年収や家族形態によって検討すべき家は?

ひとえに住宅購入といっても、どれくらいの金額の家を買えるのか?
どんな家を買ったらいいのか?と言った疑問を抱えている方々もいらっしゃると思います。
「何も知識がないまま不動産会社に行くのも怖いし…」そういった方々向けに今回は「金額」と
「住宅の内容」について、どんな目安を持っていると良いのか具体的な事例を紹介してみたいと思います。

マイホームの選び方の基礎知識

成冨 宏樹

成冨 宏樹 株式会社ゼネラルホームズ 代表取締役

大手総合デベロッパーでの営業マネージャー職、マンション企画職を経て、2012年に不動産購入・住宅ローン・家計の見直し・リフォームなど、住宅に係るサービスをワンストップでサポートすることを目指す法人、株式会社ゼネラルホームズを設立。社長業の傍ら、宅地建物取引士、FP技能士の資格を生かして実務にも従事中。

まずは金額面から検証してみます。
下記は年収別および金融機関別に借りられそうな金額を一覧表にしたものです。

銀行名を出すわけにいかないので、「審査が厳しい」「通常の審査」「審査が通りやすい」「フラット35」と金融機関を4つに大別しました。

金額の算出について、金融機関は年収によって一律に決められるわけではなく、勤務先の状況など様々な要素によって算出されるので、「楽々審査通過」「普通」「チャレンジライン」と3つに分けて出しました。「チャレンジライン」以下の金額であれば審査に通る可能性がありますので望みを捨てないように。

フラット35については審査基準が公表されていますので、「限度額」内であれば基本的には審査に通ります。

借入限界額早見表

※上記日付現在の基準ですので、審査の時期によって基準が変わる可能性があります。
※金額はあくまで目安となり、実際に審査を掛けて算出されます。現在お支払い中のショッピングローン等がある場合は金額が下がる可能性があります。
※年収は原則として前年度の源泉徴収票などの金額をもとにしてください。転職したてなどで前年度の年収がわからないときは、今年支給された給料を働いた月数で割った後に12か月を掛けると大体の年収がわかります。

上記の「借入可能な目安金額」に「自分で持っている現金」を足したものが「予算」と考えてよいと思います。

チラシなどに告知されている物件金額が「予算」内であれば、見学しに行っても「全くの予算外」だったという無駄足は少なくなると思います。

次に「住宅の内容」について家族形態別にどんな基準で探せばよいか事例を挙げてみます。

【1】シングルの方
一般的には戸建て住宅を検討するケースは少なく、マンションを検討するケースが多いです。
プロの立場から申し上げても、マンションの方がお勧めです。
シングルの方は物理的にそんなに広さを必要としないし、家を空けることが多いので、セキュリティ面でもマンションの方が使い勝手が優れています。
私から一言付け加えるとしたら、シングルの方々は特に将来の売却や賃貸に出すなどの展開になった時のことも考えて家選びをした方が良いということです。
年齢にもよりますが、これから結婚がある可能性もありますし、もう少し年齢が上の方なら介護施設などに入居の際の資金調達の手段としても有効になるからです。
将来の売却や賃貸のことを考えて家選びをすると、自分があまり重要視しない項目も取り入れて検討する必要があります。具体例を挙げると車通勤のシングル男性は「家が駅から近いこと」について重要視しませんが、将来の売却のことを考慮すると、このことについても検討の要素として入れる必要性が出てきます。

【2】夫婦のみの方
シングルの方と同じでマンション検討が多いですが、子供を作ることを考えているようであれば2LDKくらいは欲しいところです。予算的に難しい場合には1LDKも視野に入れるのもよいですが、一生住む広さとしては足りなくなることも考えられます。その場合はシングルの方と同じように売却や賃貸も頭に入れた家選びが必要です。
実務上では間取りの取り方も問題になる事例が多いです。今は1LDKやスタジオタイプなどで2人で広く使いたいけれど、将来子供ができたら2LDKが欲しいという事例によく出くわします。
その時になったら売却や賃貸を頭に入れることは先にも紹介しましたが、可動間仕切りやウォールドア備えた間取りの物件をチョイスし、将来の変化に対応できやすくするのも一つです。

