「分離課税が決まったなら、2026年の利益も一律20パーセントになるのか」と迷う人は少なくありません。
しかし、税制改正大綱に方針が載ること、関連法が成立すること、税制が実際に適用されることは別の段階です。
2026年7月29日時点で、暗号資産の分離課税の開始日を一律に断定することはできません。
適用開始が確認できるまでは、現行制度に基づいて損益を集計し、申告準備を進めます。
取引所ごとの取扱銘柄や手数料は、暗号資産取引所17社の比較ページで比較できます。
| 確認したいこと | 2026年7月29日時点の整理 |
|---|---|
| 現在の個人課税 | 原則として雑所得の総合課税 |
| 改正大綱の方向 | 一定の取引を20パーセントの分離課税とする措置 |
| 損失の扱い | 現行は給与所得等と通算不可、大綱には一定の3年繰越案 |
| 開始時期 | 関連法令の施行と税制の適用関係を確認する必要がある |
いまの申告は総合課税で行う
国税庁の暗号資産に関する税務案内は、暗号資産を売却または使用して生じた利益を、事業所得等に付随する場合を除き、原則として雑所得に区分すると説明しています。
この雑所得は給与所得などと合計し、所得控除を反映したうえで所得税を計算する総合課税が基本です。
国税庁の暗号資産FAQも、売却、暗号資産同士の交換、商品購入などで所得計算が必要になる場面を示しています。
保有残高の評価額へ20パーセントを掛ける制度ではありません。
2026年中に売却益が出た場合、将来の制度だけを前提に納税資金を見積もるのは危険です。
まずは現行の税率と住民税を前提に資金を残し、制度が施行された後に対象年と対象取引を確認します。
税制改正大綱に示された内容
財務省の令和8年度税制改正大綱には、金融商品取引法の改正を前提として、特定の暗号資産取引による所得を20パーセントの分離課税とする措置が示されています。
内訳は所得税15パーセント、住民税5パーセントで、一定の損失を翌年以後3年間繰り越す案も含まれます。
| 論点 | 現行制度 | 改正大綱に示された方向 |
|---|---|---|
| 課税方式 | 原則として雑所得の総合課税 | 対象取引を分離課税 |
| 税率 | 他の所得との合計で変わる | 合計20パーセント |
| 損失繰越 | 原則として不可 | 一定の損失を3年間 |
| 対象 | 暗号資産取引の所得 | 法令で定める特定暗号資産等取引 |
金融庁の令和8年度税制改正資料でも、投資者保護のための規制整備と税制上の措置が対応付けられています。
すべての暗号資産、海外取引、DeFi取引が自動的に対象になるとまでは読めません。
開始日は施行関係法令で確認する
金融庁の国会提出法案一覧によると、関連する金融商品取引法等の改正法案は2026年4月10日に提出され、同年7月15日に成立しました。
ただし、成立日は税制の適用開始日そのものではありません。
金融庁の改正法案概要には暗号資産に関する規制の見直しが示されています。
実務では次の順番で確認します。
- 改正法の公布日と施行日を確認する。
- 税制改正法と政省令の対象取引を確認する。
- 経過措置から、どの年分の取引に適用されるかを見る。
- 取引所の年間報告書や申告様式の更新を確認する。
見出しだけで「成立したから今年分から」と判断せず、適用年と対象範囲がそろってから申告方法を切り替えます。
制度変更に備えて残す記録
税制が変わっても、取引履歴がなければ取得価額や損失を証明しにくくなります。
国内取引所の年間取引報告書だけでなく、海外口座、自己管理ウォレット、交換、ステーキング報酬の記録も保存します。
- 約定日時、数量、円換算額
- 取得価額と採用した評価方法
- 取引所間や自己管理ウォレットへの送付履歴
- 手数料とその支払通貨
- 年末時点の残高
分離課税を期待して記録を後回しにするのではなく、現行制度でも将来制度でも再計算できる形にしておくことが先です。
暗号資産の分離課税に関するよくある質問
2026年分の利益は20パーセントで申告できますか?
2026年7月29日時点では、2026年分の暗号資産利益へ一律20パーセントを適用できるとは断定できません。
国税庁の現行案内に基づく総合課税を前提に集計し、税制改正法の適用年が正式に確認された場合に扱いを見直してください。
法律が成立すればすぐ分離課税になりますか?
法案の成立と、個別制度の施行や税制の適用開始は同じではありません。
金融庁の法案情報で成立状況を確認したうえで、公布された法律の施行日、税制改正法、政省令、経過措置まで確認する必要があります。
分離課税まで暗号資産を売らない方がよいですか?
税率だけで保有を続けると、価格下落や資金需要の変化を見落とします。
売却判断は、許容できる損失、資産配分、納税資金、保有目的を先に検討し、税制はその判断材料の一つとして扱うのが妥当です。
開始日ではなく適用条件まで確認する
分離課税の報道を見るときは、税率だけでなく、対象取引、損失繰越、適用年の三点を一緒に確認すると誤読を減らせます。
現行制度の申告準備を止めず、正式な施行情報が出た時点で差分を確認してください。
- 現行は原則として雑所得の総合課税です。
- 改正大綱には一定の取引を合計20パーセントとする措置があります。
- 法案成立日と税制の適用開始日は同じとは限りません。
- すべての暗号資産取引が対象になるとは限りません。
- 取得価額と取引履歴は制度変更前から保存します。
現行の損失の扱いは、暗号資産の損益通算と損失が出た年の扱いで具体的に確認できます。

