親子間での住宅ローンの不動産名義変更

親の名義で借りた住宅ローン。死亡後の住宅ローンはどうなるのか、気になる方も多いと思います。
親子間の住宅ローンの引き継ぎ・名義変更などについて解説します。

目次

親子間での住宅ローンの不動産名義変更

住宅ローン支払中の不動産名義変更は十分な理由が必要

住宅ローン支払中の不動産名義変更は、基本的に当該不動産の所有権移転であることから、これに抵当権が附従するか否かに関わらず、現所有者と新所有者の当事者のみの合意あれば行えます。つまり、この変更自体は抵当権を設定する金融機関において債権回収可能である限り、不動産の所有者は誰でも良く、本来的に債権者から変更への承諾等を要する性格のものではありません。

もっとも、実際には各金融機関におけるローン契約の規約の中には、不動産名義変更への承諾や、これに違反した場合等の条項が設けられてることが少なくなく、これにより担保力の低下に伴う債権回収のリスクを低減しています。

そして、この変更を要するケースは、一般的に夫婦間と親子間の2つのパターンが典型的であり、特にこれらは離婚、死亡や高齢化等による相続や贈与の実情若しくはその外観を作り出す為、金融機関から承諾を得るには十分な理由が必要となります。

【親子間】親から子供への不動産名義の変更について

住宅ローン支払中に親から子へ不動産名義の変更を行う場合は、親の死亡や高齢化等の実情に沿って実際に相続や贈与を行う場合の他、死亡等の事実によらず親子間で名義変更を行う場合には贈与等の外観を作り出す為、特に金融機関から承諾を得るには十分な理由が必要となります。

これには、元々親名義の土地に子の名義で住宅ローンを借りた場合では、所有者と主債務者が一緒になっただけである為、債権の回収の点からは特段問題となりません。しかし親子でリレーローンを組む場合には、親の返済能力の分だけ担保力を補強することが十分な理由として必要となります。その為、夫婦間での共有名義と同様により信頼力の高い、もしくはこれまでと同等の支払能力のある債務者を立てることを多くの場合必要とします。

【アンケート】2世帯住宅での住宅ローンの引き継ぎ

【質問】
2世帯住宅にお住まいの方に質問です!住宅ローンの引き継ぎをしています(検討しています)か?

【回答数】
いいえ:76
はい:24

住宅ローンの引き継ぎをしていない、考えていない人が8割

引継ぎをすると後々大変になってきますので私たちはしてはいません。(40代/男性)

最初から若夫婦でローンを組んだので引継ぎは不要です。老夫婦は若い人に月々払っています。(40代/男性)

最初から頭金は親が、住宅ローンは自分たちが、という形をとっているのでしていません。(50代/女性)

できれば払込みをして引き継ぎたいというのが親の心情でもあります。(30代/男性)

していないです。自分の借金は自分で返済が基本ですからね…(40代/女性)

住宅ローンを引き継ぐ・検討するのは少数派

今は祖母がやっていてあと何年かで私が支えていく立場になるので検討しています(10代/女性)

2世帯住宅住んでいますが、住宅ローンの引き継ぎをしています。そこはきっちりと。(30代/女性)

親世代では払い切れなかったので、残りを子世帯が払う設定にはなっています。(30代/女性)

両親は両親の住んでいる部分だけをお金をだし、2階部分に関しては自分たちで払う事になっている。(20代/女性)

完全な2世帯住宅ではありませんが、15年ぐらい前に3階建ての家を建て、父と親子ローンを組みました。昨年、父が他界し、契約通りローンを引き継ぎました。まだ、母は健在で、そのまま住んでいます。(40代/男性)

親から住宅ローン返済中の物件を相続した場合

相続では住宅ローンも引き継ぐ

相続では原則、金銭や不動産といったプラスの財産のほか、債務などのマイナスの財産も一緒に相続人が引き継ぐことになります。
したがって、住宅ローンが残っているマイホームを相続した場合は、住宅ローンについても一緒に相続することになります。

