火災保険の値上げ通知が届いたときは、保険料だけでなく、料率改定と契約条件の変更を分けて確認します。
損害保険料率算出機構が公表する参考純率は、保険会社が契約者に請求する保険料そのものではありません。
自然災害の支払状況や地域別のリスク、建物の修理費などを背景に、保険会社が商品や料率を見直すことがあります。
火災保険の免責金額を比べたうえで、更新前に補償を削りすぎていないかも確認します。
火災保険14社の比較条件では、更新前にそろえる保険期間と補償条件を開示しています。
| 確認する問い | この記事での整理 |
|---|---|
| 値上げの原因は何か | 自然災害の損害、修理費、地域別リスクなど複数の要因があります |
| 参考純率とは何か | 料率算出機構が示す参考値で、実際の契約保険料とは異なります |
| 通知が届いたら何をするか | 旧契約と新契約を同じ条件で並べ、変更点を確認します |
| 保険料を抑えるには | 補償の必要性、免責、保険期間を見直しますが、補償を一律に外しません |
参考純率と実際の保険料は別の数字
損害保険料率算出機構は、会員保険会社の契約や支払データ、社会環境の変化を用いて火災保険参考純率を算出しています。
同機構の火災保険参考純率の説明でも、参考純率は使用義務のない参考数値であり、実際に契約者へ適用される保険料とは異なると明記されています。
保険料は、純保険料率だけでなく、保険会社の事業費、商品設計、割引、契約条件などを含めて決まります。
そのため、参考純率が上がったからといって、すべての会社や契約が同じ割合で値上げされるとは限りません。
改定の具体的な前提は、同機構の公表資料で年月と対象商品を確認します。
2026年・2027年の保険会社別改定情報
情報確認日:2026年8月31日
画像に記載された情報を、保険会社の公式資料と報道で確認しました。正式に公表された商品改定と、まだ検討段階の情報は分けて読みます。
表中の「平均」は、その会社の対象契約全体で見た水準です。個別の契約では、所在地、建物の構造・築年数、保険金額、補償、免責金額などにより、値上げ幅や値下げ幅が異なります。
| 保険会社 | 対象時期 | 値上げ・値下げ情報 | 公表状況 |
|---|---|---|---|
| 三井住友海上 あいおいニッセイ同和損保 |
2027年4月予定 | 火災保険料を約5%引き上げる案が報じられています。 | 検討段階。両社の合併は公表済みですが、火災保険の改定率は正式決定前です。 |
| 東京海上日動 | 2026年10月1日以降の始期契約 | 多くの契約条件で建物の保険料は引き上げ、家財の保険料は引き下げ。平均的な保険料水準は2025年10月以降始期契約との比較で据え置きです。 | 公式改定案内 |
| 損保ジャパン | 2026年10月の新規契約・更新契約 | 個人向けは平均約3%、企業向けは平均約1.2%の引き上げ。戸建ては最大約10%上昇する一方、管理状況などからリスクが低いマンションは最大約30%引き下げとの報道があります。 | 公式改定案内と報道 |
| ソニー損保 | 2026年10月1日以降の始期契約 | 火災保険の保険料水準を改定。影響は補償内容、所在地、構造級別、築年数などにより異なります。 | 公式発表 |
三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保は「検討中」
三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、2027年4月に合併して「三井住友海上あいおい損害保険」を発足する予定です。
2026年5月の報道では、合併時に火災保険料を約5%引き上げる案が検討されているとされています。ただし、現時点では検討段階であり、個別商品の正式な改定率として公表された数字ではありません。
東京海上日動は建物と家財で方向が異なる
