押し目買いと戻り売りのコツ!エントリー位置の測り方

押し目買いと戻り売りのコツ!エントリー位置の測り方

「押し目で買えと言われても、どこまで下がったら押し目なのかが分からない。浅すぎて失敗し、深く待つと今度は来ないまま上がっていく」

こういった疑問に答えます。

押し目買いが有利かどうかは、待つ深さと損切り幅の関係で決まります。この記事では320pipsの上昇波に対して押しを38.2%・50%・61.8%の3段階に変え、6,000通貨での損益額を計算しました。深く待つほどリスクリワードは1対0.68から1対1.65へ改善し、損益分岐に必要な勝率は59.4%から37.7%へ下がります。ただし深い水準ほど到達しない確率も上がるという、逃れられない交換条件つきです。

損切り幅から通貨量を逆算するには、最小取引単位の小さい口座が扱いやすくなります。条件を横並びで見たい方は主要FX会社の比較ページで取引単位とスプレッドを確認してみてください。

測る基準位置の決め方長所外れたときに起きること
直近安値直前の押し安値を割らずに反発した位置で入る価格が一意に決まり、損切りを安値の下に置ける安値をわずかに割ってから反転する動きで損切りに掛かり、その後に上昇していく
移動平均線25期間などの線まで下げてきたところを押しとみなす線が足ごとに更新され、待つ位置が自動で切り上がる線は価格ではなく平均値。相場が横ばうと線のほうが価格に近づき、押しがないまま条件が成立する
フィボナッチ水準上昇波の値幅に38.2%・50%・61.8%を掛けて価格を出すエントリー価格を事前に数式で確定できる起点の取り方で全水準がずれる。深い水準ほど到達せずに終わる
値幅の割合3分の1押し、半値押しのように単純な比率で区切る暗算でき、どの時間足でも同じ手順で使える値動きの大きさを考慮しないため、荒れた日は浅すぎ、静かな日は深すぎる
上抜けた高値の価格帯直前に上抜けた高値まで下げてくるのを待つ過去に反応した記録があり、根拠を説明しやすい記録が古いほど機能しにくく、そこまで下げないまま再上昇することがある

押し目と戻りは、トレンドの途中で一時的に逆行する区間のこと

言葉の定義を先に固めます。押し目は上昇トレンドの途中で一時的に下げる区間、戻りは下降トレンドの途中で一時的に上げる区間のこと。押し目買いはその下げたところを買い、戻り売りは上げたところを売る手法です。

「リバ取り」という言い方もあります。リバウンドの略で、下げた直後の反発を取りにいく意味で使われることが多い言葉。ただし、トレンド方向に沿った押し目買いと、下落の勢いが一服したところを狙う逆張り的なリバ取りは、判断の前提がまったく違います。同じ言葉で語ると混乱するので、この記事ではトレンド方向に沿った押し目と戻りに限定します。

そもそも押し目という考え方が成立するのは、トレンドが続くという前提を置いているからです。外為どっとコムはダウ理論の6つの法則のひとつとして「トレンドは明確な転換サインが出るまで続く」を挙げています(外為どっとコム「ダウ理論とは」)。押し目買いは、この前提が崩れていないことを確認したうえで初めて成り立つ手法です。

逆に言えば、押し目に見えたものが実はトレンド転換の初動だった、という失敗は構造上なくせません。押し目買いに向いた相場かどうかの判定を飛ばして、深さの話だけをしても意味がないということ。

トレンドが継続するのか転換するのかの見極めは、価格が節目を抜けた瞬間の挙動に表れます。ブレイクアウト手法とダマシの見抜き方をまとめた記事にエントリー条件として整理してあるので、押し目を待つ前提が正しいかをそちらで確認しておくと精度が上がります。

押しの深さの上限は上昇波の起点で、そこまでの測り方は基準ごとに変わる

どこまで下げたら押し目ではなくなるのか。ここに明確な線引きはありませんが、参考になる考え方はあります。

外為どっとコムはエリオット波動の3つの基本原則として、推進波の第1波・第3波・第5波のうち第3波が最も短くなることはないこと、第2波が第1波を超えて安値をつけることはないこと、第4波が第1波の高値を下回ることはないことを挙げています(外為どっとコム「エリオット波動とは」)。

