「トラリピは仕掛けておくだけで自動的に利益を積んでくれる、という評判をよく見かける。ただ、いくら用意すれば足りるのかと、うまくいかないときに何が起きるのかが分からない」
こういった疑問に答えます。
トラリピはマネースクエアが提供するリピート系の注文で、取引手数料は無料と公表されています。設計の要は、レンジとトラップの本数をいくつにするか。同じ15円のレンジでも、トラップ値幅を0.2円にするか2円にするかで、全部約定したときの必要証拠金は10倍以上変わります。そしてロスカットは証拠金維持率100%未満で、毎営業日10秒ごとの値洗いで判定されます。マネースクエア自身が、レンジを外れると収益チャンスがゼロになると同時に損失が拡大するリスクが表面化すると書いている点。ここを直視できない人には、私はこの注文を勧めません。
リピート系を扱う会社は複数あり、コスト構造も本数の刻み方も違います。全体を見渡してから読み進めたい方は、FX会社の条件比較ページで各社の取引単位を確認しておいてください。
| 項目 | トラリピ(マネースクエア)の公表内容 |
|---|---|
| 取引手数料 | 無料(店頭外国為替証拠金取引および店頭CFD取引) |
| 必要証拠金 | 個人は取引総代金の4%以上。CFDは取引総代金の10% |
| 最小取引単位 | 説明書の改訂資料では主要通貨ペアが1,000通貨単位、南アフリカランド/円とメキシコペソ/円が1万通貨単位 |
| 取扱通貨ペア | 私が確認した公式ページでは最新の一覧を特定できず(単位のみ説明書の改訂資料で確認) |
| ロスカット水準 | 証拠金維持率100%未満 |
| ロスカット判定 | 毎営業日10秒ごとに値洗い。該当時は全ポジションを対象に反対売買を発注 |
| アラート | 証拠金維持率150%と120%を下回った場合にメール送付 |
| 追証の有無 | 公式ページで確認できず(証拠金を上回る損失が生じるおそれがある旨の注記あり) |
| 信託保全先 | 三井住友銀行、SBIクリアリング信託 |
| カバー取引先 | 22の金融機関を公開 |
| 登録番号 | 関東財務局長(金商)第2797号 |
| 設立・資本金 | 2014年5月20日設立、資本金17億円(2026年3月31日現在) |
※この表は2026年7月26日にマネースクエアの公式ページと公開資料で確認した内容です。通貨ペアの一覧と売買単位は改定されることがあるため、注文を作る前にマネースクエアの公式サイトで必ず確認してください。
トラリピは、レンジを決めて注文を並べ続ける仕組み
まず何をする注文なのかを整理します。ここを曖昧にしたまま資金を入れると、必要な金額の見積もりを間違えます。
トラリピは、あらかじめ決めた価格帯(レンジ)の中に一定の間隔で買い注文または売り注文を並べ、約定するたびに設定した値幅で利益確定を繰り返す注文です。1本が決済されると、同じ価格に再び新規注文が置かれる。この繰り返しが名前の由来になっています。
決めるのは実質4つです。どの価格帯に置くか、何円間隔で置くか、1回いくらの値幅で利確するか、そしてどこで止めるか。相場の方向を当てにいく注文ではなく、上下動の回数を収益に変える注文だと考えてください。
マネースクエアは自社のリスク説明で、トラリピに留意すべきリスクとして「レンジ内での評価損」と「レンジ外での損失拡大リスク」の2つを挙げています(マネースクエア「トラリピのリスク」)。会社自身が2つのリスクを名指しで書いているところ。
同社が公開している運用ガイドでは、複数のトラリピを組み合わせる仕掛け方や、レンジを上下に分けて買いと売りを配置するハーフアンドハーフという考え方、リスクシミュレーションの使い方が解説されています(マネースクエア「トラリピ・パーフェクトガイド」)。
「では設定さえ作れば動き続けるのか」と思うかもしれません。動きます。問題は、動き続けるために必要な資金がいくらかという点です。
取引手数料は無料。コストはスプレッドとスワップの側に寄る
コストの構造を先に押さえておきます。回数を前提にする注文では、ここが損益を左右します。
マネースクエアは注意事項のページで「店頭外国為替証拠金取引、店頭CFD取引における取引手数料は無料です」と明記しています。あわせて、同社の取引は元本および収益が保証されているものではないこと、顧客が差し入れた証拠金を上回る損失が生じるおそれもあることが記載されています。証拠金率は個人のFXが取引総代金の4%以上、CFDが10%です(マネースクエア「当社サービスに関しての注意事項」)。
