FXでゴールドは取引できる?国内でのやり方と注意点

FXでゴールドは取引できる?国内でのやり方と注意点

「FXの口座でゴールドも扱えると聞いた。同じ取引画面で金が買えるなら便利だけれど、通貨と同じルールで考えていいのだろうか」

こういった疑問に答えます。

国内の口座で金を取引するとき、その商品はFXではありません。取引所も店頭も、金はCFDとして提供されています。違いは呼び名だけにとどまらず、レバレッジの上限が変わります。個人向けの店頭FXは取引金額の4%以上の証拠金が義務で上限25倍、今回確認した金CFD4社はいずれも上限20倍で、証拠金率に直すと5%。取引金額162万5,900円で並べると、必要証拠金は6万5,036円と8万1,295円になり、1万6,259円の差がつきます。

通貨のほうの取引条件を先に見比べておきたい方は、主要FX会社の比較ページにスプレッドや取引単位を一覧にしてあります。

なお、どの通貨ペアを選ぶかという手前の話はFXの通貨ペアの選び方をまとめた記事に分けてあります。この記事で扱うのは、通貨ではない対象を国内でどう取引することになるのかという制度の話です。

提供元商品名区分必要証拠金率最大レバレッジ
東京金融取引所金ETFリセット付証拠金取引(くりっく株365)取引所CFD該当ページに記載なし該当ページに記載なし
GMOクリック証券金スポット店頭CFD5%20倍
外為どっとコム金CFD店頭CFD該当ページに記載なし20倍
IG証券スポット金(商品CFD)店頭CFD5%(最低維持証拠金率)20倍
サクソバンク証券金/ドル(XAUUSD)店頭CFD5%20倍
参考:個人向けの店頭FX通貨ペア店頭FX4%以上25倍

※2026年7月時点で各社および東京金融取引所が公表している内容です。証拠金率は市場環境やポジション量で引き上げられる場合があるため、発注前に取引システム上の数値を確認してください。

国内で金を取引するとき、その商品はFXではなくCFDになる

まず、いちばん誤解が多いところから片づけます。

東京金融取引所には、取引所FXである「くりっく365」と、取引所CFDである「くりっく株365」の2つがあります。金が上場しているのは後者のほう。くりっく株365の取扱銘柄は11で、株価指数が日経225・日経225マイクロ・NYダウ・NASDAQ-100・ラッセル2000・DAX・FTSE100の7銘柄、商品関連が金ETF・銀ETF・プラチナETF・原油ETFの4銘柄と案内されています(東京金融取引所「取引所株価指数証拠金取引 くりっく株365」)。

一方のくりっく365は、対円取引が米ドルや南アフリカランドなど計17通貨、クロスカレンシー取引が11ペアで、いずれも通貨です。必要証拠金率は金融商品取引法令に定められた4%、レバレッジ倍率は25倍と明記されています(東京金融取引所「取引所為替証拠金取引 くりっく365」)。この一覧に金は出てきません。

つまり同じ取引所の中でも、通貨と金は別の商品として整理されているということ。名前が似ているせいで、くりっく365の中に金があると読み違えている解説をよく見かけます。

金ETFの商品名も、正確には「金ETFリセット付証拠金取引」です。ETFを参照する証拠金取引であって、金そのものの受け渡しを前提にした取引ではありません。

店頭の4社も、商品名は違うが区分はすべてCFDでそろっている

取引所だけの事情ではないのかと思うかもしれません。店頭も同じです。

GMOクリック証券は、銘柄名を「金スポット」とし、ロコ・ロンドン・スポット市場の金価格を参照原資産とするCFDだと説明しています。価格は1トロイオンス(31.1035グラム)あたりで表示され、取引単位はCFD価格の1倍、すべて円で取引でき取引手数料は無料とされています(GMOクリック証券「はじめてのCFD一問一答 金スポット」)。

外為どっとコムは金CFDについて、現物の受け渡しは行わず売買で発生した損益のみを受け渡す取引だと書いています。最大20倍のレバレッジが使えるものの、初心者には低いレバレッジでの取引を勧めるとも添えられています(外為どっとコム「金CFD(ゴールド)の特長と投資のコツ」)。

