FXの追証とは?発生する条件と借金を防ぐ入金ルール

FXの追証とは?発生条件と入金ルール

「追証という言葉は聞いたことがあるけれど、いつ発生して、いくら払えばいいのかが分からない。追証なしの口座なら安全だという話も本当なのか知りたい」

こういった疑問に答えます。

追証とは、決められた判定の時点で証拠金が足りなくなったときに、期限までの入金か建玉の決済で不足分を解消するよう求められる仕組みです。判定のタイミングと期限は会社ごとに違い、日次の判定時刻で見る会社、ニューヨーククローズで見る会社、そもそも追証制度を置かない会社に分かれます。資金8万円で米ドル/円を6,000通貨持つと、判定時刻のレートが155.00円なら4,562円の不足になります。そして重要なのは、追証制度がない口座でも不足金は発生しうるということ。追証の有無と、預けた額を超える損失が出るかどうかは別の話です。

判定方式も入金期限も会社が決めるルールなので、口座を選ぶ段階で確認しておく項目になります。各社の取引条件を横並びで見たい方は主要FX会社の比較ページから確認してみてください。

会社・サービス追加証拠金(追証)制度判定のタイミング入金または解消の期限
ヒロセ通商 LION FX「追証制度はありません」と取引要綱に明記該当なし不足金が出た場合は発生から三営業日以内に支払い
DMM FXあり。証拠金維持率が100%を下回った場合に発生証拠金維持率判定時刻(反映は営業日切替後およそ30分以内)追加証拠金発生日の翌04時59分まで
GMOクリック証券 FXネオあり。時価評価総額が取引金額の4%に相当する日本円額を下回っていた場合毎営業日(祝日を含む)のニューヨーククローズ時点追加証拠金発生日の翌営業日(祝日を除く)午前3:00
SBI FXトレード「追加証拠金」という名称の制度は公式ページで確認できず。証拠金不足の判定はあり各営業日の取引終了時点(夏時間5時30分、冬時間6時30分)翌営業日の取引終了30分前までに解消されない場合は全ポジションを決済
外為どっとコム 外貨ネクストネオ追加証拠金制度の記載は公式ページで確認できず該当する記載なし不足金は発生日の翌々営業日の午後3時までに入金

※2026年7月時点に各社の取引ルールページで確認した記載にもとづきます。制度は変更されることがあるため、実際の条件は必ず公式サイトで確認してください。

追証は判定の一瞬で決まる制度で、ロスカットとは仕組みが違う

最初に、混同されやすい2つを分けておきます。追証とロスカットは、目的も発動条件も別です。

ロスカットは、証拠金が一定水準を割ったときに会社が建玉を強制決済する仕組み。金融先物取引業協会によると、ロスカットルールの整備と遵守は2010年2月1日から個人顧客と取引するすべての業者に義務づけられています(金融先物取引業協会「FX取引の規制について」)。決済して終わる話であり、あとから支払いを求められるものではありません。

追証はその手前にあります。ある時点の証拠金を判定し、足りていなければ「期限までに入金するか決済してください」と求める仕組み。建玉は自動では消えず、期限までに解消しなければそこで決済されます。

決定的に違うのが、判定の頻度です。ロスカットは常時または数秒から数分おきに監視されるのに対して、追証は1日1回の判定が基本になります。GMOクリック証券は追加証拠金の判定を、毎営業日(祝日を含む)ニューヨーククローズ時点で建玉を保有している顧客に対して順次実施すると公表しています(GMOクリック証券「FXネオ 取引ルール(個人のお客様)」)。

つまり日中どれだけ含み損が膨らんでも、判定時刻に戻っていれば追証は出ません。逆に判定時刻の一瞬だけ足りなければ、その後すぐ回復しても追証は成立します。ここが「一発勝負」と呼ばれる理由。

強制決済までの距離をどう設計するかは別の論点になるので、FXのロスカットの計算と強制決済を防ぐ資金設計とあわせて読むと、追証とロスカットの位置関係がはっきりします。

判定のタイミングと期限は3通りに分かれ、猶予の長さが変わる

会社ごとの違いを、公表されている文言のまま見ていきます。言い換えると条件が変わってしまうので、ここは原文の表現を保ったまま並べます。

DMM FXは、証拠金維持率が100%を下回った場合に追加証拠金が発生すると公表しています。判定は証拠金維持率判定時刻に行われ、反映は営業日切替(夏時間06時00分、冬時間07時00分)後およそ30分以内。解消の期限は追加証拠金発生日の翌04時59分までとされています(DMM FX「サービス概要」)。

