変動金利の上昇リスクと固定金利の期間終了後の優遇金利幅に注意

住宅ローンの金利タイプの選び方は大きなポイントです。変動金利の上昇リスクはもちろん、実は固定金利にも注意すべき点があるのです。変動リスクと固定期間後の優遇金利幅が金利タイプを選択する上の鍵となります。

目次

変動金利の上昇リスクと固定金利の期間終了後の優遇金利幅に注意

住宅ローンの金利タイプは「変動金利」「全期間固定」「固定期間選択」の3つ

ひと口に「金利」といっても、タイプは3つあります。
全期間固定は文字通り、借り入れ期間中、ずっと金利が固定されるタイプで、民間以外にも住宅金融支援機構「フラット35」があります。

固定期間選択と変動金利は、金利変動のリスクを含みます。
固定期間選択は、固定金利の一種と考えがちですが、変動金利の仲間です。
どちらも金利選択の際には、将来の返済負担額の変動に気を配る必要があります。

住宅ローンの変動金利と固定金利について

固定金利のメリットは、金利が変動しないために支払い総額が変わらないという点です。将来のライフプランが立てやすいという観点から高い人気があります。
一方で固定金利のデメリットは、金利が低い状態でも高い利息を支払う必要があるということです。

また、変動金利のメリットは、金利が低いときに支払う利息が少なくなるということです。
反対に変動金利のデメリットは、金利が上昇する可能性があり、金利変動の影響を受けやすいという点が挙げられます。

変動金利型にするか固定金利型にするかは人それぞれ

住宅ローンを変動金利か固定金利にするのかは人それぞれです。

変動金利は借入額が少ない、住宅ローンの期間が短いなどの状況であれば毎月の返済額が少ないためメリットはあります。一方で、景気が不安定な場合、金利の変動を予想しづらく、将来的に利子が大きく膨らむリスクがあることが、デメリットとなっています。変動金利は固定金利よりも、金利が低く設定されているため、将来金利が上がっても返済できるという気持ちの強い人は変動金利を選ぶとよいでしょう。

固定金利はフラット35に代表されるように長期間返済額が同じなので、先々の生活プランが立てやすいというメリットがあります。逆に言えば、住宅ローンを組んだ当初より金利が下がった場合も、金利が変わらないということです。借り換えてしまえば、そのメリットを受けられると考えるかもしれませんが、同一の銀行での借り換えはできないため、新たに借入先の銀行などの金融機関を探す必要があります。

住宅ローン変動金利型と固定金利型の違い

変動金利は適用金利が低いため、借り入れ当初の返済負担は少ないのがメリットです。多くの銀行などの金融機関では一般的に年に2回金利の見直しがありますが、返済額は5年間一定にしています。これは急激な金利上昇により返済額を大きくさせないための返済者保護のルールです。しかし、もしこの5年間で急激な金利上昇が起きた場合には未払い利息が発生してしまいます。毎月返済分の本来は元金に充当するはずの返済額が利息が優先され、元金の支払いが遅延してしまうというリスクもはらんでいるのです。

固定金利は返済期間中ずっと同じ額で返済していくものです。その分気楽に構えていることができますが、変動金利が低水準をキープしていても、それより高い金利を払い続ける可能性があります。

変動金利・固定金利両方にメリット・デメリットはあります。

変動金利にするか、固定金利にするか。おすすめの住宅ローン金利の選び方

固定金利は毎月の返済額が一定で総返済額も分かるので、返済開始後の家計や将来のプランも立てやすくなります。固定金利を選ぶ人は景気の情勢に左右されたくなかったり、教育費がこれからかかる人や返済期間が長くてもよい人などとなります。

変動金利は低水準の金利で始まるので、借り入れ当初は返済の負担は少ないです。しかし、返済開始後は景気の情勢で負担が変わってしまいます。そのため変動金利を選ぶ人は共働きで安定した収入が見込めたり、金利が低いうちに貯蓄したい人や教育費のピークが過ぎている人、返済期間が短い人などとなります。

注意が必要なのは「変動金利」

変動金利は6か月ごとに金利を見直し、その時の元金残債で新たに利息を再計算する仕組みです。そのため、「期間6か月の固定期間選択」と考えることもできます。
変動金利で悩ましいのは5年ルール、1.25倍ルール、未払い利息の3つの仕組みです。

