FXの税金を申告しないとどうなる?無申告のペナルティ

FXの税金を申告しないとどうなる?無申告のペナルティ

「FXで利益が出たけれど、確定申告をしないままにしたらどうなるんだろう。少額だし、出していない人も多いと聞くけれど」

こういった疑問に答えます。

申告しなかったときに上乗せされるのは、無申告加算税と延滞税の2つ。国税庁が示す無申告加算税の割合は、いつ申告したかによって5%から30%まで3段階に分かれます。仮装や隠蔽があった場合はこれが重加算税40%に置き換わり、本来20万円だった国税は約28万2,800円まで膨らむ計算になりました。逆に、税務署の事前通知より前に自分から申告すれば、同じ条件でも約21万2,800円で収まります。

申告の手間は、取引している会社の数だけ増えるもの。これから口座を絞りたい方は主要FX会社の比較ページで取引条件を見比べ、年明けに集める書類を減らしておくと作業が軽くなります。

税の名称どういう場合に課されるか割合(本税に対して)
無申告加算税法定申告期限までに申告しなかった事前通知前の自主的な期限後申告5%/事前通知後・調査前10〜25%/調査後15〜30%
過少申告加算税申告はしたが税額が少なかった調査通知前の自主的な修正申告はかからない/通知後5%(超過部分10%)/調査後10%(同15%)
重加算税仮装または隠蔽があった過少申告35%、無申告40%(5年以内の前歴ありで45%・50%)
延滞税法定納期限までに完納しなかった令和8年は納期限の翌日から2月を経過する日まで年2.8%、それ以後は年9.1%

無申告加算税と過少申告加算税の割合は令和7年4月1日現在の法令によるもの、重加算税の前歴による加重措置は平成29年1月1日以後に法定申告期限または法定納期限が到来する国税に適用されるもの、延滞税は令和8年の割合です。以下、それぞれの中身を順に見ていきます。

上乗せされるのは本税ではなく、加算税と延滞税という別の税です

まず整理しておきたいのが、増えるお金の正体です。申告しなかったからといって、本来の税額そのものが割り増しになるわけではありません。

FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象になり、税率は所得税15%、地方税5%、これに復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加わります(国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」)。この20.315%という税率は、申告しようがしまいが動きません。

動くのは、その外側に付く2つです。1つは加算税で、申告や納税が適正に行われなかったことに対して課される税。もう1つが延滞税で、こちらは納付が遅れた期間に応じて積み上がる利息に近い性格の税です。

国税庁は延滞税がかかる場面として、確定した税額を法定納期限までに完納しないとき、期限後申告書または修正申告書を提出して納付すべき税額があるとき、更正または決定の処分を受けて納付すべき税額があるときの3つを挙げています(国税庁「No.9205 延滞税について」)。

加算税のほうは3種類に分かれます。申告そのものをしなかったなら無申告加算税、申告はしたが金額が足りなかったなら過少申告加算税、そこに仮装や隠蔽があったなら重加算税。どれが来るかは、行為の中身で決まります。

なお、申告しなかった結果として勤務先に知られる経路を心配している方は、住民税の仕組みを先に押さえたほうが話が早く進みます。FXの利益が会社にバレる仕組みと住民税の普通徴収に、給与天引きの流れを制度の側から整理しました。

無申告加算税は5%から30%の3段階。分かれ目は「いつ申告したか」です

無申告加算税でいちばん大事なのは、割合が固定ではないという点です。国税庁は、申告のタイミングによって3段階に分けています。

申告したタイミング50万円までの部分50万円超300万円までの部分300万円超の部分
調査の事前通知の前に自主的に期限後申告5%5%5%
事前通知の後、調査を受ける前に期限後申告10%15%25%
調査を受けた後に期限後申告15%20%30%

この割合は国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」に示されたもので、法令基準日は令和7年4月1日現在。300万円を超える部分の25%と30%は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から適用される区分です。それ以前の年分には当てはまりません。

