「デモトレードを試したいけれど、どこのを使えばいいのか。期間や仮想資金がどれくらいなのかも分からないまま登録するのは気が進まない」
こういった疑問に答えます。
デモ口座の仕様は会社ごとにはっきり違います。利用期間は1か月から約3か月まで、仮想資金は1万円から1億円まで、登録の要否も不要な会社と必須の会社に割れる。しかも本番との差は「資金が仮想であること」だけではなく、追加証拠金制度が適用されない、帳票や約定通知メールが使えない、特定のチャートや通貨ペアが対象外といった機能面の欠落が公表されています。この記事では順位を付けず、公表されている仕様だけを並べます。
デモは口座を開かなくても始められますが、最終的に使う口座の条件は先に見ておいたほうが早い。最小取引単位やスプレッドを並べた主要FX会社の比較ページで、本番で使う候補を頭に置いてからデモを触ってみてください。
| 会社・サービス | 利用期間 | 仮想資金 | 登録 | 本番と違うと公表されている点 |
|---|---|---|---|---|
| GMOクリック証券 FXデモ取引(FXネオ) | ご登録日から1ヶ月間 | PC版は10万円〜9,999万円(1万円単位)、スマホ版は1億円を上限に任意設定 | スマホアプリは口座開設も登録も不要 | 追加証拠金制度は適用されない。帳票の確認、投資情報サービス、約定通知メールは利用不可 |
| 外為どっとコム バーチャルFX | 約3ヶ月 | 500万円 | 無料。必要なのはメールアドレスのみ | 本番用と同じ取引ツールを使用。相違点の具体的な記載は公式ページで確認できず |
| ヒロセ通商 LION FXデモ取引 | デモ登録から約3か月間 | 1万円〜1,000万円の範囲で入力 | 名前(ニックネーム可)、預託証拠金額、メールアドレスの登録が必要 | 必要証拠金とスワップポイントがリアルタイム更新ではなく本番口座の数値と異なる。毎週月曜にデモメンテナンス |
| DMM FX デモ取引 | 3ヶ月 | 初期仮想資金500万円。純資産が50万円を下回ると自動補充 | メールアドレスとニックネームのみ | プレミアチャートは利用不可。ミニ通貨ペアとラージ通貨ペアの取扱なし |
※2026年7月時点の各社公式ページの記載。最新の条件は公式サイトで確認してください。
デモ口座は「無料で同じもの」ではなく、仕様が4項目で割れている
デモはどこも似たようなものだと思われがちです。実際に公式ページを並べると、そうではありません。
割れているのは4項目。期間、仮想資金、登録の要否、そして本番から欠けている機能です。
GMOクリック証券のFXデモ取引は、利用期間がご登録日から1ヶ月間、仮想資金はPC版が10万円から9,999万円までの1万円単位、スマホ版は1億円を上限に1円単位または0.01米ドル単位で設定できると案内しています。スマホアプリについては口座開設も登録も不要でスタートできると明記されています(GMOクリック証券「FXデモ取引(FXネオ)」)。
外為どっとコムのバーチャルFXは、バーチャル上の資産500万円を約3ヶ月の期間中にいくら増やせるかを競う形式で、登録は無料、必要なのはメールアドレスのみとされています(外為どっとコム「バーチャルFX」)。
ヒロセ通商のLION FXデモ取引は方式が違います。有効期限はデモ登録から約3か月間で、預託証拠金を1万円から1,000万円の範囲で自分で入力する形。登録には名前、預託証拠金額、メールアドレスが必要です(ヒロセ通商「LION FXデモ取引」)。
DMM FXのデモ取引は、利用期間3ヶ月、初期仮想資金500万円で、純資産が50万円を下回ると自動的に500万円が補充される仕組みです(DMM FX「DMM FX デモ取引」)。
同じ「無料のデモ」でも、1か月と3か月、登録不要と登録必須。始める前にどれを選ぶかで、できることが変わります。
デモの多くはスマホアプリの中に用意されており、本番と同じアプリで切り替える方式もあります。各社のアプリが何を公表しているかを並べたFXアプリの公表機能を比較した記事を先に見ておくと、デモで触る画面がそのまま本番の画面かどうかを判断しやすくなります。
仮想資金を初期値のまま使うと、ロスカットまでの距離が実際の74倍になる
デモの仕様でいちばん実害が出やすいのが、仮想資金の初期値。ここは数字にしてしまいましょう。
前提を置きます。通貨ペアは米ドル/円、レートは日本銀行が公表した2026年7月21日17時時点の162.59円台(日本銀行「外国為替市況(日次)」)。証拠金率は個人向け店頭FXで業者に義務づけられた下限の4%、ロスカット水準は証拠金維持率50%とします。数量は1万通貨で固定です。
1万通貨の取引金額は162万5,900円、必要証拠金はその4%で6万5,036円。ロスカットは有効証拠金が必要証拠金の50%、つまり3万2,518円まで減った時点で発動します。
| 口座資金 | 証拠金維持率 | ロスカットまでの損失可能額 | 耐えられる値幅 |
|---|---|---|---|
| 仮想資金500万円 | 約7,688% | 496万7,482円 | 約496.75円(4万9,675pips) |
