火災保険の見積もりを見て、「水災を外せば安くなるけれど、本当に外して大丈夫?」と迷っていませんか。
水災補償は、被害を受ける可能性が低く、もしもの損失を貯蓄で負担できるなら、外すことも選択肢です。
ただし、高台やマンション上階という理由だけでは決められません。水や土砂が届く場所と、自分が負担する損害を確認します。
この記事では、住まい別の条件から保険料の差額まで、判断する順に整理します。迷う場合の選び方も具体例で確認しましょう。
自分の住んでいる地域は水害リスクが高いのか低いのか
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火災保険の水災補償を外せるのはどんな場合?
水災補償を外すかは、次の3点をそろえて考えます。保険料が安くなることだけを理由にしないのがポイントです。
- 洪水・内水・高潮・土砂災害のリスクを確認できている
- 自宅や家財が被害を受ける可能性は低いと判断できる
- 残る損失を、生活費とは別の貯蓄で負担できる
3点がそろえば、水災なしの見積もりを比較する段階です。どれかが不明なら、先にその情報を確認しましょう。
反対に、浸水が想定される場所で1階に住み、復旧費用を出す余裕が乏しいなら、水災補償を残す方向で考えます。
水災を残す利点は、大きな損害への備えを持てることです。外すと保険料を抑えられますが、水災による損失は自分で負担します。
戸建て・マンション・賃貸で変わる判断
戸建ては「高台だから不要」で止めない
高台の戸建ては、低地より河川の水が届きにくい場合があります。ただし、近くに崖があれば土砂災害の確認が必要です。
大雨による土砂崩れも水災補償の対象になり得ます。川から離れていても、水災補償の役割がなくなるとは限りません。
周囲より低い敷地や地下室も確認しましょう。排水が追いつかず雨水があふれる「内水氾濫」は、川の氾濫とは別に起こります。
土砂災害の危険性も低く、地下室や水の集まりやすい場所もない。そこまで確認してから、水災なしを検討します。
マンション上階は専有部分と共用部分を分ける
マンション上階で、自室が浸水や土砂の被害を受けにくいなら、個人の水災補償を外す選択はあります。
ただし、「何階以上なら不要」と全国共通の線は引けません。地域の想定浸水深と、自室の床の高さを照合します。
ここで分けたいのが、自室の専有部分と、エントランスなどの共用部分です。両者は別に保険を契約するのが一般的です。
共用設備の被害が心配なら、管理組合の契約を確認します。個人の水災補償を付ければ共用設備も守れる、と考えないでください。
管理組合には、水災の有無に加え、地下や1階の設備が対象か、免責金額や限度額はいくらかを聞きましょう。
自室の補償を詳しく整理したい方は、マンションの水災補償の判断方法も確認できます。
賃貸は自分の家財を買い直せるかで考える
賃貸では、大家の建物保険と、自分の家財を守る保険を分けます。「建物は大家のものだから不要」とは決められません。
1階の部屋に水が入ると、冷蔵庫、洗濯機、家具、衣類などが同時に使えなくなる可能性があります。
家財を買い直す資金が足りないなら、家財の水災補償を検討します。上階で被害を受けにくい場合は、外す選択もあります。
借家人賠償など、賃貸契約で求められる補償は別の確認事項です。水災の要否だけで保険全体を解約しないようにしましょう。
水災補償を外す前に確認する4つのこと
1.ハザードマップの白地と未整備を区別する
まずハザードマップポータルサイトで、自宅の場所を確認します。洪水だけでなく、内水・高潮・土砂災害も調べましょう。
色が付いていない場所には、危険性が想定されていない場所のほか、データが未整備の場所も含まれます。
表示がない災害は、自治体の最新の地図で補います。「白地だった」という理由だけで安全とは判断できません。
地図上の浸水深は地盤面からの高さです。前面道路から床までの高さとは基準が違う場合があるため、単純に引き算しないでください。
地図の操作から確認したい方は、ハザードマップで水災リスクを調べる手順へ進めます。
お住まいの地域から調べたい方は、都道府県別の水災・災害情報一覧をご利用ください。
2.浸水する場所に何があるかを書き出す
次に、浸水し得る場所の床・壁・設備と家財を分けて書き出します。水が入る高さが同じでも、損失の内容は住まいで変わります。
戸建てなら1階の居室や収納、賃貸なら床置きの家電や家具から確認すると、見落としを減らせます。
