「ループイフダンは値幅を選ぶだけで自動売買が始まるらしい。ただ、値幅を狭くしたほうが有利なのか広くしたほうが有利なのか、判断する材料が見つからない」
こういった疑問に答えます。
ループイフダンはアイネット証券が提供する自動売買で、通貨ペアと売買の方向、そして値幅を選ぶだけで注文が動き出します。取扱いは21通貨ペア、1ロットは1,000通貨、取引手数料も口座管理料や維持料も無料と公表されています。設定がシンプルなぶん、判断は値幅ひとつに集約される。そして計算してみると、同じ値動きから取れる合計はどの値幅でもほとんど変わらず、変わるのは必要な資金のほうでした。狭い値幅は有利なのではなく、資金を多く積んでいるだけ。この構造を理解しないまま本数を増やすと、口座は簡単に苦しくなります。
同じリピート系でも会社ごとに設定の粒度が違います。全体像から確かめたい方は、FX会社の取引条件比較ページで各社の取引単位を見比べてみてください。
| 項目 | ループイフダン(アイネット証券)の公表内容 |
|---|---|
| 取扱通貨ペア | ループイフダンは21通貨ペア |
| 最小取引単位 | 1ロット=1,000通貨(南アフリカランド/円、メキシコペソ/円は1ロット=1万通貨) |
| 1回の注文可能数 | 1ロット〜1,000ロット |
| 取引手数料 | 無料 |
| 口座管理料・維持料 | 無料 |
| 必要証拠金 | 総取引金額の4%(レバレッジ25倍)までの取引が可能 |
| ロスカット水準 | 有効証拠金が取引証拠金の100%を割ると自動的にロスカット |
| 追証の有無 | 公式ページで確認できず(ロスカットは損失の額を限定するものではない旨の注記あり) |
| 取引時間 | 月曜AM7:00〜土曜AM7:00(米国がサマータイムのときは月曜AM7:00〜土曜AM6:00) |
| 注文の種類 | ループイフダン注文、クイックトレード、指値、逆指値、IFD、OCO、IFDO、トレール |
| 信託保全先 | 日証金信託銀行、みずほ信託銀行 |
| 登録番号 | 関東財務局長(金商)第11号 |
※上の表は2026年7月26日にアイネット証券の公式ページで確認した内容です。ループイフダンの取扱通貨ペアと取引証拠金は見直されることがあるため、注文を作る前に公式の取引要綱で確認してください。
ループイフダンは、値幅を選ぶだけで動き出す設計になっている
まず何を決める注文なのかを整理します。設定項目が少ないのが、この仕組みの最大の特徴です。
公式の説明によれば、ループイフダンは一定の値幅だけレートが動いたら自動で売買を繰り返す仕組み。選ぶのは通貨ペア、買いタイプか売りタイプかという方向、そして値幅の3つです。取扱いは全部で21通貨ペアあり、1,000通貨単位の少額取引に対応しています。口座開設や取引に手数料はかからず0円と明記されています(アイネット証券「ループイフダンとは」)。
買いタイプは、下がったら買って、設定した値幅だけ上がったら利確する動き。売りタイプはその逆です。上昇相場を狙うか下落相場を狙うかを、最初に決めることになります。
同社はリスクの注記として、ロスカット取引は必ず約束した損失の額に限定するものではないこと、証拠金以上の損失が発生する可能性があることを記載しています。自動という言葉に安全の意味はない、という点は他社と同じです。
「設定項目が少ないなら初心者向きなのでは」と思うかもしれません。半分は正解です。ただし決める項目が少ないぶん、値幅の選択が結果をほぼ決めてしまいます。次でその中身を数字にします。
値幅を変えても合計はほぼ同じ。変わるのは必要資金のほう
ここがこの記事の核心です。狭い値幅が有利という直感を、いったん数字で崩します。
前提を置きます。日本銀行の外国為替市況によれば、2026年7月21日17時時点の米ドル/円は162.59円台でした(日本銀行「外国為替市況(日次)」)。ここでは3円分の値動きを買いタイプで拾い切った場合を想定し、1ロット=1,000通貨、必要証拠金は個人の4%として計算します。1ロットあたりの必要証拠金は約6,504円です。
| 設定値幅 | 3円に並ぶ本数 | 1回あたりの利益 | 拾い切ったときの合計 | 全約定時の必要証拠金 |
|---|---|---|---|---|
| 15銭 | 20本 | 150円 | 3,000円 | 約13万80円 |