| 100万円 | 約1,538% | 96万7,482円 | 約96.75円(9,675pips) |
| 実際に入れる10万円 | 約154% | 6万7,482円 | 約6.75円(675pips) |
検算します。500万円から3万2,518円を引くと496万7,482円。1万通貨で割ると1通貨あたり496.75円ぶん動ける計算で、pipsに直すと4万9,675pipsです。
10万円の行と見比べてください。耐えられる値幅は6.75円で、500万円のときの約74分の1しかありません。
つまり仮想資金500万円のまま1万通貨で練習すると、含み損が5万円出ても維持率は7,000%台のまま。この環境で「まだ大丈夫」という感覚を身につけてしまうと、本番の10万円口座では6.75円でロスカットに届きます。
対処はひとつだけです。デモを開いたら、真っ先に仮想資金を自分が実際に入金する予定の金額へ変更してください。GMOクリック証券は1万円単位、ヒロセ通商は1万円から1,000万円の範囲で設定できます。金額を変えられない会社なら、数量のほうを下げて維持率を合わせるという手もあります。
デモに実装されているものと、されていないものは9項目に仕分けられる
「デモは本番と同じ」と書かれていることがありますが、公表内容を読むと同じではない部分がいくつも出てきます。取引の構成要素ごとに整理しました。
| 取引の構成要素 | デモでの扱い | 根拠になる公表内容 |
|---|---|---|
| 注文画面の操作と発注手順 | 実装されている | 外為どっとコムは「本番用と同じ取引ツール」と案内 |
| 注文の種類と組み合わせ | 実装されている | 各社が本番と同じ取引システムを使用すると案内 |
| チャートと指標の表示 | 一部が制限される | DMM FXは「デモ取引では『プレミアチャート』はご利用いただけません」 |
| 取扱通貨ペア | 一部が制限される | DMM FXはミニ通貨ペア・ラージ通貨ペアの取扱なし |
| 必要証拠金とスワップの数値 | 本番と異なる | ヒロセ通商は「リアルタイム更新ではございません」「本番口座の数値と異なります」 |
| 追加証拠金制度 | 適用されない | GMOクリック証券は「FXネオ取引の追加証拠金制度は適用されません」 |
| 帳票と約定通知メール | 利用できない | GMOクリック証券は帳票確認と約定通知メールを利用不可と表示 |
| 実際の約定価格とスリッページ | 検証できない | 約定率は実口座の成行注文を対象に測られる指標 |
| 資金が減る感覚 | 検証できない | 仮想資金は自分の生活資金と切り離されている |
上の3行と下の6行で、性質がまったく違います。上は「そのまま持ち帰れるもの」、下は「デモで何回やっても身につかないもの」。
とくに追加証拠金の扱いは見落とされます。本番では発生しうる追証がデモでは適用されないので、デモで一度も追証に遭わなかったという経験は、自分の数量が安全である証拠になりません。
約定の話も同じです。JFXは約定率99.99%を公表し、その対象が成行注文でスリッページ設定された注文を除くことと、算出式まで開示しています(JFX「約定率について」)。こうした数字が実口座の注文を対象に測られている以上、デモでの約定は実力の目安になりません。
はっきり書いておきます。デモで勝てたことは、リアルで勝てる根拠になりません。上の表の下半分が丸ごと抜けているからです。
期間1か月と約3か月の差は、確かめたい対象で意味が変わる
期間が長いほうがよいと考えたくなるところですが、目的しだいです。
操作を覚えるのが目的なら、1か月でも余ります。発注、逆指値の設置、決済、注文の取り消し。この4つを迷わず押せるようになるまでにかかるのは、多くても数十回です。
一方、複数の時間足をまたいだ手順を試したいなら1か月では足りません。日足や4時間足で判断する形にすると、1か月では検証の機会が数回しか回ってこないからです。
ここで問いをひとつ。あなたがデモで確かめたいのは、操作でしょうか、それとも判断でしょうか。
操作なら期間の短い会社で十分です。判断のほうなら、そもそもデモでは限界があります。判断の質は損益が自分の資金に紐づいて初めて試されるもので、仮想資金では条件が揃わないため。
デモと少額のリアル口座をどう分担させるかは、練習の設計そのものの話になります。予算と回数から段階を組み立てたFXの練習方法をデモと少額リアルの使い分けで整理した記事に順番をまとめてあるので、期間を決める前に読んでおくと迷いが減ります。
この記事が扱うのは、公式ページで仕様を確認できるデモ口座だけ
デモトレードを調べていると、ゲーム形式のシミュレーションが検索結果に混ざってきます。ここで線を引いておきます。
この記事で扱うのは、金融商品取引業の登録を受けた会社が自社の取引システムを使って提供しているデモ口座だけです。理由は単純で、仕様を公式ページで確認できるかどうか。
上の表に載せた4社は、期間も仮想資金も本番との違いも、会社自身が文章で公表しています。仕様が公表されていれば、この記事のように検証もできるし、読者が自分で確かめ直すこともできるということ。