建物だけを保険の対象にしている場合、家具や家電の損害まで自動的に補償されるわけではありません。
保険を外した後の負担額は、修理・買い替えに加え、片付けや仮住まいに必要な支出も含めて考えましょう。
手元資金と比べる際は、生活費や近く使う予定のお金を除きます。貯蓄の総額すべてを復旧費用に回せるとは限らないためです。
3.床下浸水でも支払われるかを確認する
水災補償があっても、少し水が入っただけで必ず保険金が出るわけではありません。加入先の支払条件を確認します。
たとえばSBI損保の「住まいの保険」では、水災で対象物に損害が生じ、次のいずれかに当てはまることが条件です。
- 対象物の保険価額の30%以上の損害がある
- 床上浸水、または地盤面から45cmを超える浸水の結果、対象物に損害がある
保険価額は、保険の対象となる財産の評価額です。「修理費の30%しか出ない」という意味ではありません。
また、「45cm」は床から上に45cmという意味ではありません。床下でも地盤面からの高さなどの条件を満たす場合があります。
支払条件、差し引かれる自己負担額、支払限度は別々に確認します。水災補償を残すなら、どの損害に使えるかまで把握しましょう。
※上記はSBI損保の2024年10月改定のしおりに基づく例です。商品・契約の始期日・特約により条件が異なります。
※床面が地盤面より下にある場合など、約款上の定義にも注意してください。
4.保険料の差額を年額に直して比べる
最後に、水災あり・なしで見積もりを取り、差額を出します。所在地や構造、保険金額、他の補償、免責、契約期間をそろえます。
条件が変わっていると、安くなった理由が水災を外したためなのか分かりません。差額を見る前に、見積書の条件を照合しましょう。
仮に、同じ条件の5年契約で次の差が出たとします。
※以下は計算方法を示す仮定例です。実際の見積もり・相場・節約効果を示すものではありません。
※水災以外の条件は同じで、建物・家財とも水災を付ける場合と外す場合を想定しています。
| 比較項目 | 水災あり | 水災なし |
|---|---|---|
| 5年間の保険料 | 12万円 | 9万円 |
| 年額換算 | 2.4万円 | 1.8万円 |
この例では、外すと5年間で3万円、年換算で6,000円の節約です。月換算500円を払って残すか、損失を自分で負担するかを考えます。
仮に復旧用の資金として30万円を用意したいなら、節約した年6,000円だけで貯めるには50年かかります。
「外した保険料を貯める」場合も、貯まる前に被災したら何で支払うかが判断の分かれ目です。
すでに十分な資金があり、被害を受ける可能性も低いなら外す方向へ。資金が足りなければ、補償を残す案と比較します。
※30万円は復旧資金の仮定額です。実際の修理費や保険金額の目安ではありません。
※30万円÷年6,000円=50年。利息・物価変動は考慮していません。
※この計算は資金準備に必要な年数です。水害の発生確率や、保険の損得が逆転する年数ではありません。
同じ「水災はいらない?」でも判断が変わる3例
ここまでの確認を、住まいの例に当てはめます。条件が変われば結論も変わるため、自宅に近いケースから見てください。
※以下は判断方法を説明するためのモデルケースです。実在の住宅の調査結果や、被災・保険金支払いの実例ではありません。
例1:高台でも、近くの斜面が未確認の戸建て
洪水の想定区域外でも、近くの斜面をまだ調べていないケースです。この時点では、水災補償を外す判断は保留にします。
大雨による土砂災害の確認が残っているためです。自治体の地図で警戒区域などを確認し、不明な点は自治体へ聞きましょう。
洪水だけでなく土砂の危険性も低いと確認でき、復旧資金も確保できているなら、水災なしの比較へ進めます。
例2:自室の被害リスクが低いマンション上階
想定浸水深より自室の床が高く、土砂の影響も受けにくいケースです。個人の水災補償を外す候補になります。
ただし、共用設備の水災補償は管理組合の契約で確認します。自室と共用部分の確認を、同じ契約の話として混ぜないのが要点です。
残る自室・家財の損失を負担できるかを確認し、水災あり・なしの差額を見て決めます。水濡れ補償は別に検討しましょう。
例3:浸水が想定され、手元資金も少ない1階
住まいの1階まで浸水が想定され、家財の買い直し資金も十分にないケースです。水災補償を残す方向で考えます。
