マイホーム購入の流れ / 購入候補を探す

自分が購入できる物件のおよその予算がわかったら、実際に物件を見に行ってみましょう。
見に行く前に、チラシやネットで情報を得るわけですが、ここではその段階での注意点をお話しします。

目次

マイホーム購入の流れ / 購入候補を探す

まずは物件ごとにどこから情報を得たらよいのかお話しします。
購入物件の候補は人それぞれだと思いますが、物件の種類によって行く窓口が違うという現実があります。
しかもそれが消費者からすると非常にわかりにくいと私は思っています。

  1. 新築戸建
  2. 新築マンション
  3. 中古戸建
  4. 中古マンション
  5. 土地

手前味噌ですが、私の会社ではこれらを総合的に案内する窓口が作れないか考えていますが、ビジネス上のハードルが多々あり、実現できていません。
現状のところ、総合的な窓口は残念ながらありませんので、物件ごとに情報の得方と見学方法をわかっておかなくてはなりません。

では、ここから物件ごとにどのように情報収集していくのか解説します。

  1. 新築戸建
  2. 新築マンション

情報収集手段はネット、チラシなどを見て気に入りそうなもの自力で探し、見学を申し込む形となります。
上記2物件を探すときは、チラシやネットの片隅に乗っている「取引態様」とか「取引形態」といった言葉に注目してください。
そこが、「売主」なのか「代理」なのか「媒介」なのかで、物件情報の集め方が変わってきます。

「売主」や「代理」の時

「物件の持ち主」が「売主」であり、「物件の持ち主の代理人」が「代理」ということです。
持ち主さんやその代理人さんなので、基本的にそこを買ってもらえないと意味がありません。
従って、「気に入らなかったら他の物件も案内します」ということはほぼないと考えてください。
その代わり、そこの物件を買ってもらう為に、立地や建物構造等については深く知識を持っています。
持ち主(または代理人)なので、利益は販売した物件を売ることで得ています。
従って、「仲介手数料」という経費は掛からないのもポイントです。
上記で申し上げたように、他の物件は案内してくれないので、ダメだったらまた自分でネットなどを見て、情報収集しなおす必要があります。

「媒介」の時

その物件の持ち主ではない「仲介業者」が販売を請け負っています。
持ち主ではないので、そこの物件を買ってもらえなくても、どこかしら買ってもらえれば良いと思っている業者です。
名前の通り、「仲介」しているだけなので、物件を決めたら「仲介手数料」を払わなくてはいけません。
そう聞くと、「売主」や「代理」の物件を購入した方がお得に聞こえますが、デメリットばかりではありません。
見た物件が気に入らない場合など「他に○○さんの好みに合うものを探してご案内しますよ」と提案してくれることです。
この窓口だけで「探す」「見学する」を一挙にできるので物件検討が楽に進みます。
また、「売主」や「代理」は「そこを買ってもらえないと意味がない」ので、そこへ落とし込むために、ややきつめの営業を掛けてくる傾向がありますが、
仲介業者はあくまで「気に入るものを探す」というスタイルですので、比較的自分のペースで家探しができると思います。
「媒介」で気になる物件を見つけたら、軽い気持ちで見に行って、後はそこの窓口で「探す」作業も一緒にやってもらうのもよいと思います。

  1. 中古戸建て
  2. 中古マンション
  3. 土地

以上の3つは自力でネット等で情報を集めて見に行くことも可能ですが、それをしないで町場に店を構えている不動産店に飛び込んで、自分の好みの物件を探してもらうことが可能です。
ある程度希望エリアに出ている物件を総合的に検討できるし、自分で探す手間も少ないので、比較的楽に好みの物件に出会える可能性があります。
これらを案内してくれる不動産業者さんは仲介手数料が収益なので「仲介手数料」は掛かります(一部例外はありますが)

鋭い方は気づくと思いますが、極論すれば大手仲介業者だろうが零細店舗だろうが、どこの不動産店に飛び込んでも案内してくれる物件は一緒なので、店舗ごとに物件の品質は変わりません。
何で選ぶかと言えば、営業マンのスキルや仲介手数料の多少などになってくると思います。
どうせ買うなら、相性の合う営業マンにサポートしてもらった方が良いと思いますので、物件は気に入ったけど対応が気に入らなければ他の店に飛び込んで、同じ物件を紹介してもらう方がストレスになりません。
ローン知識などがない営業マンに当たると、同じ物件を買ったのに月の支払いが全然高いとかそういう悲劇も起きるので、物件を選ぶよりは「人を選ぶ」という方に重点を置いた方が良いのかもしれません。

広告の見方の注意点

次にネットやチラシに出ている広告の見方の注意点をいくつかお話しします。

(1)広告の情報不足ポイントを見極める!

