逆張りと順張りはどっちが勝てる?使い分けの判断基準

逆張りと順張りはどっちが勝てる?使い分けの判断基準

「逆張りは勝率が高いと聞くけれど、それなら順張りをやる意味はどこにあるのだろう。結局どちらが勝てるのか、はっきりさせたい」

こういった疑問に答えます。

どちらが勝てるかは、勝率だけでは決まりません。損益が残るかどうかを決めるのは「勝率 × 損益比 −(1−勝率)」という1本の式で、勝率と損益比はほぼ必ずトレードオフになります。勝率70%でも損益比が0.43を下回れば期待値はマイナス。逆に勝率30%でも損益比が2.33を超えていればプラスです。この記事では資金100万円・1回の許容損失2%という前提で、順張り型と逆張り型を100回ずつ試行した場合の期待損益まで計算します。なお、以下で置く勝率と損益比はすべて説明のための仮定値であり、実際の成績を示すものではありません。

損益比を削る要因の1つがスプレッドで、これは会社と時間帯で大きく変わります。条件の実数を横並びで見たい方は主要FX会社の比較ページを先に確認してみてください。

勝率損益分岐に必要な損益比1敗の損失を2万円としたときの必要な平均利益判定
30%2.33約46,667円大きく伸ばせないと成立しない
40%1.5030,000円順張り型が狙う領域
50%1.0020,000円利確幅と損切り幅が同じで分岐
60%0.67約13,333円利確が損切りより小さくても成立
70%0.43約8,571円逆張り型が狙う領域

※必要な損益比は「(1−勝率)÷ 勝率」で計算。1敗の損失2万円は資金100万円の2%として置いた金額です。

どこで入るかという位置の話は押し目買いと戻り売りのエントリー位置をまとめた記事に分けてあります。この記事は、その手前にある「どちらの型で戦うか」の判断に絞ります。

順張りと逆張りの違いは、入る場所ではなく勝率と損益比の置き方に出る

言葉の定義から確認します。順張りは相場が動いている方向へ、逆張りは動いている方向と反対側へ入る手法です。

ただ、この説明では判断の役に立ちません。実務的な違いは、それぞれが前提にしている値動きのほうにあります。

順張りは「トレンドが続く」ことに賭けます。外為どっとコムのダウ理論の解説でも、6つの法則の1つとして「トレンドは明確な転換サインが出るまで続く」が挙げられています(外為どっとコム「ダウ理論とは」)。続く前提なら利確は伸ばせますが、いつ転換するかは事前に分かりません。だから外れる回数は多くなります。

逆張りは「行きすぎは戻る」ことに賭けます。戻る幅は行きすぎた分までなので、利確は伸ばしにくい。そのかわり、レンジが続いている限り当たる回数は増えます。

項目順張り型逆張り型
前提にする値動きトレンドの継続行きすぎからの戻り
利確幅伸ばしやすい伸ばしにくい
勝率低くなりやすい高くなりやすい
損益比高くなりやすい低くなりやすい
崩れる場面レンジが続くときトレンドが出たとき

つまり両者の差は、勝率と損益比のどちらを取ってどちらを捨てるかという設計思想の違いです。勝率だけを比べても優劣は出ません。

期待値は「勝率 × 損益比 −(1−勝率)」の1本で決まる

損益が残るかどうかは、次の式だけで判定できます。

期待値(1回あたり、損失1回分を1とした単位)= 勝率 × 損益比 −(1−勝率)

損益比は「平均利益 ÷ 平均損失」です。平均損失1回分を1とみなしているので、この式の答えがプラスなら期待値はプラスになります。

期待値がちょうどゼロになる条件を求めます。勝率 × 損益比 = 1−勝率 なので、必要な損益比は(1−勝率)÷ 勝率。冒頭の表はこの式で計算したものです。

勝率50%の行で検算しておきます。(1−0.5)÷ 0.5 = 1.00。利確幅と損切り幅が同じなら、勝率50%でちょうど収支ゼロという直感どおりの答えになりました。

逆側からも見ておきます。損益比を先に決めた場合の必要勝率は 1 ÷(1+損益比)で出ます。

損益比損益分岐に必要な勝率
0.471.4%
0.662.5%
0.855.6%
1.050.0%
1.540.0%
2.033.3%
3.025.0%

損益比0.4の手法は、勝率が71.4%を超えないと残りません。10回のうち7回勝ってやっと分岐点という設計です。ここを見ずに「勝率が高いから安全」と考えると、判断を誤ります。

