残価設定の住宅ローンが登場するかも?その仕組みを解説

残価設定の住宅ローンが登場するかも? その仕組みを解説

空前の超低金利が続く住宅ローン。そんな住宅ローンのなかに、「残価設定」タイプが加わるかもしれません。
では、その中身とは? どんなメリットがあるのか、いつ導入されるのか、チェックしていきましょう。

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残価設定の住宅ローンが登場するかも?その仕組みを解説

自動車購入時ではおなじみの「残価設定型ローン」の住宅ローン版

「残価設定型」ローンと聞いて、ピンと来る人はどのくらいいるでしょうか。現在、「残価設定型」が普及し、一般的になっているのが「自動車購入時」です。CMや広告などで、「今なら新車に半額で乗れる!」といったコピーを目にした人も多いはず。そう、新車を販売するときにはこの、残価設定型ローンを利用する人が増えているのです。

この残価設定ローンは、数年後(3~5年後)の車の査定額(残価)をあらかじめ差し引いておき、残りの部分をローンで支払うというもの。

数年経過したのちに車を返却すれば、販売した会社が買取保証額(つまり残価)を支払い、ローン完済となります。
もちろん、そのまま乗り続けたいなら、残価を一括で販売会社に支払ったり、新たにローンを組んだりすることで、自分の車にすることもできます。

この「残価設定型」の最大のメリットは、毎月の返済額が低く抑えられること。
そこで、若い世代を中心に所得が伸び悩むなか、この手法を住宅ローンに応用し、住まいの取得を応援しようという動きが始まっています。

仮に「残価設定型」を住宅ローンに応用し、10年後に下取りをしてもらえると仮定したとすると、毎月返済する金額はぐっと手頃になると思いませんか? また、将来、自分の家をどうするかを考える機会を持てます。その際、家族が増え、家が狭くなっていたら、販売会社に引き渡し、新たな家を探してもいいでしょう。そのまま住みたいと思えば、もう1度、住宅ローンを設定するか、残債と一括返済すればいいのです。

こうしたメリットが注目され、「住宅ローンの残価設定型」は、現在、国土交通省の「平成28年度長期優良住宅化リフォーム推進事業(提案型)」にも導入されることが決まり、補助金の対象にもなっています。

でも、残価設定の住宅ローンは実現するの?その注意点は?

ただ、この残価設定の住宅ローンは、現在、「北海道R住宅ストック流通推進プロジェクト」が取り扱っているのみ。
これは、北海道の住宅会社と検査機関、建築士、金融機関が連携して試行段階として実施しています。
そのため、利用者の数もまだまだ少なく、本格的に普及するには到っていません。

また、日本全国で普及するにしても、まだまだ住まいの「買取保証額」をどのように設定するのか、あわせて「買取保証額」を高くするには、そもそもの住宅性能を高くし、さらにその性能を長期間維持していくことが欠かせません。ただ、こうした課題をクリアしていけば、「残価設定」ローンも普及していくかもしれません。

日本では、一般的に新築住宅を購入することが多く、住宅ローンも新築住宅にあわせたものが主流でした。
こうした「残価設定型ローン」が普及することで、新築住宅の購入はもちろん、中古住宅も安心して、また手頃な値段で購入できるようになっていくことでしょう。

執筆者紹介

嘉屋恭子 フリーライター

フリーライター。編集プロダクションなどを経て、2006年よりフリーランスで活動。主に住まいや暮らしに関わる分野で取材・執筆を続ける。FP技能士2級取得

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