「FXの本を買おうと思って検索したら、同じような紹介文ばかり出てくる。書名も微妙に違って書かれていて、どれが正しいのかも分からない」
こういった疑問に答えます。
この記事に載せた13冊は、書名も副題も著者名も出版社も刊行年も、すべて国立国会図書館サーチの書誌データで1冊ずつ照合したものだけです。副題まで確認できなかった本は載せていません。並べ方は入門、チャート分析、資金管理と心理、相場の歴史の4段階で、ランキングは付けていません。13冊の合計は4,762ページ。1日30ページなら約159日ぶんの分量になります。
本で覚えた考え方を試す口座がまだ決まっていない方は、主要FX会社の比較ページで最小取引単位とスプレッドを先に見比べておくと、読み終えてから検証に入るまでが短く済みます。
| 段階 | 書名 | 著者・訳者 | 出版社 | 刊行 | ページ数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 入門 | 一番売れてる月刊マネー誌ZAiが作った「FX」入門 …だけど本格派 改訂第2版 | ザイFX!編集部、羊飼い 編 | ダイヤモンド社 | 2024年4月 | 221 |
| 入門 | 世界一やさしいFXの教科書1年生 再入門にも最適! | 堀祐士 | ソーテック社 | 2018年7月 | 246 |
| チャート分析 | 先物市場のテクニカル分析 | ジョン・J.マーフィー 著、日本興業銀行国際資金部 訳 | 金融財政事情研究会 | 1990年5月 | 552 |
| チャート分析 | マーケットのテクニカル分析 トレード手法と売買指標の完全総合ガイド | ジョン・J・マーフィー 著、長尾慎太郎 監修、田村英基 訳 | パンローリング | 2017年12月 | 630 |
| チャート分析 | マーケットのテクニカル分析練習帳 | ジョン・J.マーフィー 著、長尾慎太郎 監修、田村英基 訳 | パンローリング | 2018年4月 | 210 |
| チャート分析 | 一目均衡表の研究 | 佐々木英信 | 投資レーダー | 1996年11月 | 185 |
| 資金管理と心理 | 投資苑 心理・戦略・資金管理 | アレキサンダー・エルダー 著、福井強 訳 | パンローリング | 2000年8月 | 473 |
| 資金管理と心理 | 規律とトレーダー 相場心理分析入門 | マーク・ダグラス 著、関本博英 訳 | パンローリング | 2007年2月 | 325 |
| 資金管理と心理 | デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術 | オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ 著、林康史 監訳、藤野隆太 訳 | 日経BP社 | 2002年10月 | 293 |
| 相場の歴史 | マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣 | ジャック・D.シュワッガー 著、横山直樹 監訳 | パンローリング | 2001年8月 | 449 |
| 相場の歴史 | 欲望と幻想の市場 伝説の投機王リバモア | エドウィン・ルフェーブル 著、林康史 訳 | 東洋経済新報社 | 1999年4月 | 341 |
| 相場の歴史 | タートル流投資の魔術 伝説のトレーダー集団 | カーティス・フェイス 著、飯尾博信・常盤洋二 監修、楡井浩一 訳 | 徳間書店 | 2007年10月 | 326 |
| 相場の歴史 | ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理 | バートン・マルキール 著、井手正介 訳 | 日経BP日本経済新聞出版 | 2023年5月 | 511 |
※書誌事項は国立国会図書館サーチの書誌データによります。版が新しくなるとページ数と副題が変わることがあるため、購入前に版表示を確認してください。
書名の表記がサイトごとに違うのは、副題を落として紹介しているから
本を紹介する記事を何本か読み比べると、同じ本の書名が微妙に食い違っていることに気づきます。副題を省いたり、逆に帯の文句を副題として書き足したりしているためです。