このうち2つ目に注目してください。第2波が第1波の起点を割らない、という原則です。上昇波の起点を割ってしまったら、それはもう押し目ではないという線引きが、ここから引けます。

つまり押しの深さの上限は、上昇波の起点そのものです。100%戻したら押し目ではない。この一線があるからこそ、損切り位置も自動的に決まります。上昇波の起点の少し下、というのが最もシンプルな置き方です。

一方、移動平均線を基準にする場合は考え方が変わります。マネックス証券は単純移動平均線の計算式を「(直近の終値+1本前の終値+2本前の終値…+(N-1)本目の終値)÷N」とし、日足では5日・25日・75日・100日・200日が代表的な期間だと説明しています(マネックス証券「移動平均線(MA)」)。移動平均線をはじめ多くのテクニカル指標は終値を基準に算出されるため(OANDA証券 用語集「四本値」)、価格が動かなくても線のほうは動きます。待つ位置が勝手に変わるということ。

フィボナッチ水準を使う場合は、上昇波の値幅に比率を掛けて価格を出します。マネックス証券はリトレイスメントの比率として23.6%、38.2%、50%、61.8%などを挙げています(マネックス証券「フィボナッチ」)。この記事では比率の由来には立ち入らず、深さの目盛りとしてだけ使います。

押しの深さを3段階に変えて、6,000通貨の損益を並べる

ここからは数字で比べます。前提をすべて明示します。

米ドル/円が161.40円から164.60円まで上昇したとします。値幅は3.20円、つまり320pips。損切りは上昇波の起点161.40円の10pips下にあたる161.30円に固定し、目標は直近高値を20pips超えた164.80円に置きます。取引数量は6,000通貨で、クロス円は1pips=0.01円なので1pipsあたり60円。レートの水準は日本銀行が公表した2026年7月21日17時時点の米ドル/円162.59円台を参考に設定しました(日本銀行「外国為替市況(日次)」)。

押しの深さエントリー価格高値からの押し幅損切り幅(161.30円まで)目標までの利幅(164.80円まで)
38.2%(浅い)163.38円122pips208pips142pips
50.0%(中位)163.00円160pips170pips180pips
61.8%(深い)162.62円198pips132pips218pips

エントリー価格の計算を1つだけ書きます。38.2%なら164.60−3.20×0.382=164.60−1.2224=163.3776円で、小数第3位を四捨五入して163.38円。ほかも同じ手順です。

損切り幅と利幅を足すと、3行とも350pipsになります。損切り価格と目標価格を固定しているため当然の結果ですが、この一定値があるおかげでリスクリワードの比較が単純になります。

押しの深さ6,000通貨の損失額6,000通貨の利益額リスクリワード損益分岐に必要な勝率
38.2%(浅い)12,480円8,520円1対0.6859.4%
50.0%(中位)10,200円10,800円1対1.0648.6%
61.8%(深い)7,920円13,080円1対1.6537.7%

検算します。38.2%の損失額は208×6,000×0.01円=12,480円、利益額は142×6,000×0.01円=8,520円。損益分岐に必要な勝率は208÷350=59.4%です。

浅く入ると、損失のほうが利益より3,960円も大きくなります。10回中6回近く当てないと収支がプラスにならない計算。一方、61.8%まで待てば10回中4回当たれば収支はプラス側に出ます。数字だけ見れば深く待つほうが有利に見えるはずです。

なお取引コストも確認しておきます。ヒロセ通商のLION FXは米ドル/円をAM9:00からAM3:00まで0.2銭と公表しており(ヒロセ通商「LION FXスプレッド情報」)、6,000通貨なら1往復12円。損益額の桁からすると誤差の範囲です。※2026年7月時点。最新の条件は公式サイトで確認してください。

6,000通貨はヒロセ通商のように1Lot=1,000通貨を基本とする口座なら6Lotにあたります(ヒロセ通商「取引要綱(LION FX)」)。損切り幅が決まれば、許容損失額から通貨量を逆算できます。

深く待つほど条件は良くなるが、到達しなければ取引そのものが発生しない

前章の表だけを見ると、61.8%まで待つのが正解に思えます。ここで止まらないでください。

表に入っていない要素が1つあります。その水準に到達する確率です。どの深さに何回届くのかを示した公的な統計を、私は見つけられませんでした。ここは分からないものとして扱います。

