【住宅ローン】仮審査(事前審査)のポイント21項目

住宅ローン仮審査(事前審査)の審査基準とは?なぜ審査に落ちるの?よくある質問から、必要書類・審査にかかる期間などをまとめて解説。
実際の仮審査事例や相談事例も掲載。事前の調査と準備で住宅ローン審査をスムーズに進めましょう!

目次

【住宅ローン】仮審査(事前審査)のポイント21項目

【新規借り入れ】仮審査の審査基準

住宅ローンを借り入れるためには、それぞれの金融機関が定めた、ある一定の基準を満たしていることが重要です。
その基準を満たしているかをチェックするための審査は2段階に分かれており、それぞれ「仮審査(事前審査)」、「本審査」といわれています。
今回は、最初の審査である「仮審査」の審査基準を中心に、仮審査に落ちる理由や、よくある質問、必要書類や審査にかかる期間などを解説していきます。

仮審査で考慮される項目は下記の21項目です。

 融資を行う際に考慮する項目考慮する金融機関の割合
1健康状態98.6%
2借入時年齢98.3%
3完済時年齢97.7%
4担保評価97.2%
5勤続年数95.7%
6年収95.6%
7連帯保証94.9%
8返済負担率90.7%
9金融機関の営業エリア90.3%
10融資可能額(融資率)①購入の場合79.6%
11雇用形態75.7%
12融資可能額(融資率)②借り換えの場合73.1%
13国籍68.9%
14カードローン等の他の債務の状況や返済履歴63.1%
15申込人との取引状況47.2%
16業種29.1%
17家族構成21.7%
18雇用先の規模20.0%
19所有資産18.9%
20性別15.1%
21その他3.9%
平成30年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書/国土交通省 住宅局より

完済時と借入時の年齢

多くの銀行では健康状態や80歳未満で完済するかどうかを基準としており、親子リレーローン(※)以外では重要なポイントとなります。

※親子リレーローン:子や孫などを後継者とし、残りの住宅ローンを借り入れた本人から後継者に引き継ぐことを想定したローンのこと

年収と返済負担率(返済比率)

返済負担率とは年収における年間返済額の割合(住宅ローン以外も含む)で、概ね約35%以内に収まっていれば審査に通り、返済能力がチェックされます。

勤続年数

1年以上を基準とする金融機関が多く、これはクリアできるでしょう。また、最近では転職する人も多くなってきました。時代背景の変化から、同業種・同職種であれば転職履歴を気にせず仮審査を行う金融機関もあるようです。

担保評価

住宅ローンを貸し出す際、借入人の返済が滞った場合に備えて自宅を担保に設定し、実際に返せなくなったら物件を売却してお金を回収します。つまり、購入する物件の評価ということになります。

健康状態

住宅ローンを借り入れる際には団信(団体信用生命保険)に加入できるかどうかをチェックされます。団信(団体信用生命保険)とは、死亡または高度障害になったとき、生命保険会社が本人に代わりローン残高を支払うというものです。金融機関によって3大疾病や7大疾病などの特約が付随したタイプもあります。

2017年10月より、これまで任意加入だったフラット35の団信が、制度変更により原則加入、かつ団信の保険料が金利に上乗せされるようになりました。

団信は通常の保険会社の生命保険の加入と基準に大差がなく、概ね3年以内の病歴に関して告知義務が課されます。
これは実際の治療に関する告知になりますので、病気の発見が3年以上前でも治療が3年以内に完了していなければ告知義務に相当します。

対象となる疾病に関しては保険会社によって違ってきますが、持病で投薬を受けている場合に同じ病気でも処方薬によって審査が通る場合もあるので、病名(通院歴・入院歴・手術歴)・処方薬を正確に把握して告知しましょう。

雇用形態

自営業などの個人事業主の方が民間の住宅ローンの審査を通るのは難しいことです。
それは毎月の決まった収入が保証されないことや総合的な収入が黒字続きになる保証がないなど、収入面の心配があるためです。

審査では収入面だけでなく事業内容について調べられる可能性もあります。それは倒産などの恐れがないか、事業が一過性のものではないかという調査です。それらによって審査の判定も変わります。自営業の方の審査基準は様々なところを見なければならないので厳しい審査となっているのが現実です。