東京海上日動の2026年10月改定の案内では、多くの契約条件で建物の保険料を引き上げる一方、家財の保険料を引き下げるとしています。
会社全体の平均的な保険料水準は据え置きでも、建物だけを補償する契約と、家財を含む契約では更新時の変化が異なる可能性があります。
損保ジャパンは平均値と個別条件を分けて確認
損保ジャパンは2026年10月の火災保険改定案内を公表しています。
報道では個人向け平均約3%、企業向け平均約1.2%の引き上げとされています。一方で、戸建ての上昇例と低リスクマンションの値下げ例もあるため、「自分の契約も3%上がる」とは限りません。
ソニー損保は契約条件により影響が異なる
ソニー損保は2026年10月の商品改定で、自然災害、住宅の老朽化、修理費の高騰などを踏まえて保険料水準を見直すと公表しています。
改定の影響は、補償内容、所在地、構造級別、築年数などで異なります。更新案内では保険料だけでなく、特約の対象範囲や建物評価額も確認します。
Chubb損保・共栄火災の情報について
画像で参照されているChubb損保の2026年4月改定は、公式発表上は「傷害保険等」の保険約款・保険料改定です。また、共栄火災の参照ページは2023年9月始期の個人賠償責任保険の改定です。いずれも火災保険料の値上げを示す資料ではないため、火災保険の改定表からは除外しました。
2024年10月改定につながった水災料率の細分化
損害保険料率算出機構は2023年6月の火災保険参考純率改定で、住宅総合保険の参考純率を全国平均13.0%引き上げ、水災料率を地域のリスクに応じた5区分に細分化すると公表しました。多くの保険会社では、この内容を踏まえた商品改定を2024年10月以降の始期契約に反映しています。
この数字は当時の参考純率の改定内容であり、現在の各社の契約保険料をそのまま表すものではありません。
水災の地域区分が細かくなったことで、同じ補償を付けても所在地によって保険料が異なる仕組みを説明しやすくなりました。
| 公表資料で示された内容 | 読み方 |
|---|---|
| 全国平均13.0%引き上げ | 参考純率の平均であり、各社の契約保険料ではありません |
| 水災料率を5区分へ細分化 | 所在地の水災リスクを料率に反映する考え方です |
| 自然災害などの支払増加 | 改定の背景の一つで、将来の保険料を保証する数字ではありません |
値上げ通知に含まれる変更を分ける
更新案内には、保険料の変更と同時に、保険期間、免責金額、補償の支払条件が記載されることがあります。
旧契約と新契約を並べると、値上げが料率だけによるものか、補償や保険金額の変更を含むのかを確認できます。
| 比較欄 | 旧契約 | 新契約 |
|---|---|---|
| 保険期間 | 1年、5年など | 同じ期間か |
| 保険金額 | 建物、家財 | 評価額が変わっていないか |
| 補償 | 火災、風災、水災、盗難など | 追加、削除、支払条件の変更 |
| 免責金額 | 事故ごとの自己負担 | 金額と適用範囲 |
| 保険料 | 割引を含む年額や総額 | 改定後の年額や総額 |
保険料だけを見て補償を削ると、更新後に水災や家財の条件が変わっていることに気付きにくくなります。
更新前に確認したい四つの項目
値上げをきっかけに見直すときは、次の四つを順番に確認します。
- 建物の用途、構造、所在地、築年数に変更がないか。
- 家財の量や高額品の所有状況が変わっていないか。
- ハザードマップと水災補償の設定が現在の住まいに合っているか。
- 免責金額を上げた場合に、修理費を現金で負担できるか。
水災リスクはハザードマップポータルサイトで地点を確認し、保険の補償条件とは別に記録します。
新しい保険会社の見積もりを取る場合も、旧契約と同じ保険金額、保険期間、免責金額、特約にそろえます。
同じ条件にできない項目は、表の備考欄に理由を書き、安さだけで順位を付けないようにします。
火災保険を見直すタイミング
保険料改定の直前だけでなく、住まいや家計の条件が変わったときも契約内容を確認します。