条件は「下回った場合」であって「以下」ではありません。維持率がちょうど100.00%なら、公表されている文言のうえでは発生しないことになります。細かい違いに見えますが、境目に立ったときには意味を持つ差です。

GMOクリック証券は基準の立て方が違います。ニューヨーククローズ時点に時価評価総額が取引金額の4%に相当する日本円額を下回っていた場合に追加証拠金が発生し、解消期限は追加証拠金発生日の翌営業日(祝日を除く)午前3:00までの入金または建玉決済です。維持率という言葉ではなく、時価評価総額と取引金額の4%という形で書かれています。

SBI FXトレードは「追加証拠金」という名称を使っていません。証拠金規制として、預託証拠金に損益評価額を加え出金依頼額を差し引いた額が取引必要証拠金に不足していた場合に判定が成立し、判定は各営業日の取引終了時点(夏時間5時30分、冬時間6時30分)に行われます。翌営業日の取引終了30分前までに不足の判定が解消されていない場合は、すべてのポジションが決済されると公表されています(SBI FXトレード「取引ルール」)。

外為どっとコムは、追加証拠金制度についての記載を公式のロスカットルールのページと取引概要のページで確認できませんでした。同社が公表しているのは、有効比率がロスカットレベル(100%から50%の間で10%刻みに設定)を下回った際にロスカットを執行することと、不足金が出た場合の入金期限のほうです(外為どっとコム「ロスカットルールと注意点」)。確認できていない以上、あると書くことも、ないと書くこともしません。

そしてヒロセ通商のLION FXは、取引要綱に「追証制度はありません」と明記しています。ただし続けて、入金金額以上の損失が発生し不足金が出た場合は、発生から三営業日以内に支払う必要があるとも書かれています(ヒロセ通商「取引要綱(LION FX)」)。この2文はセットで読む必要があります。

猶予の長さを並べると、DMM FXが発生日の翌04時59分、GMOクリック証券が翌営業日午前3:00、外為どっとコムの不足金が翌々営業日の午後3時。数時間で対応を迫られる会社と、2営業日ある会社では、動ける範囲がまるで違います。

資金8万円で6,000通貨を持つと、追証の境目は155.76円になる

数字で確かめます。前提は、米ドル/円のレートを日本銀行が公表した2026年7月21日17時時点の162.59円台とし(日本銀行「外国為替市況(日次)」)、口座資金は8万円、米ドル/円を6,000通貨買うものとします。

必要証拠金は取引金額の4%です。162.59円かける6,000通貨で取引金額は97万5,540円、その4%で3万9,022円。証拠金維持率は有効証拠金を必要証拠金で割った値なので、建てた直後は8万円÷3万9,022円で約205%となります。

なお、この試算では必要証拠金を建玉時のレート162.59円で固定して計算しています。実際には各社が定める基準レートで再計算されるため、判定時の必要証拠金は下の表とわずかにずれます。

判定時刻のレート含み損有効証拠金証拠金維持率不足額(追証として必要な入金額)
162.59円(建てた直後)0円8万円約205.01%発生しない
156.00円3万9,540円4万460円約103.69%発生しない
155.76円4万980円3万9,020円約100.00%境目
155.00円4万5,540円3万4,460円約88.31%4,562円
154.00円5万1,540円2万8,460円約72.93%1万562円
153.00円5万7,540円2万2,460円約57.56%1万6,562円
152.51円6万480円1万9,520円約50.02%維持率50%のロスカット水準

この表から読み取ってほしい数字が2つあります。

ひとつは、追証の境目とロスカット水準の距離。維持率100%を割る155.76円と、維持率50%を割る152.51円の差はわずか3.25円です。判定時刻に追証が出た時点で、ロスカットまでの残りは3円ちょっとしかありません。

もうひとつは不足額の増え方です。レートが1円下がるごとに、必要な入金額は6,000円ずつ増えます。155.00円の時点で4,562円だったものが、2円下の153.00円では1万6,562円。判定を1日見送ると、要求される金額が3倍以上になる計算になります。