一方、そのような属性の方でも比較的仮審査申し込みをしやすい住宅ローンがフラット35です。

このプランは個人事業主の方にはありがたい、保証人がいらないという設定があります。そのおかげで審査基準はやや甘くなっています。

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支払いの滞納

忘れてはならないのが、携帯電話料金の支払いなどに分割払いを行っているものの、支払いの遅れや滞納が生じている場合です。たまたま口座残高がなくなってしまった、という場合であっても複数回起きた場合はマイナスに判断される可能性が高まります。
また、カードローンや自動車ローンなど、他社からの借り入れ分に対する支払いの遅れや滞納が頻発していると、住宅ローンの仮審査に落ちる可能性はかなり高いと考えられます。

借り換え時に注意すべき審査基準

借り換えを検討している場合でも、一度審査に通ったことがあるからと言って油断は禁物です。借り換え時には、また別に考慮すべきポイントや注意点があります。

  • 健康状態に注意
  • 住宅ローン以外の借り入れが増えていたら注意
  • 返済が滞っていないか注意

健康状態によっては団体信用生命保険に加入できない!?

銀行や信金などの金融機関では、団信に加入しないと住宅ローンを組むことができません。がんなどの重い病気にかかって手術をした、通院していた、などの健康状態では、団信に加入することができず、一般の銀行などの金融機関の住宅ローンでは借り入れができなくなるので注意が必要です。
そこで、団信に加入できないという人のために「ワイド団信」という商品が用意されています。ワイド団信は、通常の団信に比べて引き受けの範囲を広く設定しています。健康上の理由で通常の団信に加入できなかった人でも、これなら加入できる可能性があります。
ただし、一般の金融機関の住宅ローンには、団信にかかる保険料があらかじめ金利に含まれています。既往歴(病歴)がある人が加入できるワイド団信の金利は、通常の団信加入の場合に比べて高くなります。

「より低金利なものに借り換える」のか、それとも「将来に備えて保障を充実させる」のか。借り換えの際にはそれぞれの目的・現在の状況に合わせて、本当に必要な住宅ローンの形はどのようなものなのか、しっかり検討する必要があります。

住宅ローン以外の借り入れが増えていたら注意

ここで注意したいのが“すべて”の借入金返済額ということ。これは住宅ローンだけでなく、車のローンや教育ローンの返済額(その他借り入れ分の返済額)も合計された金額で判断されます。見落としがちなのが下記のような借り入れです。

  • 学生時代に借りて返済の終わっていない奨学金
  • お子様の大学入学のタイミングで借りた教育ローン
  • クレジットカードのキャッシング枠

※クレジットカードのキャッシング枠は、実際に利用していなくても限度額まで借り入れしているとみなされることがあります。

借入金額を考える際には、住宅ローンの残債だけでなく、他の借入の残債についても考慮が必要です。
もし、借りている車などのローンの金利が住宅ローンの金利よりも高い場合は、そちらを先に返済して住宅ローンの借入金額を増やす方が対策としては有効になります。

返済が滞っていないか注意

お金を借りるためには信用がとても重要です。過去に住宅ローンの滞納はありませんか?

滞納というと数ヶ月も支払いがされていない状況を思い浮かべるかもしれませんが、「たまたま銀行の残高が足りずローン返済の引き落としができなかった」という、“うっかりミス”も審査には影響してくる可能性があります。

住宅ローンの借り換え審査の際には、各銀行などの金融機関は借り入れ状況や滞納履歴などの情報を信用情報機関に照会できます。これで滞納歴があると、銀行などの金融機関は信用できないと判断してしまい、審査が通らなくなってしまうことも考えらえます。

滞納という点で見落としがちな、
自身の学生時代に借りた奨学金の返済や携帯電話の支払状況についても確認をしておきましょう。

上記でご紹介した注意点のほかに、転職して間がないという場合も審査が通りにくい要素の1つになります。
せっかく、いろいろと準備をしても審査を通らなければ何にもなりません。まずは審査を受ける前にご自身で事前にチェックしておくことが大切です。

借入金額の設定方法

家計に占める住宅ローン返済額の割合(返済比率)

最も怖いのが「住宅ローンの借り過ぎ」です。低金利時代とはいえ、変動金利の場合は金利変動リスクを伴います。
そもそも住宅ローンの月々の返済額はどれぐらいに留めるのが最適なのでしょうか。