IG証券は商品CFDという区分の中に金を置き、スポット金の取引時間を午前8時00分から翌午前7時00分、夏時間は午前7時00分から翌午前6時00分と案内しています(IG証券「商品CFDの取引ルール」)。

サクソバンク証券は、スポット銘柄の「金/ドル(XAUUSD)」と限月のある「金先物(GOLD)」を分けて扱っています。XAUUSDの必要証拠金は「実勢価格×取引数量×5%×円換算レート」で計算すると明記されています(サクソバンク証券「商品CFD」)。

金スポット、金CFD、商品CFD、XAUUSD。呼び名は4社4様ですが、区分はどれもCFDです。金融庁の登録を受けた国内業者で、金をFXの通貨ペアとして扱っている例は今回確認できませんでした。

レバレッジの上限は25倍から20倍へ。差は証拠金率のわずか1%

ここが実務でいちばん効いてくる違いです。名前の問題では終わりません。

個人向けの店頭FXでは、取引額の4%以上の証拠金を預かることが業者に義務づけられています。根拠は金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第27号および第28号の禁止行為規定で、2010年8月1日から2011年8月1日までは経過措置として2%、2011年8月1日以降が4%です(金融先物取引業協会「個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制」)。4%の裏返しが上限25倍という数字。

注意したいのは、この規制が通貨関連デリバティブに向けられたものだという点です。同じページに通貨以外のCFDの証拠金規制は書かれていません。

では金はどうか。GMOクリック証券は商品CFDの必要証拠金を「取引金額の5%に相当する日本円。(レバレッジ20倍)」と定めています(GMOクリック証券「CFD 取引ルール」)。IG証券は個人口座のレバレッジを最大20倍、最低維持証拠金率を5%と公表しています。サクソバンク証券のXAUUSDも証拠金率5%。外為どっとコムは率こそ書いていませんが、最大20倍という表記は5%と同じことです。

4社そろって20倍でした。25倍と20倍、数字だけ見れば近く感じるかもしれません。実際に建てられる金額に直すと、その印象は変わります。

金以外の商品CFDを含めた証拠金率の全体像は、IG証券FXの評判とノックアウトオプションの記事に資産クラス別の一覧を載せてあります。株価指数CFDや株式CFDまで含めると、必要な証拠金の割合はさらに広がります。

同じ取引金額なら必要証拠金は1.25倍、同じ証拠金なら建てられる金額は8割

言葉で読むより、金額に直したほうが早いはずです。証拠金率4%と5%の差を、2つの向きから計算します。

前提は次のとおり。証拠金率はFXが4%、金CFDが5%。取引金額はレバレッジをかける前の総額とし、スプレッドや手数料は含めません。米ドル/円1万通貨に相当する取引金額は、日本銀行の外国為替市況による2026年7月21日17時時点の162.59円台で換算しました(日本銀行「外国為替市況(日次)」)。

まず、取引金額をそろえて必要証拠金を比べます。

取引金額証拠金率4%(FX)証拠金率5%(金CFD)差額
50万円2万円2万5,000円5,000円
100万円4万円5万円1万円
162万5,900円(ドル円1万通貨相当)6万5,036円8万1,295円1万6,259円
500万円20万円25万円5万円

どの行でも、必要証拠金はきっちり1.25倍になります。1%の差が、拘束される資金では25%増として現れるということ。

次は逆向きです。手元の証拠金を固定して、建てられる取引金額を出します。

預ける証拠金4%(25倍)で建てられる金額5%(20倍)で建てられる金額差額
5万円125万円100万円25万円
10万円250万円200万円50万円
20万円500万円400万円100万円
30万円750万円600万円150万円

同じ資金で建てられる金額は、金CFDだと8割に落ちます。証拠金10万円なら、上限は250万円ではなく200万円。

「たった1%」と感じた方は、ここでもう一度表を見てください。率の1%は、資金効率では2割の差になります。FXの口座から乗り換えるつもりで同じ数量を入力すると、必要証拠金が足りずに発注が通らない場面が出てきます。