資金100万円・許容2%で100回試行すると、順張り型は+40万円、逆張り型は+24万円

数字を具体化します。前提は次のとおりです。

  • 口座資金100万円
  • 1回の取引で許容する損失は資金の2%、つまり20,000円
  • 順張り型は勝率40%・損益比2.0、逆張り型は勝率70%・損益比0.6
  • 試行回数はどちらも100回

この勝率と損益比は、順張りと逆張りの性格の違いを示すために置いた仮定値です。実際の成績を示すものでも、達成できると保証するものでもありません。

まず1回あたりの金額に直します。1敗の損失は20,000円で共通。1勝の利益は、順張り型が20,000円 × 2.0 = 40,000円、逆張り型が20,000円 × 0.6 = 12,000円です。

項目順張り型(勝率40%・損益比2.0)逆張り型(勝率70%・損益比0.6)
勝ち回数と1勝の利益40回 × 40,000円 = 1,600,000円70回 × 12,000円 = 840,000円
負け回数と1敗の損失60回 × 20,000円 = 1,200,000円30回 × 20,000円 = 600,000円
100回の差引+400,000円+240,000円
1回あたりの期待値+4,000円+2,400円

順張り型のほうが100回で16万円多く残りました。ただしこれは「順張りが優れている」という結論ではありません。逆張り型の損益比を0.6ではなく0.8に置けば、0.7 × 0.8 − 0.3 = 0.26となり、1回あたり5,200円で順張り型を上回ります。

結果を決めているのは型の名前ではなく、入力した2つの数字です。ここを取り違えると、手法の議論が永遠に終わりません。

なお必要証拠金は、個人顧客との店頭FXで取引金額の4%以上と定められています(金融先物取引業協会「FX取引の規制について」)。この記事の計算に使う米ドル/円は、日本銀行が公表した2026年7月21日17時時点の162.59円で統一します(日本銀行「外国為替市況(日次)」)。

想定が少し外れたとき、先にマイナスへ落ちるのは逆張り型のほう

上の数字は、想定どおりの勝率と損益比が出た場合の話です。実際にはどちらもぶれるもの。ぶれたときにどう壊れるかを見ておきます。

同じ前提で、勝率が5ポイント下振れした場合と、損益比が0.2下振れした場合を並べます。

想定からのずれ順張り型の100回損益逆張り型の100回損益
ずれなし+400,000円+240,000円
勝率が5ポイント低下+100,000円(勝率35%)+80,000円(勝率65%)
損益比が0.2低下+240,000円(損益比1.8)−40,000円(損益比0.4)

損益比が0.2下がったときの差が決定的です。順張り型は2.0から1.8になっても+24万円が残るのに対し、逆張り型は0.6から0.4になった時点で4万円のマイナスへ転落します。

理由は分岐点との距離です。勝率70%の分岐点は損益比0.43。もともと0.6という設定は、分岐点から0.17しか離れていません。一方、勝率40%の分岐点は1.50で、2.0という設定には0.5の余裕があります。

設定した損益比分岐点の損益比余裕
順張り型(勝率40%)2.001.500.50
逆張り型(勝率70%)0.600.430.17

高勝率型は分岐点までの距離が構造的に短くなります。逆張りが「1回の大負けで積み上げが吹き飛ぶ」と言われるのは、感覚ではなくこの余裕の少なさから来ています。

とはいえ、順張り型が安全というわけでもありません。勝率が35%に落ちれば+10万円まで縮み、33.3%を割った時点でマイナスに入ります。どちらの型も、崩れる方向が違うだけです。

損切り幅を決めた瞬間に通貨量が決まり、狭くすると資金の制約に当たる

期待値の話は割合の世界ですが、実際の発注では通貨量に直す必要があります。ここで逆張り型に固有の問題が出てくるということ。

1回の許容損失20,000円を、損切り幅で割れば通貨量が出ます。クロス円の1pipsは0.01円なので、式は「20,000円 ÷(損切りpips × 0.01円)」です。

損切り幅必要な通貨量取引金額必要証拠金(4%)資金100万円での証拠金維持率
10pips200,000通貨32,518,000円1,300,720円約77%(発注不可)
20pips100,000通貨16,259,000円650,360円約154%
50pips40,000通貨6,503,600円260,144円約384%
100pips20,000通貨3,251,800円130,072円約769%
200pips10,000通貨1,625,900円65,036円約1,538%