借り入れ総額は年収や職業・家族構成などによっても異なり、一概に規定することはできません。
また住宅を購入した後も、実際には生活しながら住宅ローンの返済をしていかなければなりません。住宅ローンの返済以外に、家を維持するための費用や今後の収入のことも頭に入れておかなければなりません。実際に月々の返済に当てられれる金額は決して多くはないとお考えください。

返済負担率(返済比率)とは

返済負担率とは、住宅ローン以外も含めた返済額が年収のどれくらいの割合を占めているか?という数値のことをいいます。その人によって適切な返済負担率は異なりますが、上述したように住宅に関連する費用は住宅ローンだけではありません。例えば、新築マンションの場合は購入して5年後から、一戸建ての場合は4年目以降から、固定資産税が半額支払いから満額支払いになります。これに加えて、修繕積立費やマンション管理費などが加算される場合があります。住宅ローンの返済負担率しか考慮していない場合、結果的に想定を上回ってしまった、という事態になりかねません。

住宅ローンの借り入れ額を計算する際、手取り金額で計算することが重要です。年収の税込金額で計算してしまうと、実際の割合と大きな違いが出る場合があるためです。

実際、借り入れ額を計算する際に注意しなければならないこととして、借り入れ時の年齢、住宅ローン以外のローンがあるかどうか、世帯内で収入を合算できるかどうか、が挙げられます。これに金融機関の金利を使用して計算された無理のない範囲の返済負担率が25%と言われているのです。

頭金の設定

昔は住宅ローンを組む際には頭金が必ず必要と言われていましたが、近年は頭金なしでも住宅ローンが組める時代になっています。しかし、頭金なしの場合のリスクももちろん存在するため、しっかり検討する必要があります。例えば最近は頭金が10%以上あれば金利優遇が受けられる金融機関も存在します。

仮審査に必要な期間は?

住宅ローンの審査にかかる期間は約1週間から10日程度、繁忙期の場合は1ヶ月程度かかる場合もあります。
住宅ローンを借りる場合、金融機関に審査を申し込むことから始まります。ローンの返済能力を見極められ、限度額の算出が行なわれることになります。

また、仮審査には金融機関ごとに約3ヶ月~半年程度、審査結果の有効期間が存在します。
つまり、物件がほぼ確定した段階で仮審査をしておけば、本審査の申し込みまでに多少の猶予期間を得ることができるのです。また有効期間内で物件の変更がなければ、3ヶ月後であっても仮審査なしで本審査に進むことが可能です。
資金計画・返済計画をより強固なものにするため、この猶予期間を有効活用しましょう。

必要書類リスト

一般的な必要書類について

仮審査に必要な書類は金融機関によって多少の違いがありますが、一般的に必要なものをまとめています。
あくまでも仮審査のため、基本的にはコピーで問題ありません。ただ、契約時に原本提出を求められるものもあるため、書類の原本は大切に保管しておきましょう。

申込関連
ローン借入申込書 金融機関ごとに異なる
口座開設申込書新しく口座開設する方のみ
本人確認
住民票または住民票記載事項証明書原本提出が必要な金融機関も。
本契約時は原本提出
印鑑証明書本契約時は原本提出
運転免許証もしくは健康保険証両面コピーが必要
在留カードまたは特別永住者証明書外国籍の方
所得証明

収入形態によって求められる書類が異なります。金融機関の指示に従って準備しましょう。

源泉徴収票直近のもの
住民税課税証明書収入額の記載があるもの
直近2年分
原本提出の場合も
確定申告書直近2~3年分
会社の決算書直近2~3年分
会社役員の方
納税証明書直近2~3年分
原本提出の場合も
物件

物件関連の資料は、不動産会社から取り寄せるものが多いです。また、購入物件の種類(マンションなのか戸建てなのか)などによっても異なります。事前に必要な資料を確認しておきましょう。

・売買契約書
・重要事項説明書
・検査済証
・建築確認済証もしくは建築確認申請書
・土地の公図
・地積測量図
・物件パンフレット
・住宅地図

下記の記事でも必要書類について解説しています。
住宅ローン借り入れ・借り換えのための必要書類と審査の流れ

仮審査の甘い銀行はあるのか?