団体信用生命保険(団信)に加入している場合

フラット35以外の住宅ローンの融資を民間の金融機関等で受けるには、団体信用生命保険への加入が条件となります。
団体信用生命保険とは、加入者に万が一のこと(死亡または高度障害)があった場合、残りの住宅ローン全額の完済が保障される制度のことです。団体信用生命保険の保険料はほとんどの場合、金融機関が負担します。よって、保険契約者も保険金の受取人も金融機関等となります。つまり、住宅ローン返済中にご本人に万が一のことがあったときは、保険会社から金融機関等へ保険金が支払われるため、相続人が残りの住宅ローンの返済義務を負う必要はないのです。

また、保険金は相続人が受け取るわけではないため団体信用生命保険の保険金は相続税の課税対象にもなりません。
団体信用生命保険の加入は、金融機関にとっても本人に万が一のことがあった場合に貸し倒れの危険を避けるための必須の保険といえます。
万が一ご本人が亡くなられた場合は、各金融機関や保険会社への所定の手続きが必要になります。

団体信用生命保険に加入していない場合

民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する長期固定金利の住宅ローンであるフラット35などでは団体信用生命保険への加入は任意です。
そこで、フラット35など団信に加入していない場合の住宅ローン返済中の物件を相続した場合は、返済義務の対象となるのか?について解説します。
冒頭でもご説明したように相続では、原則プラスの財産もマイナスの財産も相続人が引き継ぐことになります。しかし、住宅ローンを相続した場合では、相続の方法によって住宅ローンを引き継がなくてもよいケースがあります。

相続の方法には以下の3通りがあり、相続人がいずれかの方法を選択することができます。

①単純承認
内容手続き
全ての財産(プラス財産もマイナス財産)を引き継ぐ特になし

単純承認を選択した場合は相続人が引き続きローンの返済義務を負います。

②限定承認
内容手続き
プラスの財産の範囲でマイナス財産を引き継ぐ3ヶ月以内に相続人全員で家庭裁判所に申述

限定承認はプラスの財産がマイナスの財産より多いか少ないか分からないときに用いられる方法です。
プラスの財産が多い場合は、マイナス財産を超えた部分の財産を引き継ぐことができます。限定承認はプラスの財産を引く継ぐ可能性があるのですが、共同相続人全員で家庭裁判所に申述しなければならないため、1人でも反対する相続人がいると、この方法を取ることができないのが選択しにくい点です。

③相続放棄
内容手続き
全ての財産(プラス財産もマイナス財産)を引き継がない3ヶ月以内に各相続人が単独で家庭裁判所に申述

相続放棄は、はじめから相続がなかったものとされるため、マイホームを手放すことになりますが、住宅ローンの返済義務を負うこともありません。相続放棄は単独で行うことができます。 ただし、相続人が複数人いる場合に1人が相続放棄すると、残りの相続人が相続分に応じてプラス財産とマイナス財産の両方を引き継ぐことになるので注意が必要です。

②の限定承認と③の相続放棄は、相続があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ所定の手続きを行わないと単純承認したものとみなされます。

単純承認で住宅ローンを相続する場合の手続き

相続人が単純承認を選択して住宅ローンを引き続き返済する場合は、借り入れ中の金融機関等への手続きが必要になります。相続人が複数人いる場合には、返済能力のある一人を決めて返済することになります。
手続きは、住宅金融支援機構のケースでは、「相続届」に以下の必要書類を添えて提出して行います。

  • 法定相続人全員の戸(除)籍謄本または抄本等の写し
  • 住宅ローンを相続したことを証する書類(遺産分割協議書の写し、家庭裁判所の調停書の写し等。なお、遺産分割協議書の写しには、相続人全員の印鑑証明書を添付)
  • その他、各金融機関等で必要な書類

<参考>住宅金融支援機構

相続方法によって住宅ローンの扱いが変わる

相続により住宅ローン返済中の物件を引き継いだ場合でも、相続の方法によりその後の住宅ローンの扱いが異なります。
相続の方法によっては手続きに期限が設けられています。期限つきの方法を選択する場合は、期限内に手続きをするように気を付けましょう。

執筆者紹介

マネーライフ本舗 編集部

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