金利が変動するにもかかわらず、一般的に5年間は毎月返済額が一定に保たれるため、その間の元金・利息の支払い割合の変化に気づきにくいという特性があります。

期間5年の固定期間選択と変動金利を比較してみます。

固定期間選択の場合、返済期間内の変動金利がないので、毎月返済額から利息と元金に充てられる割合が変わりません。元金は予定通り返済されます。

変動金利の場合、毎月返済額が一定でも6か月ごとに金利は変更されます。金利が上昇した場合は利息が増えるので、その分、元金の返済に回る割合が減ります。つまり、元金の返済が遅れるケースも考えられます。

さらに、1.25倍ルールです。5年経過後の毎月返済額の増額をそれまでの1.25倍に収めるルールがあるので、金利が上昇した場合、元金の返済がさらに遅れ、ついには利息返済額が毎月返済額を上回る、未払い利息の発生に繋がる可能性もあります。

この未払い利息の解消方法は、銀行などの金融機関によって様々です。元金・利息を優先して支払うケースや住宅ローンの最終返済日に一括して返済するケースのほか、次の期間に未払い利息を上乗せして支払うケースなどがあります。いずれも総返済額の増加、返済期間の延長などに結びつきます。

変動金利で金利が上昇した場合、返済期間が増加するだけでなく、その内側の利息と元金の支払いバランスが崩れる点、さらにその事実に気がつきにくい点が怖いところといえるでしょう。利用の際には、毎月返済額のうち、元金と利息の返済割合がどう変化しているか、その点を定期的に確認することが大切です。

住宅ローン変動金利と借入額

住宅ローン金利の特徴がつかめても、自分にとってどの金利タイプが適しているのかという問題は依然として残ります。リスクは心配ですが、負担は少ない方がいいに決まっています。

全期間固定を選択すれば、毎月返済額はずっと変わらないので安心感は抜群です。しかし、変動金利との金利差、それに伴う毎月返済額の上積み分を補うほどの魅力足りえるのかどうか、そこが悩ましい点です。
逆に変動金利を選択すれば、他の金利タイプに比べて、毎月返済額をかなり低く抑えることができます。さらに変動金利の場合、より多くの借入額で住宅ローンを組むことができるかもしれません。借入可能額と金利は密接な関係があるからです。

一般的に住宅ローンの借入可能額は、年収負担率(=返済負担率)、借入期間、そして金利で計算することができます。

まず年収負担率ですが、これは年間のローン返済額の総額を税込年収で割った数字のことで、年収400万円以上の場合、35%が目安となります。つまり年収400万円の場合、返済額の最大は年140万円という事になります。
また借入期間の最大値は35年、もしくは80歳から現在の年齢を差し引いた、どちらか小さい方が目安になります。
問題は金利です。実は住宅ローンを組む場合の金利上昇リスクに備えて、高めの金利を織り込んで計算するためです。大手の銀行などでは4%前後の設定が一般的なようですが、銀行などの金融機関によっては店頭表示金利に近いレートを用いる場合もあり、その対応はまちまちです。

現在の変動金利は非常に低い水準ですが、その金利で審査が行われるわけではありません。でも審査金利が低いほうが、より多くの住宅ローンを借りることができるわけです。
「毎月の返済額も少ないし、ワンランク上の住宅購入資金も準備できそう。でも金利が上昇したら…」そんなジレンマから「たいして金利なんか上がらない…」と思い込みたくもなりますが、金利動向は誰にも予測できません。では、肝心の住宅ローン金利はどう決まるのでしょうか?

住宅ローンの金利が決定される背景とは

民間の銀行などの金融機関が住宅ローン金利を設定する際の主な要素は、「資金調達コスト+販売経費+手数料+団体信用生命保険の保険料」となります。

この中で、住宅ローン金利の設定に大きな影響を及ぼすのが、資金調達コストです。
全期間固定など長期の金利は10年国債の金利が指標となります。
変動金利など短期の金利は、短期プライムレート(短プラ)と呼ばれる、銀行などの金融機関が企業に貸し出す際の際優遇金利が指標になっています。
この短期プライムレートは無担保コール(翌日物)などと相関しています。