| 25銭 | 12本 | 250円 | 3,000円 | 約7万8,048円 |
| 40銭 | 7本 | 400円 | 2,800円 | 約4万5,528円 |
| 80銭 | 3本 | 800円 | 2,400円 | 約1万9,512円 |
合計利益は3,000円から2,400円の範囲で、いちばん狭い値幅といちばん広い値幅の差は2割ほど。一方の必要証拠金は約1万9,512円から約13万80円まで、6.7倍の開きが出ました。
この結果が意味することは1つです。値幅を狭くして得られる上積みは、投じる資金を6倍以上に増やして買っているにすぎません。効率で見れば、むしろ広い値幅のほうが勝っています。
もちろん、これは3円をきれいに拾い切った理想的な想定です。実際には途中で反転したり、値幅に届かないまま停滞したりします。それでも、資金あたりの効率という観点は変わりません。
私の見方はこうです。資金が限られているなら、値幅は広めに取って本数を絞る。狭い値幅を選んでいいのは、必要証拠金の数倍を積んでもなお余裕がある人だけです。
アイネット証券は目安資金表を公開しており、想定する変動額を1円から50円まで置いたうえで、設定値幅ごとの損失合計額、取引証拠金、目安必要資金、ポジション数を確認できます(アイネット証券「ループイフダンの目安資金表」)。感覚で値幅を決める前に、この表で自分の資金に合う組み合わせを探すのが順序として正しい進め方です。
ロスカットは有効証拠金が取引証拠金の100%を割った時点で執行される
資金管理のルールを確認します。ここは本数を並べる注文だからこそ、事前に理解しておく必要があります。
ループイフダンの取引要綱によれば、取扱いは21通貨ペア、1ロットは1,000通貨(南アフリカランド/円とメキシコペソ/円は1ロット=1万通貨)、1回の注文可能数は1ロットから1,000ロットまで。取引手数料は無料で、口座管理料と維持料も無料と明記されています。取引時間は24時間で、月曜のAM7:00から土曜のAM7:00まで(米国がサマータイムのときは月曜AM7:00から土曜AM6:00まで)。総取引金額の4%(レバレッジ25倍)までの取引が可能で、有効証拠金が取引証拠金の100%を割ると自動的にロスカットされます(アイネット証券「ループイフダン取引要綱(個人用)」)。
有効証拠金が取引証拠金の100%を割るというのは、預けた資金が必要証拠金と同額まで目減りした時点、という意味です。前の章の表で言えば、値幅15銭で20本を並べたときの約13万80円と同じ額まで有効証拠金が減れば、そこで止まります。
つまり、必要証拠金と同じ金額しか入れていなければ、含み損が出た瞬間に危険水域です。並べる本数を決めるときは、必要証拠金の何倍を置けるかから逆算してください。
対応通貨ペアの一覧も公開されています。米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円、NZドル/円、カナダドル/円、スイスフラン/円、トルコリラ/円、メキシコペソ/円、南アフリカランド/円に加え、豪ドル/NZドルやユーロ/英ポンドといった外貨同士の組み合わせを含む21通貨ペアです(アイネット証券「本日の取引証拠金(ループイフダン個人)」)。
外貨同士のペアが並んでいるのは、リピート系では意味があります。対円のペアより値動きの範囲が狭くとどまりやすい組み合わせを選べるからです。ただし、どのペアが狭くとどまるかは時期によって変わります。過去の範囲がこれからも続く保証はありません。
ロスカットの整備自体は業界共通の義務です。金融先物取引業協会によれば、2010年2月1日から個人顧客と取引するすべての業者にロスカットルールの整備と遵守が義務づけられ、同じ日に顧客証拠金の区分管理も信託へ一本化されました(金融先物取引業協会「FX取引の規制について」)。
トラリピとの違いは、決める項目の数と本数の指定方法にある
同じリピート系として比較されるのが、マネースクエアのトラリピです。両者を公表条件で並べます。
| 項目 | ループイフダン | トラリピ |
|---|---|---|
| 決める項目 | 通貨ペア、売買の方向、値幅 | レンジ、トラップ本数、トラップ値幅、利益値幅など |
| 取扱通貨ペア | 21通貨ペア | 私が確認した公式ページでは最新の一覧を特定できず |