さらに、過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合は、10%が加重されます。1回目と2回目では負担がまったく変わるということ。

一方で、無申告加算税が課されない場合もあります。ただし条件は2つあって、その両方を満たす必要があります。期限後申告が法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること、そして期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。「1か月以内に出せば加算税はゼロ」と単純化すると、後半の要件が抜け落ちます。

しかもこの場合でも延滞税は別途かかります。加算税と延滞税は別の制度なので、片方が免除されてももう片方は残るという理解でよいと思います。

申告はしたが金額が足りなかった場合は、過少申告加算税の領域になります

申告書は出したものの、複数口座の一部を計上し忘れていた。こうしたケースは無申告ではなく、過少申告として扱われます。

ここで知っておきたいのが、自分で気づいて直した場合の扱いです。国税庁は、調査の通知を受ける前に自主的に修正申告をすれば「過少申告加算税はかかりません」と明記しています(国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」)。

調査の事前通知を受けた後、更正を予知する前の修正申告は5%。ここで、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超えている場合は、その超えている部分だけ10%になります。調査を受けた後の修正申告なら10%、超過部分は15%。

なお、納め過ぎていた場合の手続きは更正の請求で、こちらは法定申告期限から5年以内に請求できます。多く払ってしまったときにも期限があるということは、覚えておいて損がありません。

重加算税35%・40%の要件は「仮装・隠蔽」で、計上漏れとは区別されます

重加算税の割合は、タックスアンサーには載っていません。国税庁が公表している加算税制度の改正資料に記載があります。

過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%。5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合の加重措置により、それぞれ45%と50%になります(国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」)。この加重措置は、平成29年1月1日以後に法定申告期限または法定納期限が到来する国税から適用されます。

ここは断言しますが、重加算税の要件は「仮装・隠蔽」の事実があることです。計算を間違えた、口座を1つ数え忘れた、期限を過ぎてしまった。こうした事情がそのまま重加算税につながるわけではありません。

とはいえ、区別が曖昧なまま自己判断するのも危うい話。取引記録を意図的に作り替えるような行為に踏み込まなければよい、という単純な線引きで理解しておけば、まず外れないはずです。

延滞税は令和8年で年2.8%と年9.1%。境目は「納期限から2か月」です

延滞税の割合は毎年変わります。執筆時点で公表されている令和8年の割合は、納期限の翌日から2月を経過する日までが年2.8%、2月を経過した日以後が年9.1%(国税庁「延滞税の割合」)。令和4年から令和7年までは年2.4%と年8.7%、令和3年は年2.5%と年8.8%でした。

本則は年7.3%と年14.6%ですが、特例によって本則より低い割合が適用されています。ネット上で年14.6%という数字だけを見かけたら、それは特例前の本則だと考えてください。

見落とされやすいのが「納期限」の意味です。国税庁は、期限内に申告された場合は法定納期限、期限後申告または修正申告の場合は申告書を提出した日、更正・決定の場合は更正決定等通知書を発した日から1か月後の日が納期限になると説明しています(国税庁「No.9205 延滞税について」)。

つまり期限後申告では、申告書を出した日が納期限になります。提出と同時に納付すれば、そこまでの期間はすべて年2.8%のほうで計算される、ということ。逆に申告書だけ出して納付を先送りすると、提出日から2か月を過ぎた分に年9.1%が乗ります。

本税20万円で試すと差はこうなります。令和8年3月16日が法定納期限、9月16日に申告書を提出して同日納付するなら184日分の年2.8%で2,823円。この記事の試算では、以降これを100円未満まで丸めて約2,800円と表記します。同じ9月16日に提出して納付を12月16日まで延ばすと、245日分の年2.8%と30日分の年9.1%で約5,254円。3か月遅らせただけで、延滞税はおよそ1.9倍になりました。