手数料が無料ということは、取引ごとのコストはスプレッドに集約されるということ。そしてリピート系は日をまたいでポジションを持ち続ける設計なので、スワップポイントの受け払いも継続的に効いてきます。
売り方向で高金利通貨を並べる設定にすると、スワップを毎日払い続けることになります。回数で積んだ利益が、日々の支払いで削られる構図。設定を作る前に、方向とスワップの符号を必ず確認してください。
売買単位は、同社が公開している説明書の改訂資料で確認できました。米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドル、豪ドル/円、ニュージーランドドル/円、カナダドル/円、英ポンド/円、トルコリラ/円などは1,000通貨単位、南アフリカランド/円とメキシコペソ/円は1万通貨単位と記載されています(マネースクエア 店頭外国為替証拠金取引説明書 新旧対照表)。ただしこれは改訂時点の資料であり、現在の一覧そのものを載せたページには到達できませんでした。使う通貨ペアの単位は、注文を作る前に取引画面か公式サイトで確かめてください。
なお同社は、CFDでもトラリピを提供しています。日本N225、米国D30、米国NQ100、米国SP500、英国F100の5銘柄で、証拠金率は10%以上(最大10倍)、取引単位は1Lot以上0.1Lot単位、取引手数料は無料、ロスカットは証拠金維持率100%未満です(マネースクエア「取引概要(トラリピCFD)」)。FXと同じ考え方が株価指数にも展開されている、という位置づけです。
トラップ値幅を変えると、必要証拠金は10倍以上変わる
ここがこの記事の中心です。トラリピの資金計画は、本数の設計とほぼ同義だからです。
前提を置きます。日本銀行の外国為替市況によれば、2026年7月21日17時時点の米ドル/円は162.59円台でした(日本銀行「外国為替市況(日次)」)。ここでは150円から165円までの15円をレンジとし、1本あたり1,000通貨の買いトラリピを並べたと仮定します。必要証拠金は個人の4%で計算し、全本数が約定した状態の平均建値を157.5円としました。
| トラップ値幅 | 本数 | 全約定時の合計数量 | 必要証拠金の合計 |
|---|---|---|---|
| 0.2円 | 75本 | 7万5,000通貨 | 約47万2,500円 |
| 0.5円 | 30本 | 3万通貨 | 約18万9,000円 |
| 1.0円 | 15本 | 1万5,000通貨 | 約9万4,500円 |
| 2.0円 | 7本 | 7,000通貨 | 約4万4,100円 |
同じレンジ、同じ通貨ペア、同じ1本1,000通貨。違うのは間隔だけなのに、必要証拠金は約4万4,100円から約47万2,500円まで、10倍以上の開きが出ました。
間隔を狭くするほど約定の回数は増えますが、その分だけ資金が必要になる。ここに例外はありません。「細かく刻んだほうが儲かりそう」という直感は、資金の制約と正面からぶつかります。
もう一段、大事な話をします。上の表の金額は、あくまで建てるために最低限必要な証拠金です。ロスカットが証拠金維持率100%未満で発動する以上、必要証拠金と同じ金額しか入れていなければ、含み損が1円分でも出た瞬間に切られる計算になります。
私の目安は、必要証拠金の2倍から3倍を置くこと。トラップ値幅0.5円で30本を並べるなら、必要証拠金約18万9,000円に対して40万円から60万円。この水準を用意できないなら、値幅を広げて本数を減らすほうが現実的です。
マネースクエアは「トラリピ運用試算表」を提供しており、設定した条件からロスカットレートを試算できると案内しています。感覚で本数を決める前に、このツールで数字を出しておくのが順序として正しいでしょう。
各社のリピート系サービスで、値幅と本数の考え方がどう違うのかはFXリピート系自動売買の比較とトラリピ型の選び方に整理しました。設計の原理は共通しているので、他社を使う場合でも同じ計算が使えます。
レンジを外れると、収益機会がゼロになると同時に損失だけが伸びる
トラリピを語るなら、ここを飛ばすわけにはいきません。会社自身が明記している弱点だからです。
マネースクエアのリスク説明には「トラリピのレンジから、買いトラリピの場合は下落方向に、売りトラリピの場合は上昇方向にレートが外れてしまうと、収益チャンスがゼロになると同時に、損失が拡大するリスクが表面化します」と書かれています。