同じポジションを追証制度のない口座で持っていたらどうなるか。ヒロセ通商のLION FXはロスカット水準を有効比率100%割れと公表しているため、この例では155.76円の時点でロスカットが執行されます。追証を求められる代わりに、そこで建玉が消えるということ。

同じ155.76円という水準で、片方は入金を求められ、片方は決済される。追証制度の有無は危険度の順位ではなく、その水準で何が起きるかの違いだと理解してください。

不足を解消する手段は入金だけではなく、一部決済という選択肢がある

追証が出たときの選択肢は2つです。不足額を入金するか、建玉を決済して必要証拠金そのものを減らすか。

先ほどの例で、判定時刻のレートが155.00円だった場合を考えます。有効証拠金は3万4,460円、必要証拠金は3万9,022円で、不足額は4,562円でした。

入金するなら4,562円。ここで維持率はちょうど100%に戻りますが、そこから1銭でも下げればまた不足します。ぎりぎりの入金は、翌日また同じ画面を見ることになりがちです。

決済で解消する場合の計算も出しておきます。有効証拠金3万4,460円で維持できる数量は、3万4,460円÷(162.59円×4%)で約5,299通貨。つまり6,000通貨から約701通貨を減らせば足ります。

対応決済する数量決済後の必要証拠金決済後の証拠金維持率
何もしない0通貨3万9,022円約88.31%
最小限を決済する1,000通貨3万2,518円約105.97%
余裕を作る2,000通貨2万6,014円約132.47%

1,000通貨単位の口座なら、1,000通貨の決済で維持率は約105.97%まで戻ります。2,000通貨なら約132.47%。私の考えでは、追証が出るところまで維持率が落ちた時点で、ポジションの量そのものが資金に対して大きすぎます。入金で持ちこたえるより、量を減らすほうが素直な対応です。

判定時刻までに何もしなければ、会社の規定に沿って建玉が決済されます。SBI FXトレードは、翌営業日の取引終了30分前までに証拠金不足の判定が解消されていない場合はすべてのポジションが決済されると公表しています。放置は「決済されないこと」を意味しません。

追証なしの口座でも、預けた額を超える損失が出ることはある

ここは断言しておきます。追証制度がないことと、借金にならないことは別です。

理由は単純で、ロスカットは執行される保証がある仕組みではないから。相場が窓を開けて飛んだ場合、ロスカット水準を通過した価格ではなく、その先の価格で約定します。損失が預けた資金を超えてしまえば、超えた分が不足金として口座に残ります。

各社もこの点は明記しています。外為どっとコムは、預けた保証金額以上の取引額で取引を行うため、保証金以上の損失が出る可能性があると記載し、不足金が生じた場合は発生日の翌々営業日の午後3時までに入金する必要があるとしています(外為どっとコム「ロスカットルールと注意点 不足金の取り扱い」)。

ヒロセ通商も同じ構造です。追証制度がないと書いたうえで、入金金額以上の損失が発生し不足金が出た場合は発生から三営業日以内に支払うと定めています。追証がないぶん不足金の請求が消えるわけではありません。

整理すると、こうなります。

論点追証制度がある口座追証制度がない口座
判定時刻に証拠金が不足したとき期限までに入金か決済を求められる求められない(ロスカット水準まで保有が続く)
ロスカット水準を割ったとき強制決済強制決済
急変で預託額を超える損失が出たとき不足金として請求される不足金として請求される

3行目が同じであることが、この記事でいちばん伝えたい部分です。追証なしを「損失が資金内に収まる保証」と読むと、判断を誤ります。

不足金が実際にどう膨らむか、どこで歯止めをかけられるかについてはFXで借金地獄になる仕組みと追証・借金を防ぐ設定で経路ごとに整理しています。数字の怖さを具体的に知っておきたい方はそちらへ。

追証を出さない設計は、判定時刻ではなく建てる量で決まる

対策として真っ先に挙がるのは「判定時刻の前に維持率を確認する」ですが、私はこれを主軸に置きません。確認して足りなかったとき、できることが限られているからです。

効くのは建てる量のほう。先ほどの試算で、資金8万円なら6,000通貨で初期維持率は約205%でした。同じ資金で3,000通貨に落とせば必要証拠金は1万9,511円となり、維持率は約410%まで上がります。