※米ドル/円162.59円、証拠金率4%で計算。維持率は資金100万円を必要証拠金で割った値です。

損切り10pipsの行では、必要証拠金が130万円を超えて資金100万円を上回ります。計算上の通貨量が出ても、発注そのものができません。

20pipsの行も現実的とは言いにくい水準です。証拠金維持率は約154%で、GMOクリック証券のFXネオのように証拠金維持率50%でロスカットとなる会社なら、そこまでの距離がかなり近くなります(GMOクリック証券「FXネオ 取引ルール(個人のお客様)」)。※2026年7月時点。最新の条件は公式サイトで確認してください。

逆張りは損切りを狭く置く設計になりやすいため、この制約に当たりやすくなります。「勝率が高いから資金効率がいい」という話とは逆で、狭い損切りは大きな通貨量を要求し、大きな通貨量は大きな証拠金を要求するわけです。

なお1,000通貨単位の口座なら、ここで出た通貨量を1,000の倍数へ丸める必要があります。ヒロセ通商のLION FXは1Lot=1,000通貨が基本で、取引手数料は0円です(ヒロセ通商「取引要綱(LION FX)」)。丸めるときは必ず小さいほうへ寄せてください。

同じ型でも、取引する時間帯を変えるだけで期待値は大きく削られる

もう1つ、逆張り型に効いてくるのがスプレッドです。損益比の分母と分子の両方を削るため、影響が二重になります。

損切り50pips・40,000通貨という設定で計算します。順張り型は利確100pips(損益比2.0)、逆張り型は利確30pips(損益比0.6)です。

スプレッドの実数には公表値を使います。ヒロセ通商のスプレッド情報では、米ドル/円がAM9:00から翌AM3:00は0.2銭、AM3:00からAM9:00は5.9銭と時間帯別に公表されています(ヒロセ通商「LION FXスプレッド情報」)。スプレッドは1往復につき1回のコストとして計算します。

時間帯とスプレッド1勝の利益1敗の損失実質の損益比100回の損益
AM9:00〜翌AM3:00(0.2銭)順張り型39,920円20,080円1.99+392,000円
AM9:00〜翌AM3:00(0.2銭)逆張り型11,920円20,080円0.59+232,000円
AM3:00〜AM9:00(5.9銭)順張り型37,640円22,360円1.68+164,000円
AM3:00〜AM9:00(5.9銭)逆張り型9,640円22,360円0.43+4,000円

※40,000通貨の往復スプレッドは0.2銭で80円、5.9銭で2,360円。前提のレートやスプレッドが変われば結果も変わります。※2026年7月時点の公表値です。

早朝のスプレッドで取引した場合、逆張り型の100回損益は+232,000円から+4,000円まで縮みました。実質の損益比が0.43となり、勝率70%の分岐点にちょうど貼り付いた状態です。順張り型も+392,000円から+164,000円へ減りますが、まだ余裕があります。

同じ手法、同じ勝率、同じ損切り幅。違うのは取引した時間帯だけで、逆張り型の利益はほぼ消えました。

「では逆張りは早朝を避ければいいのか」と思うかもしれません。基本的にはそのとおりです。ただし本質は時間帯そのものではなく、利確幅に対してコストが何%を占めるかという比率のほう。利確30pipsに対して5.9pipsのスプレッドは約20%ですが、利確100pipsなら約6%です。利確幅が小さい設計ほど、コストの影響を強く受けます。

短い値幅を積み上げる型の具体的な組み立てはFXスキャルピング手法の順張りと逆張りの型をまとめた記事にあります。回数が増えるほどコストの比率が効いてくる点は、あわせて確認しておいてください。

指標の向き不向きという分け方も、実は絶対ではない

「逆張りにはRSI、順張りには移動平均線」といった対応表をよく見かけます。この分け方も、思われているほど固定的ではありません。

マネックス証券の解説では、RSIは70%から80%超で買われ過ぎ、20%から30%割れで売られ過ぎと判断するとされています(マネックス証券「RSI」)。ストキャスティクスも、Slow%Dが0から20%で売られ過ぎ、80から100%で買われ過ぎとされ、売られ過ぎ圏でSlow%KがSlow%Dを上抜くと買いシグナルという読み方が示されています(マネックス証券「ストキャスティクス」)。どちらも水準で判断する指標なので、逆張りと相性がいいのは確かです。

一方、移動平均線は短期線が長期線を下から上へ抜けるゴールデンクロス、その逆のデッドクロスという交差で判断します(マネックス証券「移動平均線(MA)」)。方向の変化を見る指標です。

ただし、同じ指標が両方に使われる例もあります。ボリンジャーバンドがそれです。外為どっとコムの解説では、価格が±2σに収まる確率を約95.4%とする一方で、ローソク足が±2σに沿って並ぶ状態をバンドウォークと呼んでいます(外為どっとコム「ボリンジャーバンドとは」)。