この一文を分解すると、2つのことが同時に起きると分かります。ひとつは、レンジの外には注文が置かれていないため、新しく約定して利確する機会が止まること。もうひとつは、レンジ内で建てたポジションの含み損が、レートが離れるほど大きくなり続けることです。
つまり、稼ぐ側の装置だけが止まって、減る側だけが動き続ける状態になります。放置していれば自然に戻る、という保証はどこにもありません。
対処は3つしかありません。レンジを広く取っておく、資金を厚く用意しておく、あるいはストップロスをあらかじめ設定しておく。どれも設定を作る段階でしか選べない選択肢です。
「戻ってくるまで待てばいいのでは」と考える方もいるはずです。待てるかどうかを決めるのは意志ではなく、証拠金維持率のほうです。次の章で、その判定がどう行われるかを確認します。
ロスカットは証拠金維持率100%未満。10秒ごとの値洗いで判定される
資金管理のルールは、マネースクエアがかなり細かく公開しています。
同社の解説によれば、ロスカットは証拠金維持率が100%を下回っていた場合に執行されます。判定は毎営業日10秒ごとの値洗いで行われ、水準に該当した場合は速やかに全ポジションを対象に反対売買が発注されます。その手前では、証拠金維持率が150%と120%を下回った場合にアラートメールが送付される仕組み。あわせて、ロスカットは損失の限定を保証するものではなく、相場環境によっては預り資金以上の損失が発生する場合があると注記されています(マネースクエア「FXのロスカットとは」)。
注目したいのは、対象が「全ポジション」である点です。トラリピは本数を並べる注文なので、切られるときは並べた全部が一度に決済されます。含み損の小さい建玉だけが残る、という形にはなりません。
アラートが150%と120%の2段階で来るのは親切な設計だと思います。とはいえ、120%から100%までの距離は、本数を並べているほど短く感じられるはず。通知が来てから入金するのでは間に合わない場面も想定しておくべきです。
もっとも、ロスカットが用意されていること自体はマネースクエア固有の話ではありません。金融先物取引業協会によれば、2010年2月1日から個人顧客と取引するすべての業者に、ロスカットルールの整備と遵守が義務づけられています(金融先物取引業協会「FX取引の規制について」)。本数を並べる注文で効いてくるのは、有無ではなく100%という水準と10秒という判定間隔のほうです。
信託保全は2社、カバー先は22機関まで開示している
会社としての信用は、開示の粒度に表れます。この点でマネースクエアは細かいほうです。
信託保全のページによれば、顧客の資産は預託証拠金だけでなく、スワップと為替損益も毎営業日評価替えしたうえで、三井住友銀行およびSBIクリアリング信託に区分保管されます。さらにカバー取引先として、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、JPモルガン・チェース銀行、シティバンク・エヌ・エイ、バークレイズ銀行など22の金融機関名が公開されています(マネースクエア「信託保全とカバー先」)。
カバー先を実名で並べる会社は、国内でも多数派ではありません。取引の相手方がどこなのかを開示するかどうかは、会社の姿勢が出る部分です。
会社概要も確認しました。商号は株式会社マネースクエアで、株式会社マネースクエアHDの100%子会社。設立は2014年5月20日、資本金は17億円(2026年3月31日現在)、登録は金融商品取引業として関東財務局長(金商)第2797号、日本証券業協会と金融先物取引業協会に加入しています(マネースクエア「会社概要」)。
開示が細かい会社ほど、その内容を鵜呑みにせず自分でも裏を取っておきたいところ。金融庁が2026年1月30日に運用を始めた一括検索機能なら、業種をまたいで登録状況を自分で引けます(金融庁「金融事業者一括検索機能の運用開始について」)。何年も動かし続ける注文を預ける相手なら、なおさら最初にやっておく価値があります。
公表データが示しているのは、短期で回す顧客像ではない
評判を読み解くうえで、会社が公開している顧客データはヒントになります。
同社の紹介ページには、平均預り残高が約251万円、トラリピの利用率が85.3%、平均取引期間が8.7年以上、3年以上取引している口座の割合がおよそ8割といった数値が掲載されています。レバレッジについては、指値を含めて約8倍、実質では約5倍程度という記載もあります(マネースクエア「データで知る!マネースクエア」)。