理由は、浸水の可能性と、被災後の資金不足が重なるためです。保険料が高いなら、補償を外す前に同じ条件で他社と比べます。
予算内に収まらなければ、免責や他の特約を見直せるか相談します。負担できる範囲を超えた免責の設定は避けましょう。
保険料が高いときは、水災を残す案も比較する
水災等地が低くても、不要とは決めない
水災等地は、水災リスクを1〜5の区分で示したものです。1等地は相対的に低い区分ですが、リスクがないという意味ではありません。
水災等地では、洪水だけでなく内水や土砂災害も評価します。洪水ハザードマップの表示と一致しない場合がある点にも注意が必要です。
等地は保険料を理解する材料に使い、自宅の要否は立地・建物・家計で判断します。各社の取扱いも確認しましょう。
補償を維持した見積もりと、免責を変えた案を取る
まずは水災補償を残したまま、同じ条件で複数社の見積もりを比べます。保険料以外に、支払条件や限度額の違いも確認しましょう。
次に、契約者が負担する免責金額を変えた案も検討できます。保険料を抑えられても、被災時の自己負担が増える点は残ります。
免責を変えられるか、どの事故に適用されるかは商品次第です。実際の節約額と、自分がすぐ払える額を比べてください。
「水災なし」だけを取り寄せず、水災を残す案も並べると、補償を削る必要があるのか判断しやすくなります。
持ち家の見積もりをまとめて比較したい場合は、住宅本舗の無料一括見積もりを利用できます。補償内容も相談して選べます。
依頼後は提携保険代理店から確認の連絡があります。「水災あり・なしを同じ条件で比較したい」と希望を伝えましょう。
※見積もり・相談後に契約する義務はありません。取扱商品や見積もり条件は、住宅の状況・各社の引受条件によって異なります。
水災補償は後から追加できるとは限らない
「いったん外し、大雨が心配になったら付ける」と決める前に、契約途中の追加が可能かを確認してください。
たとえば損保ジャパンは、水災なしプランに保険期間中の水災補償の追加はできないと案内しています。
同社では、次回更新時に水災ありで契約するか、現在の契約を解約して新たに契約する方法になります。
切り替える場合は、新しい契約の開始日、保険料、解約時に戻る金額を先に確認します。補償の空白期間を作らないようにしましょう。
他社でも同じ扱いとは限りません。検討中の商品の追加・変更条件を確認してから、水災を外すか決めてください。
手続きの確認項目は、水災補償を追加・変更するときの注意点にまとめています。
水災補償のよくある質問
- 水災を外すと、上階からの水漏れも対象外ですか?
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水災と水濡れは別の補償です。水災を外したことだけで、水漏れの扱いは決まりません。
上階の給排水設備の事故などは、水濡れ補償の範囲を確認します。家財も対象か確かめましょう。
漏水の原因や契約内容で扱いが変わります。古くなった設備の修理まで必ず出るわけではありません。
- 水災補償を付ければ、地震による津波にも備えられますか?
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地震による津波の損害は、火災保険の水災補償では対象外です。地震保険で別に備えます。
水災補償の有無と、地震保険の要否は分けて検討してください。
- 水災なしでも火災保険を続ける意味はありますか?
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あります。水災を外しても、火災など契約に残した事故への補償は続きます。
水災の要否と、火災保険全体の必要性は別の判断です。外した後に残る補償も確認しましょう。
自宅のリスクと差額が分かってから決めよう
水災補償を外すか迷ったら、まず自宅のリスクを確認し、被害を受ける建物・家財と、負担できる復旧資金を整理しましょう。
そのうえで、水災あり・なしの見積もりを同じ条件で比較します。差額だけでなく、補償を手放した後の負担を見て選ぶことが大切です。
地図が未確認ならリスクの確認から。必要性は分かったけれど保険料が高いなら、水災を残した見積もりの比較から始めてください。
※掲載情報の確認日:2026年9月9日。個別の補償内容・支払条件は、加入先の約款・重要事項説明書で確認してください。