私はこれを避けるために、13冊すべてを国立国会図書館サーチの書誌データで照合しました。書名、副題、著者名と訳者名の表記、出版社名、刊行年月、ページ数。この6項目が取れた本だけを表に入れています。
たとえば、投資苑という書名で知られる本の正式な副題は「心理・戦略・資金管理」で、ウィザードブックシリーズの9冊目として2000年8月に刊行されています(国立国会図書館サーチ「投資苑 : 心理・戦略・資金管理」書誌詳細)。心理と戦略と資金管理を1冊で扱う本だと、副題そのものが宣言しているわけです。
同じ照合の途中で、載せられなかった本も出ました。候補に挙げていた書名の中に、この6項目をそろえて確認できないものがあったためです。実在しないと断定はできませんが、書誌データで裏が取れない以上この記事には載せません。
冊数を揃えるために埋めるくらいなら、13冊で止めるほうが誠実だと考えています。
段階を4つに分けるのは、同時に読むと条件が混ざるから
4段階に分けた理由は難易度ではありません。1冊が扱っている前提が段階ごとに違うためです。
| 段階 | その段階の本が答える問い | 冊数 | ページ数 | 1日30ページで |
|---|---|---|---|---|
| 入門 | 取引の仕組みと注文の出し方はどうなっているか | 2 | 467 | 約16日 |
| チャート分析 | 価格の並びから何を読み取るか | 4 | 1,577 | 約53日 |
| 資金管理と心理 | どれだけ賭け、いつ降りるか | 3 | 1,091 | 約37日 |
| 相場の歴史 | 過去に誰がどう負けたか | 4 | 1,627 | 約55日 |
チャート分析の本と資金管理の本を並行して読むと、片方が「この形なら買い」と言い、もう片方が「その前に数量を決めろ」と言います。どちらも正しいのですが、同時に処理しようとすると、結局どちらも実行されません。
順番は表の上から下で構いません。ただし入門の2冊は、口座を開く前に読み切ってしまうこと。開いたあとだと、注文画面を触りながら読むことになって集中が続きません。
学習全体の中でどこに本を置くかは、FXの勉強は何から?初心者が学ぶ順番のロードマップに7段階の地図としてまとめてあります。本はその第4段階と第6段階に効く道具だと考えてください。
入門の2冊は、口座を開く前に読み切るためにある
入門書に求めるのは網羅性ではありません。用語と画面操作の対応がつくこと、この一点です。
1冊目の候補は、2024年4月にダイヤモンド社から出た改訂第2版。書名は「一番売れてる月刊マネー誌ZAiが作った「FX」入門」で、副題は「…だけど本格派」「外貨投資がイマすぐできる!」「FX解説本の決定版!」と続きます。編者はザイFX!編集部と羊飼い、221ページです(国立国会図書館サーチ「一番売れてる月刊マネー誌ZAiが作った「FX」入門」書誌詳細)。
もう1冊は2018年7月刊、ソーテック社の「世界一やさしいFXの教科書1年生」。副題は「再入門にも最適!」で、著者は堀祐士、246ページとなっています(国立国会図書館サーチ「世界一やさしいFXの教科書1年生」書誌詳細)。
どちらか片方で十分です。2冊とも買うと、同じ内容を2回読むことになります。
そして正直に書いておくと、入門書に書かれている制度の説明は、一次資料を1回読めば置き換えられる部分でもあります。証拠金の管理が2010年2月1日から信託一本化されたこと、同日からロスカットルールの整備が全業者の義務になったこと、個人向けの証拠金率が2011年8月1日以降4%以上であることは、業界団体が公表している解説にそのまま書かれています(金融先物取引業協会「FX取引の規制について」)。
入門書の価値は、この制度の話を初心者向けの順番に組み替えてくれるところ。制度そのものを知りたいなら、一次資料のほうが早くて正確です。
チャート分析の土台は、1990年に翻訳された1冊がいまだに支えている
チャート分析の段階で最初に押さえるべきなのは、指標の数ではなく分類の考え方です。
その源流にあたるのが、1990年5月に金融財政事情研究会から出た「先物市場のテクニカル分析」。著者はジョン・J.マーフィー、訳は日本興業銀行国際資金部で、552ページあります(国立国会図書館サーチ「先物市場のテクニカル分析」書誌詳細)。