住宅ローンの申込みを検討されている方にとって、審査に通るかどうかは切実な問題であると言えます。
日本銀行の金融緩和により、超低金利時代と呼ばれるような追い風もたしかに吹いてはいますが、その反面、ローンの焦げ付きを懸念する金融機関にとっては、審査を厳しめにせざるをえないという実情もあるようです。

そうした中、「審査の甘い金融機関があるらしい」という情報も飛び交い始めています。
果たしてそのような金融機関は本当に存在するのでしょうか。

住宅ローン審査が甘い会社

仮審査落ち相談事例

Q. 住宅ローンの仮審査を行ったところ、審査落ちとなってしまいました。特に借り入れなどもないため、審査落ちした理由に心当たりがありません。不動産会社からも「総合的な理由」としか回答が得られず、困っています。どのような可能性が考えられるでしょうか。

その他の借り入れがないのに審査落ちしてしまう場合、下記のような可能性が考えられます。

  • 携帯電話やクレジットカードの分割支払いをたくさん利用している
  • キャッシング枠つきのクレジットカードを多く持っている
  • 自分の知らないところで、家族が自分名義で借り入れもしくは分割払いなどを行っている

携帯電話の本体料金を分割で支払うことはよくあるかと思います。見落としがちですが、分割払いを多く利用している場合、支払いが遅延した履歴が残っている可能性があります。また、多くの支払いによって返済比率を圧迫している可能性も考えられます。
クレジットカードのキャッシング枠については、利用していない場合でも限度額まで借り入れしているとみなされる場合もあります。

その他、可能性は低いかもしれませんが、知らない間に家族に名義を利用されているという場合もあるようです。いずれにしても、自分で個人信用情報(CIC)を調査することができます。(利用手数料1,000円(税込み)が必要です。)気になる方は調査してみましょう。

Q. ある銀行の住宅ローンの仮審査に落ちてしまいました。手続きの期限も決まっているのですが、もう住宅購入の望みはないのでしょうか。下記のような属性です。

・年齢:35才
・家族:妻(専業主婦)・子ども3人(小学生1人、4才、2才)
・年収:350万円
・借り入れ希望額:2,000万円
・その他借り入れなし
・個人信用情報照会済み、特に問題なし

いただいた情報のみでお答えできることは限られています。まずは専門家に相談されることをおすすめいたします。
審査落ちしてしまったとのことですが、返済比率で厳しいと判断された可能性があります。収入源が相談者様のみであること・将来の教育費が想定されることなどを加味した上で、資金計画を再考されることが大切だと思います。物件については情報がありませんが、中古物件であれば維持費用などもかさむ可能性もあります。

一方で、住宅ローンの審査基準は各金融機関によって異なります。そのためある銀行で審査落ちしたとしても、別の銀行であれば審査に通過する可能性は十分に考えられます。手続きの期日も決まっているとのことですので、いくつかの金融機関に仮審査を申し込んでみてはいかがでしょうか。

その他相談事例

【事例①】仮審査には通りそう?将来の教育費負担も心配なご夫婦の場合

マンション購入を希望していますが、この先夫の収入増はあまり期待できず、妻である私も諸事情から外に働きに出るのが難しい状況です。また、就学前の子どもが2人いますが、将来私立高校も選択肢に入れたいと考えているため、教育費負担にも不安があります。夫と話し合った上で下記のような借り入れプランを考えましたが、審査には通りそうでしょうか。

・夫の年収:650万円
・頭金:800万円
・借り入れ希望額:2,700万円(希望物件価格:3,500万円)

こんにちは、住宅ローン専門FPの丸尾健と申します。

銀行融資を申し込みする場合には2つの審査があります。1つ目が仮審査。仮審査に通った後に2つ目の本審査があります。

銀行の仮審査のポイントはいくつかありますが、必ずクリアしなければならないものの1つは返済負担比率です。
返済負担比率とは年収に占めるローン返済額の割合のことをいいます。
銀行によって基準は異なりますが年収に対して35%~40%くらいを上限として設定しているところが多いようです。
仮審査する場合、銀行は審査金利という独自の基準をもって仮審査を行います。こちらは3.5~4%で設定している銀行が多いようです。

2,700万円の借入に対して、実質の借入金利が1.37%だったとしても、この金利の部分にストレスをかけた数字に入れ替えて計算します。

■審査金利4% 35年返済とした場合
月額返済額119,549円(年間返済額143万円)
143万円÷650万円=22%

この場合、返済負担比率が35%以下に収まっているためOK。
つまり、ご相談者さまが35年返済で申し込みをされる場合は仮審査に通過する可能性は高いと思われます。
借入期間を短くして申し込みすると、月々返済額が上がってしまい難しくなってしまう場合もありますので、注意が必要です。

まずは同時に複数銀行の仮審査できるサービスを使って、一度確認してみてはいかがでしょうか?