なお、証拠金率は下限であって固定値ではありません。IG証券は、保有ポジションや発注中のロット数によって維持証拠金率が上昇する場合があると注記しています。表の数値は最も条件がよいときのものだと考えてください。

税金は「会社がこう案内している」までしか書けない

ここは、はっきり線を引いておきます。金CFDの税制を国税庁の名前で断言している記事は、根拠を確かめたほうがよいと思います。

書けるのは、金融商品取引業者が自社ページでどう説明しているかまでです。GMOクリック証券はCFD取引の利益について、雑所得として申告分離課税の対象になると案内しています。損失は他の「取引に係る雑所得等」の損益と通算でき、対象としてFXネオ取引・くりっく365取引・外為オプション取引・CFD取引・株価指数バイナリーオプション取引を挙げています。通算しきれない損失は一定の要件のもとで翌年以降3年間繰り越せるとも書かれています(GMOクリック証券「CFD 税金」)。

税率の内訳のほうは、国税庁の資料から引けます。先物取引に係る雑所得等の課税の特例では、所得税15%、住民税5%に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加わり、合計20.315%。損失は翌年以後3年間にわたって繰り越せます(国税庁「No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例」)。

ただし、この国税庁のページに「CFD」という語は出てきません。さらに「平成28年10月1日以後に商品先物取引業者以外と行う店頭商品デリバティブ取引を除き」という除外規定が置かれています。

つまり、金CFDが自動的に同じ枠に入ると読める書き方にはなっていないということ。だから私は、この記事で「国税庁が金CFDを申告分離課税と明記している」とは書きません。書けるのは、会社側が申告分離課税として案内していることと、税率の内訳が国税庁の資料で確認できることの2つです。

自分の口座での取扱いがどうなるかは、口座を開く会社の税務案内と、税務署または税理士への確認で最終判断してください。ここを他人の記事で済ませるのは、正直おすすめしません。

金価格の予想はここでは扱わない。代わりに時間と証拠金を確かめる

「ゴールド予想」「ゴールド予想今日」という調べ方をする人が多いことは知っています。それでも、この記事で価格の見通しは書きません。

理由は単純です。金価格の将来を継続的に検証できる形で公表している公的な統計を、私は見つけられませんでした。根拠を示せないものを書けば、それは予想ではなく感想になります。

代わりに、口座を開く前に確かめられる項目を挙げます。まずは取引できる時間帯。GMOクリック証券の商品CFDは月曜から金曜の午前8時00分から翌午前7時00分、米国夏時間は午前7時00分から翌午前6時00分です。東京金融取引所の金ETFは、米国サマータイム非適用期間で午前9時00分から翌暦日午前6時00分と案内されています。

FXの取引時間とは開始も終了も違います。通貨の感覚のまま「24時間動いている」と思って建てると、決済したい時間に板がないという事態が起こりえます。

次に証拠金率と、そのうえでどこまで数量を落とせるか。20倍という上限は使い切るための数字ではなく、あくまで天井です。前の章の表でいえば、証拠金10万円で200万円まで建てられるからといって、200万円分を建てる理由はどこにもありません。

価格を当てにいく前に、この2つを確かめる。順番としてはそちらが先だと考えています。

シルバーとプラチナも同じ枠に入る。通貨として扱う国内業者はない

金だけの話なのかというと、そうではありません。銀もプラチナも同じ整理です。

東京金融取引所のくりっく株365には、金ETFに加えて銀ETF・プラチナETF・原油ETFが並びます。いずれもリセット付証拠金取引で、株価指数7銘柄とあわせた11銘柄の一部です。取引所は「差し入れた証拠金をもとに、レバレッジ効果により数倍から数十倍の金額の取引を行うことができます」と説明しています。

店頭側でも、サクソバンク証券は金をCFDの商品ラインナップの中に置き、CFD全体で8,600銘柄以上を提供すると案内しています。銀やプラチナを通貨ペアとして扱う国内のFX口座は、今回の調査では確認できませんでした。