同じ著者の現行版にあたるのが、2017年12月にパンローリングから出た「マーケットのテクニカル分析」です。副題は「トレード手法と売買指標の完全総合ガイド」、監修は長尾慎太郎、訳は田村英基で630ページ(国立国会図書館サーチ「マーケットのテクニカル分析」書誌詳細)。翌2018年4月には210ページの「マーケットのテクニカル分析練習帳」も出ています(国立国会図書館サーチ「マーケットのテクニカル分析練習帳」書誌詳細)。
630ページを通読するのは骨が折れます。私は練習帳と並行させるほうを勧めます。読むだけだと分類が頭に残らないので、問いに答える形で1章ずつ確認していく進め方のほうが定着します。
国内発の指標を1つ深掘りしたいなら、1996年11月に投資レーダーから出た「一目均衡表の研究」があります。著者は佐々木英信、185ページ(国立国会図書館サーチ「一目均衡表の研究」書誌詳細)。
ここで1つ問いを置きます。あなたが今いちばん知りたいのは、指標を増やす方法でしょうか、それとも今使っている指標を捨てる基準でしょうか。後者なら、チャート分析の段階は1冊で切り上げて次に進んだほうが早いと思います。
資金管理と心理の3冊は、手法書を読み終える前に開いておく
この段階を後回しにする人がとても多い。「勝てるようになってから心理の本を読む」という順番です。私はこれを逆にしています。
理由は、心理の問題が表に出るのが検証を始めた直後だから。決めたルールが崩れるのは、勝ったあとではなく連敗の途中です。
代表格が、2007年2月にパンローリングから出た「規律とトレーダー」。副題は「相場心理分析入門」、著者はマーク・ダグラス、訳は関本博英で325ページです(国立国会図書館サーチ「規律とトレーダー : 相場心理分析入門」書誌詳細)。2025年3月にはポーラ・T.ウエッブを加えた新装版も出ています。
同じ著者の別の1冊については、スキャルピングの本おすすめ!実践に効く良書を厳選のほうで、時間足を絞る段階の本と並べて扱いました。短期売買を前提に読むか、時間軸を問わない規律の話として読むかで、同じ著者でも位置づけが変わります。
実務寄りの1冊が、2002年10月に日経BP社から出た「デイトレード」です。副題は「マーケットで勝ち続けるための発想術」、著者はオリバー・ベレスとグレッグ・カプラ、監訳は林康史、訳は藤野隆太で293ページ(国立国会図書館サーチ「デイトレード : マーケットで勝ち続けるための発想術」書誌詳細)。
そして心理と戦略と資金管理を1冊にまとめているのが、先ほど触れた「投資苑」の473ページ。この段階の3冊は合計1,091ページで、1日30ページなら約37日ぶんです。
3冊とも扱っているのは手法ではありません。だから内容が古びにくく、10年後に読み返しても使えます。
相場の歴史は勝ち方ではなく、負け方の型を渡してくれる
最後の段階に歴史を置くのは、飾りではありません。過去に何が起きたかを知らないと、自分の負けが特殊なものに見えてしまうからです。
インタビュー集の定番が、2001年8月にパンローリングから出た「マーケットの魔術師」。副題は「米トップトレーダーが語る成功の秘訣」、著者はジャック・D.シュワッガー、監訳は横山直樹で449ページです(国立国会図書館サーチ「マーケットの魔術師」書誌詳細)。
もっと古い時代を扱うのが、1999年4月に東洋経済新報社から出た「欲望と幻想の市場」。副題は「伝説の投機王リバモア」、著者はエドウィン・ルフェーブル、訳は林康史で341ページ(国立国会図書館サーチ「欲望と幻想の市場 : 伝説の投機王リバモア」書誌詳細)。
ルールを渡された集団がどうなったかを追った記録もあります。2007年10月に徳間書店から出た「タートル流投資の魔術」で、副題は「伝説のトレーダー集団」、著者はカーティス・フェイス、監修は飯尾博信と常盤洋二、訳は楡井浩一、326ページです(国立国会図書館サーチ「タートル流投資の魔術 : 伝説のトレーダー集団」書誌詳細)。
反対側の立場も1冊入れておきます。2023年5月に日経BP日本経済新聞出版から出た「ウォール街のランダム・ウォーカー」は、副題が「株式投資の不滅の真理」、著者はバートン・マルキール、訳は井手正介で511ページ(国立国会図書館サーチ「ウォール街のランダム・ウォーカー」書誌詳細)。
技術的な分析に懐疑的な立場の本を、テクニカル分析の本と並べて読む。この組み合わせに違和感があるかもしれませんが、片方だけを読んで固まるより健全だと思います。
読んだ内容を検証に変えないと、13冊は本棚に並ぶだけで終わる