±2σに収まる確率が高いことを根拠にすれば逆張りの材料になり、バンドウォークが起きていることを根拠にすれば順張りの材料になります。同じ線を見て、正反対の判断が成り立つということ。

だからこそ、先に決めるべきは指標ではありません。自分がどちらの数字を安定させられるかのほうです。

正直なところ、私は順張りと逆張りの優劣を論じること自体に、あまり意味を感じていません。同じ人が両方を試せば、記録が安定するのはたいてい片方だけ。その片方を早く見つけたほうが、手法を探し続けるより近道になります。

  • 利確を伸ばして待てるなら、順張り型で損益比を確保する
  • 待つのが苦手で細かく利確したいなら、逆張り型で勝率を確保する
  • どちらを選んでも、期待値の式で分岐点を超えているかを毎回確認する

「両方やればいいのでは」と思うかもしれません。可能ではありますが、記録が混ざると勝率も損益比も測れなくなります。最初は片方に寄せて、100回ぶんの数字が出てから判断するほうが確実です。

FXの逆張りと順張りについて、手法を決める前に調べられる疑問

判断に必要な式と数字はここまでで出そろいました。とはいえ、実際に決めようとすると細かい点で迷うはずです。よく検索されている4つに答えます。

FXの逆張りと順張りは、どちらが勝ちやすいですか?

勝率だけを見れば逆張り型のほうが高くなりやすい、というのが一般的な設計です。ただし損益が残るかどうかは勝率と損益比の掛け算で決まるため、勝率が高いことは有利さを意味しません。

この記事の仮定値でも、勝率70%の逆張り型は損益比が0.43を下回った時点でマイナスになりました。どちらが勝てるかを型の名前で決めることはできない、というのが答えになります。

逆張りは初心者に向かないと言われるのはなぜですか?

分岐点までの余裕が構造的に小さくなるからです。勝率70%を前提にすると、必要な損益比は0.43。実際の設定が0.6だとしても、その差は0.17しかありません。

さらに利確幅が小さいぶん、スプレッドが利益に占める比率が高くなります。利確30pipsで往復5.9pipsのスプレッドを払えば、それだけで約20%が消える計算です。この2つが重なるため、想定のずれが結果に出やすくなります。

損益比はいくつを目標にすればいいですか?

自分の勝率とセットでしか決まりません。(1−勝率)÷ 勝率で出る分岐点を上回っていることが最低条件で、その上にどれだけ余裕を積むかという話になります。

目安としては、分岐点の1.3倍程度を確保できているかを見ると判断しやすいでしょう。勝率50%なら分岐点1.00に対して1.3、勝率40%なら1.50に対して約1.95という水準です。ここは目標であって、達成を保証できる数字ではありません。

勝率と損益比はどうやって測ればいいですか?

自分の取引記録から出します。勝ちトレードの回数を全体で割れば勝率、勝ちトレードの平均利益を負けトレードの平均損失で割れば損益比です。

回数が少ないうちは数字が安定しません。最低でも数十回、できれば100回ぶんが溜まってから判定するほうが妥当でしょう。それまでは、通貨量を小さくして記録を集める期間だと割り切ってください。

逆張りと順張りの優劣は、勝率と損益比のどちらを自分が守れるかで決まる

順張りと逆張りに絶対的な優劣はありません。あるのは、勝率を取れば損益比を失い、損益比を取れば勝率を失うというトレードオフだけです。判断の軸は、どちらの数字を自分の性格と生活時間で安定させられるかという一点に集約されます。

  • 期待値は「勝率 × 損益比 −(1−勝率)」で決まり、必要な損益比は(1−勝率)÷ 勝率
  • 勝率70%の分岐点は損益比0.43、勝率40%の分岐点は1.50。高勝率型ほど余裕が小さい
  • 資金100万円・許容2%・100回の仮定値では、順張り型が+40万円、逆張り型が+24万円
  • 損益比が0.2下振れすると、逆張り型は−4万円へ転落するのに対し順張り型は+24万円が残る
  • 早朝のスプレッド5.9銭で取引すると、逆張り型の100回損益は+23.2万円から+0.4万円まで縮む

まずは自分の直近の記録から、勝率と平均損益比を1回だけ計算してみてください。分岐点を下回っていたなら、直すのは相場観ではなく利確幅と損切り幅のほうです。

型を決めたら、次は自分に合うトレードスタイル全体の設計に進みます。FXの手法一覧からスタイルの選び方を整理した記事で、取引回数や保有時間まで含めて条件を突き合わせてみてください。

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