資金8万円での取引数量必要証拠金建てた直後の維持率維持率100%までの下落幅
3,000通貨1万9,511円約410.03%約20.16円
6,000通貨3万9,022円約205.01%約6.83円
9,000通貨5万8,532円約136.68%約2.39円

3,000通貨なら維持率100%まで約20.16円、9,000通貨なら約2.39円。量を3倍にすると、耐えられる下落幅は8分の1以下まで縮みます。判定時刻の運不運より、この差のほうがはるかに大きい。

もうひとつ効くのが逆指値です。追証は判定時刻に建玉を持っていることが前提なので、その前に逆指値で決済されていれば判定の対象になりません。損切りを置くことは、追証対策としても機能します。

「そこまで小さくすると利益も小さくなる」と思うかもしれません。その通りです。ただし追証が出る水準まで来た口座は、選択肢がほぼ入金か決済しか残っていない状態でもあります。利益の幅より、選択肢の幅を残すほうが先だと私は考えています。

FXの追証について口座を持つ前によく調べられる4つの疑問

制度の輪郭と数字はここまでで揃いました。細かい部分で引っかかりやすい点に答えます。

追証は必ず現金で入金しないといけませんか?

入金以外に、建玉を決済して必要証拠金を減らす方法があります。どちらでも不足の解消として扱う会社が一般的。

ただし決済は損失の確定を伴います。この記事の例では、155.00円で1,000通貨を決済すると7,590円の損失が確定。有効証拠金は3万4,460円のまま変わりませんが、必要証拠金が3万2,518円へ下がるので維持率は約105.97%に戻ります。入金か決済かは、資金の余裕と相場観の両方で決めることになります。

追証なしの口座を選べば借金の心配はありませんか?

いいえ。追証制度がないことと、預けた額を超える損失が出ないことは別の話です。

ヒロセ通商は追証制度がないと明記する一方で、入金金額以上の損失が発生し不足金が出た場合は発生から三営業日以内に支払う必要があると定めています。急変時の不足金は、追証制度の有無とは無関係に発生しうるものだと考えてください。

追証の判定は何時に行われますか?

会社によって異なります。GMOクリック証券はニューヨーククローズ時点、SBI FXトレードは各営業日の取引終了時点(夏時間5時30分、冬時間6時30分)と公表しています。

DMM FXは証拠金維持率判定時刻としており、反映は営業日切替(夏時間06時00分、冬時間07時00分)後およそ30分以内。夏時間と冬時間で1時間ずれる点は、どの会社でも共通して注意が必要です。

追証が出たまま期限を過ぎるとどうなりますか?

会社の規定に沿って建玉が決済されます。SBI FXトレードは、翌営業日の取引終了30分前までに解消されていない場合はすべてのポジションが決済されると公表しています。

自分でタイミングと価格を選べなくなること。これが一番痛い部分。期限までに動けないと分かった時点で、自分で決済してしまったほうが結果は読めます。

追証の本当の分かれ目は、制度の有無ではなく判定時刻に何通貨持っているか

追証を調べる人の多くは、追証がある会社とない会社のどちらが安全かを知りたがります。ただし公表されているルールを並べると、両者の差は「維持率が足りない瞬間に何が起きるか」だけで、預けた額を超える損失が出る可能性は共通しています。

  • 追証は判定時刻の一発勝負。日中に含み損が膨らんでも判定時に戻っていれば発生しない
  • 判定と期限は会社ごとに違い、猶予は数時間から2営業日まで幅がある
  • 資金8万円で6,000通貨なら、追証の境目は155.76円、ロスカット水準は152.51円で差は3.25円
  • 不足の解消は入金だけでなく一部決済でも可能。1,000通貨の決済で維持率は約105.97%へ戻る
  • 追証なしの口座でも、急変時の不足金は請求される。追証の有無と借金の有無は別問題

判定時刻を気にする前に、建てる量を見直してください。3,000通貨と9,000通貨では、耐えられる下落幅が8倍以上変わります。

なお、急変時に想定した価格で決済されない現象そのものにも名前がついています。約定価格のずれがどこで生まれ、どの会社が対策を公表しているかはFXのスリッページと約定力で差がつく理由で扱っているので、不足金の発生経路を深く知りたい方はそちらへ進んでください。

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