本来20万円だった国税が、動くタイミングで28万2,800円まで変わります

ここまでの割合を1つの数字にまとめます。前提を先に置きます。

  • 令和7年分のFXの所得により、本来納めるべき所得税及び復興特別所得税が20万円だったと仮定します。FXの所得でいえば約131万円(130万5,909円×15.315%=20万円)に相当します
  • 法定申告期限と法定納期限は令和8年3月16日(国税庁「令和7年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」
  • 申告書の提出と納付は同じ日に行い、その日を令和8年9月16日とします(1か月以内のケースだけ令和8年4月15日)
  • 延滞税は令和8年の割合、無申告加算税は50万円以下の区分を使います
  • 住民税5%分は地方税で延滞金の制度が別にあるため、この試算には含めていません
動いたタイミング加算税延滞税納める合計
期限内に申告し期限内に納付0円0円200,000円
法定申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告(免除の2要件を満たす場合)0円約460円約200,460円
調査の事前通知の前に自主的に期限後申告10,000円約2,800円約212,800円
事前通知の後、調査を受ける前に期限後申告20,000円約2,800円約222,800円
調査を受けた後に期限後申告30,000円約2,800円約232,800円
仮装・隠蔽があり重加算税(無申告40%)が課された場合80,000円約2,800円約282,800円

同じ20万円の税額で、上下の差は8万2,800円。倍率でいえば1.41倍です。

注目してほしいのは、真ん中の3行の差が各1万円ずつしかない点。事前通知の前に自分から出すか、調査後に出すかで2万円しか変わらないのに、仮装・隠蔽が認定された途端、調査後の行からさらに5万円が上乗せされます。金額を動かしているのは遅れた日数ではなく、どう対応したかのほうです。

なお、加算税や延滞税には端数処理や少額の場合の取扱いの定めがあるため、実際の納付額はこの計算より小さくなることがあります。この試算はあくまで概算であり、実際の金額は税務署または税理士に確認してください。

期限内に自分で気づいて直した場合との差は、割合そのものに表れます

もう1つ、申告済みの人向けの試算も並べます。期限内に申告したものの、後から20万円分の計上漏れが見つかったケースです。前提は先ほどと同じで、修正申告書の提出と納付を令和8年9月16日に行うものとします。

修正したタイミング過少申告加算税延滞税納める合計
調査の通知を受ける前に自主的に修正申告0円約2,800円約202,800円
事前通知の後、更正を予知する前の修正申告10,000円約2,800円約212,800円
調査を受けた後の修正申告20,000円約2,800円約222,800円

自分で気づいて直せば加算税はゼロで、上乗せは延滞税の約2,800円だけ。調査後まで放置した場合との差は2万円ちょうどです。

無申告のケースと並べると、構造が見えてきます。どちらも、税務署が動く前に自分から申告や修正をした人がいちばん軽い扱いになる設計。制度としてそう作られている、という理解が実務的にはいちばん使えると思います。

「では、いつまでなら間に合うのか」と気になるところでしょう。事前通知や調査の開始時期は納税者の側から見えないため、期限を過ぎたと気づいた時点がいちばん早い行動のタイミングになります。

「20万円以下だから申告しない」は、住民税の側では成り立ちません

よくある誤解にも触れておきます。給与所得者について、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える人が確定申告を要する、といういわゆる20万円ルール。これは国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」に示された所得税の規定であって、住民税の規定ではありません。

では、申告義務そのものは住民税の側でどこから立ち上がるのか。横浜市は、20万円以下であれば確定申告をしなくてもよいという前提を置いたうえで、こう続けます。「しかし、住民税の場合は、所得税と異なり、所得の多少にかかわらず、給与所得と合算して税額を計算することになっています」。そして結論にあたる一文が「確定申告をしなかった場合は、住民税の申告をする必要があります」です(横浜市「給与以外に副収入がある場合の住民税の申告は」)。

