。
新規は5%、維持は4%。この1%差が建てられる量を2割削る
じぶん銀行FXには、他社の条件表と並べただけでは見落とす仕掛けがあります。証拠金率が新規注文時と維持時で違うのです。
同行の取引ルールには、維持証拠金が建値の4%、新規注文時は5%と記載されています。実質的なレバレッジ上限は25倍ですが、新規に建てる瞬間だけ基準が厳しくなる、という構造。
どれくらい効くのかを計算します。前提は、証拠金10万円、通貨ペアは米ドル/円、レートは日本銀行の外国為替市況にある2026年7月21日17時時点の162.59円台(日本銀行「外国為替市況(日次)」)、取引コースはミニ(1,000通貨単位)とします。
| 適用される証拠金率 | 1,000通貨あたりの必要額 | 10万円で建てられる上限 | 差 |
|---|---|---|---|
| 新規注文時の5% | 約8,130円 | 12,000通貨 | 基準 |
| 維持時の4% | 約6,504円 | 15,000通貨 | 3,000通貨多い |
同じ10万円でも、新規に建てられるのは12,000通貨まで。維持基準の4%だけを見て15,000通貨のつもりでいると、注文の段階で弾かれます。差は3,000通貨、割合にして約20%です。
さらに、建てた直後の状態も見ておきます。12,000通貨を建てると、維持基準4%での必要証拠金は約7万8,043円。有効証拠金10万円に対する比率は約128%で、ロスカット水準の100%までの余力は約2万1,957円しかありません。
12,000通貨なら1円の逆行で1万2,000円が動きます。余力2万1,957円を1万2,000円で割ると、約1.83円。上限いっぱいに建てた瞬間、2円動かないうちにロスカット水準へ届く位置に立っていることになります。
ここは断言しますが、新規時5%という条件は、上限まで建てさせないためのブレーキとして働いています。私はこれを不便な仕様ではなく、親切な仕様だと受け取りました。とはいえ、資金効率を最優先する人には合いません。その場合は、余力の設計を自分で管理できる会社を選ぶほうがいいでしょう。
信託保全先は2社の名前まで公表されている
会社の信用を見るとき、口コミより先に確認したい項目があります。
auじぶん銀行は、顧客から預かった証拠金などを自社の資産と区分管理したうえで、三菱UFJ信託銀行および日証金信託銀行へ信託保全を行うと案内しています(auじぶん銀行「安心の信託保全」)。信託先の金融機関名を2社とも明示している点は、確認する側からするとありがたいところ。
一方、三菱UFJ eスマート証券FXの信託保全先については、私が確認した範囲の取引ルールに記載を見つけられませんでした。ここは推測で埋めず、公式ページで確認できずとしておきます。
ただし、信託保全そのものは2社を分ける材料になりません。証拠金の区分管理を信託へ一本化し、ロスカットルールを整備して守ることは、2010年2月1日から全業者に課された義務だからです(金融先物取引業協会「FX取引の規制について」)。銀行が提供していようと証券会社が提供していようと、この土台は変わりません。
登録状況は読者の側でも裏が取れます。金融庁は2026年1月30日から、業種を横断して登録金融事業者を検索できる一括検索機能の運用を始めました(金融庁「金融事業者一括検索機能の運用開始について」)。社名が変わった会社を調べるときほど、この機能は効きます。
選ぶ基準は、自動売買を使うかどうかでほぼ決まる
条件がここまで近いと、選択の軸は限られます。私の見方を書いておきます。
自動売買を使いたいなら、システムトレードの提供が明記されている三菱UFJ eスマート証券FXが候補になります。じぶん銀行FXについては、私が確認した範囲の公式ページで自動売買サービスの提供を確認できませんでした。
裁量で、かつ追証を絶対に避けたいなら、じぶん銀行FXです。追証なしという条件は、日をまたいでポジションを持つ人にとっては効きます。
逆に、どちらでもない人には決め手がありません。正直に言うと、月に数回しか取引しない人が、この2社の差で損益を変えられる場面はほとんどないと思います。その場合は普段使っている金融機関に合わせて選んで構いません。
au系に限定せず、取引単位やスプレッドから候補を絞りたい方は、初心者向けに国内FX会社を比較した記事を先に見てください。条件が近い会社どうしで悩む時間は、正直あまり報われません。
auじぶん銀行FXとauカブコムFXの違いについて、よく調べられている質問
比較の軸はここまでで出そろいました。とはいえ、名前が紛らわしいぶん、細部で引っかかりやすいテーマでもあります。よく調べられている4つに答えます。
auじぶん銀行FXとauカブコムFXは同じサービスですか?
同じではありません。提供している会社が違います。
じぶん銀行FXはauじぶん銀行が提供する店頭FXで、auカブコムFXはauカブコム証券が提供していた店頭FXです。後者は2025年2月の社名変更に伴い、三菱UFJ eスマート証券FXへ名称が変わりました。
auカブコムFXは、今も使えますか?
サービス自体は続いています。名前が三菱UFJ eスマート証券FXへ変わっただけです。
ややこしいのは、同じ会社が2020年3月20日に一度、店頭FXを終了してシストレFXへ統合した経緯があること。古い記事で「終了」と書かれている場合、この2020年の話を指している可能性があります。
auじぶん銀行FXに自動売買はありますか?
私が確認した範囲の公式ページでは、自動売買サービスの提供を確認できませんでした。
一方、三菱UFJ eスマート証券FXの取引ルールには、テクニカル指標を選択し、その数値にもとづく売買シグナルで自動売買を行うシステムトレードの記載があります。自動売買が目的なら、こちらを見にいくのが早いはずです。
auじぶん銀行FXは、いくらから始められますか?
ミニコースなら1,000通貨単位から取引できます。米ドル/円162.59円で新規注文時の証拠金率5%を当てはめると、1,000通貨あたり約8,130円が必要になる計算です。
ただし、必要額ぎりぎりで建てると余力がほとんど残りません。前の章で示したとおり、上限まで建てるとロスカット水準までの距離は2円を切ります。
auじぶん銀行FXは、追証を避けたい裁量トレーダーに向いている
名前の似た2つを並べてみると、選択の分かれ目は通貨ペアでも手数料でもなく、ロスカットの設計と自動売買の有無にありました。
- じぶん銀行FXは提供中で、18通貨30ペア・ミニ1,000通貨単位・取引手数料無料
- auカブコムFXは2025年2月に三菱UFJ eスマート証券FXへ改称。別会社の別サービスであり、統合されたわけではない
- ロスカットはじぶん銀行FXが100%割れで追証なし、三菱UFJ eスマート証券FXが個人75%割れで追証あり
- じぶん銀行FXの証拠金率は維持4%・新規5%。証拠金10万円なら新規で建てられるのは12,000通貨までで、4%基準より約20%少ない
- 掲載した数値はいずれも2026年7月時点の公表内容で、申し込み前に公式サイトで最新の記載を確認する必要がある
まずはミニコースで1,000通貨。新規時5%という基準が自分の資金設計にどう効くかは、1本建ててみれば画面上ですぐ分かります。
自動売買そのものを軸に口座を選びたい方は、手数料の考え方が根本から違う会社も見ておいてください。FXブロードネットの評判とトラッキングトレードの解説で、自動売買に手数料がかかる場合のコスト構造を確認できます。