物件を探すときは価格、間取り、立地などの情報などを眺めて、気に入るのか判断するわけですが、「気に入るかと思って、行ってみたけど全然ダメだった」とならないようにするためのポイントとして、「情報の不足のポイントを見る」ことだと思います。
広告をする業者は「物件の欠点を言いたがらない」傾向があります。
例えば、相場より価格の高い物件は価格の情報を広告にあまり載せたがりません。
言ってみればこういう物件は「価格の情報が不足している広告」になってしまうわけです。
「3500万円台~」とだけ記載してあって行ってみると、実際は「4500万円台」の部屋ばかりだったりするのです。
目当ての「3500万円台」の物件は「抽選となります」と言われたりすると時間と交通費の無駄になる可能性があります。
間取りや立地が気に入ったけど、「価格の情報が不足してるな」と思ったら、もう少し細かく広告を読み込んでみてください。
それでもわからなければ、記載の問い合わせ窓口に電話をしてみるなりして、価格情報をもう少し補充したうえで見学するのか判断すると無駄足を防げます。

(2)やけに「安いな」と思ったら…

チラシやネットを見慣れてくると相場感が自然とついてきます。
そのうえで「やけに安いな」と思って飛びつくと「なんだそういうことか」とまた無駄足を踏む可能性があります。
多い例としては下記のポイントです。

・広告用の目玉の部屋だけ安くしている

「広告の情報不足ポイントを見極める」のところでもお話ししましたが、相場より価格の高い物件の集客対策の一環として、意図的に価格の安い部屋を作って「3500万円台~」と表記する方法です。
それ目当てで行ってみると「抽選分譲です」とか「広告用の部屋なので今は売れません」とか言われて、他の部屋を勧められます。
見つけたら問合せを入れてみて「今から行って契約可能か」聞いてみてください。

・定期借地権、普通借地権の物件

土地は借り物で建物だけ自分のモノになる物件です。土地は買わないので見かけの値段は安くなります。
毎月借地料が発生するので、トータルコストでどうなのかの比較が必要になります。
決して悪い物件だと申し上げているわけではなく、表面の価格は安く表示されるので、注意が必要ということになります。

・オーナチェンジの物件

オーナチェンジとは。現在賃貸中の物件を売買する取引のこと。
Aさんの物件をBさんが借りていて、AさんがCさんに物件を売却するような取引を言います。
物件の持ち主(オーナー)が変わるので「オーナチェンジ」と言います。
オーナチェンジは上の構図で言うBさんが賃貸を出ていくと言わない限り、買ったCさんでも自分が住むことができませんし、賃貸されている物件は通常の住宅ローンも使えないので、買い手が少なく、安い価格で売買されています。
買っても自分で住めないので、喜び勇んで問合せしても、部屋の内見すらできません。

・事故物件

過去にその土地や建物内で自殺や殺人事件など、「ちょっと嫌だな」と思う出来事があった物件です。
広告には「告知事項あり」とか「心理的瑕疵物件」などと記載されています。
これらを買い手に黙ったまま取引するのは宅地建物取引業法上禁止されていますが、広告段階では載せていない業者さんもいます。
「安すぎるな」と思ったら問合せしてみて、「心理的瑕疵物件とかではないですよね?」と聞いてみましょう。

代表例をいくつか挙げましたが、安いと感じたら、広告だけ見て飛びつかずに問合せしてみて安い理由を聞いてみるのが良いと思います。

(3)豪華なチラシやホームページ=良い物件とは限らない

豪華なチラシやホームページは情報量も多く、良く見えます。
しかしながら、フラッシュなどを多用した豪華なホームページ、カラーでフチなしのチラシ、大判のチラシ等々は制作費なども高いので経費が掛かります。
当然ながらそれらを回収しなくてはいけないので、物件価格に上乗せして販売する理屈となるため、物件価格としては相場より高い傾向があります。
広告費の上乗せは、装備品などの上乗せ経費と違って買い手には何らメリットのない経費の掛け方ですので、良い物件とは限らない場合があります。
逆を言えば貧相な白黒チラシだからと言って悪い物件ではなく、むしろ販売価格は良心的な可能性があります。
例外もあるので一概には言えないですが、チラシ等の見え方だけで良し悪しを判断してはいけないということです。

(4)電柱看板など不法や品のない集客行為をしている業者は避けた方がベター

電柱や街路樹などに看板を設置することは条例などで禁止されているにも関わらず、設置する不動産会社さんは遵法意識に欠けています。
最低限の法律が守れないのにお客さんとの約束が守れると思えないし、品質も保たれているのか疑問です。
接客方法も長時間拘束されたり、しつこく電話をかけてきたり、直接家に押しかけたりといったこともあるようです。
どんなに広告が魅力的に見えたとしても、そういった業者さんから購入することは様々なリスクを孕みますので、手は出さない方が無難だと思います。

また、不法ではないですが、店舗やモデルルームから出て来るところを待ち構えて、自分の物件への勧誘を行う業者さんもあります。
あまり個人的には良い業者さんとは思えません。
チラシやホームページなどの正統派集客方法でお客さんが来ないから、そういう形の集客方法を行わざるを得ないとも言え、その時点で大多数が敬遠している物件と言えるわけです。
物件選びとともに、住宅購入はローンや登記など高度なコンサルタント能力が必要な為、こういったところからも業者選びに役立てましょう。

物件情報を多く調べ出そう

いかがでしたでしょうか。やや裏話的要素が強いコンテンツになってしまいましたが、不動産業の特徴として「情報の非対称性」の問題がよく言われます。
つまり買い手と売り手の情報量を比べると買い手が得る情報量が不足しているということです。
このコンテンツにあるような情報を頭においていただき、物件情報を得る参考になれば幸いだと思っています。

次は「物件を見に行く」時に注意すべきポイントをお話ししたいと思います。

執筆者紹介

成冨 宏樹 株式会社ゼネラルホームズ 代表取締役

大手総合デベロッパーでの営業マネージャー職、マンション企画職を経て、2012年に不動産購入・住宅ローン・家計の見直し・リフォームなど、住宅に係るサービスをワンストップでサポートすることを目指す法人、株式会社ゼネラルホームズを設立。社長業の傍ら、宅地建物取引士、FP技能士の資格を生かして実務にも従事中。

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