義務の起点をもっと直截に書いているのが名古屋市です。「市民税・県民税には、所得税のような申告の省略範囲はなく、原則としてすべての所得を申告する必要があります」。所得税の側で省ける範囲が、そのまま住民税に持ち越せるわけではない。そう読めます(名古屋市「給与所得者で副収入がある場合、市民税・県民税の申告は」)。

いずれも各市の案内であって、全国一律の決まりとして書けるものではありません。そもそも住民税を課すのは住所地の自治体で、東京都主税局も1月1日現在で都内に住所がある方が課税の対象になると案内しています(東京都主税局「個人住民税」)。申告先や様式、提出期限は住んでいる市区町村の案内で確認してください。

つまり「20万円以下だから何もしなくていい」という選択は、少なくとも横浜市と名古屋市の説明を読むかぎり成り立ちません。所得税の申告が不要でも、住民税の申告という手続きが残るということ。

FXの確定申告をしていない人から、実際によく寄せられる質問

割合と試算を押さえたところで、この段階で残りやすい疑問に答えます。制度の話と、確認できなかった話を分けて書きます。

FXの確定申告をしていない人は本当に多いのですか?

申告している人としていない人の割合を示す公的な統計は、今回の調査では見つけられませんでした。「多い」と書いている情報を見かけても、出所が示されていなければ判断材料にはなりません。

そもそも他人の申告状況は、自分の加算税の割合に影響しません。判断すべきは周囲の人数ではなく、自分の所得が申告を要する水準かどうかのほうです。

FXの利益を申告しないと脱税になりますか?

税法上の扱いとして区別されるのは、仮装または隠蔽があったかどうかです。これがあると重加算税の対象になり、無申告なら40%、5年以内の前歴があれば50%が課されます。

一方、期限に間に合わなかっただけであれば、無申告加算税と延滞税の枠内で処理されるのが基本の流れ。刑事上どう扱われるかは個別の事情によるため、この記事では踏み込みません。

何年前の分まで遡って申告できますか?

納め過ぎた税金を取り戻す更正の請求については、法定申告期限から5年以内という期限が示されています。一方、期限後申告をいつまで遡ってできるかについては、国税庁のページで明確な記載を確認できませんでした。

過去の年分をまとめて申告したい場合は、所轄の税務署に年分を伝えて確認するのが確実です。年分ごとに割合や制度が違うため、まとめて自己判断するのは避けたほうがよいと思います。

損失しか出ていない年に申告しなかったらどうなりますか?

納める税金がない年なので、無申告加算税や延滞税の話にはなりません。ただし別の損があります。

FXの損失は翌年以後3年間繰り越せますが、それには損失が出た年に確定申告をし、その後も連続して申告書付表を添付した確定申告書を提出することが要件です(国税庁「No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除」)。申告しなかった年があると、そこで繰越の権利が切れます。

FXの無申告は、気づいた時点で自分から動けるかどうかで金額が決まります

ここまで見てきたとおり、上乗せの大きさを左右しているのは経過した日数ではなく、税務署が動く前に自分から申告できたかどうかという一点です。制度そのものが、自主的な申告を軽く扱う設計になっています。

  • 上乗せされるのは本税ではなく、加算税と延滞税という別の税
  • 無申告加算税は5%から30%の3段階で、300万円超の25%と30%は令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税から
  • 重加算税35%・40%の要件は仮装・隠蔽であり、計上漏れや期限超過とは区別される
  • 本税20万円の試算では、期限内納付の20万円に対し、調査後の期限後申告で約23万2,800円、重加算税なら約28万2,800円
  • 所得税の申告が不要な水準でも、横浜市と名古屋市の説明によれば住民税の申告は残る

割合も期限も改正されます。この記事の数値は執筆時点で公表されているものなので、自分の年分に当てはめる前に国税庁の該当ページを開き、最終的な判断は税務署または税理士に確認してください。

利益が増えてきて、そもそも個人で申告し続けるべきか迷い始めた方は、FXの法人化はいくらから検討するかを試算した記事で税率とコストの両面から比べてみてください。

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