これまで日本銀行は物価上昇・景気回復を目的に、国債を大量購入することで、長期金利を低く抑え、さらに政策金利を低めに誘導することで短期金利も低く抑えてきました。現在の住宅ローン金利にも、その影響は反映されていて過去の水準と比較しても、現在の住宅ローンの店頭表示金利は、固定・変動ともに非常に低水準であるといえます。銀行などの金融機関側の優遇金利で集客を狙う動きが、現在の低金利環境を一層加速させています。

量的・質的金融緩和の継続が意味するもの

住宅ローン金利は、長期金利が10年国債を、短期金利は短期プライムレートを、その指標としています。両社は異なる市場の金利なので、完全に連動しているわけではありません。ただし、長期金利は市場動向の影響を強く受けるため、そのコントロールが比較的難しいのに対し、短期金利は日本銀行の金融政策の意向を反映するため、ある程度、コントロールが容易です。どちらの金利も最終的には日本の景気動向を反映しますが、仮に景気上昇に転じた場合、先に金利が上がるのは市場動向に敏感な長期金利の方であり、その後に短期金利が追随することになります。

変動金利を選択した人の中には、「金利が上昇してきたら固定金利に切り替えればいい」と考える人もいますが、変動金利に景気動向が反映される頃には、長期金利はさらに先行して上昇している可能性が高く、すでに“高嶺の花”となってしまっているでしょう。

金融緩和政策の実施にあたり、日本銀行は2年間で物価の2%上昇、そのため量的・質的金融緩和の継続と、ある意味、異なる2つのシグナルを発しています。金利を低く抑える政策と、将来の物価上昇を同時に目標にしているわけです。
この状況から読み取れるのは、当面は金利を上げないけれど、将来的には金利が上がる環境を目指すということであり、日本銀行の政策に沿って判断するなら、いずれ住宅ローン金利も上昇すると予想を立てることはできるでしょう。ただ、それがどの程度の水準なのか、いつその状況が訪れるのかは依然として不透明です。

固定期間選択や変動金利を利用している人は、金利変動が家計の負担増に繋がる可能性があるので、動向を心配する気持ちは分かります。でも、どんな専門家でも金利を性格に予測することはできません。まして、初心者が楽観的な金利見通しを妄信して金利タイプや借入可能額を決めてしまうのは危険です。

住宅ローンの変動金利のリスク

前述の通り、変動金利を選んだ場合、半年に1度の金利の見直しがあります。さらに、5年に1度の返済額の見直しがあるので、やはり1番のリスクといえば金利が上がった場合の返済額ではないでしょうか。住宅ローンを組んでいる金額が大きければ大きいほど、もし金利が上がった場合『え? こんなに払えないよ』なんて事になりかねません。
逆に固定金利を選んだ場合には、そのようなリスクを実感することはありません。
変動金利の金利の低さに比べて、返済額が高いと感じることもあるかもしれませんが、金利が上昇したときでも安心して生活できます。

住宅ローン変動金利の今後

変動金利を選ぶのであれば、今のままの金利が続くと思ってはいけません。しっかりと、リスクとデメリットを理解する必要があります。
今後、金利は上がるかもしれませんし、さらに下がる可能性もあります。
住宅ローンを組んだ当初の金利で、返済額がギリギリの状態では危険です。金利が上がった場合を想定して毎月2、3万円は余裕がある状態にしておくことが重要です。
低金利の時には、余裕分を貯金に回すことができ、金利が上がった場合は余裕分を住宅ローンの返済に充てることができます。

各銀行などの金融機関の実際の変動金利

実際にシミュレーションして分かることは、変動金利はリスクもあるが恩恵が大きいという事です。

最新の金利ランキングは下記をチェックしてみてください。

住宅ローン最新おすすめ金利ランキング

この先、金利は上がるか下がるか

変動金利については、この記事を読めばそのリスクは理解できます。将来の景気の動向をいかにして見極めるのかが重要ですが、それは情報収集をしていても難しいところです。

また、緩やかではありますが、金利は上昇傾向にあります。この緩やかさをどこまで許容するのかは人それぞれの価値観となります。

何といっても、最大のメリットは低金利で、月々の返済額が抑えられるというところです。

不安であれば、銀行などの金融機関の住宅ローンの相談窓口を訪れてみるのもよさそうです。

執筆者紹介

マネーライフ本舗 編集部

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