したがって「FXシルバー」「FXプラチナ」という語で探している対象も、実体はCFDです。証拠金率もレバレッジ上限も、通貨とは別建てになると考えてください。

ひとつ補足しておくと、銘柄が増えることそのものは悪いことではありません。相場全体を見て資金の置き場所を移す運用なら、口座を分けずに済む利点があります。問題は、FXと同じルールだと思い込んだまま建てることのほうです。

FXでゴールドを調べた人がつまずく5つの疑問

制度の側はここまでで整理できました。あとは、実際に口座を開こうとする段階で引っかかる点です。検索でよく調べられている5つに答えます。

国内のFX口座でゴールドは取引できますか?

FXの通貨ペアとしては取引できません。金は取引所でも店頭でもCFDとして提供されており、FXとは別の商品区分になります。

同じ会社の同じ取引ツールで扱える場合はありますが、その中でFXとCFDは口座や区分が分かれているのが通常です。申込画面でどちらを開いているのか、必ず確認してください。

くりっく365でゴールドは扱っていますか?

扱っていません。金が上場しているのは、取引所CFDの「くりっく株365」のほうです。

くりっく365は取引所FXで、対円17通貨とクロスカレンシー11ペアという通貨だけの構成。名前が1文字違うだけなので、資料を読むときは商品名を最後まで確認するのが確実です。

ゴールドのレバレッジはFXと同じ25倍ですか?

同じではありません。今回確認したGMOクリック証券・外為どっとコム・IG証券・サクソバンク証券はいずれも最大20倍で、必要証拠金率にすると5%です。

FXの4%と1%しか違わないように見えて、同じ資金で建てられる金額は8割に縮みます。乗り換えるときに必要なのは、倍率の比較ではなく数量の見直しのほう。

ゴールドの利益にかかる税金はFXと同じですか?

GMOクリック証券は自社ページで、CFDの利益は雑所得として申告分離課税の対象で、FXネオやくりっく365などと損益通算でき、損失は3年繰り越せると案内しています。

ただし国税庁のタックスアンサーに「CFD」という語はなく、店頭商品デリバティブ取引には除外規定もあります。会社の案内をそのまま自分のケースに当てはめず、税務署か税理士への確認をおすすめします。

ゴールドの今日の値動きはどこで予想を見ればいいですか?

この記事では予想を扱いません。金価格の見通しを検証できる形で継続公表している公的データが見つからなかったためです。

見るべきものを挙げるなら、口座を開いた会社が提供するチャートと、その会社が公表している取引時間や証拠金率のほう。予想の精度より、自分の建玉が強制決済されるまでの距離を先に把握してください。

ゴールドは通貨の延長ではなく、証拠金率が1%高い別の商品

金を「FXのついでに触れるもの」と考えると、資金計画を外します。区分が違い、証拠金率が違い、取引時間も違う。同じ画面に並んでいることが、同じルールであることを意味しないという一点に尽きます。

  • 国内では金はFXの通貨ペアではなくCFD。取引所は「くりっく株365」の金ETFリセット付証拠金取引で、くりっく365の商品ではない
  • 店頭の4社も商品名は金スポット・金CFD・商品CFD・XAUUSDと分かれるが、区分はいずれもCFD
  • 証拠金率は個人向け店頭FXが4%以上で上限25倍、金CFDは4社とも上限20倍で証拠金率に直すと5%
  • 取引金額162万5,900円なら必要証拠金は6万5,036円と8万1,295円で1万6,259円の差。同じ証拠金で建てられる金額は8割に縮む
  • 税制は会社側が申告分離課税として案内しており、税率20.315%の内訳は国税庁の資料で確認できる。個別の判断は税務署か税理士へ

まずは自分が建てたい取引金額を決め、それに5%を掛けてみてください。その金額を出せないなら、数量のほうを下げる。順番はそれだけです。

通貨のほうに戻ると、値動きの方向そのものを国が動かそうとする場面もあります。円安円高と為替介入がFXに与える影響をまとめた記事で、財務省が公表している実績額と制度の建て付けを確認してみてください。

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