平均預り残高が約251万円という数字は、前の章で計算した必要証拠金の水準と符合します。トラップ値幅0.5円で30本なら必要証拠金は約18万9,000円でしたが、実際に長く続けている人はその10倍以上を置いている計算になります。
実質レバレッジ約5倍という数値も同じ方向を指しています。上限の25倍に対して5分の1。この注文が、資金を薄く使って回転させる設計ではないことがよく分かります。
ここは正直に書きます。数十万円で始めてすぐに成果を出したい人には、トラリピは向きません。値幅を広げて本数を絞れば少額でも動きますが、そのぶん約定の回数は減り、待つ時間が長くなるからです。
なお、利益が出れば税金の扱いは裁量取引と同じです。国税庁によれば、FXの差金決済による利益は先物取引に係る雑所得等として申告分離課税の対象で、所得税15%、地方税5%、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加わります(国税庁「No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係」)。
トラリピとマネースクエアの口座について、よく調べられている質問
レンジの設計と、そこに要る資金の桁。判断に必要な材料はここまでで出しました。残るのは注文画面を前にして手が止まる細部だけなので、検索数の多い5つを、耐えられる金額から逆算する視点で片づけます。
トラリピに手数料はかかりますか?
かかりません。マネースクエアは店頭外国為替証拠金取引および店頭CFD取引の取引手数料を無料と明記しています。
ただし無料なのは手数料であって、スプレッドとスワップポイントは発生します。日をまたいで持つ設計なので、スワップの符号は必ず確認してください。
トラリピはいくらから始められますか?
必要証拠金だけなら、本数を絞れば数万円台から計算上は可能です。ただしロスカットが証拠金維持率100%未満である以上、必要証拠金ぴったりの入金では現実的に運用できません。
私の目安は必要証拠金の2倍から3倍。公式のトラリピ運用試算表でロスカットレートを出してから、入金額を決めるのが安全な順番です。
トラリピでレンジを外れたらどうなりますか?
新しい約定と利確が止まり、保有中のポジションの含み損だけが拡大します。マネースクエア自身が、収益チャンスがゼロになると同時に損失が拡大するリスクが表面化すると説明しています。
戻るのを待つという選択が取れるかどうかは、証拠金維持率次第です。ストップロスをあらかじめ設定しておくかどうかは、設定を作る段階でしか決められません。
トラリピのロスカットは一部だけ決済されますか?
いいえ。証拠金維持率100%未満に該当した場合、全ポジションを対象に反対売買が発注されると案内されています。
本数を並べているほど、この仕様の影響は大きくなります。含み損の浅い建玉だけが残るという想定は持たないでください。
トラリピはCFDでも使えますか?
使えます。日本N225、米国D30、米国NQ100、米国SP500、英国F100の5銘柄で提供されており、証拠金率は10%以上、取引手数料は無料、ロスカットは証拠金維持率100%未満です。
ただしレバレッジの上限がFXより低く、取引時間も銘柄ごとに異なります。FXと同じ感覚で本数を決めないよう注意してください。
トラリピは、レンジを外れた日の資金を先に用意できる人の道具
仕掛けておけば動き続ける注文であることは事実です。ただし動き続けるための条件は、相場の運ではなく、レンジを外れた局面でも耐えられる資金を最初に置いたかどうかで決まります。ここを用意できるなら、トラリピは扱いやすい仕組みです。
- 取引手数料は無料で、コストはスプレッドとスワップポイントの側に寄る
- 同じ15円のレンジでも、トラップ値幅0.2円なら必要証拠金は約47万2,500円、2.0円なら約4万4,100円と10倍以上変わる
- レンジを外れると収益チャンスがゼロになると同時に損失が拡大すると、会社自身が明記している
- ロスカットは証拠金維持率100%未満で、10秒ごとの値洗いにより全ポジションが対象になる
- 掲載した数値は2026年7月26日に確認した公表内容で、通貨ペアと売買単位は改定されうるため注文前に公式サイトで確認する
まず公式の運用試算表でロスカットレートを出し、その水準まで耐えられる金額を決める。設定を作るのはそのあとで間に合います。
同じリピート系でも値幅の決め方が異なるサービスと比べたい方は、ループイフダンの評判とアイネット証券の自動売買で条件を並べてから判断してください。

