住宅ローン返済中に転勤が決まったらするべきこと

住宅ローン返済中に転勤が決まったらするべきこと

住宅ローン返済中に転勤が決まった際にマイホームをどうするかは、それぞれに置かれた事情で違ってきます。
対応としては「賃貸にする」「売却する」「維持する」の3つに絞られます。
急に告げられる転勤命令に冷静に対応できるように、事前に知っておきたい対応策をご紹介します。

目次

住宅ローン返済中に転勤が決まったらするべきこと

転勤中でもマイホームを手放さない方法は「賃貸」

住宅ローン返済中に転勤が決まった場合、マイホームを手放ない方法の1つが賃貸です。
しかし、果たして住宅ローン返済中の賃貸は可能なのでしょうか?

住宅ローンは借り入れされているご本人や、家族が居住することが前提で金利が優遇されています。
原則、本人が住まなければならないのですが、例外として転勤や結婚、介護等、やむを得ない事情があった場合に賃貸が可能となる場合があります。

まずは、ご自身のケースが賃貸可能かどうかを、借り入れしている銀行などの金融機関に相談することをおすすめします。
財形住宅融資やフラット35では、転勤等でローンの支払いが困難になった場合の賃貸への対応があります。

住宅ローン返済中の家を転勤を機に売却する

転勤中の賃貸ができそうもない場合には、これを機に売却を検討することもできるでしょう。
マイホームは人が住まなくても維持費がかかります。ローン返済や維持費に加えて転勤先での居住費も必要になります。
他人へ賃貸しないとなるとダブルの負担になります。その負担を軽減する意味でもマイホームの売却は1つの方法といえます。

万一、ローンの返済が滞って競売にでもかけられたら、通常の取引より安い価格で売却されてしまうかもしれません。
そこで、任意売却という方法をご紹介します。任意売却とは不動産会社等の仲介で債権者と債務者の間で調整を行い、市場で担保不動産を売却することです。任意売却であればローン残債を減少させることも可能です。

マイホームを維持する~転勤中の住宅ローン控除はどうなる?

マイホームを維持する場合に、住宅ローン控除を引き続き受けられるケースをご紹介します。

①単身赴任をする場合

転勤が決まり、本人が単身赴任して、マイホームには引き続き配偶者、扶養親族、そのほか兄弟など生計を一にする親族が住む場合には、住宅ローン控除がそのまま受けられます。ただし、転勤が海外で控除を受けようとする年の12月31日時点で日本に住んでいない(非居住者)場合は適用の対象外となってしまいます。

手続きは何が必要?
住宅ローン控除の残存期間内に海外の単身赴任から戻って適用を受ける場合は、必要書類を所轄税務署に提出する必要があります。

②住宅ローン控除を受けている間に転居してまた戻ってくる場合

本人と家族が転勤を機にマイホームには住まなくなるケースです(平成15年4月1日以降)。転居している間は、住宅ローン控除を受けることはできません。その後、転居先から戻り、再びもとのマイホームに住むのであれば適用を受けることができます。ただし、この場合、住宅ローン控除を受けることができるのは、再び住むようになった年から住宅ローン控除の残存期間内となります。(転居中に賃貸に供してした場合は、戻ってきた年の翌年から)

◇転勤時に必要な手続きは?
マイホームに住まなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」等の必要書類を所轄税務署に提出する必要があります。

③住宅を購入した年に転居をして、また戻ってくる場合

マイホームを購入した年の12月31日までに転勤となり、初年度に住宅ローン控除が受けられないケースです(平成21年1月1日以後)。その後、転居先から戻り、再びその家に住むのであれば適用を受けることができます。
この場合には、住めることとなったその年から住宅ローン控除の残存期間内において適用を受けられます。(転居中に賃貸としていた場合は戻ってきた年の翌年から)

ただし、マイホームの取得から6か月以内に住んでいることが条件とあるので、購入後一度もこの家に住むことなく転居した場合は適用対象外となってしまいます。

転勤時の手続きは?
転勤時の手続きは不要です。

※参考「転勤と住居借入金等特別控除等/国税庁サイトより」

転勤が決まったら住宅ローン控除も考えて決断を

住宅ローン返済中での転勤になった場合についてまとめます。

  • 転勤でもマイホームを維持するのであれば賃貸化
  • 賃貸にできない場合は任意売却
  • 住宅ローン控除は転勤の方法によって様々

住宅ローンの返済中に転勤となった場合には、転居に必要な銀行などへの届出、住宅ローン控除に関する各種手続きなど多くの手続きが必要です。転勤はとかく急に決まるものです。何事も転ばぬ先の杖。
手続き等の流れをつかんでおけば、急な転勤が決まった時にも慌てずに対応できるでしょう。

執筆者紹介
江﨑真奈美 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

江﨑真奈美,1級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、会計事務所に勤務し、巡回監査業務に従事。その後、社会福祉法人をはじめ、地元の上場企業などで長年経理業務を担当。勤務していた事務所の閉鎖に不安を感じ、これをきっかけとして2016年に最短1年で1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得する。FPとして独立し、執筆、講師業を中心に精力的に活動中。
【企画・編集/SAKU株式会社】

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