冊数の話をもう少しだけ。13冊を1日30ページのペースで読むと約159日、5か月あまりかかります。これを速いと見るか遅いと見るかは、読んだあとに何をするかで決まります。
本が渡してくれるのは仮説であって、あなたの通貨ペア、あなたが画面を見る時間帯、あなたの口座の条件での答えではありません。そこは自分で数えるしかない部分。
定着させる手順は3つで足ります。
- 1冊読むごとに、検証できる形の条件を1つだけ紙に書き出す
- その条件だけで同じ通貨ペアを100回試し、結果を記録する
- 記録が100回そろってから、次の1冊に進む
「読み終わってから全部まとめて試す」という順番だと、どの本のどの条件が効いたのか切り分けられなくなります。1冊につき1条件。これだけ守れば、13冊が13本の検証になります。
なお、税金の扱いだけは本ではなく一次資料で確認してください。FXの差金決済による利益は先物取引に係る雑所得等として申告分離課税の対象で、税率は合計20.315%と国税庁が示しています(国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」)。刊行から年数が経った本は、この種の数字が当時のまま止まっています。
FXの本を選ぶときに迷いやすい5つの疑問
段階と順番は決まりました。とはいえ、実際に買う場面になると細かい部分が気になるものです。よく見かける5点に答えます。
FXの本は何冊読めば十分ですか?
段階ごとに1冊ずつ、合計4冊で足ります。入門から1冊、チャート分析から1冊、資金管理と心理から1冊、相場の歴史から1冊という組み方です。
13冊を全部読む必要はありません。同じ段階の2冊目に手を出すのは、検証をしていて具体的に困った論点が出てからで遅くありません。
古い本を今買っても意味がありますか?
分析手法と心理を扱う本については、意味があります。表に載せた13冊の刊行年は1990年から2024年まで34年の幅がありますが、価格の並び方の読み方も、連敗中に手が止まる理由も、この34年で変わっていません。
一方で、税率、レバレッジ規制、注文の種類といった制度の記述は古くなります。そこは各社の公式ページと官庁の資料で上書きしてください。
FXの本はランキング順に買えばいいですか?
ランキングは、集計方法が公開されていない限り順位の意味を検証できません。この記事で順位を付けていないのはそのためです。
代わりに使ってほしいのが段階です。今の自分がどの問いに答えられないかを決めて、その段階から選ぶ。順位より確実だと思います。
電子書籍と紙の本のどちらがいいですか?
チャート図の多い本は紙のほうが扱いやすいと感じます。600ページ級の本を行き来しながら読む場面では、付箋のほうが検索より速い場面が多いためです。
心理と歴史の本は文章が中心なので、電子で支障ありません。ここは好みで決めて構わない部分。
本を読んだのに成績が変わらないときは何を見直しますか?
まず、本に書かれた条件をそのまま試したのか、途中で自分の判断を混ぜたのかを分けてください。混ざっていると、本が合わなかったのか実行が崩れたのかを切り分けられません。
次に見るのは試した回数です。数回から数十回の結果では、本の内容が効いたのか相場の巡り合わせだったのかを分けられません。
FXの本は、読んだ冊数ではなく検証に変換した数で効いてくる
同じ13冊を読んでも、1冊につき1条件を100回試した人と、読んだだけの人では、半年後に手元に残るものがまったく違います。本は仮説の供給源であって、答えの供給源ではないということ。
- 13冊すべて書名・副題・著者・出版社・刊行年・ページ数を国立国会図書館サーチで照合した。6項目がそろわなかった本は載せていない
- 段階は入門、チャート分析、資金管理と心理、相場の歴史の4つ。同時に読むと前提が混ざる
- 合計4,762ページで、1日30ページなら約159日。段階別では入門16日、チャート分析53日、資金管理37日、歴史55日
- まず買うのは段階ごとに1冊ずつの4冊。2冊目は検証で詰まってから足す
- 制度と税率の記述は刊行時点で止まる。一次資料で上書きする
本ではなく人から教わりたいと考えたときに、無料セミナーと有料スクールをどう見分けるか。費用がどこから出ているかという構造から整理したのがFXセミナーとスクールの選び方!無料講座の注意点です。

