住宅ローンの自己資金30%のウソ・ホント

住宅ローンの自己資金30%のウソ・ホント

住宅を購入するときによく耳にするのは「自己資金は30%を準備する」ということ。自己資金30%という数字は何を意味するのでしょうか。また、本当に自己資金を30%準備すれば安心なのでしょうか。住宅購入の時に準備しておきたいお金についてお伝えしていきます。

目次

住宅ローンの自己資金30%のウソ・ホント

住宅購入前に準備しておきたい住宅ローンの自己資金とは

住宅ローンの自己資金とは、住宅購入をするときに自分の貯蓄から準備する資金のこと。自己資金30%は物件価格の30%を現金で準備するということです。
では、住宅購入の自己資金をいくらにするか? と考えたとき、頭金のみ準備できればと考えがちです。
じつは、自宅購入時には、物件価格のうち現金で準備する資金である頭金の他に様々な手数料や税金などの「諸費用」がかかります。
一般的に、住宅購入の「自己資金」とは、頭金と諸費用を合わせた金額を指します。

住宅ローンの自己資金と頭金の違い

頭金は、住宅の購入価格から住宅ローンの金額を引いた金額となります。頭金が多いほど住宅ローン借入額が少なくなるので、総返済額が少なくなります。
自己資金とは、これに諸費用を加えたものです。

  • 頭金・・・住宅購入価格からローン金額の差引分
  • 自己資金・・・住宅購入に必要な費用の総額(諸費用)+頭金

諸費用とは、税金、ローン手続き費用、さらには耐久消費財購入費(カーテンや家具、家電など)、電話移設費、引越し代など、住宅購入のために必要になる現金の総額のことです。税金とローン手続き費用のことを諸費用と呼び、耐久消費財購入費や引越し代などは諸費用に含めず、別で考える説もあります。

さらに、現在の手持ち金をすべて自己資金として使えるわけではない点にも注意が必要です。手持ちのお金をすべて住宅購入のために使ってしまったら、いざという出費に対応できません。手持ち金として、200万円程度は用意しておくべきだと言われています。

住宅ローンの自己資金30%のうち20%が頭金

一般的に、住宅購入の頭金は購入物件の20%が目安だといわれています。自己資金30%のうち20%は頭金の金額を指しています。この数字の根拠は、以前、住宅金融支援機構の前身である住宅金融公庫の融資金額が80%であったことが背景にあります。
ただ、頭金無しでも住宅ローンを借りることも審査が通れば可能です。しかし、頭金が少ないほど借り入れ金額が多くなるため、その後の返済負担は大きくなります。

実際の住宅購入を考えてみましょう。
例えば4,000万円の物件を購入する場合、頭金20%であれば、800万円を準備することになります。借入期間35年、全期間固定金利1.6%で頭金が無い場合と頭金を20%準備した場合の返済シミュレーションをしてみました。

物件価格頭金借入額月々の返済額総返済額総支払額
4,000万円無し4,000万円12.5万円5,227万円5,227万円
4,000万円800万円3,200万円10万円4,182万円4,982万円
※「住宅金融支援機構/住宅ローンシミュレーション」にて試算

頭金20%を準備すると、借り入れする額が少なくなるため、頭金無しに比べると総支払額が245万円、月々の返済額は2.5万円も少なくなります。やはり、頭金が多いほど住宅ローンの負担は軽くなることが分かります。

また、フラット35で融資率9割超と9割以下を比べると、融資率9割超の方が金利も高くなる上に借り入れ審査も厳しくなります。そして、何よりも、頭金を貯蓄できない家計管理の状態では、将来的に住宅ローンを無事に返済できるのかという不安が残ります。

では、極端にいってしまうと、家計管理ができていれば、頭金は無くてもよいのかということも考えがちですが、決して頭金の準備をしなくても良いというわけではありません。
頭金を準備できるということはそれだけ家計に余裕がある、貯蓄をしっかりできる家計体質だということになります。
つまりは、20%の頭金を準備できるようであれば、無理のない返済可能な住宅ローンを組むこともできるという理屈です。
したがって、頭金20%を目安にして、きちんとした住宅ローンの返済計画を練ることがとても大切なのです。

自己資金30%のうちの残り10%は諸費用

住宅を購入する時には、その物件の金額以外にも手数料や税金などの費用が必要になります。

主な購入時の諸費用
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 抵当権設定のための司法書士報酬
  • 融資手数料
  • 保証料
  • 火災保険の保険料、地震保険の保険料
  • 団体信用生命保険料

融資手数料や保証料、団体信用生命保険料は、借り入れる銀行などの金融機関によって取扱いが異なります。保証料がかからない銀行などの金融機関もあれば、団体信用生命保険は住宅ローンの金利に含まれていて別途現金で用意する必要が無い場合もあります。
また、中古物件などの不動産仲介業者を利用した住宅購入では、上記の諸費用の他に不動産仲介手数料がかかるため、新築に比べて諸費用についても考慮が必要になることがあります。

また、意外に忘れがちなのが購入後の引越し費用や新しい家具・家電などの購入費用です。一般的に、自己資金の10%とある諸費用は、これらの費用も含むことが多いです。費用に余裕がなければ、新しい家具や家電は予算に応じて、購入を控える、または、購入のタイミングを変えることはできますが、引越しは待ったなしです。引越し費用はしっかり別に用意しておきましょう。

自己資金が少なくても住宅ローンは借りられる

最近はネットバンクなどを中心に諸費用が安い金融機関も増えており、3,000万円の住宅を購入する場合、30万円~80万円程度の諸費用ですむことも多くなっています。頭金についても、昔は2割~3割用意するのが当たり前でしたが、現在は頭金ゼロでも住宅ローンは組めるようになっています。ただし、諸費用が安いプランでは、そのかわりに金利が高く設定されていることが多いので、金利も含めて総合的に比較・検討することが大切です。

このように、現在は自己資金が少なくてもマイホームの購入ができる時代です。自己資金を少なくすると総返済額は増える傾向がありますが、世の中には「お金を多く払ってもいいから今すぐマイホームを持ちたい」と考えている人もいます。さらには、「これから金利は上昇していくので、今購入しておいたほうがお得だ」と考える人もいるでしょう。多様な価値観を持つ人に対応して、住宅ローンのプランも多様化しています。

手元に残す現金をいくら残すか計画を

住宅ローンの自己資金について

自己資金30%のウソ・ホントについてお伝えしました。
自己資金が多いほど住宅ローンの返済の負担は軽くなるため安心です。ただし、自己資金と一緒に準備して欲しいのが、半年~1年分の生活費です。自己資金が少なくても借り入れられる金融機関はありますが、その分金利が高くなる可能性もあります。また、病気やケガで入院、急な年収ダウンなどの不測の事態にも対処できるよう、頭金については緊急予備資金となる現金を手元にいくら残すかを考えてから判断しましょう。

執筆者紹介

マネーライフ本舗 編集部

住宅ローンをはじめとした住宅購入に役立つ情報をお届けしています。また住宅ローンの一括仮審査申し込み・火災保険の見積もりサービスもございますので、ぜひご利用ください!

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