住宅ローンの借り換えは、既に借り入れしているローンの完済のための借り入れに該当し、原則、住宅ローン控除の対象とはなりません。
国税庁では、住宅ローン控除の対象となる住宅ローンとはマイホームの購入や増改築のために必要な資金の借り入れでなければならないとしているからです。
上記のように借り換えした場合、原則これまで受けていた住宅ローン控除は受けられなくなります。
しかし、そのような場合でも一定の要件を満たすことで、引き続き住宅ローン控除を受けられるケースがあることも併せて明記されています。
借り換え後も住宅ローン控除を受けるには
住宅ローン返済中の方が借り換えを行う場合で、
借り換え後に住宅ローン控除を受けるためには一定の要件を満たす必要があります。
借り換え後に住宅ローン控除が受けられるケースでは、
- 借り換え前に控除を受けていた方が引き続き適用を受ける場合
- 住宅ローン控除を受けていなかった方が借り換えにより要件を満たすようになったことで適用対象になる場合
とがあります。
それぞれのケースについて住宅ローン控除を受けるための要件についてご紹介します。
借り換え前から控除を受け、引き続き適用を受ける場合
借り換え前に控除を受けていた方が引き続き控除の適用を受ける条件は、
借り換え直前の住宅ローンの返済期間が10年以上ある人が借り換えをした場合になります。
以下の要件を満たすことで引き続き控除を受けることができます。
- 借り換えした住宅ローン等が借り換え直前の住宅ローン等の返済であることが明らかであること
- 借り換えした住宅ローン等の返済期間が10年以上あることなど、住宅ローン控除の要件を満たしていること
尚、この適用がある場合でも住宅ローンを受けられる期間に変更はありません。
したがって、控除を受けられる期間は借り換えから10年間ではなく、マイホームに実際に住むこととなったときから10年間です。
例えば、借り換え直前の住宅ローンの住宅ローン控除が4年経過した後に借り換えを行った場合、
控除期間である10年から4年差し引いた6年が借り換え後の控除期間になります。
控除期間 | |
---|---|
住宅ローン新規借り入れ | 4年間 |
住宅ローン借り換え後 | 6年間の控除 |
借り換え後に住宅ローン控除の要件を満たしている場合
借り換え直前の住宅ローンの返済期間が10年未満の場合(※つなぎ融資を含む)や金融機関等から借り入れせず、両親や親類、知人などから借り入れた場合でも、その後、返済期間10年以上の住宅ローンに借り換えることで、これまで受けられなかった住宅ローン控除が受けられるようになります。
その他の要件については、10年以上の場合と同様(①と②)です。
借り換え後の住宅ローン残高とは
住宅ローンの借り換えで、借り換え直前のローン残高に加えて諸費用も一緒に借り換えをする場合、
「①借り換え直前の借入金額 < 借り換え後の新たな借入金額」
となるケースがあります。
逆に諸費用を含めない場合は、
「②借り換え直前の借入金額 ≧ 借り換え後の新たな借入金額」
で借り換えをするケースも考えられます。
2つのケースでは住宅ローン控除の対象となるローン残高が異なります。
それぞれのローン残高の金額は以下の方法で求めます。
借り換え直前の住宅ローン残高を(A)、借り換え後の新たな住宅ローン等の借入金額を(B)とします。
①(A)<(B)の場合 → (B)の年末残高×(A)÷(B)
②(A)≧(B)の場合 → 住宅ローン控除の対象となる残高は(B)の年末残高
例)「①借り換え直前の借入金額 < 借り換え後の新たな借入金額」の場合
借り換え直前の住宅ローン残高2,000万円(A)
借換後の新た住宅ローン等の借入金額3,000万円(B)
2000万円<3000万円 → 3,000万円(B)×2,000万円(A)÷3,000万円(B)=住宅ローン残高2,000万円
このように借り換え後の借入金額が借り換え前のローン残高より多くても少なくても要件さえ満たせば住宅ローン控除は受けることができます。
借り換え後の住宅ローン控除適用する2つのポイント
借り換えでも住宅ローン控除が受けることができる条件として以下があります。
- 借り換え前に控除を受けていた方が引き続き適用を受ける場合
- 住宅ローン控除を受けていなかった方が借り換えにより要件を満たすようになったことで適用対象になる場合
控除の対象となる借り換えの残高がどれくらいになるかは、先述の計算方法を利用して確認してみましょう。
住宅ローン控除のメリットを活用したいと考えている方は、借り換えしても条件が合えば控除の対象となるケースがあるので、もう一度ご自身のケースを見直してみましょう。