| 最小取引単位 | 1ロット=1,000通貨(ZAR/JPY、MXN/JPYは1万通貨) | 説明書の改訂資料では主要通貨ペアが1,000通貨単位 |
| 取引手数料 | 無料。口座管理料・維持料も無料 | 無料 |
| ロスカット水準 | 有効証拠金が取引証拠金の100%を割ると執行 | 証拠金維持率100%未満 |
| 取引時間 | 月曜AM7:00〜土曜AM7:00(夏時間は土曜AM6:00) | 私が確認した公式ページでは特定できず |
トラリピ側の数値は、マネースクエアが公開している注意事項とリスク説明で確認したものです。同社は取引手数料を無料と明記し、トラリピのリスクとして「レンジ内での評価損」と「レンジ外での損失拡大リスク」を挙げています(マネースクエア「当社サービスに関しての注意事項」、マネースクエア「トラリピのリスク」)。売買単位については、同社が公開している説明書の改訂資料に主要通貨ペアが1,000通貨単位、南アフリカランド/円とメキシコペソ/円が1万通貨単位と記載されています(マネースクエア 店頭外国為替証拠金取引説明書 新旧対照表)。ただし改訂時点の資料であり、現在の一覧そのものには到達できませんでした。
読み取れる違いは、レンジを自分で指定するかどうかです。トラリピは価格帯の上限と下限を決めて、その中に本数を並べます。ループイフダンは値幅を決めて、方向に沿って繰り返す。
どちらが優れているという話ではありません。レンジの見立てに自信がある人はトラリピのほうが設計しやすく、見立てを持たない人はループイフダンのほうが迷いが少ない。決める項目が多いことは、自由度であると同時に、間違えられる箇所が増えることでもあります。
ただしループイフダンにも、方向を外したときの弱点は同じように存在します。買いタイプで下落が続けば、含み損を抱えたポジションが積み上がり、利確は止まる。設定項目が少ないことは、リスクが小さいことを意味しません。
各社のリピート系サービスを、値幅と本数の考え方で横に並べた比較はFXリピート系自動売買の比較とトラリピ型の選び方にまとめています。仕組みの原理は共通しているので、どの会社を選ぶ場合でも先に読んでおくと設定が早く固まります。
信託保全は2社、対象は未実現損益とスワップまで含まれる
会社としての信用と、資産の扱いを確認します。
アイネットFXの信託保全のページによれば、日証金信託銀行株式会社およびみずほ信託銀行株式会社が、同社から信託された資産の管理を行います。区分管理の対象となる個別顧客区分管理金額は、取引口座へ預託した資金に、決済取引をして確定した実現損益、取引中の未実現損益、スワップ損益等を加算した有効証拠金。追加信託は、有効証拠金算出日の翌営業日を起算日として2営業日(銀行営業日)までに行われる運用です(アイネット証券「アイネットFXの信託保全」)。
未実現損益とスワップ損益まで含めた金額を対象にしている点は、確認しておく価値があります。保全の範囲は会社によって説明の粒度が違うからです。
会社概要も見ておきます。商号は株式会社アイネット証券、設立は平成15年11月6日、資本金は3億円(平成30年3月27日現在)、登録は関東財務局長(金商)第11号。金融先物取引業協会に会員番号第1158号で加入し、資産運用業協会にも加入しています(アイネット証券「会社案内」)。
とはいえ、ここまでの3項目はアイネット証券を選ぶ理由にはなりません。信託保全も登録も、国内で登録を受けた業者ならどこでも満たしている条件だからです。番号のほうは読者側でも引けます。金融庁が2026年1月30日に運用を始めた一括検索機能を使えば、業種をまたいで登録状況を調べられるからです(金融庁「金融事業者一括検索機能の運用開始について」)。この口座を選ぶかどうかを決めるのは、前の章で計算した値幅と必要資金の関係のほうです。
手数料が無料でも、コストがゼロになるわけではない
「手数料無料」という表現は、正確に読んでおきたいところ。ここは誤解が生まれやすい部分です。
アイネット証券は取引手数料と口座管理料、維持料をいずれも無料と公表しています。ただし無料なのは手数料であって、売値と買値の差であるスプレッドは1回の売買ごとに発生します。
ここが値幅の選択と直結します。値幅が狭いほど1回の利益は小さくなる一方、スプレッドは値幅と関係なく毎回かかる。つまり、狭い値幅ほど利益に占めるコストの比率が上がる構造になっています。