- 住宅の購入、建て替え、転居をしたとき
- 家族構成や家財の量が変わったとき
- 満期や自動更新の案内が届いたとき
- 保険会社から商品改定や保険料改定の案内が届いたとき
長期契約は契約期間中の保険料を固定できる場合がありますが、更新時には新しい料率や条件が適用される可能性があります。また、商品によっては長期契約の保険料が1年契約を毎年更新した場合の合計額を上回るケースもあるため、総額で比較します。
契約途中で乗り換える場合は、未経過期間分の保険料が返還されるか、解約日まで補償が重複または途切れないかを、現在の保険会社と新しい保険会社の双方へ確認します。
値上げ対策と補償削減を混同しない
保険料を下げる方法には、免責金額を変える、保険期間を変える、不要になった特約を外すなどがあります。
ただし、生活状況や地域リスクを確認せず水災や家財を外すと、値上げの回避と引き換えに自己負担が増えます。
損害保険料率算出機構は参考純率を毎年度検証し、必要に応じて改定の届出を行うと説明しています。
改定の有無だけでなく、現在の補償が住まいのリスクと家計に合っているかを更新時に確認します。
比較記事で「値上げ」を扱う表示範囲
特定の保険会社が必ず高い、または将来必ず値上げするという断定は、基準日と条件がなければ成立しません。
金融庁の保険募集に関する監督指針を踏まえ、記事では公表資料の年月、参考純率と実際の保険料の違い、試算条件を併記します。
更新案内の内容が分からない場合は、契約概要と注意喚起情報を確認し、保険会社または取扱代理店へ質問します。
火災保険の値上げに関するよくある質問
2026年10月からすべての火災保険が値上げされますか?
いいえ。改定の有無や影響は保険会社、商品、契約条件によって異なります。東京海上日動のように建物と家財で改定方向が異なる例や、損保ジャパンのように契約条件によって値上げ・値下げの双方がある例もあります。
更新案内を旧契約と同じ条件で比較し、自分の契約に適用される保険料を確認します。
参考純率が上がると自分の保険料も同じ割合で上がりますか?
参考純率は保険会社が商品設計に使える参考値で、契約者へ適用される保険料そのものではありません。
実際の改定率は、商品、地域、補償、割引、保険金額によって変わります。
5年契約なら値上げの影響は受けませんか?
契約期間中の保険料が契約時の条件で定められる商品はありますが、更新時には新しい料率や条件が適用される可能性があります。
契約期間中の補償変更や保険料の扱いは、契約概要と約款で確認します。
値上げされたら水災補償を外せばよいですか?
水災を外すかは、所在地の浸水リスク、建物の高さ、地下設備、家財の置き場所、自己資金を合わせて判断します。
保険料だけで決めず、外した場合に残る損害を表にします。
外す場合は、対象外になる損害と代わりに準備する資金も書き出します。
自治体の浸水想定区域と住まいの位置が重なるかも確認します。
他社へ乗り換えると値上げを避けられますか?
他社でも同じ自然災害リスクや修理費の影響を受けるため、乗り換えだけで将来の値上げを避けられるとは限りません。
補償条件をそろえた複数見積もりで、保険料と支払条件を比べます。
値上げ通知は同条件比較から読む
火災保険の値上げは、参考純率、商品改定、地域リスク、補償条件など複数の要因で起こります。
- 参考純率と実際の契約保険料を分けて確認します。
- 旧契約と新契約の保険金額、補償、免責、期間をそろえます。
- 水災補償を外す前に、地域のハザードマップと自己負担を確認します。
- 公表資料の年月と試算条件を記事や比較表に残します。
- 正式決定した改定と、検討・報道段階の情報を分けます。
割引の適用状況も更新費用に影響するため、火災保険の割引制度の確認項目へ進むと、値上げ以外の条件も整理できます。
公開時点の商品条件は変更されるため、最終的な契約判断は現行の更新案内、契約概要、注意喚起情報、約款で確認します。


