住宅ローンと自動車ローンの関係

住宅ローンと自動車ローンの関係

住宅ローンと自動車ローンの関係です。
みなさんが知りたい住宅ローンの「審査」の疑問をファイナンシャル・プランナー相談事例をもとに回答していきます。

【質問】
自動車ローンを借りていますが、希望金額を借り入れることはできますか?

住宅ローンの審査についての相談です。
物件価格3,500万円のうち頭金100万円を捻出しようと考えており、残りの3,400万円を住宅ローンで借り入れを希望しています。
期間は定年退職の関係もあり「30年」を希望し、金利は大手銀行の変動金利「0.775%」で借りる予定です。

現在、自動車ローン残高が100万円あり、月々2万円の返済をしなくてはならないのですが、審査にどう影響するかも合わせて教えてください。

Aさん/38歳/会社員/年収590万円
川崎市麻生区に新築マンションの購入を検討

目次

住宅ローンと自動車ローンの関係

住宅ローン返済比率で返済上限額を算出

お聞きした金利0.775%、借入期間30年から計算すると、月々の返済額は「9万2,453円」となります。
一方、金融機関の審査では、返済比率で返済上限額を算出します。

年収590万円の場合、年収の「35%」を年間返済上限額とするため、金融機関はAさんの返済額が、年間206万5,000円(年収590万円×返済比率35%)、月々17万2,083円(206万5,000円÷12ヶ月)までに返済額が収まれば、Aさんに住宅ローンを貸し出します。

年収590万円 × 年間返済比率35% = 206万5,000円 ・・・ 年間返済上限額
206万5,000円 ÷ 12ヶ月 = 17万2,083円 ・・ ・月々返済上限額

よって、Aさんが希望している金利0.775%、借入期間30年の条件から算出された月々返済額(9万2,453円)から考えると、金融機関はほとんどの場合貸し出しをしてくれることになります。

住宅ローン適用金利と審査金利

ただし、ここで注意が必要です!
金融機関は、実際の適用金利では融資できるか否かを判断していません。「審査金利」と呼ばれる「4%」の利率で金融機関は審査しています。
この審査金利を用いて、Aさんの希望条件で改めて試算してみましょう。

Aさんが3,400万円を35年間の4%で借り入れする場合、月々返済上限額は「16万2,321円」となります。
Aさんの場合、返済比率では月々返済上限額は「17万2,083円」ですから、実際には余裕ではなく、かろうじて審査を通っているということになります。

さらに今回、Aさんには自動車ローンで月々2万円を返済しています。
他に返済しなければいけないローン等がある場合には、他ローンの月々返済分を差し引いて、返済上限額が決定されるのです。

つまり、Aさんの場合、月々15万2,083円まで(返済上限額17万2,083円 - 自動車ローン返済額2万円)の返済額以内でしか、住宅ローンを借り入れできないことになります。

よって、審査金利から試算した月々返済額16万2,321円は、実際の住宅ローン月々返済上限額15万2,083円をオーバーしているため、3,400万円を30年を希望通り借りることはできません。

実際の借入可能額(Aさんの場合)

年収から試算した月々返済上限額
年収590万円 × 年間返済比率35% ÷ 12ヶ月 = 17万2,083円

(A)借入希望額から試算した月々返済上限額
借入金額3,400万円 ÷ 審査金利4% ÷ 35年 = 16万2,321円

(B)実際の住宅ローン月々借入上限額
17万2,083円 - 自動車ローン月々返済額2万円 = 15万2,083円

(C)実際の借入可能額
(B) - (A) = マイナス1万238円
→ 返済上限額が借入上限額を上回っているため審査否決見込みが高い

住宅ローン一括返済と返済期間延長

しかし、今回Aさんが希望額が3,400万円を借り入れするには、2通りの方法があります。

1つ目は、「自動車ローンを一括返済する方法」です。
月々2万円の支払いがなければ、住宅ローンを希望額で借りることができます。
「自己資金で一括返済」あるいは「親に借りてでも一括返済する」ことを検討しましょう。

2つ目は、「返済期間を延長する方法」です。
期間を5年延長し35年で借り入れすれば、月々返済額「15万543円」となり、30年での返済額と比べ1万1,778円も減額されます。これで、自動車ローンの2万円を足しても「17万543円」となり、上限目安である「17万2,083円」を下回ることになります。

しかし返済期間を延長すると、総返済額は金利負担増加により多くなります。そこで、「繰り上げ返済」がポイントとなります。

年収から試算すると月々「17万2,083円」の支払い能力がAさんにはあります。
35年での月々返済額は「15万543円」であり、2万円の差が発生します。この2万円を利用して繰り上げ返済していくことにより、金利負担を減らしていけば、総返済額も30年と借り入れする場合と変わらなくっていきます。

額面通りの適用金利で借り入れられるわけではないので注意

住宅ローンを借入れする際の自動車ローンについてご紹介してきました。

  • 年間・月間の返済額を算出
  • 審査用の金利で通るかどうかチェック
  • 他のローンの一括返済や住宅ローン期間延長で審査を緩和

住宅ローンを借り入れる際は自動車ローンのような他のローンも総返済額とみなされるため、
住宅ローンとして借り入れられる金額は減ります。
また金融機関の審査も適用金利で返済が可能か?のチェックではなく独自の金利を使用して返済可能かのチェックを行っています。

借入期間の延長や今借り入れているローンの返済を一括で済ますなど、
対処法はいくつかあります。

丸尾 健 株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング 代表執行役

大学卒業後、建築関連の仕事を経て大手商社系の中高級住宅を扱うハウスメーカーに入社。在籍期間9年のうち5年は店長職を兼務。MVP賞3回。その後、大手金融機関のファイナンシャル・プランニング部門に転職。FP先進国の米国のファイナンシャルプランニングメソッドトレーニングを受講。2009年9月に独立して、株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティングを設立。FP経験現在9年目。新規年間相談件数120件前後、面談累計件数1,000件以上。主に個別面談を中心に活動している、実務家FP。ライフプラン全体を通してのマネープランの作成、資産形成アドバイスに提案に定評がある。
【得意分野】ライフプラン・不動産購入・住宅ローン・資産形成・保険・相続相談

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