前の章の表で言えば、値幅15銭の1回の利益は150円、値幅80銭なら800円。同じスプレッドが引かれるなら、どちらの比率が重いかは計算するまでもありません。
そしてスワップポイントも継続的に効いてきます。買いタイプで低金利通貨を買い続ける設定なら、日々の支払いが積み上がる方向。方向とスワップの符号の組み合わせは、設定を作る前に必ず確認してください。
なお、1本あたりに要る金額の下限は、会社を選び直しても動きません。個人の必要証拠金が取引金額の4%以上と定められているのは、業者の営業判断ではなく規制の結果だからです(金融先物取引業協会「法人店頭FX取引に係る証拠金規制」)。値幅を狭くしたときに資金が膨らむ構造は、どのリピート系サービスでも同じように働きます。
ループイフダンとアイネット証券の口座について、よく調べられている質問
値幅と必要資金の関係は、ここまでで数字にしました。あとは通貨ペア選びやトラリピとの比較など、設定を確定する前に一度は引っかかる点だけ。検索数の多い5つを、資金から逆算する視点で片づけます。
ループイフダンに手数料はかかりますか?
取引手数料、口座管理料、維持料はいずれも無料と公表されています。口座を持っているだけで費用が発生することもありません。
ただしスプレッドは売買ごとに発生します。値幅を狭く設定するほど、1回の利益に占めるスプレッドの比率が上がる点は理解しておいてください。
ループイフダンの値幅はどう選べばいいですか?
資金量から逆算します。同じ値動きから取れる合計は値幅を変えてもあまり変わらない一方、必要証拠金は本数に比例して増えるからです。
3円分を拾う想定なら、値幅15銭で20本を並べると必要証拠金は約13万80円、値幅80銭で3本なら約1万9,512円。公式の目安資金表と突き合わせて、無理のない組み合わせを選んでください。
ループイフダンは1,000通貨から取引できますか?
できます。1ロットが1,000通貨と公表されており、少額から本数を刻めます。ただし南アフリカランド/円とメキシコペソ/円は1ロットが1万通貨です。
高金利通貨で始めようと考えている方は、この違いを見落とさないでください。想定より10倍の数量になります。
ループイフダンとトラリピはどちらがいいですか?
レンジの見立てを持てるかどうかで分かれます。トラリピは価格帯を自分で指定して本数を並べる設計で、ループイフダンは値幅と方向を決めるだけの設計です。
見立てに自信がないなら、決める項目が少ないループイフダンのほうが迷いは減るはず。ただし方向を外したときに含み損が積み上がる点は、どちらも同じです。
ループイフダンのロスカットはどの水準ですか?
有効証拠金が取引証拠金の100%を割ると自動的にロスカットされると公表されています。必要証拠金と同額まで資金が減った時点、という意味です。
同社は、ロスカットが必ず約束した損失の額に限定するものではないとも注記しています。相場が飛んだ場面では想定より不利な価格で決済されうる、という前提で資金を置いてください。
ループイフダンは、値幅を広げてでも本数を抑えられる人の道具
設定項目が3つしかないことは、この仕組みの長所です。ただし、その3つのうち値幅の選択がほぼすべてを決めます。狭くすれば有利になるのではなく、狭くするほど資金が要る。この関係を受け入れられるかどうかが分かれ目です。
- 取扱いは21通貨ペア、1ロットは1,000通貨、取引手数料も口座管理料も維持料も無料
- 3円分を拾う想定では、値幅15銭で合計3,000円に必要証拠金約13万80円、値幅80銭で合計2,400円に約1万9,512円と、資金効率は逆転する
- ロスカットは有効証拠金が取引証拠金の100%を割った時点で執行され、損失の額を限定するものではないと注記されている
- トラリピとの違いはレンジを自分で指定するかどうかで、方向を外したときに含み損が積み上がる点は共通する
- 掲載した数値は2026年7月26日に確認した公表内容で、通貨ペアと取引証拠金は見直されうるため注文前に公式サイトで確認する
まずは公式の目安資金表で、自分の資金に対応する値幅を1つに絞る。設定を作るのは、その数字が納得できてからで間に合います。
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