やむ得ぬ事情で自宅を売却したい。そんな時、住宅ローンをどうするのか

住宅ローン返済中にやむを得ない事情でマイホームに住むことができなくなった場合、その後の返済やマイホームをどうすべきか不安に思うことでしょう。
そこで、住宅ローン返済中の売却について解説します。

住宅ローン見直しの基礎知識

江﨑真奈美 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

江﨑真奈美 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、会計事務所に勤務し、巡回監査業務に従事。その後、社会福祉法人をはじめ、地元の上場企業などで長年経理業務を担当。勤務していた事務所の閉鎖に不安を感じ、これをきっかけとして2016年に最短1年で1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得する。FPとして独立し、執筆、講師業を中心に精力的に活動中。
【企画・編集/SAKU株式会社】

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住宅ローン返済中のマイホームの売却

例えば、親の介護により実家に帰らなければならないような場合、住宅ローン返済中の物件を売却することは可能なのでしょうか? 住宅ローン返済中でも完済の目途が立てば売却は可能です。売却可能価格が、ローン残高より低い場合と、ローン残高より高いもしくは、同じ価格で売却できる場合の2つのケースが考えられます。
「売却可能価格 < 住宅ローン残高の場合」
マイホームの売却可能価格が諸費用とローン残高を合計した金額より低い場合は、住宅ローンを完済するための差額を工面できないと売却は難しくなります。
住宅ローンの融資を受ける時、マイホームには金融機関の抵当権が設定されます。住宅ローンを完済するまではこの抵当権は消滅しません。抵当権がついたままでも売却は可能ですが、買い手が現れるか?という問題になります。住宅ローンを完済するには以下のような方法があります。

①自分で資金を用意する
住宅ローン完済するために不足する差額分を預貯金や親御さんの援助で用意する場合などです。

②完済するための資金を他のローンに借り換える
自分で差額分の資金を用意することができない場合は、他のローンに借り換えることも検討してみましょう。その場合、用途が自由であるフリーローン等が考えられますが、一般的に住宅ローンより金利がかなり高く設定されていることに注意が必要です。

③任意売却を検討する
住宅ローン残高を返済できそうにない場合は、任意売却も検討してみましょう。
任意売却とは不動産会社などの仲介業者が、借入先金融機関の間に入って、できるだけ売主と買主の両者が納得いくかたちでマイホームの売却を成立させる方法のことです。
任意売却は、売却後に残った残債については、金融機関と交渉して少しずつ返済していく、もしくは、交渉により減額できる可能性もあります。住宅ローンの返済が滞りそうなときに有効な方法です。
「売却価格 ≧ ローン残高の場合」
マイホームの売却価格が住宅ローン残高と諸費用を合計した金額より高い、もしくは同じ金額だった場合は、問題なく売却できます。住宅ローンの残高の全額を返済することで抵当権の抹消も行えます。

マイホームを売却した場合の税金

マイホームを売却した場合、通常、譲渡所得として所得税等、住民税の課税対象となります。ですが、売却によって収入を得た場合でも一定の要件のもと、特例を受けることで課税されないケースがあります。

「マイホームの売却価格 > マイホームの取得費+諸費用」
マイホームを売却した場合、売却した価格から取得費+諸費用を差し引いた金額がプラスになっているときは、その売却益(譲渡所得)に課税されます。譲渡所得に対する税率はとても高く、マイホームの所有期間が5年以下の場合で税率は39%(所得税30%、住民税9%)、5年超の場合で20%(所得税15%、住民税5%)です。
(注)別途、復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされます。

①居住用財産の3,000万円の特別控除
マイホームの売却で利益が生じた場合、一定の要件を満たすと譲渡所得の価格から最高3,000万円を控除することができます。

例)取得価格5,000万円の物件を2,000万円で売却
譲渡所得=(5,000万円-2,000万円)-3,000万円=0円←課税されない

【特例を受けるための要件例】
・居住用財産の売却であること
・住まなくなった日から3年経過後の12月31日まで売却していること
・前年、前々年にこの特例を受けていないこと
・配偶者や親族等など特別な関係にある人への売却でないこと

②居住用財産の軽減税率の特例
マイホームを譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年を超える場合で、①の3,000万円の特別控除を受けてもまだ譲渡益がある時は、控除後の金額の6,000万円以下の部分について税率が14%(所得税10%住民税4%)に軽減されます。
(注)別途、復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされます。
「マイホームの売却価格 < マイホームの取得費+諸費用」
住宅ローン残高のあるマイホームを売却して損失がでた場合に給与などの一定の所得と通算することができます。他の所得と通算してもなお、マイナスとなる場合には翌年以降3年間にわたって他の所得から控除することができます。(『特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例』という)

【特例を受けるための要件例】
・売却する年の1月1日時点でマイホームの所有期間が5年超であること
・返済期間10年以上の住宅ローン残高があること
・合計所得金額が3,000万円以下であること

※諸費用にはマイホームの購入に要した費用や売却時の費用(税金や仲介手数料など)を含みます。

やむを得ない事情により住宅ローン返済中にマイホームを売却することになった場合、売却後も住宅ローンが残らないような価格で売却できたらベストです。仮に住宅ローンが残ってしまった場合でも、預貯金や両親の援助、他のローンへの借り換え等により残りの資金が用意できるのであれば売却は可能です。
まずは、ご自身のマイホームがどのくらいで売却できそうなのか。一度、専門の不動産業者などに査定をしてもらってはいかがでしょうか。

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