とはいえ、統計を持ち出さなくても構造だけで言えることがあります。61.8%まで下げる値動きは、必ず38.2%を通過します。逆は成り立ちません。したがって、38.2%に到達する回数は61.8%に到達する回数以上になります。これは相場の性質ではなく、単なる包含関係です。

つまり交換条件はこうなります。浅く待てば取引の機会は増えるが、1回あたりの条件は悪い。深く待てば1回あたりの条件は良いが、そもそも順番が回ってこない回数が増える。どちらが有利かは、条件の良さと機会の多さのどちらを重く見るかで変わります。

「では結局どうすればいいのか」と思うかもしれません。私の考えでは、先に決めるべきは深さではなく、1回で許容する損失額のほうです。損失額を先に固定すると、深さごとに建てられる通貨量が自動的に変わります。この記事の設定なら、損失を1万円以内に抑える場合、38.2%では4,800通貨まで、61.8%では7,500通貨まで建てられる計算です。

エントリーの根拠をどう重ねるかという話は、深さの選択だけでは終わりません。FXのエントリータイミングと根拠の重ね方をまとめた記事に待つ技術として整理してあるので、複数の基準が一致する場面の作り方はそちらを参照してください。

移動平均線を基準にすると、押しの深さを相場側が決めることになる

同じ上昇波に、移動平均線を当ててみます。25期間の単純移動平均線が163.10円にあったとしましょう。

高値164.60円からの距離は150pipsで、値幅320pipsに対する割合は46.9%。ちょうど半値のやや手前にあたります。この位置で入ると、損切り幅は180pips(6,000通貨で10,800円)、利幅は170pips(10,200円)、リスクリワードは1対0.94で、損益分岐に必要な勝率は51.4%です。

数値としては50%押しの中位パターンとほぼ同じ結果になりました。ただし、決定的に違う点があります。移動平均線の位置は自分では選べません。

線が163.10円にあるかどうかは、過去25本の終値が決めます。相場が横ばえば線は上がってきて押しの深さが浅くなり、急落すれば線が下がって深くなる。つまり移動平均線を基準にするということは、押しの深さの決定権を相場に預けるということです。

これは短所でもあり長所でもあります。自分で深さを決めなくてよいので判断がぶれない一方、条件の悪い浅い押しでも機械的に入ってしまう場面が出てきます。値動きの大きさそのものを測りたいなら、ATRのような指標を併用する手もあります。ヒロセ通商はATRを「相場の動く『大きさ』を判断するときに用いる」指標とし、期間は14日や20日が一般的だと説明しています(ヒロセ通商「ATR」)。

値幅の割合で区切る方法も同じ枠組みで整理できます。この上昇波なら3分の1押しが163.53円、半値押しが163.00円、3分の2押しが162.47円。フィボナッチの38.2%と61.8%の外側に、それぞれ少しずつずれた位置に来ます。

戻り売りは上下を入れ替えるだけで、判断の手順は変わらない

ここまで押し目買いで説明してきましたが、戻り売りは完全に対称です。新しく覚えることはありません。

下降トレンドで高値164.60円から安値161.40円まで下げた場面を想像してください。押し目買いの計算をそのまま上下反転させれば、安値から38.2%戻した位置が162.62円、50%戻しが163.00円、61.8%戻しが163.38円。損切りは下降波の起点164.60円の少し上、目標は直近安値の少し下です。

リスクリワードも損益分岐に必要な勝率も、同じ数字になります。深く待つほど条件が良くなり、到達確率が下がるという交換条件も同じ。

にもかかわらず、戻り売りのほうが難しく感じるという声はよく聞きます。理由は手法そのものではなく、下げの局面では値動きが速く感じられること、そして「安く買って高く売る」という感覚の順序が逆になることの2つでしょう。

慣れの問題なので、最初は押し目買いだけに絞っても構いません。ただし、上昇トレンドしか取らないと決めると、下降局面では待ち続けることになります。取引機会を半分に絞る選択をしている自覚だけは持っておいてください。