対して、レートの取得元も約定の処理方法も公表されていないアプリでは、そこで身につけた感覚が本番に対応しているのかを誰も判定できません。無料か有料かではなく、確認できるかどうかで線を引いています。
なお、会社を確認する手段は用意されています。金融庁は2026年1月30日から、業種横断で登録金融事業者を検索できる機能の運用を始めました(金融庁「金融事業者一括検索機能の運用開始について」)。デモであっても、提供元は先に引いておいてください。
デモが終わったあとに残るのは、成績ではなく操作の記録
デモ期間が終わったとき、手元に何が残っているかを先に決めておくと無駄がありません。
残すべきは損益ではなく、操作の記録のほうです。何回発注したか、逆指値を置き忘れた回数、注文の種類を取り違えた回数。この3つは仮想資金でも正確に数えられます。
逆に、仮想資金がいくら増えたかという数字はほとんど使えません。ロスカットまでの距離が実際の74倍ある環境で出た成績は、資金管理の検証にならないからです。
制度の側も確認しておきましょう。金融先物取引業協会によれば、顧客証拠金の区分管理は2010年2月1日から信託に一本化され、同じ日からロスカットルールの整備と遵守が個人顧客と取引する全業者に義務づけられました(金融先物取引業協会「FX取引の規制について」)。ロスカットは本番の口座に必ず備わっている仕組みです。
デモではその発動条件を数字として確認できても、発動したときに何を感じるかまでは分かりません。だからこそ、デモの出口は「操作が固まったこと」で判定するのが妥当だと考えています。
FXのデモトレードとシミュレーションについて、期間と仕様でよくある質問
仕様の違いは押さえました。とはいえ、登録フォームを開く直前になると細かい点が気になるはずです。よく検索されている5つを片付けます。
FXのデモトレードは登録不要で使えますか?
会社によります。GMOクリック証券はスマホアプリについて口座開設も登録も不要でスタートできると案内しています。
一方、ヒロセ通商は名前と預託証拠金額とメールアドレスの入力を求め、外為どっとコムとDMM.com証券もメールアドレスの登録が必要です。登録不要を条件にするなら、選択肢はかなり絞られるということ。
デモトレードの仮想資金は変更できますか?
変更できる会社があります。GMOクリック証券はPC版で10万円から9,999万円までを1万円単位、ヒロセ通商は1万円から1,000万円の範囲で設定できると公表しています。
DMM FXは初期仮想資金500万円で、純資産が50万円を下回ると自動的に補充される方式。設定の自由度は会社ごとに違うので、登録前に確認してください。
デモ口座の期間が切れたらどうなりますか?
各社が公表している期間は1か月から約3か月です。DMM FXは期間満了後に自動解除されるが再登録は可能と案内しています。
ただ、期間を延ばすことよりも、何回試したかを数えるほうが実務的です。発注から決済までを30回ほど繰り返して迷いがなければ、そのデモの役割は終わっています。
デモの取引履歴は確定申告に関係しますか?
関係しません。仮想の損益は実際の受け渡しが発生しないためです。
そもそもGMOクリック証券は、デモでは帳票の確認ができないと公表しています。申告に使う書類はデモから出てこないと考えてください。
無料のシミュレーションアプリとデモ口座はどう違いますか?
提供元と仕様の公開度が違います。デモ口座は登録を受けた会社が自社の取引システムを使って提供しており、期間も仮想資金も本番との差も公表されています。
私は特定のアプリを勧めません。判断すべきなのは無料かどうかではなく、レートの取得元と本番との差が文章で確認できるかどうかです。
デモトレードは、仕様を読んでから触った人だけが持ち帰れる
デモを何日やるかより、どの仕様の上でやっているかを知っているかどうかが結果を分けます。仮想資金と追証の扱いを知らないまま3か月続けても、持ち帰れるものは操作だけです。
- 利用期間は1か月から約3か月、仮想資金は1万円から1億円まで会社ごとに違う
- 登録不要で始められる会社と、名前やメールアドレスの登録が必要な会社に割れる
- 追加証拠金制度が適用されない、帳票と約定通知メールが使えない、特定チャートや通貨ペアが対象外といった欠落が公表されている
- 仮想資金500万円のまま1万通貨を建てると、ロスカットまでの距離が10万円口座の約74倍になる
- デモで確認できるのは操作、注文の種類、指標の表示まで。約定の実際と資金が減る感覚は確認できない
登録したら最初にやることは1つです。仮想資金を自分が入金する予定の金額へ書き換える。ここを飛ばすと、そのあと何回発注しても数量の感覚は身につきません。
なお、パソコンにインストールする取引プラットフォームを使いたい場合は、デモ口座の作り方も提供状況も国内会社ごとに違ってきます。対応している業者と使える版を整理したMT4が使える国内FX口座とMT5との違いをまとめた記事で、自分の目的に合う環境があるかを確認してみてください。