【3】3人ファミリーの方
2LDKでも十分に暮らせる家族構成なのでマンションを選ぶ事例が目立ちます。中学生以上のお子様をお持ちの家庭で、独立した部屋が必要だと、「独立した6畳の洋室とウォールドアでリビング脇に4畳半の洋室」みたいな2LDKだと独立性が十分に保たれないので、住んでからネックになる事例があります。
そうなると独立性の保たれた2部屋を備えた2LDKを探そうとなるのですが、実はこういった2LDKは市場にはあまり出回っていません。理由としては、独立性を保とうとすると、通路を確保する必要が出て廊下の面積が多くなります。従って専有面積を増やさなくてはいけません。専有面積が上がると価格も上がります。
価格の張った2LDKは売りにくいので、マンション開発業者の立場から考えると「この専有面積が取るなら、2LDKではなく、3LDKの間取りにしてしまおう」ということになり、数が少なくなってしまうのです。
実務上では、3人家族でマンションを希望の方々には55㎡から60㎡前半のコンパクトな3LDK物件を探して、お勧めすることが多くなっています。
同じ3人家族でも将来4人になる可能性がある3人家族の方々だと、一戸建の事例もちらほら見かけますがそんなに多くないような気がします。私が都市部でお仕事させていただいていることもあるかと思いますが、土地代が高く、予算内で一戸建てを探そうとすると15坪~20坪程度の狭小3階建ての一戸建てとなってくることが多いからです。急階段でつながれた各フロアの移動ネック、リビングと各人の居室が別となることによる子供の教育上の問題等々の問題を考えると無理もないと思います。
年齢が若く、子供も小さいとなると、転勤や転職、子供の学校の都合などが将来発生することも考えられ、シングルや2人家族と同じく売却や賃貸に出すことも考慮に入れると一戸建てはそう言った面では格段に分が悪いので、敬遠されるのかもしれません。

【4】4人ファミリーの方
検討するエリアによっては一戸建てが選択肢に入ってきます。家の中の物理的な広さを気にしてそのような判断になるのは想像つくと思いますが、ここでもプロの見解を一つ入れるなら、マンションをチョイスした時の「自転車置き場」、「バイク置き場」問題の話を検討しなくてはいけないと思います。戸建ては自分の敷地に置けばいいですが、マンションは共同の自転車置き場やバイク置き場を使うので、設置台数によっては自分の家族が所有する自転車やバイクを置けない可能性が出てきます。設置状況や空き状況を確認しておきましょう。自転車についてはマンション共用のレンタサイクルが設置されていたり、行政のレンタサイクルがある自治体もあるので、それらでことが足りるのかも合わせて検討しましょう。
間取りについては、子供の男女構成によって必要とされる間取りが違ってきます。同性の2人であれば同じ部屋で過ごしてもらう手を使うと、そんなに広い間取りを検討しなくて済む場合があります。異性の2人であれば別々の部屋が必要だとのジャッジを下す人が多く、3LDKが最低でも必要になってくると思います。

【5】5人ファミリーの方
4人ファミリー編で話した「自転車・バイク問題」が顕在化するとともに、物理的に3LDKや4LDKが必要になってくるので、戸建ての要望が強くなってくる構成です。夫婦+子供3人という構成だと3LDKマンションも選択肢に入る人もいますが、夫婦+子供1人+両親のような構成だと、きっちりプライベートの空間を作る必要も出てきますので、マンションなら4LDK、もしくは戸建ての選択肢を取ることが多いです。4LDKのマンションは市場への出物が少なく、あったとしても郊外立地が増えるので、同じような値段で戸建てが手に入るケースも出てきます。
自動車が2台必要なお客様だとマンションで2台の駐車場確保は難しいので、戸建てへの要望が強くなります。マンションを検討するなら、敷地外の駐車場確保ができるのか周辺を予めリサーチしておくとスムーズに検討が進みます。

いかがでしょうか?

私が今まで対応した事例を思い出しながら、ノウハウ本には載っていない問題も交えて書いたつもりです。住宅販売は「お客さんの要望」を「限られた予算の中に存在する現実の世界」にどれだけ忠実に落とし込めるのかが勝負と感じています。希望エリア、予算の算出が決まったら、自分の家族構成や将来のビジョン、家への要望事項を恥ずかしがらずにぶつけてみましょう。優れた営業担当なら必ず形にしてくれると思います。

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