【事例②】他の借り入れが仮審査に影響する?

共働き夫婦でマイホーム購入を検討中です。夫38才・年収450万円、妻35才・年収430万円、子どもは5才が1人です。

子どもの小学校入学に合わせてある地域に一戸建てを購入したいと考えています。夫婦2人とも定年まで働き続ける予定ですが、物件購入の適切な予算額はどのぐらいになりますか。
また、夫にカードローンが50万円ほど残っています。コツコツ返済すればあと数年で終了しますが、審査のことを考えると一括返済しておくべきなのでしょうか。

こんにちは、住宅ローン専門FPの丸尾健と申します。

家計に占める住居費の支出割合は20~25%くらいが理想的な基準と言われています。
ご相談者さまの世帯年収は880万円です。この場合の理想的な住居費は約176~220万円となります。

固定資産税やメンテナンス費用を加味すると住宅ローンの年間返済額は140~184万円。 月額返済にすると、116,000円~153,000円くらいに収まっていれば仮審査にも通過する可能性が高く、実際の返済金額としても理想的な数値と言えます。
リタイア時期が60~65歳と想定すれば、ご主人のリタイアまで最長27年。
116,000円~153,000円を27年長期固定の住宅ローンで返すとすると、住宅ローンの借入金額のターゲットは3100万円~4100万円になります。

また、現在借りているカードローンの50万円に関してですが、これは借入内容や毎月の返済額によっては銀行の仮審査にマイナスになるケースは多々あります。

ご相談者さまのケースでは、ご検討される内容が多岐にわたっており、また机上の話では上記のようになるのですが、生活費の状況やお子様の教育方針によって大きく方向性が変わることもあります。
適切な家計分析やキャッシュフローシミュレーション分析ができるファイナンシャルプランナー等に相談して、客観的な根拠をもとに計画を前に進めることをお勧めいたします。

【事例③】個人事業主の方が仮審査時に気をつけるべきポイントは?

妻・小学生の子ども2人の4人家族です。3年前に独立し、専門資格を活かした個人事務所を経営しています。経営が軌道に乗ってきたこともあり、このタイミングで希望エリアに中古住宅の購入を考えています。個人事業主であるため、住宅ローンの審査が厳しいのではと不安です。妻は事務所を手伝ってくれているため、外に働きに出るのは難しいです。このような場合、住宅ローン審査と借り入れ計画で気をつけるべきポイントは何でしょうか。

・夫(相談者)の年収:700万円
・事業資金のための借り入れ:500万円
・子どもの進学も視野に入れると、教育費負担増にも不安あり

こんにちは、住宅ローン専門FPの丸尾健と申します。

個人事業主の方の住宅ローンの借入は仮審査が難しい場合ケースが多々あります。
銀行の審査の基準の一つに属性(勤務先)の評価というものがあります。その際、個人事業主の方は、将来への継続性について、サラリーマンの方より厳しく見られてしまうため、自己資金を多めに出さないといけないなどのケースは多々あります。

個人事業主の方の仮審査の中で、返済負担比率を計算する際に銀行が審査する数値は年収ではありません。確定申告書の所得の欄の数字が対象になります。
経費のコントロールがある程度できる個人事業主の方は、税金対策のために極端に所得を抑えているケースもあるかと思います。このようなケースでは残念ながら仮審査に通る確率が極めて低くなってしまうことがあります。
このあたりも銀行によって条件は変わってきますが、フラット35以外の住宅ローンの借入をご検討される場合には、数年前から所得の数字を上げて審査に通りやすい状況を作っておくことも必要となります。
個人事業主の方は、仕事と個人のライフプランを同時並行で考えると、適切な住宅ローンの借入計画が見えてきます。

ご自身の事業とライフプランを両方並行して考え、住宅ローンに精通したファイナンシャルプランナーに相談した上で、確かな根拠を持って住宅購入計画を進めることを、ご検討されてみてはと思います。

執筆者紹介

丸尾 健

大学卒業後、大手商社系ハウスメーカーの店長職を経て国内金融機関のファイナンシャル・プランニング部門に転職。2009年9月に独立し、株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティングを設立。FP経験現在11年目。新規年間相談件数120件前後、面談累計件数1,200件以上。主に個別相談を中心に活動する実務家FP。

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