押し目待ちに押し目なしという場面で、何をするかを決めておく

待っていた水準に一度も届かないまま、価格が上がっていく。これは避けられません。相場が浅い押しで上昇を続けることは普通に起こります。

このとき取れる選択肢は3つです。1つ目は見送る。2つ目は浅い水準で入り直す。3つ目は上昇が一段落して新しい波ができるのを待つ。

私は、その場で基準を緩めて入るのが最も危険だと考えています。38.2%で待つと決めていたのに23.6%で入るのは、その場の値動きに合わせて根拠を作り直しているだけ。この記事の計算で言えば、浅く入るほど損切り幅が広がり、必要な勝率が上がります。感情で緩めた基準は、必ず数字の側に跳ね返ります。

現実的なのは3つ目です。上昇が続いているなら、新しい高値と新しい押し安値ができるのを待てばよい。上昇波が更新されれば、フィボナッチの起点も移動平均線の位置も更新されます。次の波で同じ手順を繰り返すだけです。

そして、見送った取引が上がっていくのを見るのは避けられないコストだと割り切ってください。到達しなかった取引は、そもそも勝率の母数にも入りません。取り逃した利益は、計算上の損失ではないということ。

押し目買いと戻り売りの手法について、実行前に残る疑問

深さの選び方と数字の関係はここまでで整理できました。とはいえ、実際に注文を出す段になると細かい判断が残るはずです。よく調べられている4つに答えます。

押し目買いは順張りと逆張りのどちらですか?

トレンド方向に沿って入るので順張りに分類されます。ただし、押しの局面では価格が短期的に下げているため、その瞬間だけを切り取ると逆張りに見えます。

見ている時間軸の違いが原因です。大きな時間足の方向に順張り、小さな時間足では一時的に逆行している場面を拾う。この二重構造を理解しておくと、自分が何に賭けているのかがはっきりします。

押し目はどこまで下げたら押し目ではなくなりますか?

上昇波の起点を割ったら、その波に対する押し目ではなくなります。エリオット波動の基本原則にも、第2波が第1波を超えて安値をつけることはないという考え方があります。

実務上は、起点を割った時点で損切りになるよう注文を置いておけば足ります。何%までが押し目かを厳密に議論するより、割れたら降りると決めておくほうが再現性があります。

リバ取りと押し目買いは同じものですか?

同じではありません。押し目買いはトレンド方向に沿って入る手法で、リバ取りは下げの勢いが一服した反発を取りにいく場面でも使われる言葉です。

前提が違うと損切り位置も変わります。押し目買いなら上昇波の起点の下、反発狙いなら直近安値の下。同じ「下げたところを買う」でも、根拠と撤退条件は別物として扱ってください。

6,000通貨だと損切りでいくら失いますか?

この記事の設定では、38.2%で入ると12,480円、50%で10,200円、61.8%で7,920円です。1pipsが60円なので、損切り幅のpips数に60を掛ければ出ます。

金額が大きすぎると感じたら、深さを変えるのではなく通貨量を減らしてください。損失を1万円以内に抑えるなら、38.2%のパターンでは4,800通貨程度が上限になる計算です。

押しの深さは、条件の良さと機会の多さのどちらを取るかという選択

押し目買いが有利だという言い方は、条件を書かないかぎり成立しません。この記事の設定では、深く待つほどリスクリワードが1対0.68から1対1.65へ改善し、必要な勝率は59.4%から37.7%へ下がりました。ただしそれは、待った水準に届いた場合だけの話です。

  • 押し目はトレンド継続を前提とする手法で、上昇波の起点を割ったら押し目ではなくなる
  • 測る基準は直近安値・移動平均線・フィボナッチ水準・値幅の割合など複数あり、外れ方がそれぞれ違う
  • 320pipsの上昇波に対し、38.2%なら損切り208pips・利幅142pips、61.8%なら損切り132pips・利幅218pips
  • 6,000通貨での損失額は12,480円・10,200円・7,920円、利益額は8,520円・10,800円・13,080円になる
  • 深い水準ほど条件は良いが、必ず浅い水準を通過するため到達回数は浅い水準以下になる

まずは1回で許容する損失額を先に決めてください。金額が決まれば、深さごとの通貨量は割り算で出てきます。

トレンドに沿って押しを待つ以外に、反転そのものを狙う組み立て方もあります。逆張りと順張りの使い分けの判断基準をまとめた記事で、どちらの前提が今の相場に合うのかを確認しておくと選択肢が広がります。

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